ミステリの部屋

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2006年07月14日
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「氷菓」( 感想 )「愚者のエンドロール」( 感想 )と続く、古典部シリーズ第3弾です。

「氷菓」で解明された真相や、「愚者のエンドロール」での2-Fの映画も登場して、ここで終結します。
できれば順番に読んだ方が楽しめるでしょう。

今回は4人それぞれの視点で話が順に語られるので、彼らの個性がよく表れています。
今まで出てこなかった意外な一面も知ることができます。



古典部も文集「氷菓」を販売します。

ところが、古典部の文化祭はトラブルなしには終わらないという伝統の通り、30部発行の予定だった文集は、何かの手違いで200部も出来上がってしまいました。
さあどうする?


山と積まれた文集を売り切ることができるのか、というのが一つの軸。

古典部の面々はそれぞれの方法で頑張ります。

奉太郎は文集販売にかこつけて、「誰かがいなければ」と部屋に居座りますが、訪れてくる人たちとの物々交換で、いつしかわらしべ長者もどきの展開になるところが面白い。
それが意外に役に立つことになろうとは……。

もう一つは十文字と名乗る犯人が繰り返す奇妙な盗難。
碁石、タロット、おたまなどが一定の順番で盗まれ、犯行声明が残されています。
犯人は?その意図は?

タイトルにあるクドリャフカとは、1957年旧ソ連の人工衛星スプートニク2号に乗った犬です。
初めて宇宙へ出た生き物ですが、回収されるように設計されていなかったため、地球に戻ってくることはなかったそうです。

クドリャフカが宇宙から地球を見て何を考えていたのか、わかりませんが、その気持ちが事件の真相に少し関係あるかもしれません。

青春ミステリは、やっぱりほろ苦い結末でした。


それにしても、メンバーがそれぞれ体験する文化祭の描写が、とても楽しそうです。
ぶつかりながら、みんなで作り上げていく感じも、「いいよねー」とノスタルジックに思います。
○×クイズがあったり、お料理大会があるというのもうらやましい。


自分の高校時代の文化祭を久々に思い出しました。
こういう参加型のイベントはなかったのですが、お化け屋敷が評判でした。
私は、部長がお気に入りの女の子をひいきにするという余り楽しくもない部活の一大行事である英語劇に出なくてはいけないので、お化け屋敷には行ませんでした。
少しだけ懐かしく、ほろ苦い思い出です。


クドリャフカの順番  クドリャフカの順番 :米澤穂信

 2008年文庫化されました。
クドリャフカの順番:米澤穂信  楽天ブックスでは品切れ











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最終更新日  2008年07月09日 22時32分59秒
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