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知られざる作家 日本語版序文 単行本の冒頭には、後半は省略しましたが、こんな 「日本語版序文」 掲げられています。巻末には10ページに渡って参考文献がリストアップされています。 ジュリアン・バトラー の邦訳書や、ペンギンブックス等に所収されているという原書の作品リスト、その作品に言及した批評だけでも20項目を超えるのですが、その中にこんなリストを見つけて、ようやくはてなと思いました。
ジュリアン・バトラーの名前を知ったのは1995年、15歳の時だ。トルーマン・カポーティとゴア・ヴィダルを単独していたぼくは、二人と並び称されるジュリアン・バトラーという作家を発見した。戦後アメリカ文学をだ評する小説家だが、邦訳はすべて絶版になっている。日本ではいまだ知られざる作家といっていい。
現在でも英語圏ではバトラーのすべての長編小説はペンギン・モダン・クラシックスから再版され、作家自身も著名人としての華麗な遍歴で知られているが、作品論やテクスト論はあっても作家論や評伝はない。バトラーの生涯はその名声に反し、長きにわたって夥しい伝説的なゴシップの靄に包まれていた。
2017年に出版されたアンソニー・アンダーソンの回想録「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」によって、謎めいたバトラーの実像は明らかになった。アンダーソンは覆面作家だったが、この回想録で自らの正体も公にしている。
本書はAnthonyAnderson.TheRealLifeofJulian Butler:AMemoir.(RandomHouse,2017)の全訳である。
川本直
吉田健一「米国の文学の横道」(垂水書房)1967年 三島由紀夫 に該当の書籍はあります。しかし、 吉田健一 には 「英国の文学の横道」(講談社文芸文庫・垂水書房) という書籍はありますが、 「米国の文学の横道」(垂水書房) という書籍はありません。架空の書籍なのですね。ありそうな書名ではありますが、 吉田健一 に興味を持った経験がある方であれば、彼が 「米国の文学」 を批評の対象にして言及するということはちょっと考えにくい気がします。
三島由紀夫「不道徳教育講座」(角川文庫)1967年
米文学のもっともスキャンダラスな時代、 新刊本の腰巻に載せられた、まあ、販売促進のためのキャッチ・コピーではあるのですが、 「絶賛」 の言葉です。ネット上のレビューでも好評です。が、所詮、模型は模型、インチキはインチキ、 「微塵の妥協」 もしないのは ジオラマ・オタクの本領 と感じてしまう読み方もありそうです。オタク的精巧さがこの作品、あるいは書籍の特徴で、そのあたりには感心しながら楽しんで読みましたが、 読売文学賞 で称えるのは、ちょっと?というのが正直な読後感でした。
一際スキャンダラスに生きた恋人たちの生涯を、
川本直は微塵の妥協もなく正攻法で描き切る。
佐藤亜紀
クィア文学の嚆矢、ジュリアン・バトラーに魅了された。
その秘められた真実に打ち震えた!
伏見憲明
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