ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年01月17日
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年末からお正月にかけて読んだのはこの1冊だけでした。
800ページに及ぶ大作ですから。

「密室殺人大百科」、魅力的なタイトルですが、
これは密室が大好きな二階堂さんが集めた、密室好きのための密室アンソロジーです。

新本格推理作家たちの書き下ろし密室殺人中短編に、密室に関する評論「密室ミステリ概論」、名作短編、海外作品という内容。

さてその構成は……

まえがき──二階堂黎人

《第一幕》
芦辺拓「疾駆するジョーカー」
太田忠司「罪なき人々VSウルトラマン」
折原一「本陣殺人計画~横溝正史を読んだ男」
霧舎巧「まだらの紐、再び」
鯨統一郎「閉じた空」
谺健二「五匹の猫」
柴田よしき「正太郎と田舎の事件」
二階堂黎人「泥具根博士の悪夢――魔を呼ぶ密室」


幕間――二階堂黎人

《第二幕》
ロバート・エイディー「密室ミステリ概論」
鮎川哲也「マーキュリーの靴」
高木彬光「クレタ島の花嫁」
ジョン・ディクスン・カー「デヴィル・フィッシュの罠」(白須清美訳)


二階堂黎人「密室アンソロジーについて」

《第一幕》は正面から密室に挑戦した新本格推理作家の作品を集めています。パロディ、震災後の悲劇、歴史上の人物が謎解きをするなど、バラエティに富んでいます。

「まだらの紐、再び」と「正太郎と田舎の事件」は読んだ事がありました。

どれも楽しめましたが、一番好きだったのは「正太郎と田舎の事件」です。
やっぱり猫の正太郎には愛着があるし、その可愛さにはかないません。

「泥具根博士の悪夢――魔を呼ぶ密室」はありえないでしょう、と思いつつも、作者がいかに密室が好きかというのがよくわかる作品でした。

《第二幕》の「密室ミステリ概論」では密室ミステリの歴史が語られます。
ここに挙げられた作品を全て読んで、密室について研究したくなりました。

「マーキュリーの靴」は懐かしい感じがする名作、「クレタ島の花嫁」はヴァン・ダインの贋作となっています。
「デヴィル・フィッシュの罠」はラジオ・ドラマのシナリオです。さすがに切れがあります。


密室……このそそられる響き。
この言葉を見るだけでわくわくしてしまいました。
密室殺人は、一見してわかる不可能犯罪。
不可能であればるほどスリリングで、謎が解かれた時の嬉しさはひとしおです。
その喜びを感じられることがミステリの醍醐味かも知れません。

全体に質も量も十分で読みごたえがありました。
ミステリ好きなら読んで損はないでしょう。

ただし、私が読んだのは上巻だけです。
下巻も期待できそうですが、このボリュームですから、読めるのはいつになることか……。


 密室殺人大百科(上):二階堂黎人編









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最終更新日  2007年01月18日 15時12分24秒
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