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将棋の最多タイトル数99を誇る(ブログ記載時)羽生善治。羽生だけではなく、同世代のトップ棋士と合わせて羽生世代と言われるが、その世代がなぜ生まれたのか、棋士へのインタビューで明らかになっていく。勝負事が好き、ボードゲームが好きな自分は、幼少期には囲碁よりも将棋が好きだった。中学に入学した時には本気で将棋部にはいろうと思ったほどだ。結果的には柔道部に入ったし、大学では囲碁部に入った。将棋の実力差と囲碁の実力差がゲームの質としてその表出が違っていて、囲碁の方が大人になっていた自分には合っていたのだろう。それでも新聞を購読しているウチは、将棋蘭と囲碁欄の棋譜は両方欠かさず見ている時期が長かった。最初は将棋だけだったし、最後は囲碁ばかりだったかもしれないが、間違いなく両方読んでいた。自分は関西出身ということもあり、谷川浩司の光速流のファンだったのだが、その谷川にとってかわってトップに君臨した相手こそ羽生だった。そのせいか、羽生に対しては判官贔屓で相手を応援することが多かったと思うけれど、その羽生が勝てなくなってきて、若手に負けだすと羽生を応援してしまっているのはそれだけ自分が年をとって、若い奴に負けないでくれと応援してきているんだろう。この本でインタビューを受けている棋士はすべて魅力的なのだけれど、共通して感じるのは謙虚さである。最後に著者もそういっているが、最初からそう考えていた。人間の頭では正解がないものに挑み続けている挑戦者として、その難しさの前に県境である。それに、勝負に敗れることは全人格を否定されるほどの衝撃なのだ。だってすべてを将棋にかけて研究して努力して、それで負けるのだから。勝負事は白黒がはっきりして、勝者だけがたたえられがちだけれど、その勝利をより美しく気高くするのは素晴らしい敗者がいるからなのだ。このインタビューは素晴らしい敗者たちの記録でもある。この本が発行された2020年には思いもよらなった藤井総太一強時代になっているが、藤井時代になっていくのだろうか、それとも藤井時代のまま次の覇者が現れるのだろうか。
2024.05.23
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Kindle Unlimited でおすすめされた囲碁の本。こちらで読むのは漫画、ビジネス書、雑誌、サブカルと囲碁かな。20冊まで借りられるけど、囲碁の本は1冊は入っている感じ。囲碁の本は切れ目がはっきりしているので、ちょこちょこ読むには最適かも。こちらは、寺山さんがプロの碁で出てきた筋の良い手について、普通の手との比較で解説しており、とても分かりやすく読めました。低段者から高段者に行くには必須で身に着けるセンスだと思います。なかなか、普段のネット早碁では読み切ることはありませんでした。学生時代の囲碁部でしっかりと読みを入れてこのような手筋が打てたことがあったから、今なんとか町の碁会所で六段で打っていますが、このような読みを鍛錬することを怠っているのを痛感します。すっかり9路盤ばかりになってしまいましたから。好敵手と時間をかけて打つ碁を楽しみたいなぁ。。。
2024.04.25
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先日のロッカフランケンシュタインによる中島みゆきナイトにおいて、開演前と休憩中と閉演後で読了したのが、On A Slow Boat To のお店が所蔵していたこの本。数学用語を面白く解説している。インプットはアウトプットを見よ、アウトプットはインプットを見よなんてよくある手口はともかく、数学者のエピソードなどなかなか楽しい。数学というのは論理展開する根拠となる学問であり、すべての科学の基本になっている。数学って記号で抽象化したところで躓く人が多い気がするよね。算数という実態のあるモノや平面幾何という目に見える世界から虚数になるととたんについていけなくなる人もいるだろう。でも、この思考の抽象性というのは考える力において大きな意味がある。なので、数学ができない人の思考力ってのは疑ってしまう傾向に自分があるのは確か。社会行動学なんてものよりはずっと数学の方に興味を覚えてしまう。にも関わらず遊びたいことを優先した文系に進学したのがこういう現実を招いているのかしら。上だけが置いてあったけれど、下巻がKindle Unlimitedにあれば読むとしよう。。。
2024.04.15
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失われた日本、所得負担率が最高を更新する日本、生活が厳しくなる日本の元凶は財務省にあることがよく分かる必読の一冊。財務省のドクトリンはいかにして国民から税としてまきあげるのか、そして自分達の地位を保持するか。国債という負債だけを問題にして、資産に目を向けないのは洗脳の何物でもないことが書かれてます。御用学者、御用マスコミ、御用コメンテーターなど日本の支配者層が結託して税金を自分たちのために循環させようとしているが(そう名言はしていないが)その元締めは財務省なのだ。岸田首相もそういう意味では財務層の傀儡でしかないし、民主党が今のように指示されなくなったのは野田が財務省に篭絡されて消費税増税を決めたから。左派は、ザイム真理教とは縁を切って生まれ変わり、国民のための政治をとりもどしてほしい。ザイム真理教の支持政党しかない日本では(共産党はもっと別だからね)投票したい政党がないのは致し方が無いかもしれない(令和だけ別かな)。それでも岸田首相は最悪の一人だし、裏金問題とその対応は国民を全く相手にしていないことがよく分かる。森永卓郎さんがガンで余命いくばくもないとは思いますが、最後まで頑張ってほしい。息子の森永康平さんに期待しています。
2024.04.10
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https://www.amazon.co.jp/%E9%9B%BB%E6%9B%B8%E3%83%90%E3%83%880987-ebook/dp/B093P7PWKL会社の会議で誰かが雑談で話題にしていた。営業の方に対して、SEの方の気持ちが分かるから読んだ方がどうかって話でした。ということで、読んでみました、営業ではないけれど。最初の会社ではプログラミングをしたことがあるし、デバッグのためにコードレビューをしたことがあるので、コンサルと称している中ではSE寄りであるかもしれない。ということで分かる話はたくさんでしたが、あるあるの最たるものであるデスマーチ現場ってのは幸いにして経験がないんですよね。エンジニアとしてもコンサルとしても。その意味では、この本の深い(?)世界までは理解できなかったのかもしれません。確かに、SESの営業している人は読んでおくと、SEの方との雑談が盛り上がるだろうかもね。
2024.04.03
