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皆さんこんばんは、イスです(´・ω・`)はてさて、もう一月も終わりですよ?元旦だーなんだーなんてもう全く少しも楽しめなかった思い出しかありません。日々短い槍(知恵)を振り回して仕事に向かっているあたしですが、なんか3月になるのが怖い怖い。22時なんて、ほんと勘弁して欲しいですよね(´・ω・`)さて、話は変わりますが、久々にちぇるママのところで占いがあったのでやってみました。そして、占いと言えば当然ネタ神に愛されているあたしですが・・・はてさて。適正な職場が出てくるらしいですよ?んじゃ、まずは『イスティス』で・・・うわ、予想外におもしろくない!?じゃ、次は錬香で・・・これもおもしろくないなぁ・・・・じゃ、次は朱香で何ですかこのアホウな二択は?朱香・・・お前は裏で一体何をしてるんだ・・・・・・じゃ、次は数々のネタをいただいた泉香で・・・・・・・・(゚ω゚)?・・・・(゚ω゚)|PC|カタカタ・・・・(゚ω゚)|PC|テレアポ・・・電話営業・・・・(TωT)あたしと変わっておくれ・・・でも、今回は比較的まとも?かなぁ・・・これは今回ネタ神降臨しなかったなぁ・・・と思って次本名。・・・・・・・・・・・・職業入ってますか? ますか?全く少しも今のあたしに合ってませんよ? むしろ正反対ですよ?うん。ネタ神カエレそんな感じで今日は終了です(´・ω・`)あーつまんねー・・・それじゃね。
Jan 31, 2008
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皆さんこんばんは、イスですヾ(゚ω゚)ノ゛さて、本日の会社のやりとり。課長「イスさんイスさん」あたし「何ですか? 逃げますよ?」課長「3月のシフトなんだけどさ」あたし「・・・はぁ・・・」←嫌な予感課長「10時から出てくれないかな?」あたし「え? 9時では?」←嫌な悪寒課長「うん。そうなんだ。まぁ、イスさんがいいっていうならいいんだけど・・・」あたし「でも、それだと色々まずくありません? 確かに稼動がひどくなってますけど・・・」課長「あ、もしかして勘違いしてるかもしれないけど・・・」あたし「はい?」課長「22時からだよ?」( ゚ω゚)・・・?←理解不能課長「とりあえず、22時から6時までだから。それじゃ」???(゚ω゚)???←理解不能ってな感じでーイス、夜間対応に回ることに!?ってどこまでじゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!えー・・・落ち着こう。落ち着こう。そのあと説明受けて、なにやら会社が提供している製品のアップデートだかなんだかで、その緊急対応メンバーに選ばれてしまったようですよ?確かに最近ある程度持ってた案件が終わって、なんとか落ち着いてきたというわけですが。。。何故に22時!? 意味わからん!!!!ヴァー・・・・しかも22時から6時出勤したら、またその日の22時に出勤ですよー(号泣死ぬー? あたし死ぬー?ああああああああああああ嫌だーーーーー!!!!!!!!!!!!!・・・でも、多分あたしやりこなすんだろうなぁ・・・なんか負けたくないし・・・そんな嫌すぎる近況でしたよorz・・・・あ、なんとか土曜日には蒼き氷の女神UPしますねー・・・・仕事、いろいろ厳しいんだ、マジでそれじゃ、明日も戦ってきます。そんじゃね・・・・
Jan 30, 2008
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皆さんこんばんは。イスですヾ(゚ω゚)ノ゛やほ今日は休みでしたヾ(゚ω゚)ノ゛そう、久々の休み!!なので今日は一日ゆっくりのんびり・・・のんびり・・・・・出来なかったよどちくしょう!!何があったかは聞かないでください。マジで理不尽で、明日からの8連勤に耐えていけるか分かりません・・・前の職場は仕事量で泣いたけど、今度の職場は人間関係できついのですよね・・・(約1名が・・・ってことで、まったく物語には手がつけられませんでした。はぁ・・・あたし、すげー無念です。さて、昨日ちょっとRSにINしたところ、姉軍団がドスドスといじりにきて、それをなんとかしようと奮闘するあたし。それはもうひどい事になりました。(主にあたしが)で、とりあえず蒼き石の物語で人が多すぎてわけがわからんから、どこかにまとめなさいとお達しが・・・本当だったら今日中に終わらせる予定だったのに、予想外の出来事が起こってしまったために全く手がつけれませんでした・・・(むしろ、その出来事が終わったのが19時で、とりあえずフリーページに蒼き石の物語の人々、って項目作りましたけどほとんど何も記入できてません。おいおい増やしていくつもりなのでしばらくお待ちくださいな・・・・あーもう24時越えちゃうか・・・寝よ・・・・それじゃね。今日思ったこと。この会社もう辞めようかな・・・・・
Jan 26, 2008
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皆さんこんばんは、イスです。今回のお話で、後にあたしの物語で出てくる『シティシーフ殲滅戦』は終わります。正史では、公社、教会連盟によって終結されたこの戦いの事実。それは、一人の女性の悲しい物語のほんの一部でした。では、始めましょう。蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 12 『シティシーフの終末』ここにあるのは静かな死の宴。そこで奏でられるは死の旋律。右手を動かせば死の氷柱が何かを貫き。左手を振るえば死の冷雪が何かを凍らせる。一歩進めば周囲は凍てつき、跡に残るは死の道のみ。戦の舞台となるブリッチヘッドは今、たった一人が起こす死の雪風により、徐々に、だが確実に凍りつきつつあった。幸運な事に、街はすでにシーフたちだけしか残っていなかった。戦いの前線となる場所に一般人が残っていること自体、そうそうあるはずがない。よかった、と言う思いはない。いや、考えること事態は行っていたが、それについて何の感慨もない。あたしの意思はもう凍り付いている。今、あたしはただの機械。自動人形(オートマータ)。・・・後、何人殺せばいいのかな・・・すでに、あたしの腕は、足は、体は見えない死であふれかえっていた。街に入った時、街中の池を通るとき、倉庫を通るとき。覚えている。もう、100や200じゃきかない。僅かの時間に、あたしはこの手で、多くの命を踏み潰した。たくさんの人の命が散っていった。仲間を殺され、怒りで襲い掛かる者がいた。友の為に、友情のために戦う者がいた。助けを請う者がいた。許しを請う者がいた。何かの為に戦う者がいた。諦める者がいた。死の前に狂い出す者もいた。殺した。殺しつくした。何もかも、何もかも。あたしを包む氷は消していった。命を、心を、魂を、怒りも、悲しみも、喜びも、希望も、絶望も。全て、全て全て全てだ。だけどあたしの心は震えない。だけどあたしは止まらない。そして、今。あたしは、シティシーフが本拠地としているシーフギルド倉庫の中で立っていた。あたしの目の前には一人の男が立ち塞がっていた。背中に傷つき、動けない仲間たちを守る形で。「・・・私の家族の仇・・・討たせてもらう」細い細いレイピアを右手に、壮年の男はゆっくりと剣を構える。強い。冷静に男の放つ威圧と力強い構えからそれを悟る。静かなこの場所で、彼はまるでひとつの芸術品のように美しい型を維持しつつ、あたしの命を絶つためにあらゆる手段を考えているのだろう。だけど、それを待ってあげる謂れはない。あたしは命じる。穿て、と。その命令だけで氷霊は氷の杭をいくつも創り上げ、男へ放たれる。だが、その攻撃を彼は体捌きと細いとも思えるレイピアでいなしていく。早い。その動きは止まることなく、そしてあたしも止まることがなく。それは一つの舞踏のように。男が舞い、あたしが奏でる。だけどそれは決して美しいだけの舞ではない。命と命がぶつかり合う、死と死が向かいあう葬送の舞。だが、その舞も少しずつあたしが押されるという形で終わりに向かっていく。あたしは氷霊たちに命じる。凍らせろ、と。命令は即座に履行された。一瞬。そう一瞬だけ男の舞が止まる。見逃す手はない。あたしは氷塊を作り、それを彼に向かって打ち出した。重く、重量のある氷塊。普通なら当たるだけで即死。だが、彼は諦めていなかった。彼は腰から何か黒い物体を取り出し、己に迫る氷塊に投げつける。爆音が鳴り響いた。耳に残るその重音はあたしの脳を直撃する。ぐ・・・・意識を失わなかったのは、ある意味奇跡だ。どんよりとした頭痛に、しかしあたしは眉もひそめない。どこだ。彼のおこした爆発は、彼を助け出すだけではなく煙のように姿さえも失わせた。意識を集中させろ。敵は、どこだ。その答えはすぐに返ってきた。音。すさまじいまでの速度が起こす音が、かすかにあたしの耳をかする。そして彼は現れた。場所はすぐ目の前。常に氷霊が舞い踊っているあたしの傍へ来るだけで、その身は氷つくほどの冷気を受けるというのにそれを気にしている様子はない。そして一瞬の交差。刹那の瞬間で、彼はあたしを通り過ぎ距離をとった。そしてあたしの首から血が噴き出した。致命傷だ。誰が見てもそうとしか言えない様な傷だ。男もそれで勝利を確信しただろう。だが次の瞬間には、男の顔に恐れの色がありありと浮かぶ。「馬鹿な!?」血が止まったのだ。