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私 : 與那覇 氏は、 東アジアとの関係を軸にした日本近現代史が専門 で、 2007年から地方公立大学に勤務。
11年に刊行した『中国化する日本』が評判になった という。
俺 はこの本は知らなかったが、 この書 で 與那覇 氏は、 優勝劣敗の自由競争をいとわず、政治は強い指導者に一任するといった形で日本社会の「中国化」が進んでいると指摘 。
近代化や民主化を基準にした西欧中心の歴史観を相対化し、日本史 を描き直す仕事だった という。
A 氏 : 確かに、今の日本の1強多弱で動かない政治情勢 をみると、 習近平独裁体制の「中国化」が進んでいるように見える ね。
「チャイナスタンダード」 が、 奈良、平安時代 のように 日本にも押し寄せてきた みたいだね。
私 : 期待された著者だった が、 14年春、鬱(うつ)状態と診断 され 、一時は「人と話すのも音楽を聴くのも苦痛。本も読めず原稿も書けない」状態になった。
デイケアでは病気の経緯を話したり、文章にしたりする機会があり、米大統領選でトランプ氏が当選する と、 「日本だけが駄目なんじゃないと妙に元気が出た」 という。
今回の著書 『知性は死なない 平成の鬱をこえて』 は発病から回復までの体験記 で、 同時に、時代に照らした「平成史」でもある という。
A 氏 : 與那覇 氏は、「 平成史」は、政治も世論も「一大転向の時代」とみる 。
自衛隊と日米安保条約に反対した戦後の左派は、90年代の自社さ連立政権誕生で「転向」。
戦争の「加害者」だった日本は、00年代には拉致問題の「被害者」に転じた。
民主党政権が崩壊して、多くの有権者が「改革」や「二大政党」 の夢を捨てた。
多数意見や社会のムードに迎合するなら、知識人の存在意義はないことになった。
「自分たちがいつ、なぜ『転向』したのかを自覚し、検証する意味は大きいはず」 と、 與那覇 氏は いう。
私 : 與那覇氏の「鬱」はこの平成の知識人の 存在意義を失った 「転向」による「鬱」かもしれない。
病気を経て「能力は個人の私有物ではなく周囲との共有物」だと気づいた いま、 他人と競い合う地位への未練はまったくない という。
「万国の知性ある人びとの団結を!」という、著書を締めくくるのは組織や国境を越えた幅広い「共存」の呼びかけ。
與那覇 氏は、 大学を昨年退職し、今後は「純粋に面白さでつながれた初期のネットのように」自分の思想へのアクセスを待つつもり だという。
また、 新しい視点での日本現代を論じてもらいたい ね。