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息子の本棚から借りて読了。確かに、社会人生活を送るうえでいいことがたくさん書いてある。とはいえ、30年以上の仕事人生を考えると、なかなかそうはならないよね、というところも正直あるが、おおよそにおいて心がけるべきことが書いてあった。自分がそれなりにコンサルタントとして活動できていることは、ある程度自分が評価されているとはおもうのだけれど、なるほど、それはこんな中身だったのかと改めて確認したことが多い。とはいえ、これはなかなか難しいことも書いてある。嫌いな人間をつくるなってのは言うは簡単だけど難しい。何より相手が自分に攻撃的になった状態でおいこまれたこともあるし、理不尽な目に実際に合っている人も多いので、世の中にははっきりとした悪人だけでなく、無自覚に攻撃的な側にいると不幸になってしまう人間もいるので、それとは距離を置くしかないと思う。けれど、新入社員が距離を置くことはできないよなぁ。。。
2024.01.11
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吉井理人は、近鉄の仰木監督時代に飲みの席で先発を勝ち取ったことがあるという逸話もあるほどの根っからの昭和野球人だったのだけれど、見事に立派なコートとして実績を残し、現在は監督までしている。およそ新人監督で優勝するのはかなり難しいと思っている中、決して戦力が豊かではないチームで2位に入りクライマックスシリーズの決勝までたどり着いたのだからその手腕を認めている。その吉井が書いた本が平積みされていたので読んでみた。もう、この本で吉井が言っていることにはほぼ賛同しかありませんね。そりゃ結果が出る訳だわ。コーチングという言葉と実際のプロ野球チームのコーチのイメージには大きな乖離があるけれど、それを埋めようとした努力の跡が見える。これだけきちんと考えて行動しているからこそWBCの投手コーチとしても実績を残し、ロッテの監督としても実績を残したのだろう。それにしても思うのは、吉井のキャリアの多様性がよい方向に出ていると思う。近鉄からトレード、そして大リーグからNPB復帰。抑えもやったし、先発もした。いろんなチームを経験した。それらの経験とコーチングに対するきちんとした学習が見事に結びついて、投手コーチ、監督としての吉井の個性になっていることがうかがい知れる。野球ファンなら読んでほしい本やね。----(追記)---吉井は昭和世代の野球選手だけど、見事に令和モデルに自己変革して立派な指導者になった。思えば、中嶋にも、新井にもそれを感じる。岡田はちょっと別の監督像だけれど、ひょっとして最近の監督で一番昭和らしかったのは原ではなかっただろうか。。。
2023.12.20
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マンガは場所を取るので電子書籍で保有することにしている。ほとんどはKindleに寄せているのだけれど、別の媒体でも少し保有している。こちらは、コミックデイズの有料会員でのポイントでコツコツと購入したもの。あらすじは、ニートだった主人公が海外での仕事に就くところから始まる。傭兵として訓練されると思いきや、ゲームでの才能があることから、指揮官としてのシミュレーションを繰り返し、正式に採用される。シミュレーションだと思っていたものが実際の戦争だと分かり驚愕するものの才能を生かして、独自の部隊を立ち上げて少年少女の兵団を指揮して「子供使い」と称されるようになる。とまぁ、あるようで無さそうな話であるけれどもどこかにこんな組織があるかもしれないと思わせる。劇画のリアルに寄りすぎていず、でも昔の漫画チックでもない絵柄が微妙な空想社会観を表しているようで、編集者がコミカライズにあたっていい作者を見つけたものだと思う。こういった戦争マンガを読んで思うのは、突撃をはじめとした物量作戦の愚かさだね。。。
2023.11.29
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週刊ヤングマガジンでの連載が終了、作者はippatu。フランスで先行発表されたらしい。確かに主人公はフランス植民地からの傭兵であって、アフリカ系の北部と中央部が出てくる。舞台は、化学兵器によって廃墟と化した日本。文明が滅び、ニンゲンがいなくなった土地に、人語を話す動物が生息していた。SF近未来アクションという好きなジャンルであり、かつ絵柄が新鮮でもあり、楽しく拝読。ただ単行本を購入するまでではないかな。読み返したいという気持ちまでは沸き起こってこないんだね。もちろん完全な創作というのは世の中になく、どこかでオマージュなりで引っ張っている中で、この作品だけのオリジナリティがある訳だけど、それを愛するところまでは行かない。そこが何故なんだろうという疑問については、ストーリーの進行が自分の期待値とずれていたってことがあって、それ自体はもちろん悪いことではなくて、予定調和が崩される喜びがあってしかるべきものだとは思うけれどそうとは残念ながらならなかった。
2023.10.25
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https://books.rakuten.co.jp/rb/17400070/?variantId=17400070歴史小説でもなく、歴史書でもない徳川家康の解説本。国際日本文化研究センター教授の著者が歴史書をベースにしながらも、通説なども参考にいれながら家康がどういった戦略をもって征夷大将軍の地位を得て、江戸幕府を築くに至ったかを分析している。徳川家康が300年の太平の世を築いたことには間違いがない。その点において日本の歴史上でも偉大な政治家(武家政府)であったのだが、狸親父と揶揄するような調子もあったり、信長や秀吉のようなずば抜けた才能の持ち主であるようには描かれなかったもしている。判官びいきもあるし、現代日本につながる同調圧力の根本が江戸時代の五人組にあると考えている自分にとって、あまり面白くない存在でもあった。だが、この本では、徳川家康が三河の一豪族で、今川義元での人質生活からいかに天下人になるにあたってどのような価値尺度で判断を下してきたのであろうかということが非常に分かりやすく説明されていて、なるほど、と非常に腑に落ちるものであった。三河家臣団という強固な子飼いを大事にするとともに、武田の遺臣を重用することによる内部組織をいかに高めたかという点と合わせて、江戸時代の藩による分権統治の実現という思想が早くから貫かれていたことが、織田と豊臣の大きな違いであり、さらに、信長、秀吉が自分が生きている間がある意味すべてであり、恒久的な平和を熱望した訳ではなかった点が比較論的に記されていることがその中身である。お勧めしますね。。。
2023.08.18
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週刊少年マガジンに連載されていたラブコメが最終回。学校に不登校になった日向さんに星野くんがプリントを届けるところからストーリーが始まる。学校に行きたい気持ちがあるけれどなかなか登校までできない日向さんのじれったい気持ちがほんわかと読者に優しく届くハートフルなストーリー。最近のあざといお風呂回などもなく大きなドラマチックな出来事でもなく、それでもゆっくりと心を通わせていく二人。読後感が幸せになるゆったりしたラブコメがいいね。マガジンには結構なラブコメが連載されているけれど、ハーレムものは読んでないんだよね。