いや、止めたのだ。氷によって。あたしの首の傷は、血が吹き上げた瞬間に凍りついた。普通、これほどの傷であればすぐに血を流しつくして死に至るだろう。ならばどうするか?凍らせればいい。血管が切られたならば、凍らせて血を押さえ込めばいい。今のあたしは神経の一つ一つまで自由に操ることが出来る。普通の人間ならば、その考えに至る前に焦りが判断を鈍らせるだろう。だけど、今のあたしにはこの致命傷ですら焦りという感情を浮かばせることは出来ない。そして、どんな細かい作業でも、止血さえも氷霊を介して行うことが出来る。『纏ウ零ノ鎧』この術を行使するということ。その真髄はまさにここにあった。あたしの身は、思考は、すでに人間とはかけ離れた存在となっていたのだ。逆に言えば、そんな身でもなければ数百を越すシティシーフを相手に出来るはずがない。そして、改めて男は思っただろう。今、目の前にいるのが考えている以上の化け物であったということが。あたしの前に、全身の至る所を氷柱に貫かれた男が倒れることも許されず、氷柱に支えられ立っていた。息はすでに、ない。空ろに浮かぶその瞳にあるのは、哀。彼はどれほど悔しかったのだろうか?彼は、家族の仇を討つために戦うと言った。・・・あたしと同じ・・・そう思う思考は、だけど体は従わない。あたしは、男の命をただ機械的に摘み取った。・・・悔しかったのかな・・・だけど、あたしは動きを止めなかった。自動人形は、ただ動くだけ。あたしはギルドの長だった者に背を向け、歩き出す。まだ生残っている者たちを、全て眠らせるために。・・・・・物言わぬ骸を・・・・氷がゆっくりと閉ざしていく。続く復讐と、その果てにある物は一体何なのでしょうか?次回、『手品師は躍らせる』にて御座候。それじゃね。
Jan 25, 2008
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皆さんこんばんは、イスです。・・・とりあえず思うことなのだけど・・・・迷惑コメントは本当に気持ちをイライラさせます。なんとかならないものかな?では、始めます。蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 11『真名追う者の叫び』「待ちなさい」あたしが陣営からブリッチヘッドに向かう街道の途中。そこに、一人の魔術師が・・・・ヘディンさんは立ち塞がっていた。「どいて」「お断りします」間髪いれず、彼は否定の言葉を放つ。彼の表情は、相変わらず読めない。だが、その言葉から強硬な意思が読み取れる。「あたし、行かないといけないんだ」まるで感情が篭っていないのを自覚する。「どいて」貴方は敵じゃないんだから・・・「貴女は何をしたいのですか?」静かに、だが沈黙を許さぬ強い言葉が放たれる。質問してくるのは、ずるいな。だけど、いいよ。答えてあげる。「貴方が考えている可能性。全部」「・・・・・・・」彼はその言葉に押し黙る。だが、その目には何かを覚悟する力がある。「今の貴方は非常に、危険です」危険・・・その通りだ。今、あたしが歩いてきた道を見れば分かる。氷そう、道どころか、あたしが歩いてきた場所全ての物が凍りついている。草も、木も、空気さえも。『纏ウ零ノ鎧』それは師匠から教えられた魔術の中でも禁忌中の禁忌。誰一人扱う事を不可能とされ、高弟の中でなぜか継承を認められたあたしにだけ教えられた秘術。過去から未来に伝える事だけを望まれた術。使うことを禁止されていた術。身に強力すぎる魔術の氷風を纏わせ、歩くだけで、動くだけで全てを凍らせる。そして、恐ろしいのは周囲全ての氷霊を容赦なく服従させる力。普通魔術師は元素の霊に協力してもらって魔術を使う。でも、この魔術は協力なんて生易しいものじゃない。文字通りの服従だ。それも絶対の。けど、この魔術が禁忌とされた何よりの理由はそんなものじゃない。「貴女の感情が、全く見えません」元素の霊はひとつひとつに意思がある。感情がある。そして協力してもらう魔術はその霊一つ一つに呼びかけ、発動する。だけど、それがもし強制的な服従であるならば・・・?普通の人間じゃ、目に見えぬ元素の力で一瞬にして精神を破壊されるだろう。ならばどうすればいい?簡単だ。元から壊される感情を消せばいい。もしくは壊れていればいい。感情を完全に排し、ただただ目的のために突き進む殺戮人形になること。それこそが、第一位から五位まである魔術の範疇から逸脱した第零位の魔術、禁忌。そして禁忌を使った者が持つ目的は・・・集め続け、膨れ上がった霊たちによる大規模破壊。でもね、そんなのどうだっていいの。「だから、何?」ヘディンさんは無表情のまま、答える。「貴女はきっと、後悔します」「うん。だから?」「・・・・っく」投げられる言葉のボールをあたしはすぐに溶け去る雪球で投げ返す。しばしの沈黙。そして、その僅かの時間で、彼は説得を諦めたようだ。でもあたしには関係ない。あたしはただ前に進むだけ。再び歩み始めるあたしに、彼は呟いた。「貴女は、優しい人だ」あたしはそこで止まる。「この二ヶ月。私は貴女を見ていてそう感じました。どんな時でも周囲を思いやる強い心を持っている。あの時、切水草の件でも私を案じてくれたでしょう」彼からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。だけど、心に響かない。そんなもの、とっくに凍り付いてるからだ。「だからこそ、貴女はこれほどの魔術を操って壊れないというのは分かります・・・ですが!!」ヘディンさんの周囲に、氷の精霊の気配が現れる。「そんな事、誰も望みません!!」そっか。あたしは黙り込む。一瞬へディンさんへの気が緩んだが、次の瞬間、あたしは黙ったまま・・・また歩き出す。それを見た彼は悔しそうな顔をする。「説得は・・・無理なのですね」悲しげに、彼は首を振る。しかしそれで諦めがついたのか、彼はついにあたしと対峙した。それは魔術の気配。彼の右腕に氷霊が絡み付いているのが『視える』。今、この状態になって初めてわかったが、彼は本当に強い。絡みつく氷霊たちの涼しげな声はどんどん増え、その量は見たこともないような強さとなっていく。普段のあたしならば、なす術もなく打ち倒されるであろう力を彼はやすやすと操ってみせた。だけど、今のあたしは倒されるわけにはいかないのだ。だからあたしはそれらに命令した。『壊れてしまえ』、と。変化はすぐだった。ヘディンさんの扱う氷霊たちが『壊れた』。それは文字通りの崩壊。つまりは暴走。彼が使おうとした魔術が彼の意思で発動する前におかしな形で暴走した。そうなればどうなるか?「な!? ぐああああああああああ!?」彼自身が、その身に自分の魔術を受けることになる。あたしの目の前で、彼は一瞬にして右手を中心に右半身が凍りつき始めた。「がぁあああ!?」彼には何が起こったかわからないだろう。当然だ。自分の手足のように氷霊を操って見せた彼が、従順なはずの氷霊に牙を剥かれたのだから。すぐに彼はその場から離れ、体を伏せる。いい判断だ。暴走したのはあくまで右腕に集まった氷霊だけ。暴走している氷霊たちに、ヘディンさんについていくという意思など、もうない。ヘディンさんが飛びのいた場所は一瞬にして巨大な氷塊が作り上げられた。あたしはゆっくりとその氷塊の元へ歩いていく。そしてそれにゆっくりと右手を添える。次にあたしが命令したのは単純なものだった。『消えろ』その瞬間、氷塊から氷霊たちの気配が消え、塊は一息つく前に崩れ去った。いや、文字通り消えたのだ。あとかたもなく。信じられないような物を見る目であたしを見るヘディンさん。だが、それでも彼の目から戦意は消えていない。まだ右腕は氷によって動かないはずなのに、彼は立ち上がった。そしてなお彼に集まる氷霊は、先ほどとは異なり彼の周囲に集まる。どうやら接近戦は諦めたようだ。今ここで彼の氷霊を『壊して』も意味はない。だからあたしは待つ。彼が動くのを。時間はそうかからなかった。すぐに、あたしの目の前に先端を削られた氷塊が現れたからだ。ヘディンさんの『ダイヤモンドカノン』ハノブで襲ってきた奴に向けて打ち出したヘディンさんの魔術があたしに向かって飛んでくる。だけど、無駄。刺し貫かないように、という心遣いはうれしいけれど、初めから意味がない。壊す命令をするまでもなく、あたしはただ前に出るだけで、その氷塊はあっという間に地面から現れた氷に取り込まれてしまう。あたしを覆う氷霊たちが彼の氷霊をのみこんだからだ。それを見て、彼の目に悔しげな物が浮かぶ。『纏ウ零ノ鎧』は、氷系魔術師にとって最も最悪の術と言ってもいい。この魔術は、従える氷霊を服従させ限界まで力を解放させる。つまりはどんな氷霊であろうともその力を限界まで無理矢理引き出されている。彼がいかに氷の魔術を極めようと、これを破るには全く逆の炎系魔術でもなければ無理だ。だけど、彼が今まで炎の魔術を使うところを見たことがない。おそらくあれだけの氷霊を扱うために、彼は炎の魔術を封印しているのではないだろうか。でも、もし炎の魔術を使えたとしても・・・彼の目は、それでも戦意を失わない。普段なら心が痛むような目だ。だからあたしは目を閉じて、少しだけ周囲で踊る冷気を弱めた。その様子を怪しげに睨むヘディンさん。「ごめんなさい」その言葉が終わった瞬間に、ヘディンさんの両足は凍りついた。凍りついた瞬間に、無数の小さな氷塊が彼の目の前に現れ容赦なく彼の全身へ打ち込まれた。「が・・・は・・・」それは、ほんのまなたき一つも必要ないくらいに起きた出来事だった。あまりにもあっけない終わり。そう、あたしはいつでも彼を殺すことが出来た。今までそうしなかったのは・・・・心のどこかで・・・止めてもらいたかったのかもしれない。でも、そんなあたしの考えとは裏腹に、倒れるヘディンさんの下へゆっくりと歩いていった。「・・・ちぇるしー・・・さん・・・行っては・・・いけない・・・!!」小さな小さな呟きは、あたしの心を打とうとした。だからあたしは彼の胸を全力で蹴りあげる。大した力もないはずのあたしだけど、感情が消えつつある今、肉体の限界を越えた力なんていくらでも出せる。ヘディンさんを蹴り上げた足に嫌な感触。どうやら彼の肋骨をいくつか折ってしまったようだ。だけど、そんなのはどうでもいい。「ごめんね、ヘディンさん。でも、そのまま転がってくれていた殺さずに済むから」あたしの心がまだ残っているうちに、あたしは彼を逃がしたかった。どうやら意識を失ってしまった彼を尻目に、あたしは歩を進める。あたしは進む。前へ、前へ。その前に、後ろに、空虚な死だけがあったとしても、今のあたしに届く物はなかった。続く降臨した死の女神は・・・悲しくも強すぎる者でした。暴走したちぇるママ。その先にあるのは・・・次回、『シティシーフの終末』にて御座候。それじゃね。
