つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2023.07.15
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カテゴリ: 洋画(欧米系)
『アルプスの少女ハイジ』のおおらかさや自然の美しさなどとは縁のない大人のための寓話映画。舞台はスイス。ヒールはスイスの大統領。最高権力者の彼は大手チーズ製造会社の社長でもある。スイス人に欠かせないチーズにある加工をすることで、国民をコントロールしようとしている。まるで手塚治虫の『時計仕掛けのりんご』のような話だ、と言えばすぐに通じる人もいるだろう。

風刺の対象になってゐるのは全体主義。これは、電話の形態からしてナチスとかソ連とか、20世紀型のファシズムへの批判のようにも見える。だが、国民の健康よりも会社の利益の方が大事という発想は今世紀に至っても根絶したとは言えないだろう。製品の画一化、国家による統制、ポピュリズム、衆愚、軍国主義、健康問題等、ブラックジョークの対象になっているのはまだまだある。

ブラックと言えばペーターが黒人なのには驚いた。彼は国家統制のチーズに対して本物のヤギのチーズを闇で売る売人だが、見せしめのために公開処刑されてしまう。正しいことをしている者がブラックというのは何たるジョークだろうか。

ハイジのおじいさんは丹下段平のように片目を眼帯にしている。山小屋を燃されて焼死したはずが、不死鳥のように蘇り、死んだペーターのおじいさんたちとともに国家に対して牙をむく。

言い忘れたが、これは一種のゾンビ映画でもある。だがゾンビとは我々の彼岸の「住人」だろうか。そうではないということを、この映画はホラーな嗤いで伝えてくる。

語りすぎるのはよくないかもしれないが、最後に二、三。この映画はクラウドファンディングで作られた、独立系作品である。スポンサーがついていないから、遠慮会釈がない。B級ではあるが、侮れない。続編も決まっていて、『ハイジとクララ』というらしいが、本当かどうかもわからない。スイス映画にもかかわらず使用される言語は訛りのある英語。だが日本人にはかえって聞きやすいと思う。なぜ英語にしたのか。世界に訴えかけるためだろう。

​​ 刮目せよ。





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Last updated  2024.02.11 20:30:28
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