2023.07.26
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経済書籍が続きます。コロナ後に世界中でインフレになりました。一般的にはロシアによるウクライナ侵攻だとされているけれど、果たしてそうなのか。また、中央銀行のインフレ抑制策は正しいのだろうか。という疑問に対して、渦中に中央現行や経済学者どのように考えて、分析、発言していたのかを振り返っている。経済学ってのは、過去の事実から法則(的なもの)を導き出してそれを政策に反映してよりよい経済状態を目指すってものなので、過去の事実とは違う環境などがあった場合に法則が破綻することがある。その意味では、いつでも後追いにしかならなくて、限界がある学問だし、また、その根本を探ると人間の行動心理などに立脚しているので、科学的とはあまり言えない気がする。とはいえ、法則の裏付けとなっている分析には数学が活用されていて、切っても切れない。経済学の入試で数学の試験がないのはどうかしているし、そんな経済学部を卒業したからといって経済学を理解できるようになるとは思わない。脱線してしまった。で、今回のコロナ後のインフレは、供給不足によるものなので、中央銀行の金利主導での需要抑制というのは間接的な対策でしかなく、下手に需要を冷やしてしまうと、供給が冷えていることと相まってスタグフレーション化するリスクがあるんだよね。で、このリスクにつながるかどうかは、物価情報に対する賃金への動きがどうなるかによって変わるんだ。賃金が上がると思い、また、そのような流れであれば、上がったインフレで落ち着いてソフトランディングできるのだけれど、賃金はどうせあがらないとなったら、インフレはそのままで景気が落ち込んで実質賃金がますます下落していくってことになりかねない。日本は20年間賃金が上がっていないのがやばいんだけど、これは市民心理というよりは、企業の新陳代謝で新規事業への労働力のダイナミックな移動ではなく、派遣社員という階級社会をもちこんだ、小泉-竹中の罪が大きいと自分は思っている。ということで、また、小泉-竹中が日本を壊したという思いを大きくしたのだったよ。世界インフレの謎 (講談社現代新書) [ 渡辺 努 ]
2023.07.07
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https://books.rakuten.co.jp/rb/17149491/?variantId=17149491多分9割以上は既知の話だった。大学受験で世界史を選択して、普通にニュースに接していれば知りえることが書いてある。ただ、ところどころに池上彰の考えというか、こういう本を出したり、テレビに出演するというモチベーションの源が感じられたのが良かった。それは正しい教育こそが世界を良くするという哲学であり、大いに共感する。池上彰がいろいろ切り込んでいくというが、教養に裏打ちされた倫理観からして当たり前にできるべきことができていないことがおかしいと純粋に思うんだろう。受け身の方ならともかく、教育をどうすべきかを考えるべき権力側にそういう人がいるのがどうにも許せないというか、なんでそんな人が政治家になってしまうんだろうということに対して何とかしたいという思いがあるんだろう。自分は非力だけど、この池上彰の哲学に基づく活動には賛同します。でもこのシリーズは自分には大分物足りないけど。ただこれを面白く読むべき人がたくさんいるのは事実だし、その層に対してできるだけ図表にしようとしたのは正しいと思いますね。
2023.06.16
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アマチュア、といっても囲碁インストラクターの著者による最新のAI定石の紹介。星によく出てくる三々、二段付け、高い開きへの打ち込みの3点に絞ってAIによる評価と合わせて記載している。分かりやすい簡明定石がきっちりと説明されているので、序盤にやられてしまうことを避ける研究を怠っている者にとってはある意味有難い。昔は定石書の勉強といえば小目であり、その中でも千変万化の大斜がありました。学生の頃に大会で大斜を仕掛けると、相手が簡明定石を選ぶことが多く、地が好きな自分の分かれになることが多く愛用したものです。だからといって勝率には結びつかないものですが。囲碁AIの功績の大きな部分は、厚みに対してきちんと評価していることではないでしょうか。おかげでパッと見ると地が損なように見える定石でもきちんとバランスが取れている評価なことがあります。もっぱら9路盤なので、この本の成果を試す機会はそうそうないですが、何も難しい定石を勉強しなくても大丈夫ということを再確認できたので良かったです。有段者が勝率を上げるには、まずは一にも二にも寄せなんですよねぇ。。。
2023.06.09
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コロナ療養中ということもあり助けになったのがKindleですね。電子書籍を愛用することになってから、物理的な本はあまり買わなくなりました。サイン本や、JoJoの大判や、絶版のものなどが残っていますが。さて、囲碁の本は、Kindle Unlimited で必ず1冊は貸出中にしています。すっかりリアルとはご無沙汰ですし、ネットでも19路とは疎遠になってもっぱら9路盤ですが、本線は19路ですからね。羽根直樹は好きな棋士の一人ですね。無理な手を打つのではなく、自然な手を重ねて勝利につなげるのがいいです。基本的にはポーカーフェースですが、相手が無理筋だろうなぁという反撃をしたときにそう来るんですかって少し驚いた表情があるのですが、そこも人間臭くていいです。基本的に地に辛い棋風なので、地で遅れることがなく、無理をしないのでアマチュアが真似る棋士としておすすめですね。本自体は、高段者向けには物足りないのですが、高段者向けになると頭が痛くなってしまう(真剣に考えないとついていけなかったら、並べないと理解できない)ので、有段者向け程度が読み物として楽しむにはちょうどよいかなと思っております。その意味でこの本はちょうどよいかな、と。あと、羽直さんがどのようにAIに取り組んでいるかに触れられてなるほどなと思いました。。。
2023.05.16
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Kindle Unlimited で全67巻読み放題ってことで、他の本をさておいて優先して読了しました。いやぁ懐かしいなぁ。学生時代に持っていました。古き良き昭和のにおいがしますね。何せ、携帯電話どころかテレビさえもでてきません。どう考えても常軌を逸していると思えないテツなのですが、たまぁにハッとさせられる本質をつかれます。正直に生きることが難しい世の中で自分に最大に正直に生きているテツにみんな憧れますよね。どこまで持っていたのか、どこからが初めて読んだ話なのかが分かりませんでしたが20巻くらいまでははっきりと覚えていましたね。その先があやふやなのは、高校のツレに貸したままになっている(借りパクされたのかしら)ので読み返していないからだから。連載が、高校生と浪人から大学生になって上京してからも続いていたのだけれど、少なくとも東京になってからは読んでないと思う。アニメも面白かった。テツの西川のりおが決してうまくはなかったけれど、だみ声はイメージに合っていたと思う。それよりも、チエ役の中山千夏はすばらしかったなぁ。さすがに67巻ともなるとマンネリっぽくなっているのではあるが、最後まで面白く読み進められました。小学館漫画賞受賞も納得の名作であります。