Jan 24, 2008
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皆さんこんばんは。イスです。・・・では、いきますよ。蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 10『死の女神・降臨』外へ出て、まずあたしの目に飛びこんできたのは。首から聖印つきのお守りをかけミスリルの鎧、スキュトゥム、棍棒を腰につけた女性。先ほどの女神官はすでに外へ出ていた。この人・・・高位神官だ。雰囲気や見た目から、とてもそうとは思えないけど、彼女はあたしよりも遥かに高レベルの神官なんだ。そこへ、ヘディンさんもあたしの後ろから現れた。その顔にはいつもの無表情ではあるけど、不機嫌な雰囲気が少し出ていた。もしかして心配されてる?そんな彼に苦笑しつつ、あたしはそのまま女神官さんの元へ向かう。「いらっしゃいましたね」ニコ、っと笑う女神官さん。さっきの事があるから、なんだか気まずいな・・・そんなあたしの思考を見抜いたのか、彼女はさっきの事を何も言わない。「では、行きますよ?」「あ、はい」その次の瞬間、あたしの目に飛び込んできたのは、背中に翼を持った天女の姿だった。あっという間だった。目の前に広がるのは、ひどく荒れた公社、教会連盟の陣営だった。あたしたちはすぐに負傷者たちのいる野戦病院に向かった。そこかしこから、人のうめき声が聞こえる。地に倒れふしている人、大量の包帯をまいた人々。一目に、致命傷と分かる傷を受けて亡くなっている人。悪夢のような惨状が、今目の前に広がっている。頭が痛い、目が痛い、背中が・・・全身が痛い。吐き出してしまいそうな匂いがそこらへんから漂ってくる。ひどい・・・ひどすぎる・・・あたしは、甘くみていたのかもしれない。人の戦いは、大規模になればなるほど、これほどまでにひどい事になるとは思いもしていなかった。戦場。ここはまさに激戦区だったのだ。しかし、今目の前を歩いている女神官さんは、毅然と歩いている。この状況で何も感じない人間がいるわけがない。こんなひどい場所で何の感情も沸かないはずはないのに・・・この人は・・・その大きいとはいえない背中が、とても大きく見えたのは、どうしてだろうか。この人は、きっと多くの死を看取ってきたのだろうな。でも・・・だけど・・・静かに、泣いてるんだろうな・・・彼女が何かを我慢しているのが分かる。雰囲気とか、そんなんじゃなくて。なんていうのだろうか、分かる気がする。「ここです」野戦病院に着いた。着いてしまった。あたしの悪い予感が、予感ではなくなる瞬間だった。まるで、眠っているようだった。いや、実際に眠っているのだ。だけどそれは、二度と目覚めない眠り。永遠に目が覚めることが出来ない眠り。二度と笑うことも、悲しむことも、怒ることも、出来ない眠り。ライネル、ゴーディ、ハイネ・・・・彼らは、野戦病院にいなかった。とある陣営その一幕に、彼らは寝かされていた。霊安室。静かな時間が、過ぎていく。静かに、静かに。頭が痛くなるほど、この場所は静かだった。静かすぎて、目が覚めてしまいそうな場所だ。涙は、出ない。今、この場にはあたし一人だった。それが涙が出ない理由かもしれない。今、他の人が泣いていたら、あたしも一緒に泣いていたかもしれない。妙な偶然だ。彼らは並んで、ここに寝かされていた。誰かの配慮かもね・・・この子たち。いっつも一緒だったから。それを考えた後、目頭が熱くなるのを感じた。足から力が抜け、激しい失意があたしを襲った。「ライネル・・・聞いたよ。あんた、負傷者を逃がすために前線に残って戦ってたんだってね?」野戦病院にいた一人の老兵からライネルの奮闘を、そして感謝の言葉を聞いた。「ゴーディ・・・いつの間にか、あたしより魔術も頭も上になってたんだね・・・きっと、いい先生になれたよ」三人を探している途中。道を聞いた一人の軍師からゴーディが最後までシーフたちとの話し合いを提案されていたことを、ライネルと共に最後まで戦ったことを聞いた。「ハイネ・・・すごく慕われていたんだね。皆・・・あんたにありがとう、って言ってたよ」何人も・・・何人もの人から、彼女に救われた事を、彼女に救われ、諦めず、最後まで生きる希望を得た事を聞いた。ライネルを、ゴーディを、ハイネを一人一人頭を撫で、抱きしめ、ささやいていく。「あたしね、初めてだったんだよ?」ポツリ、ポツリと。「誰かを家族みたいに思うなんて。あたし、家族を知らないけどさ」家族。幼い頃から家族を知らず、この世界で生きていたあたしが、心からそう思ったのは初めてだった。心地よい、一人の時では考えられなかった日々。騒がしくて、でも楽しくて・・・いつまでもこの時間が続いて欲しいと思っていた。そういえば、師匠が言ってたっけ。みんなに看取られるのが、幸せだって。家族のいなかった、あたしの魔術の師匠。だけど、亡くなる時にポツリと言っていた。幸せだって。三人はどうだろう・・・今、あたしがここにいることを、喜んでくれているだろうか・・・「あたしも・・・死に掛けたんだ、あの時助けてくれたのは、あんた達だったんだね」それは確信。あれは夢でもなんでもなく、実際にあったことなんだ。きっと三人は死んでしまいそうなあたしを見かねて助けてくれたんだ。 だ け ど 「あたし、こんなあんた達を見るくらいなら、一緒に逝きたかったよ?」涙は出ない。でも、悲しい。でも、つらい。でも、悔しい。そして・・・あたしから弟と妹たちを奪った奴らが憎い。身を焦がすほど、理性を失ってしまいそうになるほどに。あたしは、あたしはね・・・「悲しいんだよ?」そう、あたしは、決して戦いが好きなわけじゃない。生きていく手段。生活するための手段に、戦いがあるのだ。きっと、彼らも・・・シティシーフたちもそうなのだ。自分たちの居場所を守るために戦っているのだろう。だけど・・・だけど・・・「あたしは、あたしから家族を奪った奴らを許せない・・・許さない」静かに立ち上がるあたしは、精霊を呼ぶ。詠唱魔術。『全ては死への道なり』『我が声は悲しみ呼ぶ声』『我が腕は希望を砕く吹雪』『我が足は終わりを運ぶ氷雪』『我が至るは夢幻の白雪』静かに、だが、あたしの身体にゆっくりと冷気と風の精霊が身を包み始めた。最後の一文を唱えれば、もうあたしは元に戻れないだろう。それでも、あたしは後悔しないと思った。「ごめんね。あたしは、あんた達に教えた事と逆の事をするよ」あたしが師匠から継いだ中で、最も危険な高位魔術。『禁忌・纏ウ零ノ鎧』歩く。外へ。クールに・・・なれ。煮えたぎる熱いモノはもう十分だ。クールになれ。操れ、氷霊を。嘆こうが、悲しもうが、今はただただ冷酷に、残忍に。仇を討つために。あたしは進む。その瞬間に起きた異変は恐ろしく早いものだった。歩く度に、死者を除いた周囲の全てが氷で覆われていく。全て凍れ。全て停まれ。怒りも、悲しみも、哀しみも、喜びも、優しさも、凍ってしまえ。これから行うことを、ためらいなく行うために。あたしは天幕から出る時、三人に振り向き、言葉を紡ぐ。「出来るなら、これからすることに・・・目を閉じていてね?」ごめんね・・・やっぱりあたしは、優しくないよ。あたしは、何かが消えていく瞳を閉じ、外へ出る。続くある意味、ひとつの節目かも知れないと思う物語です。・・・書いてるとき、昔昔の事を思い出しました。難しいよね、これって。では次回、『真名追う者の叫び』にて御座候。それじゃね。
Jan 23, 2008
