ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年12月28日
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イギリスの小説家R・D・ウィングフィールドが生み出した主人公はジャック・フロスト警部。

ロンドン郊外の架空都市デントン警察署に所属し、40代後半で農夫のように日やけしており、活力に溢れたブルーの眼をしています。

服装はだらしなく、まるでコロンボ警部みたいな薄汚れたレインコートに、プレスのきいていないよれよれのズボンがトレードマークです。

書類仕事が苦手で、部屋はゴミ箱のごとくちらかっているし、とにかくだらしない性格。捜査会議も、部下の残業手当の申請もうっかり忘れるんですからたちが悪いです。

さらにこの男、下品な逸話やブラックジョークを最悪のタイミングで披露することができます。

捜査は自分の直感を信じてのの行き当たりばったりですが、それで事件が解決に向かうところがすごいです。

そして、迷惑ばかりかけている割には同僚に好かれているようです。
出世だけが望みの俗物であるマレット署長という例外はありますが……。


さて、冒頭でフロスト警部はとっても大変なことになっています。
その場面には驚くのですが、そこから過去に戻って、発端となる娼婦の娘が行方不明になる事件から話は始まります。

その事件を捜査している途中で、また次々に別の事件が起こるという複雑な展開。
女の子はみつからないし雪は降ってくるし、一体どうなるの?と心配になるのですが、このからみあった糸がいつしかほどけて一つになっていく様は見事です。

決して名刑事とも言えないし、欠点だらけだけれど、いや欠点だらけだからこそ、フロスト警部には親しみを感じます。

ワーカホリックのように長い長い一日を働き続ける彼には、屋台でおでんでもおごってあげたい、そんな気持ちになりました。


クリスマスのフロスト

クリスマスのフロスト :R.D.ウィングフィールド












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最終更新日  2005年12月28日 19時02分10秒
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