2023.05.07
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Kindle Unlimited でちょこちょこ囲碁の本を読んでいます。基本的なことであっても完全に理解できているか確認することで、基礎的な棋力の衰えを防止できるかなと思っていたりします。三村さんは、結構好きな棋士の一人ですね。アマチュアが参考にするうえで厚み派の棋士がよいように思います。早碁が強くなることの一つに形に明るいということがありますが、結果としての形が分かっていても数手の手順においてそこに導けるかどうかの道筋をしっかりと相手の手を予測することが読みの基本ですよね。攻め合いや、死活というのももちろん攻め合いではありますけれど、この石の形がまずは初段までは優先ではないでしょうか。もちろん、私にとってはこの本は易しすぎる、という評価ですよ。
2023.04.27
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この本は先日のコンサートでサイン入りをゲットしました。NHKの雑誌に連載されたエッセイを加筆してまとめたもの。エッセイのテーマは「みんなのうた」。誰もが一度は聞いた歌がたくさんある名曲の宝庫です。谷山浩子は9曲を提供していて7曲を自分で歌っていて2曲は別の方が歌っています。テーマがみんなのうたなのですが、3曲が取り上げられただけで他は音楽にまつわるいろいろであります。この本の感想も何も頭に残ったワードが一つ「メルヘンババァ」。決してファンタジーではなくて、一見かわいい世界だけど実話怖いグリム童話のような世界が谷山浩子ワールドとしてはやっぱりメルヘンなのではないでしょうか。自分の好きな曲は、「学びの雨」「約束」「穀物の雨がふる」なのでそこまでメルヘン推しではないのですが(雨が2曲入っているなぁ)全体を通してやはり谷山浩子らしさがあるんですよね。本を読んだ勢いでYouTubeで鶴瓶に乾杯の動画を見てしまいましたが、若い浩子さん素敵ですよね。
2023.04.21
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コミックDaysにて読了。第1部は満喫で読んでて、第2部が出ていたのは知っていたけれど読み切っていなかったのでありがたかった。とある大学のおたく(アニメ・漫画)サークルの群像劇。男子のおたくばっかりのサークルにイケメンおたくとその彼女が入り、さらにコスプレ女子、漫画作家になる女子など多様な人物が織りなす。残念ながらセリフの元ネタに対する知識が弱いので完全に読み解けてはいないけれど、十分に楽しく読めましたね。
2023.02.08
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フリーから会社に所属になったが、ファーストアサインが1月開始ということもあり、自習をする中でピックアップした1冊。2014年に刊行された本なので古いっちゃ古いんだけど、自分のもっと古いERPのみのSAP像を打ち砕くものでありました。日本に進出した時に、少し担当したこともあり、そのアプリケーションの精神、データ配置図にいたく感動したことを思い出しました。にしてもSAPって結構たくさん買収してるね。。。
2021.12.15
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お笑い芸人である阿佐ヶ谷姉妹によるエッセイ集と短編小説。中島みゆきの「糸」が示す、会うべき人に巡り合うことを幸せ、を体現している二人と思えた。会うべき人が異性であり、年の差が許容範囲で結婚という形をとることが典型的な幸せと思われるかもしれないが、実際には多様な巡りあわせがあるのだろう。師弟であることもあるだろうし、好敵手であることもあるだろう。で、この二人はコンビの相方ってことになる。が、コンビがありきではなくて、友人関係がありきでコンビになっているのだ。行きつけの飲食店の店主が命名した阿佐ヶ谷姉妹として余興として由紀さおり安田祥子のトルコ行進曲をうたうところから芸歴がスタートしている。思えば、ビジネス相方ではなくて、ノンスタイルやタカアンドトシのような強固な信頼関係に裏打ちされている漫才が俺は好きなんだというのも再確認した。こちらも幸せな気持ちになるし、自分が巡り合ったかどうか、子供たちは巡り合えるのかどうかなんてことを考える。もちろん自分は巡り合ったと思ってるし、娘もそうだと信じている。次は息子だな。。。
2021.12.14
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吉野源三郎、羽賀翔一息子に買いました。で、自分も読みました。自分が抱いている思いと合致するものでした。この本に描かれている人間社会に強く賛同します。当たり前が書いてあるなぁ、という感想の人がほとんどである(と信じている)。それを確認するためだけでも読んでほしい一冊だし、中高生には特に勧めたい。一人ひとり生きているだけで社会生活の中で役目をはたしていて、それは仕事をしていなくても家族を通じて、あるいはコミュニティを通して社会に貢献している。一方的に介護を受けている人であってもそれは相互に影響していて介護をする人の人生につながっている。市井の人の生活の中にこそ幸せがあり、国家はそれを守るための手段だ。国家のために国民がある、なんとことはあってはならない。収入の多寡や仕事の種類、生まれ持った性質などで差別されてはならない。それは、みんなが社会の一ンなのだから。ネオリベラリズムやグローバリズムはくそったれだよ。きっと、自民党や維新の人にはわからないんだろう。昔の戦後自民党はそうじゃなかったはず。戦争の間違いを正そうとしたはず。中曽根から変わって、小泉が加速して、安部がとどめを刺したと思っている。この本をあほらしいと嘲笑するような人からは距離をとって暮らしたいよ。
2021.09.30