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皆さんこんばんは、イスです。色々ありますが・・・早々に行きましょうか。蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 9『呼ぶ声』あたしは、闇の中を歩いていた。真っ暗な闇の中。一筋だけ見える光に向かって、ゆっくりと歩いていた。ここは・・・どこ?声は出ない、いや出せない。だけど足取りはしっかりと、その光に向かって歩き続けている。自分の意思とは反した動きにとまどう。だけど、なんとなく分かる。ああ、死んじゃったか・・・・なんとなく、悟る。あの時、無理に魔術を使ったせいかな?そんな他愛もない事を考えながら、あたしは少しずつ、光の方へ近づいていく。自分が死んだことに、特になんの感慨も浮かばなかった。甘いあたし、弱いあたし。思えばここへ来るのは必然だったのかもしれない。いつか死ぬぞ、それが現実になっただけだ。だけど、そんなあたしでも二つ、無念だと思うことがあった。・・・ライネル、ゴーディ、ハイネ・・・ごめんね・・・あたし、駄目だったみたい。そして・・・ヘディンさん、ごめん。名前、もらう事出来なくなっちゃった・・・深い深い、後悔。だけど、それでも、最後に、炎の被害が拡大する前にあの黒衣の二人を倒せてよかったと思う。何人生き残っているか分からないけど、この死が無駄じゃなかった事だけを思う。・・・もういいかな?そう思った瞬間だった。「ちぇる姉さん」「ちぇる殿」「ちぇる姉様」声が聞こえた。・・・え?「そっち行くんじゃねぇよ」「その通りだ、ちぇる殿。そちらに行くの愚考だ」「こっちへ、私達の手を」だけど見えない。いや、それよりも。あんたたち。なんで・・・?その答えは得られない。どこからも。だけど、ふわっとした何かに、腕をとられる感触がした。そして、三人の気配が。前にライネルが、右腕にゴーディが、左腕をハイネが。『こっちだよ』あたしは、そのまま彼らに引っ張られる。どうして?そう思う思考は次第に薄れていった。何かに引き上げられるようにあたしの意識は浮上していくのを感じる。それが何を意味しているのか分からない。だけど、あたしはこのとき、ひとつの事だけしか考えていなかった。・・・どうして・・・?「ど・・・う・・・して・・・」「気付きましたか」「うう・・・?」あたしは朦朧とした意識を振り払いつつ、体を起こす。どうやらベットに寝かされていたようだ。そして、その傍らにあるイスに座っているのは・・・「ヘ・・・ディン、さん?」「記憶はあるようですね」彼はいつもの無表情でこちらを見下ろしていた。その目には、なんとなく嬉しそうに輝いているのは気のせいだろうか?「・・・ここは?」「アウグスタ教会です」とても静かなこの部屋は、アウグスタ教会のひとつにある医療室らしい。どうやらあたしは一命を取り留めたようだ。ヘディンさんに聞くと、あの時、最初の爆発が起こった数時間後にアウグスタに残っていた修道騎士が修道剣士たちを率いて駆けつけたらしい。「そこで全身に大火傷を負っていた貴方と、絶命していた黒衣の男たちを見つけました」あの黒衣の男たちは、シティシーフの一味であることが、氷の矢に貫かれた男が持っていた遺品から判明したらしい。「公社、教会共に貴女に感謝しています。貴女のおかげで、被害が最小限に抑えられました」そういってヘディンさんは立ち上がる。「ま、待って!!」「なにか?」あたしは、一つ、気になることがあった。「今、ブリッチヘッドは・・・どうなってるの?」「・・・・」嫌な、とても嫌な沈黙が流れた。それはあたしが予想していた、最悪の状況を肯定する沈黙だと、分かった。「現在、ブリッチヘッドに集まっている公社、教会連盟は・・・壊滅状態です」あたしが生死の境をさまよっている間に、戦いは起こっていたのだ。だが・・・「か、いめつ?」ブリッチヘッド近くに集結していた公社、教会連盟がシティシーフの軍勢と、結託した少数のビーストテイマーによって操られた魔物たちの強襲をうけたのだ。普通そんな状況でも・・・いや、そんな状況だからこそ瞬時に立ち回れるはずの冒険者たちだが・・・「どうやら相手は麻薬の力を使って痛みを消し、文字通り死ぬまで戦っていたらしいです」そう、あの切水草が原因の一端を担っていたのだった。傷を受けても麻薬の力で痛みを感じず、もし本当に危険になったら回復薬を使う。集結したばかりの公社、教会連盟と違い、彼らはずっとずっと前から準備していたのだ。公社、教会連盟は突如現れた黒衣の神官の活躍もあって、辛くもこれを撃退したらしいが、多くの死傷者を出してしまったらしい。そのため、街に残っていた教会の神官たちがすぐに救援に向かった。もしこのとき、あたしがあの黒衣の男たちを止めていなかったら街道は封鎖され、救援を送る事さえ困難となりさらに被害は拡大していただろう。だけど、このせいであたしの治療が遅れた。この教会の主がたった一人であたしを治療してくれていたのだが、二日の間生死の境を彷徨っていたらしい。「・・・公社関係者も併せ、教会の修道戦士、騎士。冒険者たちにも・・・」珍しく、ヘディンさんは顔を伏せて悔しげな表情をしている。彼は丁度、あたしの真名関係の仕事をしていてあたしより少し遅れて街を出たという。実はあの黒衣の男たち以外にもまだ数十ものシーフたちが潜んでいたらしいが、それを悉く全滅させたのが彼だと知ったのは、しばらく後のことだった。「そんな・・・・」「私はこれからすぐにブリッチヘッドへ向かいます。貴女は事が終わるまで休んでいてください」「あ、あたしも行く!!」「無理です。貴女の傷は、貴女が思っているほど浅くはない」「嫌だ!! あたしには、行かないといけない理由があるんだ!!」沈黙が場を支配する。どちらも引かない、引けない。確かにあたしの傷は深いかもしれない。だけど、だけど!!「まぁまぁ・・・どうしましたか?」そんな緊迫感溢れる場に現れたのは、赤を基調とした聖衣を着た女神官だった。「申し訳ありません、神官殿。少々・・・意見が食い違いまして」「ええ、聞いていましたよ」どうした、って聞いておいて・・・なんとなく喰えない人だ。彼女はニコニコと笑顔で、あたしの元へ歩いてくる。「何故、そこまで?」「あそこには、あたしの弟妹たちが・・・いるんです」「・・・っ」「まぁ・・・」ヘディンさんと神官さんが息を呑む。彼女はあたしをじっと見つめる。そして不意に、何かに気付いたように表情を変える。それは、哀。「ハイネの・・・お姉様なのですね?」「知ってるの!?」「ええ・・・・よく、話を聞いていましたから・・・」彼女はそこで顔を一度伏せ、再び顔を上げる。「連れていってあげましょう、ヘディンさん」「神官殿!?」これまた珍しく、ヘディンさんは顔をしかめて女神官を睨む。「すぐに戦いの準備を。彼の地はまだ・・・激戦区です」それだけ言って、彼女は部屋から出て行く。ヘディンさんはしかめた表情を戻すことなく、一度あたしを見てそのまま部屋を出て行く。・・・準備を、しなきゃ・・・あたしは痛む体を、無理矢理引きずり起こし、立ち上がる。立ち上がったとき、背中にひどい痛みが走ったが、そんな事はどうでもいい。・・・行かないと・・・今にも失いそうになる意識を拾い上げ、あたしは胸鎧に手をつけるのであった。続く・・・・・・・・・・・・つらいお話になってしまいそうです。・・・では次回、『死の女神・降臨』にて御座候。それじゃね。
Jan 22, 2008
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皆さんこんばんは。イスです(´・ω・)ノや今日休みだったのですが、寝て起きたらあたしの休日は終わってました。っていうか、普段どれだけ消耗しているのかよく分かる日でした。その後すごい落ち込んだけどね?あと、どうも寝相が悪かったらしく、布団がすごい場所へ飛んでいってたのがなんとも印象的でした。まさかイスの上に布団があるなんて、誰が予測できるでしょうか?他愛ない冗談です。ほぼ事実なんですけどね。さて、では早速いきましょうか。蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 8『死闘』翌日、あたしは今ブリッチヘッドへ向かうべく、テントヘンド平原フンド川の街道を歩いていた。今、そこには多くの商人や町の人たち。そしてあたしと同じような身なりの冒険者たちが行きかっている。これだけ見てると、とても今からブリッチヘッドでドンパチがあるなんて信じられない。平穏な日常そのものだと思える。しかし、あたしはこれから戦場となるブリッチヘッドへ行く。あまりのギャップに、考えることだけで正直憂鬱だ。公社からの直接の依頼でなければ、こんなことさっさと放り出してしまうのにな。だけど、それは出来ない相談なのだ。・・・いやだな・・・あたしは、生命を傷つける事を忌避している。それは人間だけではなく、動植物に関しても同様だ。確かに、あたしは普段の生活の中で肉も魚も、植物も食べる。だけど・・・自分から欲望のために何かを傷つけることはしない。命を狙われれば当然抵抗する。その際に相手の命を奪ってしまうこともある。極力避けてはいるが。それでも、命を奪う事を、それをしてしまった時の感触は吐き気がするほど嫌いだ。奪ってきた命は数知れず、それでもあたしが冒険者を続けるのはなんでだろう。過去に、甘いと言われた事がある。いつか死ぬぞ、とも言われた事がある。だけどそんな時もあたしは笑って答えてきた。「なんとかなるよ」、と。だけど、だけどだ。野にいる動物たちはよほどの事や、気まぐれでもない限り何かを傷つけることはしないと聞く。魔獣や魔人たちはその範疇にないが、逆に考えれば人間自体がそれらと同一とも考えられる。あたしはどうしたいんだろう。悪循環。答えなんて、ないのだろうけどさ。ぐじぐじ考えるのは、多分これから戦争が起こるせいだろう。駄目だな・・・今そんな事を考える時じゃない。今考えたような事を戦場で思い出せば、即座に死へと繋がる。考え事に埋もれてしまった人間ほど弱く脆く、壊れやすいものはない。気をとりなおそう。そう思った瞬間だった。そこに、殺気が来た。「!?」あたしは出来る限り素早く右へ、飛ぶ!!次の瞬間には爆音が鳴り響く。魔術か!?だけどそれは、あたしを狙ったものではなかった。