つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2007.11.14
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カテゴリ: 洋画(欧米系)
イラク戦争の影響でしょうが、地上波で『ランボー 怒りの脱出』が再放送されるというので、やはり昔地上波で観た『ランボー』を久方ぶりに鑑賞しました。

<ランボー>という名前が反抗の詩人アルチュール・ランボーから採られたのかどうかは知りませんけれども、ベトナム戦争の帰還兵という設定にはぴったりの選択だったと思います。

この映画に出てくるのはほとんど 白人の男性 です。唯一、まともな台詞のある女優として登場するのがランボーの戦友の母親。物語の冒頭で、 黒人で女性というマイノリティの役どころをしっかり演じていて印象的でした。

そういえば、日本にも<ランボー>がいたんですよね。 小野田寛雄さん。 といっても若い人は知らないかもしれませんが。ついでに こんな詩 を思い出しました。もちろん「愛国者」という言葉が誰よりも嫌いだった鮎川さんはそんなつもりで書いたのではないでしょうが、不具はこれを読むたびにランボーの立場から鑑賞してしまうのです。おそらくは小野田さんも同じ思いで日本を去ったのではないでしょうか…。



鮎川 信夫

やあ しばらく
もう忘れたと思っていたよ

二十年か
そんな遠くを見るような眼つきで
おれを見るな さあ握手
生きているにしちゃ 冷たい手だね

おぼえてるだろ
ジョホールの血の海峡 ブキテマの焦げた丘
きこえるだろ
破壊につぐ破壊のこだま 断末魔の軍港にとどろく火砲のうた

小首をかしげ そしらぬふりをするな
鍵穴や本のあいだにしこたま隠しこんでいる狐め
過去でしか会うことのないおれたちだ 何の秘密もあるものか

命令一下たちまち整列し 黒い銃剣の林をつらね
敵にむかい黙々と出撃し 一夜あければ骨となる
あのきびしさはどこへ行ったか
祖国の栄光と同胞の愛を信じて地平線になだれていった
あの純粋の化身はどこへ失せたか

おまえは今朝も蛇口のまえで
緑いろの歯ミガキにすこし血のまじった唾を吐いた
薄いネクタイでうやうやしく喉頚をしめ
寝床のぬくもりでほてった身体を 詰まった路面電車に積みこんで
いやいや働きにいった ちいさきもののために
ちいさな賃金を得なけりゃならない あすもあさっても

答えられるものなら答えてくれ
真白な花婿の胸をした戦友よ
おれたちがどんなに大きく敗れ おまえたちがどんなに小さく勝利したか
敵からどんな施しを受け どんな賠償を支払ったか
目や耳や手足をなくした不幸な犠牲者に何をしてやったか

なあ戦友 なぜ黙っている
まっすぐこちらを見ながらおまえは何も見ていない
すべての秩序が目の高さにあればいいといった
安全への愛 怠惰への退却
妥協の無限の可能性をたよりに
それがおまえの獲得した一切なのか

あさましい利害関係のなかでたたかいながら
口真似のうまいおまえの仲間は
たぶん時代がわるいんだろうと異口同音に歌う
さびしい酒場の女たちを相手に
水が酒に 欲望がもっとたくさんの浪費にならないとこぼしている

大木の幹にかくれて
胡麻的な頭と頭をくっつけて寝ているなつかしいきょうだいたち
眠りのなかで繁殖し
眠りながら腹をこやす王国を夢みているうれしいはらからたち

嵐は数えることをしないが
運命は一瞬の光でおまえたちを数える
待ちどおしいぞ 世界の終りが

さらばだ 戦友
おれたちが本当に別れるのはこれがはじめてだが ユダの接吻はいらない

あばよ











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Last updated  2007.11.20 17:59:06
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