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ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 著スマホで講談社のコミックDAYSを始めてからというもの配信される漫画を読むのに追われてしまって、紙の本の購読がおざなりになってしまっていることは否めない。この本は少なくとも教養を必要とする職業の方には必読としてお勧めする。いかに、人間がステレオタイプの考えに染まっているのかを痛感させられるし、知識のアップデートが必要であることを思い知らされる。この本を読んだことなしに経営だとか人事とかマーケティングとかの専門家でございますっていうのは恥ずかしくなってしまうよ。データがすべてではないが、データを正しく読み取ることを通して現代のありのままの姿をできるだけ正しく捉えようとすることは本当に難しい。自身の専門領域で一般に対して優位にたっているからといって他の領域では素人にすぎないことを思い知らされてしまう。何もすべてを知らなければならないということはないけれど、少なくとも専門外の領域に対してはもっと素直にならなければならない。日本の政治家はどれくらいこの本を読んでいるんだろうか。今の政府のやり口を見ているととても読んでいるとはいえませんよね。。。
2020.05.10
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Yahoo の無料で頑張って読破する。漫画喫茶って時間でコストがかかるから漫画に集中するのだけれど、これも時間制限があるので集中せざるを得ない。何せ60巻もあるし。おかげで家庭不和になってしまうよ。三国志っていっても正史ではなくて、演戯の方であり、原作は明記されていないけれど、吉川英治がベースにあるようだ。とはいっても漫画化するにあたってのアレンジもある。久しぶりに読んだのだけれど(少なくと数回は読了している。赤壁の前までは10回以上かな)赤壁が第30巻の半分くらいなのはある意味衝撃的。それ以降の印象が薄いんだよね。というのも、これ以降は、主人公の劉備、関羽、張飛に衰えが目立つし。ドラマにするんだったらここまでにしておくかなって感じ。それでもこれを読んでるおかげで、コーエイの三国志がより楽しめる訳だ。っていうか、これ読んでなくて三国志やってる方が珍しいのかしら。。。
2019.03.24
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ちゃんと完結したお話しだけをこのカテゴリーで書いていたんだけれど、漫画ってなかなか連載が終わらない。ということで、気になった連載も書いていくことにする。理科は嫌いではなかったはずなんだけれど、物理で気を抜いて何をやっているか全く理解できなくなったことと、化学の化学式ってのが馴染めなくて文系になってしまったが、生物は得意科目でした。体の中の細胞の働きを擬人化して、体の調整機能や役割を書いているんだけど、ためになる学習漫画以上には面白い。こうやって好きで読んだことの方が勉強よりも忘れないんだよね。三国志よりも試験に使えそうだな。。。
2018.12.09
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知的いきかた文庫。自分が受けた歴史教育と現代の子供たちが受けている歴史教育が異なるってエピソードがコラム形式で紹介されている。ええっ、そうだったんだ、って内容は残念ながらありませんでした。子供がいるからってのもあるけれど、普通に新聞読んでたら知ってたことが多かった気もする。ひまつぶしにゲームするよりはいいかな程度。。。
2018.08.26
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中公新書。親書で知識を得たいって時々思うよね。世界史は、大きな時代の流れで大きな事象を拾っていく勉強だったので、ドイツという国にポイントを当ててみたときにそれがよくわかっていない。プロイセンとして近世に戦争として出てきて、ビスマルクで統一ドイツ、そしてヒットラーの第3帝国ってなるのだけど、第一って何。第二って何。ドイツ的って確かにあるけれど、汎ゲルマン的とはどう違うの。現代のドイツ人のアイデンティティーはどこいらにあるのってのはよくわかっていない。まぁ、読んで分かったような気がしてもよくわかっていない。比較文化的に思うのは、諸侯が乱立していて近世に帝国主義として統一されたってところが日本の幕藩時代に藩として独立していたものが近代明治の中央集権ってところに似ているようにも思う。けれど、ドイツ的の源流にある神聖ローマ帝国からキリスト教の保護者たる意識とその宗教性からのアジールという難民を受け入れるという地域の独立性というもののレベルは日本の地方とは大きく違う。現代の難民に対するEUの中でなぜみんなドイツに行きたがるかは、ドイツが最大の経済大国という訳だけではないってことが少しだけ分かった気がします。。。
2018.08.26
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水木しげるといえば鬼太郎だけど、本人の従軍を描いたモノは目を通さなあかん迫力がある。 太平洋戦争がアメリカが参戦するように仕向けた面があったとしても 家族のために命を散らした若者たちが貴かったとしても 戦争の大罪は大きく日本全体で背負うべきものだと思うんだな。まぁ、それはともかくその水木しげるがヒットラーをどう描くかってのは興味があるよね。物語というよりも伝記を忠実に劇画化したような感じではあるが、そこに描かれているのはヒットラー自身に必然があったのではなく、その時のドイツの大衆が求める像を演じて投影先にうまくはまった偶然を強く感じた。はかなくも偶然と空気によって大きく変わる歴史というものの危うさを思わずにはいられないね。。。
2018.08.23
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コマ大数学科の副読本。テレビ番組終わったなぁ。よく見ていたのに。さすがに、毎回真剣には解きはしなかったけれど、あたりをつけることはやったし、時にはきちんと計算までしていた。そして、たまには、回答者よりも早く美しく解けたこともあった。ヨメはよくそんなものやろうとする、というか、見る気がするなぁと云っていたけれど。基本的に、論理的に考えること自体が好きな行為なんだよね。逆に言えば、どうしても論理的でないことには、納得がいかないんだよね。だから、絶対に体育会系の職場は無理だと思うんだよねぇ。体を動かすのは好きだけど、部活での体育会系体質がいやな人多いよね。息子も部活はしないけれど、仲間とは毎日バスケするみたいだし。遺伝の力は強いなぁ。でも、数学好きは全然!!遺伝していないみたいだけど。(爆)
2015.05.28
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気の利いたジョークは、国際的な出会いの場や会食時には大きな力となる。いいジョークは、その場を和ませるだけでなく、その人の評価を高めることも出来る。ただし、使い方を間違ってしまうと、人種差別主義者の烙印を押され人間としての評価を下げる可能性もある。日本人の輪の中ではともかく、海外の国籍の人に応じたジョークを持っていることができればいい武器になる。それが難しいのであれば、自分の国をネタにして自虐的だけどクールなネタを仕込むことが出来ればそれもまたよしだろう。で、この本では、海外で日本人を題材というか、オチに使ったジョークがいくつか紹介されている。こういったジョークを通じてが、ある意味日本人に対しての心の距離をうまく表している気がする。この作者は、欧米の経験や場所でのジョーク紹介が多いので、アジアでは日本がどのように扱われているか気になるよね。特に中韓ではどうなんだろうかと。。。
