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私 : 中国的な価値観が生み出す「チャイナスタンダード」は国際秩序を変えるのか。
中国は今、多様な分野で世界を席巻している。
・ 海外旅行者数 ――1位で1.2億人で、2位はドイツの0.9億人。
・ 海外留学生数 ――1位で80万人、 2 位はインドの30万人。
・ インターネットユーザー数 ――1位で7億人、2位はインドの4億人。
・ 国際特許出願件数 ―――中国は米国に次いで2位の5万件で日本に追いつく。
・ 太陽光発電量 ――1位で70テラワット、2位は米国の60万テラワット。
A 氏 : 欧米とは異質な中国の価値観 は、 人権意識の高い先進国にも影を及ぼし始めた。
例えば、 ノルウェーのノーベル委員会は10年、中国共産党の支配を批判した「獄中の人権活動家」、劉暁波に ノーベル平和賞 を贈った が、 中国の対応は「劉暁波は罪人だ。両国関係が損なわれる」と素早く執拗 だった。
ノルウェーのサーモンは中国の税関を通らなくなり、94%あった中国市場の 占有率 は2%まで落ちた。
ノルウェーのサーモン業界はノルウェーで強い政治力を持つ ので、 ノルウェー政府は、世論を押し切って中国との関係改善にかじを切った。
北極圏の権益を狙う中国は13年 、 ノルウェーの支持を得て「北極評議会」でオブザーバーの地位を獲得。
ノーベル平和賞受賞者で、中国が敵視するダライ・ラマ14世がノルウェーを訪れても政府幹部は面会しなかった。
私 : 中国がノルウェーとの関係の正常化を受け入れたのは6年後 のこと。
この間の経験を踏まえ、 ノルウェー国会では十数人の議員が超党派の親中グループを結成し、中国理解を広げようと、中国大使を議会に招いたり夕食会をしたりと交流を深める。
メンバーのケント・グッドムンドセン氏は「自由や民主主義は大事だが、『我々の道が唯一の道』というのは傲慢だ。我々は違う歴史を歩んできたのだから」と話す。
ついに、ノルウェーにチャイナスタンダードが根付いた ようだね。
A 氏 : 民主政治の原型を生み出したギリシャ にも、中国は深く食い込む 。
EUは昨年6月の国連人事理事会で、中国の人権状況を批判する声明を準備しながら挫折 。
EU全加盟国の賛成が必要だが、ギリシャが反対したためだ 。
「EUが人権問題で声明を出せなかったのは初めて」 と、 国際人権団体に衝撃が走った。
ギリシャの反対 は 、 10年、ギリシャが深刻な経済危機に陥りEUで「お荷物」扱いされた時、支え続けたのが中国だからだ 。
中国 は、 ギリシャのピレウス港の開発に投資 し、 地中海屈指の貿易港へと成長させ、苦しい時に寄り添った中国を「恩人」とみる気分は、政権のみならず市民にも広がる。
発展を急ぐ途上国とグローバリズムの影響などで揺れる欧米の 自由主義 国。
中国の影響は双方に及び、人権外交の構図も変えようとしている。
私 : 今年3月 、 スイス ・ジュネーブで開かれた国連人権理事会 で、 米国代表 は強い口調で 「中国は国連人権システムの弱体化を狙っている」と中国にかみついた。
これに対し、 中国がまとめた決議案 は、人権保護の取り組みでも 「国家の特殊性と歴史的、文化的、宗教的背景は留意されなければならない」 と訴え、共 同提案国にカンボジア、ベネズエラ、スーダンそして内戦が続く シリア などが名を連ねた。
国家の事情が人権よりも優先される場合があるとも読める内容に、米国は反発し、理事国による投票を求めた。
結果は賛成28 、 反対1、棄権17 、 反対は米国だけで日本やEU諸国は棄権 に回ったが、 アジア・アフリカの発展途上国、サウジアラビアやエジプト、メキシコなどが賛成。
A 氏 :ひるがえってみれば、 トウ小平が改革開放 にかじを切って40年 。
当時、貧困国だった中国は世界第2の経済大国になり、軍事やサイバー、宇宙などの技術でも先進国に引けを取らない。
ヒト・モノ・カネ、さらには文化や価値観まで中国的なものが世界にあふれ出す。
欧州でさえ、巨大市場の魅力から中国批判をはばかる空気が漂う。
背景には、歴史的な国際関係の地殻変動 がある 。
「米国第一」を掲げるトランプ政権下で、米国の国際的な影響力は退潮傾向で、中国共産党幹部は「トランプが大統領でよかった。『米国第一』に固執するほど、中国が発展する空間が広がる」と本音を明かす。
私 : 冷戦が終わり、社会主義や全体主義は淘汰されるとだれもが信じた。
2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した時、欧米主導のグローバルスタンダードに中国も寄り添うとだれもが感じたが、その期待ははずれた。
中国は今、独自路線で米国をもしのぐ「社会主義現代化強国」を目指している。
欧米の影響力が陰るなか、望むと望まざるとにかかわらず、中国的なモデルがスタンダードになるかもしれないという動きが様々な分野に現れてきた。
世界は、欧米から中国に覇権が移る歴史的転換を目にしているのだろうか。
新たな世界秩序をめぐる相克 を、この記事は各地から報告するとしている。
その視点にたっての各地からの報告を期待したい。