爆発音は立て続けに起こる。これは・・・無差別攻撃。あたしだけではなく、街道を通っている商人を、町の人たちを、冒険者たちも巻き添えにして、次々と。「・・・っく」焼け付くような痛みを感じ、左腕を見ると案の定そこには火傷が出来ていた。どうやら先ほどの爆発を完全に避け切れてはいなかったようだ。傷は・・・浅くはないね。神経が見えるほどに深くはないが、左腕がひどく焼かれてしまっている。両足が多少火であぶられたが、ほぼ無傷なのは不幸中の幸いだけど、この状況はまずい。つまりそれは弓を持てないということだ。普通の矢ではなく、魔術で矢を作り出すとはいえそれを媒介する弓がないと魔術の精度はかなり落ちる。だけど、逃げることはできない。今の爆音はおそらくアウグスタの門兵たちにも聞こえたはずだ。援軍が来るまで、なんとか生き残った人を助けないと。あたしは残った右腕に魔力を込める。ウォーターフォールの氷の魔力。それをまず左腕に押し付ける。これが正しい治療法だとは思わないけど、少なくとも熱くなっている左腕を冷やすことはできて楽にはなった。だけど弓をもてるほどには至らない。さらに右手の魔力を強める。そこに、氷の矢を作り出す。要はウォーターフォールの応用。弓はあくまでイメージを作りやすく、ウォーターフォールの精度を高めるための物。ウォーターフォールに必要な矢自体はこうして作り出すことが出来る。あたしはそれを空に向かって全力で投げる。お願い・・・弾けて!!その願いは無数の矢に分裂することによって叶った。氷の雨が降り注ぐ。今だ燃える大地に向けて。そう、狙いは大地に倒れ付している人たち。未だに炎に包まれている人たちだ。生き残ってて!!それだけを願い、あたしはそのまま走り出す。爆発を起こした主がいるだろう場所は爆発の位置から考えて大体分かっている。茂みの中だ。あたしは第二の氷の矢を生み出す。いや、それはすでに矢という代物ではなく、2mを越す槍。弓がなくなって、精度が落ちたからこそ作り出せたもの。そこまで槍の扱いに長けているわけではないけれど、使えないことはない。何より魔力で出来た軽いこの氷槍ならば、左腕が使えなくても振るえる。あたしはその槍をそこにいるであろうと予測した茂みの中へ突き込む。手応え有り。だけど、浅い。その茂みから一人の黒衣の男が慌てた様子で飛び出してきた。わき腹から少なくない血が流れているが、それでもまだ動けそうだ。まずい・・・さっきのウォーターフォールで気をとらせていたはずなのに・・・仕留め切れなかった。自分を傷つけた相手を見て、黒衣の男は憤怒の形相を浮かべる。男から魔力が渦巻くのが分かる。凄まじい勢いでそれは男の腕に顕現する炎。あたしも男も手負いだけど、怒りのためか、彼は痛みをあまり感じてないようだ。なんとかあれが完成する前に・・・!!そこへ、新たな殺気が後ろから、来た。あたしは再び右へ避けることによって、後ろから来た殺気・・・炎の塊を避けることが出来た。だが。「あ、ああぁぁ・・・・!?」炎はそのまま飛んでいき地面に着弾したが、その爆発は割合近い場所だった。そのため、炎の余波で背中を焼かれた。これは、深い。敵が二人いたことに歯噛みする。確かにあれだけの爆発を起こしたのだ。目の前の男だけが単独で行ったわけがない。くそ・・・何故勘違いした!?痛みによって冷静な判断が鈍っていたこともあるかもしれないが、これは致命的だった。どうする・・・どうする!?左腕は焼かれ、背中もひどい火傷を負っている。もう、魔術を構成する集中力はない。だけど・・・一瞬脳裏によぎったライネル達の姿に、あたしは失いそうになる意思を叩き起こす。まだ、倒れていない。死にたくない・・・死ねない・・・まだ・・・あたしは・・・・まだ、死ねないんだ!!!目に力が蘇るのが分かる。正面をまず見た。敵はすぐそばにいた。おそらく目の前にいる男もあたしと同じように余波で焼かれたはずなのに、黒衣の男は今まさに魔術によって出来た炎をこちらへ投げつけようとしている。だけど遅い、まだ間に合う。あたしは素早く氷槍を炎に叩きつける!!氷の精霊と炎の精霊がその瞬間交じり、相容れぬと反発しあった。その結果は爆発。断末魔を叫び、男は炎に包まれるが、あたしの槍はまだ溶けていない。溶けてたまるか。今はそれだけじゃ終われないんだ!!自爆した男の炎に身を焼かれつつも、槍を突きこんだ勢いをそのまま無理矢理逆にして、後ろの男に投げつける。すでに意識が飛びかけて倒れこみつつも、最後の力を振り絞る。「ウォーター・・・フォール!!」言葉によって魔術を強制的に発動させた。新たな魔術を作ることは出来ないけど、今ある魔術を強制発動することなら出来ると踏んだのだ。魔術によって作られた槍はそれに従い、無数の矢に身を変え後ろから攻撃してきた男を穿つ。それは見事、もう一人の魔術師を完全に貫いた。その身が崩れ落ちるのを確認し、あたしも倒れる。最初の男が爆発した際に起こった爆発は、あたしの全身もひどく焼いていたのだ。しかも無理した衝動か、もう魔力も体力も尽き、動くこともできない。駄目・・・このままじゃ・・・だ・・・め・・・・・あたしの意思は意識を保とうと必死だったが、大火傷をしている体はそれを否定し、あたしを闇へ引きずりこんでいくのであった。続くってことで・・・・ブリッチヘッドに行く前に激戦が起こってしまいました。ちぇるママが燃えているよ・・・(AωT)ゴメンナサイ 炎炎(゚ω゚;)炎炎さて、冗談はここまでにしておいて、大怪我をして、さらに意識も失ってしまったちぇるママ。果たしてこの先どうなるのか?っていうか・・・ああ・・・あたしが掲載ためらった原因が近づいてくる。・・・では次回、『呼ぶ声』にて御座候。そんじゃね~ヾ(゚ω゚)ノ゛
Jan 21, 2008
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皆さんこんばんは。イスです(。_ _)。グゥ・・・・この顔文字を出すときって、大抵やばい案件や問題抱え込んでいるときなんですが、今回もまたやばいやばい(´・ω・`)シンジャウヨゥ・・・前にいくつかの案件を他の人に引き継いだのですが、もう大爆発寸前ですよ?っていうか、あのお客様には要注意、ってかこのままだと即解約になっちゃいますよ、って言っておいたのに・・・あー・・・あーもう!!!!!!うん。いいんです。もう無理、って案件こっちに戻されても、あたしは頑張って対処するだけです。あ、でも一発マジグーで殴ってもいいですか? 駄目ですか? ソーデスカ・・・・・・いいんですけどね・・・多分もう誰からも抱え込むな、って文句も言われなくなるでしょうから・・・はぁ・・・・じゃ、始めますか。蒼き石の物語外伝蒼き氷の女神蒼き氷の女神 7『アウグスタの夜』あたしは今、公社の一室に通されている。あたしはやわらかい椅子に座って。一緒に来たヘディンさんは入り口近くで珍しく不機嫌そうな顔をして寄りかかっている。今回ここに来たのは、ハノブでの襲撃事件について公社に連絡をいれておくためだ。時折、冒険者の中にはこうした荒事のトラブルや冒険者間のトラブルが起こる。それを仲介する役目を公社は請け負っている。公社に登録している公認冒険者の特権のひとつとも言えるが、時折そうした中で解決できそうにないもの、また冒険者で重大な犯罪を起こした場合、それを裁く権利も同時に有しているのだ。だが、今回に関してはこちらに過失はないはず。しかも、公社側であるヘディンさんも巻き込まれているわけだし。とはいえ・・・「分かりました。それではこの件に関しましては、こちらで対処いたします」まるっきり事務的な言葉だな。今目の前に座っているのは一目で高価だと分かるスーツを着た影の薄そうな中年紳士。最初に名刺をもらった時に書いていた名前は確か・・・ヴェド・サウルスミス。「対処って・・・どうやって対処するんですか?」「それはお答えできかねます。と、いうよりも正直こちらでも苦慮しそうな件ですので」彼ははっきりとそう答えた。苦慮・・・当然と言えば当然か。なんせ相手は個人ではなく、組織なのだから。「今回ちぇるしー様が何故狙われたのか、またどうして貴女の存在を知られたかという事も問題点として挙げられます」そうして彼・・・ヴェドさんは胸の内ポケットからシガーケースとシガーカッターを取り出し、あたしに見せる。「よろしいですか?」「どうぞ」「ありがたい。公社の中でも禁煙の空気がありましてね。重度の喫煙者としては苦しい限りでして」そう苦笑いしつつ、彼は葉巻を一本取り出し喫い口をシガーカッターで切り落とす。それらをまた胸の内ポケットにしまい、トントン、とその存在を確かめるように胸を叩く。変な癖だ。「さて」そこでヴェドさんはこちらへ話を切り出す。「おそらくすでにご存知でしょうが、貴女を襲った者たちはブリッチヘッドのシティシーフたちです」やっぱり。「ハノブでの騒ぎ、実はこちらへも連絡が来ております」その上すでに彼らの身元も調べたのか。こうした情報に耳が早いのも、さすが公社、と言うべきなんだろうな。「貴女が私どもから請け負った仕事に関しましても、すでに中止という形で私から対処して完了しております」と、彼は紫煙をゆっくりと吐き出し私に言う。影が薄そうな顔して、この人意外とやり手だ。・・・あれ?『紫煙をゆっくりと吐き出し』って・・・・?「そこで申し訳ないのですが、こちらから一件依頼をしたいと思います」疑問を感じた顔そのままに、私は疑問の視線を彼に向ける。「シティシーフ殲滅戦の依頼です」「殲滅!?」あたしはごく自然と声を荒げてしまった。