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私 : 今週の「書評」 では、短い書評記事だが 「ビジネス」欄 を含め、興味があったのは 2冊 あった。
1.(書評)イワン・クラステフ〈著〉『アフター・ヨーロッパ ポピュリズムという妖怪にどう向きあうか』・評者・ 西崎文子氏・東大教授
冷戦直後の欧米 では、 イデオロギーの争いは終焉 し、 リベラル・デモクラシーが普遍化 するとの 楽観論 が広まり 、呼応するように、EU加盟国は12から28に増大し、統合も深化 した。
それから約30年。欧米ではポピュリズムが台頭し、リベラル・デモクラシーは守勢に立たされていて、EUの未来にも暗雲が漂う。
ブルガリア出身の著者は欧州危機の原因を「人口動態」に見る 。
冷戦後の楽観論が見落としたのは「人の移動」 。
特に中東欧から西欧へと流出する人々の存在で、その一部は成功して世界主義者(コスモポリタン)に加わるが、現地に留まる人々との間には深い溝 が生じた。
A 氏 : 「人口喪失」を恐れる中東欧諸国にとって、EUの難民政策は脅威 で、 一方で民族・宗教の異なる難民や、彼らを庇護する世界主義者はわれわれの生活様式を脅かすと、そう感じる人々 は、 移民を好まず、民族や国民への忠誠を叫ぶポピュリストを歓迎 する。
私 : 短い中に、思考の糧が多く含まれた好著 であると 評者は評価 する。
2 .(ビジネス)パティ・マッコード〈著〉『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く』・評者・ 勝見明氏(ジャーナリスト)
私 : 世界最大級の動画配信サービスを提供するネットフリックス( NETFLIX) 。
その最高人事責任者を務めた著者が試行錯誤の末、到達した先進的人事戦略の全容が
綴られる。
その特質は、「新しい働き方」として「自由と責任の文化」を貫き、「顧客」と「未来」を起点する発想に徹していること。
将来のビジョンを出発点として理想のチームをつくる」ためには、過去に「多大な貢献」をした人でも、「もっているスキルが会社に必要でなくなれば」、解雇する。
「無情」と思われても、理想のチームは「顧客に喜びを与える」ためにあると位置づける。
A 氏 : 高給を用意するが、「自分のキャリアを自分でコントロール」することを求め、「会社として従業員のためにキャリア開発をすることはない」と断じ、社員には「定期的に他社の面接を受けることを奨励」し、人事考課も経費規定もなく、休暇も自由裁量。
要は、「一人前の大人」扱いし、過度の介入は行わない。
私 : 米国企業でさえ「実行することが難しい」 と語るが、 NETFLIX が人事の概念を破ったことは、飛躍的成長と無縁ではない。
評者 は 「翻って日本の『働き方改革』。社員をもう少し大人扱いする試みもあってもいいかもしれない」 という。
成長戦略としての「働き方改革」では、高度プロフェッショナルの拡大
だね。