ミステリの部屋

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2005年05月06日

真夜中のサヴァナ

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24305)

カテゴリ：ミステリ以外の小説

これは面白い本だと人に薦められたので、福岡へ帰るときに持っていきました。
ノン・フィクションを読むのは珍しいのでどうかなと思っていましたが、飛行機の中では揺れの恐怖もあって集中できませんでした。
実家に着いて読み直しましたが、なかなか入り込めず……。
それでも我慢して読んでいるうちに、だんだんサヴァナの住人になじんでいきました。

サヴァナとは「北米で最も美しい都市」と評されるアメリカの地方都市の名前です。私はサヴァンナと思い込んでいて、ライオンや豹が歩き回っている真夜中のアフリカの話を想像していましたが、まったく違ったものでした。

作者はジョン・ベレント、アメリカで発売後70週にわたるベストセラーとなり、1997年にはクリント・イーストウッドにより映画化されました。サヴァナの女帝、レディ・シャブリが当人役で出演しているそうです。

サブタイトルが「楽園に住む妖しい人々」とあるように、著者が惚れ込んで通いつめて観察・取材したサヴァナの人々は本当に妖しい人ばかり。
第１部では強烈なキャラクターが生き生きと描かれ、一人一人の人生をもっと知りたいという気持ちになります。私は“六千曲のレディ”の話が好きでした。
第2部はそこで実際に起きた殺人事件の裁判の経緯で、1部で紹介された人たちもからんできますが、私は第１部の方が興味深く読むことができました。

この本を片手にサヴァナを見物にくる人も多いらしいのですが、その気持ちはよくわかります。
東西南北に格子状の道路が走り、緑あふれる公園が多く配され、18、9世紀の歴史的建物が数多く残る美しい町、ユニークな墓石のある川を見下ろす墓地、そしてそこに住む奇人たち、それが実在のものなのですから……。
訪れることはできなくとも、せめて写真集など捜してそこの住人たちを思い描いてみたくなります。