事態は、そこまで激化してしまったのか・・・あたしは苦い思いを噛み締める。殲滅。それはつまり・・・全滅させるまで戦うということだ。一兵も残さない、その悲惨なまでに残忍な戦い。「その通りでございます。既に、アウグスタを中心に各ギルドには連絡させていただいています」「ギルドに所属していない冒険者に関しても、強制ですか?」「はい」嫌な顔を隠しもせず、あたしはヴェドさんを睨みつける。「事はすでに、公社や教会のみならずこの国の危機と上層部は判断したようです。この決定は覆りません」ある意味、勅命と同じようなものだ。この依頼を断るなら、あたしは公社から脱退し、冒険者を引退しなければいけない。だが、あたしはこの生き方しか知らない。冒険者としか、生きていけないのだ。「・・・分かりました」吐き捨てるようにして出た言葉は、行き場所がないようにあたしの中で今だ残留しているような気分になった。「ありがとうございます」ヴェドさんはそのまま依頼の詳細へと話を進めていった。「ヘディンさんとは、ここでお別れね」「ええ。非常に腹立たしい限りですが」そう言いつつも普段の無表情を貫き通すこの人は、なんとなくだが好感が持てる。氷のような無表情だけど、中身は実直で頑固な人なんだろう。初めてあった時からの印象はあまりよくなかったが、今はまったく逆だ。クスクスと笑うあたしに、ヘディンさんは微妙に心外、という視線をこちらに向けていた。『真名の冒険者』なんて、頭でっかちばっかりだと思っていたけど彼を見ていて随分印象が変わったものだ。だけど、彼が真名の試練を切り上げつつも公社に戻るのは仕方ない事だろう。今回の依頼では、珍しく公社側も殲滅戦に加わる。おそらく公社の中でも彼はかなりの腕の魔術師なのだろう。実力で言えば、あたしよりも数段上であることはそれなりに一緒に冒険してきた中ですでに分かっている。「あ、そうだヘディンさん」あたしは、ふと思い出した疑問を彼に聞いてみる。「さっき、ヴェドさんが一本だけ煙草を吸ってたよね?」「ええ」やっぱりそうだよね。「じゃあさ、『いつ火をつけたのか』教えてもらえる?」そう。あたしは彼の姿をじっと見ていた。それこそ、彼がどんな動きをしていたか、今でもしっかり思い出せる。だけど、ただ一点だけすごく気になる点が今の『いつ火をつけたのか』、だ。その疑問に、ヘディンさんは一瞬だけ目をほそめた。「よく気付きましたね」あたしはそれにウィンクで答える。「・・・実は、私にも分かりませんでした」「え~」非難の声を上げてみるが、なんとなくあたしもそうじゃないかとは思っていた。おそらくヘディンさんも気になっていたんじゃないか、とそう思えたからだ。あたしはある程度長い期間冒険者として動いている。だからこそ、どんな細かな点にも気をつけてひとつひとつの動きに注意している。時にそれは命を左右するような事に繋がる可能性があるからだ。そしてヘディンさんは真名の探索者として、常に人々を見ている。それが仕事であり、同時にそれこそが真名という不明確な物に名を冠するための道として必要になるからだ。だが、そんな二人の目をかいくぐり、あのヴェド・サウルスミスは火をつけるという何気ない仕草を見せなかった。喉にひっかかるような、そんなに大きく取り挙げるような行動ではないのが余計に気になるのだ。「そっか。それじゃ仕方ないか」なんとなく残念な気がしたが、仕方ない。あまり気にするのはよそうと、あたしが別れの挨拶をしようとしたときだった。「ヴェドには、ある二つ名があります」え?ヘディンさんがふと呟いた言葉に、あたしはまた疑問の顔になってしまった。「『手品師』・・・ジャグラーという意味での手品師です」ジャグラー・・・手品師・・・ね。その名があの紳士に合うものかどうかは別として、さっきの気になる点にだけ関して言えば、それはピッタリな物だと思った。ヘディンさんはそれだけ呟いて満足したのか、あたしに向かって別れを切り出す。「それでは、幸運を」「貴方もね」そう言って、あたし達はパーティを解散したのだった。あたしは酒場に向かっていた。久々に弟たちに会うために。そして何より、今この状況について話し合うために。だが、彼らはすでにそこにいなかった。「おや、ちぇるさんじゃないか」「あ、マスターこんばんは」「てっきりブリッチヘッドに向かったと思ってたよ」「まぁ、あたしもいくんだけどね」そう言って、あたしは久しぶりにお酒を注文する。酒場のマスターに訪ねると、彼らはすでにブリッチヘッドに向かったらしい。どうやら殲滅戦についてはあたしが真名の試練を受けた直後から随分話題になっていたようだ。あたしが色々動きすぎて、なによりハノブへ出向いた事もその話を耳にしなかった原因だといえる。ライネル達を始め、顔見知りの冒険者は全員、ここにはいなかった。ライネル、ゴーディ、ハイネと一緒に呑んで以来か・・・そういえばこうして一人で呑むなんてこと事態、二年ぶりか。そう思うとなんとなくお酒も味わい深く感じる。でも・・・「なんか寂しいなぁ・・・」「だろう?」マスターもそう言って笑う。多分あたしとは別の「寂しい」なんだろうけど、周りを見回すとそこにいるのは騒がしい冒険者ではなく、一般人のみだ。そんな彼らもどことなく、寂しそうな様子だ。多分・・・今は、ほんとに異常な状況なんだろうな。道すがら街を見ていたが、2ヶ月留まっていないだけで見かける修道剣士たちの姿が随分少なくなったように思う。マスターの話から、最低限の人間だけ残して教会もブリッチヘッドに集結しているそうだ。「だけど、そんなにたくさん人集めてシティシーフも逃げ出さないのかね?」マスターはそんな風に言うけど、おそらく彼らは逃げない。何故なら、この戦いは彼らにとっても必要なことだから。組織とは・・・いや、人とは譲ってはいけない一線がある。おそらく彼らはこの戦いで自分たちの位置づけを上に上げることを考えているのだろう。もともとシーフとはどの国にも必ず存在する機関のひとつなのだ。国が表を支配するならば、裏にも支配をする存在が必要となる。犯罪を一定数に押さえ、公的に国の暗闇を管理するもの。それを担うのがシーフギルドと呼ばれる存在。だが、この国には公社がある。冒険者たちがいる。彼らがシーフギルドの存在を必要としない理由になっているのだ。表の支配を国が行い、暗闇には公社や冒険者たちが対処する。シティシーフたちにすれば、これほど腹立たしいものはないだろう。それが頭領の代替わりをしたことで一気に爆発してしまったのだ。あたしは杯を一気に空にして、小銭をカウンターに置き席を立つ。「また来るね、マスター」「毎度」それだけ言ってあたしは酒場を出る。あたしは夜の空を見る。暗いね・・・嫌になるくらいに・・・不吉と不安とやるせなさが、あたしの体を打つ。続くと、いうことで第7話です。仕事のせいで家に帰ったら速攻でお風呂、そしてバタンキューなせいで毎日UPが出来ません(´・ω・`)ソレモコレモ・・・ほんと、申し訳ないです・・・さて、そんなこんなで事態は急加速します。そして、『シティシーフ殲滅戦』。ひとつだけ、書きますとこの事件が後に大きく『蒼き石の物語』に絡んできます。とは言いつつも・・・・どんな物語となるのかは、この先を読んでいただくしかありませんね?ってことで次回『死闘』にて御座候。そんじゃね~ヾ(゚ω゚)ノ゛
Jan 20, 2008
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皆さんこんばんは。イスですヾ(゚ω゚)ノ゛ここ数日で色々と厄介なトラブルが舞い込んできます。おかげで昨日更新しようとした物語も、家に帰ってきて速攻でベットに倒れこんだせいでUPできなかったり。あー・・・あたしに平穏という文字はないです。まぁ、社会人なら誰でもそうなんだろうけど。じゃ、早速始めましょうか。蒼き石の物語外伝蒼き氷の女神蒼き氷の女神 6『不穏の空気』予想に反してそこにいたのは、十数人の「人」だった。あたし達は背の高い切水草に潜んで様子を伺っている。・・・あれって・・・ブリッチヘッドのシティシーフ?畑に現れた連中の姿は、ブリッチヘッドで時折見かけるシティシーフたちだった。彼らは青い装束を常に身に纏い、ブリッチヘッドの裏を牛耳っている者たちだ。様々な悪事を働くと同時に、その存在が大きな抑止力となり外国との取引がよく行われるブリッチヘッドではある意味なくてはならない存在。非常にまずい。彼らを敵に回すという事は、つまりブリッチヘッドの裏を敵にまわすことだ。アウグスタに近い都市でもあることから、それはあたしにとってかなり致命的な事だった。だけど何故? 連中はなんでこんな田舎とも言える村に出てきている?「・・・切水草の根が、目的ですね」ヘディンさんが珍しく自分から話しかけてきた、が。切水草の・・・根・・・あ!?そうだ、失念してた。切水草は滋養強壮となる薬の原材料。だけど、その根にはかなり依存性の高い「麻薬」に近い成分が含まれている。ううん、実際に特殊な製法を使えば簡単に麻薬を作れるのだ。よくよく考えれば、公社から依頼が来たのも、この切水草の事を知っていたためかもしれない。でも、住人の話では魔物ということになっていたので公社も個人受注を許したのだろう。だけど、人が相手・・・しかもシティシーフが相手であれば、本来この依頼は個人単位ではなくギルド単位で発注する依頼だ。「厄介な依頼を受けちゃったな・・・」どうする? 相手はブリッチヘッドの闇。一人一人を相手にするのであれば、そう苦戦はしないが彼らの実力はグループになったときに発揮される。