2015.05.25
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ヨメが飛行機での時間つぶし用に買った本。五稜郭から函館新撰組をネタにしているんだけど、正直その部分は興味がないからよくわからん。ただ、榎本武明が、江戸を戦場にしないために、函館に落ち延びて旧幕臣を集めて、結局は降伏することまでシナリオだったって説は初耳だったので、なるほど、そういう謀略説は楽しいとは思ったが。それよりも気になるのは、IT企業が、新天地でビジネスを順調に拡大するところの経済的なストーリーがもう1つ腑におちないというか、現実味が急に薄くなっているところだよね。作者のきっと得意分野でなく、自分が分かるところだから気になるんだろうけど。全体の出来としては、暇つぶし程度ってのがちょうどですな。。。
2015.05.24
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嘘だらけシリーズの1冊ですが、他のシリーズは読んだことがない。どうやら、戦前の日本は列強の1つで誇るべき国であったことを他の国との相対性の中から言いたいってことは分かる。でも戦前の日本が列強だったってことと、幸せな誇るべき国だったかってことは別なんだと思う。皇軍として、戦争していたことがその全てを表していて十分だと思う。まぁ、すべての王政、貴族政を否定する立場だからなんだけどね。こういうとすぐにアカ呼ばわりされるけど、共産主義や、人民民主主義が一部の支配階層での国造りになっていることを肯定している訳ではないから。まぁ、そんなことはさておき、この本の主眼はロシアをどう見るかってことであり、そこで感じるのは、明治維新の前からの日本における仮想敵国はロシアだってことなんだよね。南下政策で有名なロシアは、当然のことながら周辺国家といざこざを起こすところがあって、西はトルコ、中央アジア、そして日本と親ロシアの国ってのは本当にないよね。一部の宗教と民族を共有する東欧ぐらいでしょ。でも、東欧も本当のところは、厄介と思っているんだろうが。それにしてもロシアからソ連を経てロシアになっているけれど、ロシアの根本は変わっていないことがよく分かる。確かに日本も見習うところはあるかもしれないけれど、見習うときっと周りから嫌われちゃうかもね。
2015.05.22
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ルポライターが実際にタクシー運転手として勤務して、その実態を報告する。変なお客や、サービス業としてはあまりにも低レベルな運転手たちといったルポと、タクシー業界全体に対する分析の大きく2つの内容が記されている。運転手のレベルとしては、ベビーカーのお客様に対して、運転席から出もしないでトランクを開けるだけしかしない、ということと客待ちに関するマナーの悪さが際立っている。現代において、立ちションで異臭がすることで名指しされる層がいるのはタクシー業界だけといってもいいのではないか。これに対しては、単なる注意ではなく業界全体として、必罰の姿勢で臨むことを提言している。実際に罰則が機能した例として、銀座におけるタクシー乗車箇所の固定化をあげている。路上禁煙を全く守らないことと合わせて早急に対策を打つことで何の問題もないといえるだろう。それよりも経済的に大きな関心を呼んでいるのは、タクシー特措法についてである。これは、競争激化区域におけるタクシーの過当競争を避けるために、減車を推進することである。これについて、自由主義経済からの観点から時代に逆行する政策であり、消費者に対してしわ寄せを及ぼし兼ねないという点が指摘されている。基本的にはこの論に組するものだけれど、実際のタクシー運転手の境遇や、消費者サービスを考えた場合に、何の改善策も打ち出さないことは問題だと考える。タクシー売上を考えた場合に、売上総額が一定として、運転手の所得を増やすにはタクシーの減車をするしかない、というのは短絡的ではないか。元々自由化を行った背景には、売上総額の向上が業界競争の激化によってもたらされるはずという狙いがあったはずなのだ。この点が1つと、もう1つは労働者と経営者の労使関係として現在の歩合給というシステムの不合理性について、考えるべきではないか。タクシーにおいて各社や各ドライバーに対するサービスレベルの差と売上の差が直結しないのは、タクシーを使う側の評価と使う機会が対応していないからだ。ホテルであれば、リッチ、サービス、価格を元に利用者が明示的にホテルを選別する。だが、流しのタクシーを拾う場合に、その選別性は有効に働くのか。また、タクシー乗り場でその選別性は有効といえるのだろうか。ここで、選別性が有効でないという考えに立てば、利用者に選択の余地がないことになり、鉄道やバスと同様の地域(極めて小規模)独占、あるいは寡占という形態とし、許認可の権限を高めて、利用者と事業者のバランスを取るという、いかにも官僚的な解決策になる。この選別性を取り入れる仕組みは、実は海外ではもたらされている。そうUberである。既得権益者としてのタクシー業者を守る意味で、日本ではUberによる個人事業者の営業運転は規制されている。しかし、2種免許を持ち、地理試験に合格した個人が、包括的な保険とともに営業する道筋を設けることは十分に考慮すべきではないか。この本には、無線営業の強さによるタクシー運転手の待遇さが語られていたが、これを会社レベルではなく、個人レベルに還元することがITの価値ではないのか。もう1つは、歩合制による労使関係である。ある意味、どんなにタクシー運転手の支払給与が少なく、生活に支障をきたすものであっても、タクシー会社は最低限の黒字が保証されるような仕組みになっており、どう考えてもリスクが公平ではない。さらに大阪では、リース契約方式という形態があり、より会社のリスクが限定されている仕組みも幅をきかせている。あまりにも最低限の給与が保証されていない、拘束時間が長い勤務形態にメスを入れることが労働管理の役所の任務ではないのか。日本の完了の会社を管理しようという規制ありきのガバナンスではなく、会社間の自由競争を優先しながら、消費者と労働者の権利をいかに守るかというガバナンスが高度な自由民主主義社会ではないのか。などと考えた一冊でした。
2015.05.12
