言わせてもらいますが

言わせてもらいますが

2013.04.23
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外食産業において、チェーンビジネスが市場を席巻しつくして、個人営業店舗が
無くなることは絶対にないと断言できる。なぜなら、食の味は、それを提供する
料理人と素材の関与する要素が大きく、チェーンビジネスでは実現できない領域が、
厳に存在するからだ。科学技術の発展によって、それが無になる可能性がなくは
ないけれど。また、味は単純に料理としてだけではなく、その時のTPOによっても
大きく影響される。よって、店の個性というのは、何の料理を出すかをベースに
しながら、全体をプロデュースすることで表現される。

差別化という意味では個性が引き立つことに意味があるようだけれど、ここに
顧客の視点という要素がなければ残念ながら店は営業できていかない。ここで
大切なのは、顧客像をどこに設定するかという点だ。大きく分けると食事をする際に
選ぶ店と、進んでその店で食事をするために出かける店だ。

食事をする際に選ぶ店でいえば、サラリーマンの昼食市場がその典型であろう。
会社からの徒歩圏内でその日のランチを満足するために行き先を選ぶのだ。
こういった機会においてはチェーンビジネスによるチェーンオペレーションによる
安心感と一定基準を満足しているであろう品質担保が大きく影響する。

こういったチェーンオペレーションに対抗する町の定食屋には、それに対抗する
個性は何かといえば、逆説的ながら町の定食屋という大きなくくりに含まれた風情、
値付け、メニュー構成であり、その許容範囲に含まれることで、あたかも1つの
チェーンとして存在しているのではないだろうか。だから、きちんとその範囲を
守った中で、一定レベルの品質を保持することが経営としての勘所になるだろう。
もっといえばとんがった個性を必要にしなくても経営が成り立つ可能性があるのだ。
ただし、これはサラリーマンの昼食というその地域市場の大きさが必要である。
また、同業者との横の競争も存在する。

もちろんサラリーマンのランチ以外としては、繁華街での食事も考えられる。
これは、サラリーマンの昼食という固定された市場に対して、食事以外の用事で
(食事の場合は、前述の店を選らんで食事になるので除外する)繁華街を訪れた
顧客に対しての競争になる。やはり、ここでもチェーンオペレーションによる
品質モデルが一定の基準になるであろう。先ほどは定食屋といったが、最近は
減ったが喫茶店や、中華料理店もこういった範疇に入る。

もっともこういった市場に対してもネットによる顧客側の情報力強化による影響が
見逃せないのだが、それは別の話しにしよう。

では、その店での食事を目的として経営される店の個性と顧客の関係はどう考えれば
いいのだろうか。ここでは、ランチや繁華街といった不特定多数に対して一定の品質を
保つことによる安定した来客が望めないという条件で考える。そこには、その店を
選択するという顧客の行動が必ず必要になる。もし、前述のような市場条件が整わず、
単純にフリーの偶然の来店客を想定しているとすれば、その店の経営は難しいことは
論を待たない。

店の個性とは、顧客にその店を選ばせる動機付けとも言い換えられる。ここで、
この動機付けを店の視点として捉えるだけでなく、その動機付けを評価する顧客
というのをしっかりと認識して具体化できていなければ、店の独りよがりになって
しまうのだ。店の個性を考えるときにその個性を評価する顧客を同時に考えることは、
店作りの第一のポイントになる。





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最終更新日  2013.04.23 21:02:42
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