つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2007.10.11
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カテゴリ: 教育・思想・哲学
文は人なり、といいます。またリンカーンは男は四十過ぎたら自分の顔に責任を持たなければならない、といいました。そういう意味で、この永井さんという方は、文章も写真も立派なものです。人柄がにじみ出ています。歴代の文部大臣の中でも五指に入る方でしょう。

前半の「世界の人々と対話する」は、昭和63年の本であり、データが古くなっていささか時代遅れの感はありますが、それでも見識は立派なものです。しかし何といっても現代に通じるのは、後半の「茶の間で世界を考える」でしょう。教育学の専門家として、永井道雄氏の筆は冴えに冴えています。

たとえば『日本人の仲間意識』は文化人類学者の書物でした。そこにはヨコ社会としての仲間の長所はいろいろ書いてありましたが、「仲間」内のいじめの問題についてはあまり紙数を割いていなかったように思います。しかし永井氏は仲間内の 「内攻的暴力性」 こそ問題だと説きます。

単身赴任は家庭の責任の放棄ではなく、住宅問題と教育問題を抱える日本社会ゆえの父親の家庭サービスという逆説的な命題を抱えている、とも。もっともそれゆえにアメリカの転校問題とは別に、母子密着問題が生じていることもまた認めておられます。

また、もう20年近く前の話ですが、女性の職業教育のメッカとして文化服装学院という存在があったことも、この本を通してはじめて知りました。

このたび再読して、日本社会の少子高齢化は、このころから識者の間で問題になっていたのだということを再認識しました。

不幸なことに、この本が刊行された直後から、日本の「失われた10年」が始まるのですけれども。

処分本NO.138。






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Last updated  2007.10.11 12:48:16
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