確認できる数としては十人。こちらは二人。ヘディンさんの腕が立つと考えても、これは分の悪い勝負かも。・・・・よし。「ヘディンさん。引くよ」「いいのですか?」「命があっての冒険者家業。これは明らかにオーバーワークだし、危険な状況だよ」「分かりました」こういう時、彼の身軽な動きは助かる。ライネルたちだったら、突っ込むのだろうな。内心苦笑しつつ、あたしたちはゆっくりと身を引いていく。ふと、彼らから声が聞こえた。「――――れを―――ブリッチ――ドへ――――――」・・・嫌な・・・予感がした。とても、嫌な。村へ戻ったら、急いで村長に知らせて、アウグスタへ戻ろう。不吉な予感を胸に抱いたまま、あたしとヘディンさんはゆっくり・・・・静かに後退していった。はっきり言えば、その予感は経験と知識から基づく直感とも言える。ブリッチヘッド。おそらく彼らは切水草をあの街へ持っていくのだろう。だが一つ疑問が浮かぶ。シティシーフはそれなりに大規模な組織だ。わざわざ闇に紛れて動かずともどこかの村で栽培させることだって容易なはずだ。なのに何故わざわざあんな村の農園に?いくつか想像できるが、一番納得できるのは・・・「動きづらい状況なのでしょう」ここはハノブの酒場。あたしたちはあの村の件から手を引いて、すでに一ヶ月が経っている。あの後、村長には話をしておいたが、念のためアウグスタの教会や公社にもシティシーフの事は連絡している。しかし、あたしはどうにも気になって仕方がなく、新たな依頼をこなしつつここでヘディンさんに話してみた。彼は右手に持つティーカップを持ち、目を閉じつつ答えてくれた。「動きづらい?」「ええ・・・ザッハトルテをお願いします」彼はとある宰相が菓子職人に作らせたと言われる伝統あるチョコレートケーキを注文。「最近、ブリッチヘッドの議会から公社経由で大掛かりな依頼を各ギルド、教会関係に連絡しているという話があります」「へぇ?」それはちょっと意外。確かブリッチヘッドの議会って、シティシーフと共存の姿勢をとってなかったっけ?彼は注文したザッハトルテにフォークを差し込みつつ、答える。「ええ。確かにあの街はシティシーフと共存していました。しかし、最近そのシティシーフの頭領が交代したという話です」「交代? 何か思想改革でもあったのかなぁ?」「そこまでは分かりませんが・・・どうやら何かすれ違いのようなものがあったのは間違いないでしょう・・・すみません、パンドーロをお願いできますか?」パーネ・デ・オーロ(黄金のパン)に由来される、これまた伝統のあるケーキを注文しつつ、彼は紅茶を飲む。「でも、それが何で切水草を盗むことに繋がるのかな?」「・・・噂が流れています」噂? その疑問の顔色を彼は察したのだろう。注文したバンドーロをフォークで切り分けつつ答える。「議会の議員の一人が、暗殺されたという噂です」息を飲む。暗殺・・・それは・・・つまり・・・「まさか」「ええ。彼らの仕業だと、議会は睨んだようです。その証拠に暗殺された議員はシティシーフ排斥派の中心人物でした」それはあまりにも無謀な事だと思えた。何故なら、そんな大物が急死したとなれば、まず真っ先に疑われるのはシティシーフ達のはずだ。「公社側でも何か情報を掴んだのでしょうね・・・本腰をいれています」 彼は切り分けたケーキを「一人」で食べ続ける。「でも、そんな状況で何故切水草を?」「根にある麻薬の原材料は勿論ですが、おそらくポーションなどの薬品を作るためでしょうね・・・桜餅をいただけますか?」桜色に色づけされた生地で小豆餡を包み、塩漬けした桜の葉で包んだ餅菓子を注文しつつ、彼は言葉を続ける。「おそらく彼らは何か大きな戦いを起こすつもりなのでしょう。あくまで予想ですが、おそらく今ブリッチヘッドではポーションなどの薬品類の販売が規制されていると思います」もしそうであれば、あの村で何故シティシーフたちがわざわざ危険を冒してまで切水草を手に入れようとしたのか、説明できる。戦いとは、武器や食料は勿論。薬品なども重要な物資となるのだ。薬品の規制などがあるならば尚更だ。おそらく彼らはその原材料を持ってどこかの薬剤師の元へ駆け込んだりしているのだろう。「元からおかしいとは思っていました。何故彼らがあれほど大人数で切水草の採取を行っていたのか」切水草の根だけが目的ならば、一人か二人で十分あたし達が見張っていた畑の切水草の根を採取できたらしい。だが、彼らは十人以上で畑に来た。しかも、彼らが去った後、その畑にあった切水草は根こそぎ奪われていた。つまり、彼らは根の部分だけが目的ではなかったのだ。「だけど、大胆すぎない?」「もともと議会や公社、それに教会からもすでにマークされていたのです。今さらという気はしますが?」ヘディンさんは桜餅をムシャムシャ食べつつ、珍しく皮肉を言う。今さら・・・まぁ、確かにそれはそうだけど・・・「それにしても、あそこまで派手に動くかなぁ・・・?」「彼らのような組織は、もともと上下絶対の世界ですからね。上がYESと言えば、下はそれに従うのでしょう」そんなものかな?とはいえ、組織といわれるほど大きな物に所属したことがないあたしは確実な事が言えない。というか、この人一体いつまで食べてんだ!? あと、酒場なのに何でこんなにお菓子揃ってるんだ!?「さて・・・・食べたりない気もしますが・・・」そこでヘディンさんは紅茶を皿に戻しつつ、立ち上がる。「気付いていますか?」「うん。準備できてる」その瞬間だった。まず窓が割れ、大量の矢が降り注いできた。洒落にもならない攻撃。あたしはテーブルをひっくり返して盾にする。トス、という軽いが矢が突き刺さる音が連続した。次に聞こえた音は、ドアが開く音。こっちはドン!だ。見ると、すでに店員やマスターはもういない。さすが荒くれ者の街ハノブ。慣れたもんだね。「どうします?」あたしの横でのんきに構えるヘディンさん。さて、どうしようかな。今襲ってきている連中の錬度がどれだけか知らないけど、殺気も隠せないようだったらまだいける。「逃げよっか」「追いかけてきますよ?」「さぁ? 逃げ切れればOKじゃない」あたしはヘディンさんに強気の笑顔を見せ、動き出す。「足止めお願いね」その言葉に、彼は一瞬で答えてくれた。『シルバーインパクト』その言葉と同時に彼を中心に氷の大地が作られた。って、わわ!? あたしも滑る!?転げそうになった瞬間、あたしはヘディンさんに後ろの首根っこを掴まれてジャンプ。そのままカウンターを飛び越える。彼は意外と力持ちだ。気分はネコだねにゃーご。と、敵は・・・顔面から思いっきりゴツンと倒れてる。正直、かなり痛そうだ。でも問題はここからだ。一瞬だけ感じる殺気。上だ。あたしは銀弓を天井に構える。『マジカルアロー』現れた光の矢は凄まじい速度で天井裏にいるだろう暗殺者を貫く。何かが倒れる音を聞き、あたしを掴んだヘディンさんはそのまま裏口を通り抜け街へ飛び出す。おそらく『ヘイスト』を使っているのだろうけど、それを引いても早い早い。あ、でも首痛い痛い!!少し涙目になる。追いかけてくる敵は・・・いる!?あたし達よりも遥かに早い速度で建物を渡ってくる影。「ヘディンさん。上!!」「・・・『ダイヤモンドカノン』」その魔術が発動すると共に、あたしの前に数十の先端が鋭く尖った氷塊が現れ、その影に向かって撃ち放たれる!!だが、驚くことにその影はそれを見事に避けきってみせた。しかし、そこが狙い目だ。避けた影に狙いを合わせすでにマジカルアローをいくつも打ち込んでいる。いくつかは避けられたが、それでも影の足に命中したことを確認してあたしは弓を下ろす。「どこまで行きましょうか?」「アウグスタまでお願い」「分かりました」あたしたちはそのままハノブの街を出る。いくつか仕事が残ってたけど、こうなってはどうにもならない。ひとまず、今はアウグスタに戻ることが第一だ。・・・でも、いつまであたしの首掴んで走るのかなぁ・・・まさか・・・・本当にアウグスタまで走る気・・・・?この後、あたしはしばらく首を動かすこともつらいほど、長時間ネコ状態になっていたのだった。・・・にゃ~ご・・・続くと、いうことで6話目です。全体的に見ると、どうやらこれってヘディンさんの外伝を超えちゃうほど話数ができちゃってるよーな・・・あ、でも文字数を考えればどっこいどっこいかな? 移動が多いというのもありあますしね。ってことで、お話はブリッチヘッドに向かって少しずつ動き出します。一体どうなるやらね?では次回、『アウグスタの夜』にて御座候。それじゃね~ヾ(゚ω゚)ノ゛
Jan 16, 2008
