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2014年03月03日

「溺れるものは藁をも掴む」

テーマ：気になったニュース(30439)

カテゴリ：どうしても分からないこと

ネピアグラスに除染効果　燃料利用の可能性も　弘前大研究グループが発表

除染作業は、相手が目に見えない放射線を発する物質だけに、大変労力のかかる厄介な作業を強いられることになるわけです。

それをイネ科の植物「ネピアグラス」を植えることによって、効率よく除染できれば労力もコストも軽減されますね。しかも刈り取った後バイオマス燃料にも活用できるということであれば、一石二鳥とも三鳥ともいえそうですが・・・。

刈り取ったネピアグラスに含まれる放射性セシウムを取り除かない限り、たとえバイオ燃料に変わったとしても、放射線を出し続けることに変わりはないのは、少し高校で物理を習ったものには自明のこと。

放射性セシウムから発する放射線量が基準値以内に減少するまで、刈り取った「ネピアグラス」を安全に保管しなければならないのは、削り取った土壌と同じこと。放射性セシウム137の半減期は30年ということですから、刈り取った「ネピアグラス」に含まれるセシウムの量が1/4にまで減少するにも60年、3.1％にまでなるには実に150年の歳月が必要になります。

刈り取った「ネピアグラス」をいったい何年保管してから、バイオマス燃料にしようというのだろう？

被ばく医療総合研究所放射線物理学部門と農学生命科学部付属生物共生教育研究センター循環型農業生産部門という、名前だけはセシウム137の半減期のように長いこの大学の研究者は、まさか「ネピアグラス」に吸収させれば、セシウム137の原子核構造が放射線を出さないセシウム133に変わるとでも言うのだろうか？

もしそうであれば、世紀の大発見。ノーベル賞間違いなしといえましょうが・・・。

両研究者は、研究成果を発表をするにしても、科学に疎い一般の人々にもう少し分かるように説明するべきではなかったのか？

住みなれた郷土を離れ塗炭の苦しみを味わっている被災者に、あたかも溺れる者の鼻先に藁を投げかけるようなことをしているように見受けらる研究発表です。もう少し研究者らしい配慮があってしかるべきでしょう。

イネ科の「ネピアグラス」だけに「溺れるものは藁をも掴む」とは、皮肉すぎます。

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