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佐藤優といえば、田中真紀子と鈴木宗男の戦いの余波で外務省を辞めざるを得なくなった人ではあるが、数々のラジオ番組を通じてなかなか面白い、そしてきちんとした教養がある人ではないかと思っていた。インターネットの時代になって、知識はすぐに得られるけれども、教養となるまで自分の中で醸成できることが逆に大きな価値になっていると思う。この教養が足りない人が、上っ面の情報に流されたりする。グローバルに組み合わさった世の中で、単純に隣国をあげへつらったりすることや排斥的な風潮に陥ることは、理論的に証明するものではなく、直感的におかしいと思うものだけれど、これは教養に根差すのもだと考える。この教養の基礎として学ぶべきものが、歴史である。その歴史の重要性についてアナロジーという観点から論を展開しているのが本書であり、まさに、その点において我が意を得たり、なのだ。そして、この本の最大のポイントは、アナロジーの観点から現代を読み解くことにあり、そこに大きな価値がある。さらに、現代日本において、有るべき姿の共有に対するインテリジェンスの努力不足という指摘も価値があるものとするのだ。ただし、このあるべき姿において、文明世界の発展や、共産主義的イデオロギーという一時代を築いたものほどに広まっているだけのものがなく、そこに大きな消失を抱えているところが問題点の深さを示している。自分も、明確に論理立てされた回答を見出すには至っておらず、せいぜい個別の問題に対して自分なりの教養と倫理観において、責任を持って感想を述べるだけの意思がある程度なのだ。逆にいえば、一つの思想に凝り固まっていないともいえ、この状態に満足している自分もいる。ここを突きつめたくてしょうがないのであれば、それなりの論客になっているのかもしれない。その他で、面白かったところは、現代の各国の状況分析における、イギリスとアメリカの特性に言及しているところであった。イギリスの目に見えないものに対する共有感と、アメリカにおける欧州では失意に終わった文明への信頼感に対して、新たな知識を得られたことを幸福に思う。受験として世界史をするのであれば、その前にこの本を読むことはきっと立体的な勉強につながるものとして、推薦するのだ。
2015.05.12
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ホームレスに転落した男が頭蓋骨に穴をあけるトレパネーションという手術を受けてその人の本質が投影された映像を見ることになる。自分にある劣等感を払しょくするために行った整形手術によって過去の自分を封印したように見えたのだが、そのストレスには耐えきれない。割り切って生きていることを軽薄と思い、自分だけが違う、自分にだけある何かを探すってのは青春の一ページだけど、それをうまく抜け出せない人ってのは絶対数としてかなりいるんだろうなぁ。ホームレスが下ばかりを見て歩いている理由ってのが、一番ひっかかっています。。。
2014.07.19
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昔、スローカーブをもう一球というノンフィクションを楽しんだ作家のフィクション。まぁ、ラグビーの愛情を感じる本。
2011.08.24
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山本一力の江戸小説の魅力は、筋がきっちりと落としまえがつけられるところだよね。町民の中には、そういう文化としくみがあった。無法者には無法者の、そして無法者が庶民をいたづらに傷つけないための。江戸の町民はほとんどが職人の町。この職人気質ってのがサラリーマンでなくなってしまったのはさびしい限り。この小説も職人気質を楽しめるものであります。日常を脱する喜びが確かにそこにあるんだよね。。。
2011.07.08
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週刊文春に連載している軽妙なユーモアが特徴のエッセイ。で、図書館で目についたので借りたのですが、これはいい本だわ。哲学の形而上学と言語ゲームの2大理論がわかりやすい。哲学って人間を人間たらしめている大きな要素だと思うので、読んで損はない一冊といえるでしょう。。。
2011.06.23
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連合艦隊司令長官 山本五十六の大罪―亡国の帝国海軍と太平洋戦争の真像が正式なタイトル。いやぁ、第2次大戦、というか太平洋戦争もので一番の衝撃です。全部が事実かどうかを検証した訳ではありませんが、説得力があります。自分がいかに、海軍の情報操作に騙されていたかって気がいたします。戦前の日本が、天皇を神格化しているってのと226事件がどうもピンときていなかったのですが、これを読んですっきりとしました。とても一言では言い表せないのですが、この本に書かれている内容が、どうして戦後日本の共通認識になっていないかが不思議です。これは、好きか嫌いかは別にして、読むべき本だと確信しています。。。
2011.06.07
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あほうのほうと名付けられた子供。不幸な身の上できちんとした教育が受けられなかったために学がない。でも、必死に誠実に生きていく。そしてそんな子供をいとおしむことが人間が生まれ持った愛であるってことが一番感じたところだね。人間の心が生み出したものが妖怪であり、地獄であり、天国であるってのがワシの考えで唯物論者といわれればそうかもしれない。人間という社会をどう生きるかにおいて必要なものはそれは哲学だと思う。宗教ではない。でも哲学を持てない人、持とうとしない人にとって宗教は救いなんだろう。ある面では。でも、宗教の名のもとに人に死をしいることがあればそれは間違っているんだなと思う。日本において、お上というのはある意味宗教なんだろうけれど、その宗教としての神通力の化けの皮がはがれたのが第二次世界大戦であるのにそのほころびをなんとか守ろうとしているのが、同じ穴のムジナといわれてしかたのないマスコミと政治家と官僚だってのがワシの思いだよ。まぁ、それはともかく。で、この本は、人間の心が作り出した闇こそが魔物だってことをよーく理解させてくれるんだな。。。
2011.04.28
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毎日地震の話ばかりだと気がめいるね。で、最近読んだ本は、山本一力の江戸時代小説。安心感のある読み応え。そして、ハッピーエンド。安政の大地震という悲劇が織り込まれてはいるが、そこに筆致がついやされている訳ではない。それにしても自分でできる努力をした人が生き残る可能性が高くなるってのは真実だね。その境界線が日ごろは目につかないだけかもしれないけれど、その線はいつ現実になるかもしれない。その準備はしっかりとしとくことに越したことはないでしょう。って、やっぱり地震の話になっちゃったよ。。。
2011.03.22
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続編の日暮らしを読んでからだったので、この登場人物が次はこうなるのかと思って読むとよりその人たちが立体的に見えて、それはそれで面白かったかな。一応、推理もの仕立てになってはいるのだけれど、続編を知っているから、結末は実は知っていた訳で、それによって興がそがれるってことはあまりなかった。ワシ自身が、平和な江戸庶民モノを読みたいっていう気持ちがあったからそれでちょうどよかったのかもしれない。江戸時代ってのは、鎖国の影響で文化が洗練された時代だったともいえる。文化とはある意味グローバルスタンダードの対局だからね。たとえば庶民が使える色ってのは制限されていて、これは、平安時代からだけど、そのおかげで、庶民に許されたネズミ色ってのは、日本語の表現だと本当に多種多様なものが存在し、その許された範囲の中で知恵と工夫をするから洗練された意味がある。自由っていうのは案外難しいものだからね。仕事でも好きにしていいよっていうことほど困ることはないでしょ。楽にしたい人にとっては。そういった意味でもこのほどほどにしたいけれど、でも、最低限の役目はきちんとするっていう同心があこがれの存在になっていることがこの小説の魅力の一つだね。。。
