ミステリの部屋

ミステリの部屋

2008年11月25日
XML
家に鍵をかける習慣さえない、ケベック州の平和な小村 スリー・パインズ。
感謝祭の週末の朝、森の中で 老婦人の死体が発見された。
死因は 矢を胸に受けたと見える傷。
一見、ハンターの誤射による事故死に思えた。
だが、凶器の矢がどこにも見当たらないことから、ガマシュ警部は顔見知りによる殺人事件として捜査を始めた…。
「ポアロとモース警部へのケベックからの回答!」 と絶賛される本格ミステリの新シリーズ第1弾。
(「BOOK」データベースより)



カナダが生んだ大型新進女流本格ミステリー作家、と紹介されている、ルイーズ・ペニーのデビュー作です。
新人賞を総なめしたというだけあって、引き込まれる面白さでした。

鍵をかける習慣もないくらい平和な村で、元教師・ジェーンの 矢傷を受けたような死体が見つかり、ガマシュ警部らが捜査にやってきます。

ガマシュ警部は物静かで情に厚く、仕事ができる カリスマ性のある人物。新人の育成にも熱心です。

警部の相棒ボーヴォワール警部補は 冷静で真面目な性格。ガマシュ警部を敬愛しています。

上昇志向が強く、自分本位な新人ニコル刑事だけが神経を逆なでしますが、ガマシュ警部は忍耐強く指導を続け、横で見ているボーヴォワール警部は ヤキモキします。

一方、スリー・パインズ村の住人たちは芸術家が多く 個性的な人物ばかりで、独特の人間関係を築いています。

ジェーンの 年の離れた友人だったクララは、深く嘆きながらも、ジェーンが見せなかった部屋の奥や、傑作か駄作か判断に迷った絵のことを思い出しながら、彼女なりに真実に近づいていきます。


この作品は、情景描写と心理描写が大変緻密で、まるで自分が登場人物になったかのように、村の景色も、人々もありありと浮かんできました。

もちろん、犯人に迫るまでのハラハラドキドキもありますが、それ以外にも 読み応えのある要素がたっぷりあります。
個性的で 豊かな物語に浸る幸せを感じました。

英国ミステリが好きな方にはぜひおすすめです。

原題は 『Still Life』です。こちらの方が より雰囲気を表しているかも。




スリー・パインズ村の不思議な事件  :ルイーズ・ペニー/長野きよみ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年02月20日 22時30分25秒
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

バックナンバー

2024年12月
2024年11月
2024年10月
2024年09月
2024年08月
2024年07月
2024年06月

コメント新着

月見草@ Re:夜のピクニック:恩田陸(07/06) 「夜のピクニック」のご紹介ありがとうご…
アルビレオ@ Re:白馬への旅、2日目(07/30) 白馬 行って見たくなりました。ワタスゲ…
アルビレオ@ Re:マフラー(01/29) samiadoさんの優しさがしみます。36ufh
アルビレオ@ Re:冷凍ロールケーキ(02/07) 書き出しの「待っていたロールケーキが届…
アルビレオ@ Re:節分もどき(02/03) 恵方巻きって確かに子どもの頃 福岡には…
アルビレオ@ Re:つらいときは(02/02) 「情けは人のためならず」って、何か辛い…
アルビレオ@ Re:マフラー(01/29) samiado さん 編み物も🧶されるんですね…

お気に入りブログ

『サステナビリティ… shovさん

未定の予定~ラビ的… みっつ君さん
留年候補生W2.0… 留年候補生W2.0さん
魔女の隠れ家 たばさ6992さん
ちょっと休憩 ときあさぎさん

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: