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2005年06月03日

修道士カドフェルシリーズ

(2)

テーマ：お勧めの本(7415)

カテゴリ：海外ミステリ

中世イングランド、シュールズベリ修道院のカドフェル修道士が次々と事件を解決していくシリーズ。

時は中世ですから、科学捜査などもちろんありません。
人々は今よりも信心深くて、神のお告げや奇跡さえも信じていた時代です。
事件を解決するだけではなく、うまく収束させるには、時には力技もいるし、
時にはうそやごまかしも必要になります。

修道士なのに？と疑問を抱かれるかも知れませんが、カドフェルはただものではありません。
彼は16歳で第1回十字軍に参加して戦いの日々を送りました。
その後船員として東方にとどまりましたが、40歳をすぎてからイングランドに戻り、今は修道士として薬草園の管理をしているという人生経験豊富な人物なのです。
ウェールズ語とイングランド語が堪能で、通訳も務めます。

ヘンリー1世が亡き後、スティーブン王と従兄弟の女帝モードが王位争いを始めたため内戦が起こります。近隣ウェールズの大公も虎視眈々と領土の拡張をねらっています。

時代背景は巻を進めるごとに変化していき、それに応じて事件も起こってくるので、第一巻の「聖女の遺骨求む」から順番に読まれることをお薦めします。

「聖女の遺骨求む」……
副院長は自ら指揮を執り、コロンバヌスや通訳のカドフェルらを従え、遺骨を求めてウェールズへ乗り込む。
しかし、話し合いは上手く行かず、村人との仲はこじれる。
そんな中、村の地主が何者かに殺されカドフェルは犯人探しに乗り出す。

どうしてそんなに聖女の遺骨をほしがるのでしょうか。
どうやら遺骨を安置しているかどうかが修道院の格付けにも影響してくるようです。
遺骨がある村としても簡単に「はいどうぞ」というわけもなく、不穏な雲行きの中、殺人が起きます。
カドフェルはみんなにとって一番良い結果をめざして、結局驚くべき方法をとることになります。
それは聖職者にあるまじき行為なのかも知れませんが。

作者はイギリスの作家エリス・ピーターズ。
カドフェルシリーズは社会思想社が倒産して絶版となっていましたが、2003年3月に光文社文庫から再刊されました。

中世イングランドの雰囲気に浸り、登場人物たちの個性的キャラを楽しみ、カドフェルの活躍にわくわくし、毎回花をそえる若者たちのロマンスにうきうきしたい方にお薦めです。

１　聖女の遺骨求む　

２　死体が多すぎる

３　　修道士の頭巾

４　　聖ペテロ祭殺人事件

５　　死を呼ぶ婚礼　　

６　　氷のなかの処女

７　　聖域の雀

８　　悪魔の見習い修道士

９　　死者の身代金

１０　　憎しみの巡礼

１１　　秘跡

１２　　門前通りのカラス

１３　　代価はバラ一輪

１４　　アイトン・フォレストの隠者

１５　　ハルイン修道士の告白

１６　異端の徒弟

１７　陶工の畑

１８　デーン人の夏

１９　聖なる泥棒

２０　背教者カドフェル

短編集　修道士カドフェルの出現

明日は関連する若竹七海さんの本を紹介します。

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