2011.02.23
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人情江戸小説。出世作のあかね空に通じる真っ当な庶民が頑張って生きていくってお話し。ホームドラマが好きな人にはいいんじゃないの。結構大変な不幸が山のようにやってくるのに、そんなに悲しさが出てこないのは、悲惨さに目を向けているのではなく、その中から立ち上がろう、何とかしようという風に描いているからだと思う。ワシ、そういうところが結構好きだったりします。。。
2011.02.03
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息子を塾に入れている間に漫画喫茶へ。で、今回読んだのは車田正美の「リングにかけろ2」。いやぁ、荒唐無稽といっていい必殺技のオンパレードだけど、漫画ってこういうのもいいよねぇ。こういうのこそ漫画で表現すべきジャンルな気がするよ。。。
2011.01.23
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楽しみにしていた下巻。2日に分けて読み切りました。謎解きもいいけれど、お人よしがいっぱいでてくるところがかわいいなぁ。彦一とかお六とかお徳とか。確かに殺人事件があったけれど、後味がそれほど悪くないのは、いいよねぇ。江戸時代の細かな描写は山本一力には負ける気がするけれど、面白さの質が違うよね。あっちは落語的な語りを感じるのに対して、こちらはあくまでも現代劇的で、そうテレビで時代劇を見ているような感じなんだよなぁ。その分、親しみ安いともいえるのだけれどね。。。
2011.01.18
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宮部みゆきを読むのは初めてかもしれない。でも、読まず嫌いだったのかも。まぁ、ワシが人情時代劇が好きなのにこれははまってるよ。悔しいのはこれが続編だったってこと。上巻を読んで、このまま下巻に突入するのか、それとも前作を読むか少し迷っております。最初は、登場人物が微妙に重なる連作で、そのオムニバス性が心地よかったのだけれど、最後のものが次につながっていて途中で終わるとは、これは下巻を読まずにはいれませんよ。何より登場人物がいいけれど、ワシのお気に入りは煮売り屋のお徳さんだね。。。
2010.12.22
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ロシアの公開された文書を韓国で翻訳したものを元に日本語訳したもの。朝鮮戦争に対して、どのような経緯で戦争に突入し、そして休戦に至ったかを金日成、毛沢東、スターリン他の電報などを通して振り返っている。いやぁ。歴史がどうやって展開しているかを知る上で貴重な本だったなぁ。この本を読んだことがある人とない人(もちろんこの本でなくても同様の事実を知っているのであればいいが)では朝鮮戦争に対する認識が違ってくることは間違いないんじゃないかな。このころの北朝鮮、中国、ソ連、韓国と現代を比べると、どれだけの時間が流れて、そして流れていないような国があるかと思うと時ってのは大切だと思うよ。それにしても中国の指導者も北朝鮮の指導者も人民の命が軽いってことでは共通していてそれは現代にもつながっている気がする。社会主義という制度の社会正義と国の権力が結びつくことの恐ろしさを思わずにはいられない。だから、どんなに気をつければいいとしても共産圏には行きたくないって思うんだよね。。。
2010.12.08
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久しぶりの山本一力。図書館自体が久しぶりだったのだ。どうも読書って習慣は、途切れるとなかなか復活しないね。読みだすと止まらないことも多いけれど。それにしても江戸時代ってのは、日本人の身近なファンタジーですなぁ。江戸の粋がそこかしこにあるのがいい。そして関西にはラテンがあるのがいい。この両極端の文化が両立しているのが日本の良さだと思うよ。その意味で、関西出身で東京で暮らすってのは最高の環境なのかも。逆は最悪だな。で、この本もその粋を表現する主人公ってのが、証文を買い取り、追い立てをするのを生業なのだけれど、そこには筋ってもんがある。それにしてもなんにでもプロってのがいて、そのプライドが相互に生きていたんだな。この相手を尊重する、プロの立場を尊重するってのが、詐欺でないがしろにされるってのが現代の寂しさだね。。。
2010.12.02
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中国歴史小説ででお楽しみの宮城谷昌光の現代小説。アサヒカメラに連載されていた作品で、主人公は大学入学とともに地方に行くのだが、その時に親から渡されたカメラ。このカメラが大学生活を彩っていく。カメラって家族の記録に撮るけれど、作品のようには撮らない。だって露出だとか絞りとかわからないもの。でも写真には、生の目では決して捉えることのできない真実を写すことがあり、それは写真の技術もさることながら、その対象に人がどう対面しているかが大事なんだなっていうメッセージを感じました。そう、被写体と会話するんだよね。この言葉じゃない会話ってコミュニケーションにおける幸せな状態じゃないのかな。ワシ、写真は無理だけど、囲碁だと少しは会話ができるよ。麻雀はほんの少しかな。で、この会話は当然相手がいて成立するので、会話が成立しないレベルのゲームでは、そのゲームの本当の面白さは実感できていないと思うんだよね。その意味で、いくら上質なゲームがコンピュータ相手にできたとしてもこの一線はなかなか超えられないんだろうなぁ。これがAIとして超えられるのは、本当にSFだな。って、写真の話なのに、SFになっちゃったい。。。
2010.04.08
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この作者はスポーツ関係のノンフィクションを読んだことがある。でもこれは時代劇もの。どうなんだろうと思ったが、軽くて読みやすいね。旗本で隠居した主人公がおせっかいを出して事件を解決していく。お金に困らずに悠々自適で、食事とかは通いの女中がいてって、これ、理想の老後だよね。頼りにされていて、生活には困らず、好きにできて、しかも権力の後ろ盾(弟が婿養子に行って出世している)があって。ということで、浮世のしがらみを忘れたいときにはおすすめであります。。。
2010.03.15
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