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あれ? これ、読んでないな。
目次 本の作り方については、 序論 の終わりに ご本人 がこんなふうにまとめていらっしゃいます。
序論 世界の認識は「旅」から始まる(2004)
1 無人島生活六日間(1982・週刊文春)
2 モンゴル「皆既日食」体験(1997・SINRA)
3「ガルガンチュア風」暴飲暴食の旅(1984・文芸春秋)
4 フランスの岩盤深きところより(1987・太陽)
5 ヨーロッパチーズの旅(1986・月刊専門料理別冊)
6 神のための音楽(1984・FMファン)
7 神の王国イグアス紀行(1987・文芸春秋)
8 ヨーロッパ反核無銭旅行(1996・書籍情報社インタビュー)
これは相当に変な作りの本である。何しろ、あちこちが未完だらけなのである。それでもそれでよしとする理由があってそうしたということは、先に述べたとおりである。 要するに、雑誌等の記事として発表はされたけれども、書籍化できていなかった 「旅の記録」 、 ルポルタージュ を、 2004年 に書籍化したという本らしいですね。
本人はこれをまとめるにあたって、楽しみながらまとめたので、読者諸氏におかれても楽しんでいただければ幸いである。質量ともに楽しむに足るだけのいろんな材料をとにかく詰め込みに詰め込んだ、幕の内弁当のような作りになっているので、たいていの人に楽しんでもらえるはずと思っている。(幕の内弁当と同じで、残らず食べくださっても、もちろんけっこうだが、気にいったところだけつまみ食いしていただいても、もちろんよい)。(P110~P111)
日常性に支配された、パターン化された行動(ルーチン)の繰り返しからは、新しいものは何も生まれてこない。知性も感性も眠りこむばかりだろうし、意欲ある行動も生まれてこない。人間の脳は、知情意のすべてにわたって、ルーチン化されたものはいっさい意意識の上にのぼらせないで処理できるようになっている。そして、そのようにして処理したものは、記憶もされないようになっている。意識の上にのぼり記憶されるのは、ノヴェルティ(新奇さ)の要素があるだけのものなのである。(P42) で、
旅は日常性からの脱却そのものだから、その過程で得られたすべての刺激がノヴェルティの要素を持ち、記憶されると同時に、その人の個性と知情意のシステムにユニークな刻印を刻んでいく。旅では経験するすべてのことがその人を変えていく。その人を作り直していく。旅の前と後では、その人は同じ人ではありえない。(P42) と、まあ、結論して、もう一言付け加えます。
旅の意味をもう少し拡張して、人の日常生活ですら無数の小さな旅の集積ととらえるなら、人は無数の小さな旅の、あるいは「大きな旅の無数の小さな構成要素」がもたらす小さな変化の集積体として常住不断の変化をとげつつある存在といってもよい。(P43) ボクは、生まれて初めての入院という体験をしながらこの本を読んでいたのですが、まあ、こういう記述に文句なしにうなずきながら眠れない夜を過ごしたのでした。
追記
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