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皆さんこんばんは。イスです。・・・・・・・・・死ぬかと思った3日間でした。いまさらとやかくいう気もないけれど、ここまできついのは久々でした、っと・・・さ、それじゃ始めましょう。蒼き石の物語外伝蒼き氷の女神蒼き氷の女神 5『真名の探索者』「よろしく、ヘディンさん」翌日、あたしは公社から派遣された一人の男性と会っていた。ここは公社の建物の一室。見るからに高そうな物がそこかしこに飾り立てられ、微妙に悪趣味な気がする。金儲けしているんだろうな・・・そんな言葉が頭に浮かぶ。今、あたしの目の前の椅子に、一人の青年が立っていた。「どうぞ、よろしくお願いします。ちぇるしーさん」男性はヘディンと名乗った。見るからに魔術師風の男だが、外套についている印から彼こそが『真名の探索者』というのが分かる。年齢不詳の顔のため、何歳なのかさっぱり分からない。おそらくあたしよりは歳上なのだろうけど、ともすれば年下でも通用しそうではある。「これからしばらくの間、貴女の名前を『探させて』もらいます。そこで・・・」「その間はPTは禁止、でしょう。分厚い書類には、目を通しているわ」「結構なことです」ニコリ、ともしない。動作の一つ一つを探られている印象があり、なんだかいい気分ではない。「で、悪いのだけどこれからどうすればいいの?」「私の事は空気程度に思っていただいて結構です」って言われてもな・・・あたしが困った顔をするが、彼はそれ以上何も言わない。送られてきた書類の山にはどのような審査がされるのか書かれていなかった。審査に関しては一枚の紙に一言だけ。『真名の探索者』は貴方を見ています。とだけ書かれていた。なんともいじわるな書き方だ。だけど、それはつまり日頃の行動から『真名』がつけられるということだろう。あたしは何をするべきだろうか?・・・いけない。全く考えもつかない。考えても仕方ないか。あたしたちは部屋から出て、なんだか居辛いこの建物から早々に退散したのだった。特にすることがあったわけではないが、久々にソロ―――まぁ、ヘディンさんがいるから二人なわけだけど―――を楽しむことにした。とは言え、あくまで『空気』と言い張る彼への接し方がいまいち掴めず、どのようなクエストを受けるべきか迷った。でも、ここで力量以上のクエストを受けて怪我などしたら洒落にならないし、それこそどのような二つ名がつけられるか分かったものじゃない。ではどうするべきか?力量にあったクエストや仕事を請ければいいのだ。どうせあたしの事は公社を通じてほとんど知られているだろうし、普段とは違う事をしても失敗の元。ということで、しばらくの間は旅商人の護衛や依頼された品を探索するクエストなどを中心とした楽なものを受けることにした。一度決めてしまえば後は順調に事は進んでいった。いくつかのクエストを受けつつも、運の良い事に荒事になるような物はなく、比較的穏やかに時間は経過していく。そしてそんなある日、あたしは公社から依頼を受けることになった。内容はとある近隣の村に出没する魔物の退治。普段なら断るような依頼ではあるのだけど、今の状況が状況だけに公社からの直接の依頼を断るわけにはいかず、受けざるをえなかった。村を荒らす程度の魔物であれば、そこまで苦戦をすることはないだろう。退治・・・とは言われているが、要は魔物を二度と近づこうと思わないように痛めつければいいわけだ。わざわざ命を奪うこともないだろう。気の乗らない依頼ではあったが、そう思いなおしたあたしはは村にたどり着き、村長から依頼内容の確認を行った。報酬は50万。この手の依頼としてはあまり多いほうではないが、それも仕方ないか。魔物はどうやら夜な夜な村の近くで栽培されているポーションの原材料となる切水草の畑を荒らしているらしい。姿を見た人の話から、どうやら人型の魔物という情報は得ているが、他はさっぱりだ。どうなることやら・・・「現れないなぁ・・・」あたしは今、畑の近くにある倉庫に身を潜めていた。ここは収穫された物を整え、箱に詰めて街に出荷するまでを行う作業場だ。「・・・・」あたしの呟きに、ヘディンさんは何も答えない。すでに一ヶ月。ヘディンさんはあたしに着いてきている。その間、彼がとても無口な人だという事が分かった。必要最低限の受け応えは丁寧に答えてくれるが、自分から口を開いたのを見たことがない。だけど、どうやら彼は只者ではないようだ。特に身のこなし。足音を立てずに移動させるその重心移動には関心させられた。おそらく、彼が本気を出せば腕の立つ冒険者でも気配を感じさせることなく近づくことが出来るだろう。実際、それで何度か脅かされちゃったし・・・意外に思われるが、『真名の探索者』はただの公社の一員ではない。彼らのほとんどが、実はかなりの腕を持つ剣士や魔術師なのだ。しかも、この『真名の試練』中は、彼らを顎で使っても構わないらしい。それは指揮官のように人を従えることに特化した人物の名さえ探せるという意味と同義だ。なんとも大変そうな職業だと思う。・・・それにしても現れないな・・・夜に一人でじーっとしてるのも結構疲れる。あたしの提案で、ヘディンさんと交代で見張りをすることになっているが、彼は眠る様子を全くみせない。最初と同じく、今も彼は私の名前を文字通り『探して』いるのだろうか?正直な話、多少うんざり感があるのが本音だ。四六時中見張られているような気がして全く気が抜けない。ふと、彼が動いた。ポケットに収められている銀の時計を取り出したのだ。高そう・・・彼はそれで時間を確かめ、あたしに話しかける。「そろそろ時間ですね」「ん、それじゃ交代ね」彼が居眠りするんじゃないかという疑いはない。あたしも、一晩寝ないくらいどうってことないけど、今は眠らせてもらう。どちらかというとしっかり寝ないと力が発揮できないタイプなんだよね。村から提供された毛布を手に取り、あたしは壁を背に目を閉じる。そして眠ることに集中する。眠ることも仕事の内だから。だけど、どうやら今回の魔物はとても間の悪い奴らしい。「きましたよ」ヘディンさんから声がかかったのは、睡魔が訪れかけた時だった。「ん」あたしは毛布を脱ぎ、地面に置き、銀弓をとる。ライネルたちと出会った時に手に入れた弓は、今ではすっかりあたしの腕に馴染む物となっていた。売るつもりだったけど、なんだか気に入ってしまったのだ。あたしに準備という準備はないが、ヘディンさんはどうかな?「いつでもどうぞ」彼も立ち上がり、いつもの無表情であたしを見る。さて、正体不明の魔物とご対面だ。続くというわけで、5話目となりました。と、いうわけで早速ヘディンさんの登場です。ふと考えてみると、真名の探索者ってかなりの重労働なんだな、って今さらながらに思ったり。今度ちょっと真名の探索者がどんな職業なのかを一度まとめなおしてみようかなぁ・・・とか考えています。そして、正体不明の敵とは何か?それでは次回、『不穏の空気』にて御座候。それじゃね。
Jan 14, 2008
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皆さんこんばんは、イスです(。_ _)φ_シヌカモ・・・・・・・・・・・・歯が、歯が痛いんです。アイタタなのです。あう~痛いよ~泣くよ~痛いよ~()TωT()死んじゃうよ~(号泣なんか歯医者言ったら、「歯茎に膿の袋が出来ちゃってるね~これはいたいね~」って。いや、お願いだからなんとかして・・・「袋が深いところにあるから、時間かけて抜くしかないね~。しばらく痛いかもしれないけど我慢ね?」このやぶ医者、って思いましたけど、本当にどうにもならないらしいので・・・痛みで一晩眠れないなんて、いつぶりだろう?はぁ・・・しばらく堅い物もやわらかい物も食べれそうにないです。・・・・液体系の御飯は嫌ぁぁぁぁぁ!!!!・・・それじゃ、始めますか。蒼き石の物語『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 4『時流れて』彼らとあたしの冒険が始まった。未熟な冒険者である彼らは最初は足手まといにしかならなかったが、砂が水を吸い込むように多くの知識を私から吸収していった。一つ一つの経験は、彼らの中で血となり肉となる。一つの成功が自信を呼び、一つの失敗が己を見直すきっかけとなる。未熟であるゆえに、その一つ一つがとても大きく、とても大切な経験値となる。ライネルは剣士として必要な技を戦いの中で学び、時には神聖都市にある修道剣士たちの鍛錬場で、少しずつ、だが確実に強くなっていった。最初は振り回されていた大剣の扱いも見違えるように上手くなったと思う。すぐ物事を追い詰める性格と、猪突猛進の悪癖はまだまだ直っていないが、それでも最近は冷静に状況を確認することを覚えたようだった。ゴーディは魔術師として才能があったようだ。彼はあたしが直接魔術師としての心得を教え、魔術の力を伸ばしていった。無詠唱魔術などの高難易度詠唱術も驚くべき短期間で使いはじめ、薬物調合などの知識も増やしていった。一度スマグで依頼があり、その時出会った教授に自分の元へ来いと言われた。だが、彼はまだまだ学ぶ事があるからと、その誘いを断った時は驚いたものだ。ハイネは神聖都市のとある教会で、すばらしい神官に出会ったようだ。神に仕える者としての心構えを学び、元からあった信仰心もあり、辛い修行を乗り越え、驚くことに神官として教会から称号をいただくまでになった。神の魔法については、まだ未熟ではあったが、それも年月を重ねることによっていつか完成されたものになるだろう。いつかは、高位神官か? とかね。彼らがあたしとPTを組むきっかけになった、エルフ冒険家から剣を奪うクエストも一年後にはなんなく達成できた。それに、何度か大きなクエストもこなした。荒くれコロッサスの討伐。魔法都市の地下に出現したオールドゴーレムの討伐。コールドラッシュの金塊発見。最初は手助けしていたクエストも、だんだんと逆に助けてもらうようになってしまっていた。彼らの成長を喜びつつ、あたしは次第に彼らを弟や妹のように思うようになっていた。この三人は強くなる。いつか、冒険者としてすばらしい功績を残せるかもしれない。二年が経過したころから、あたしはそう思い始めていた。そして、あの日。あたしに『真名の探索者』が『真名の二つ名』を探索するべく派遣されたときだった。ここはアウグスタの酒場。私たちは、もしもの時のため、医者や神官が多くいる神聖都市アウグスタを冒険の拠点として場所を移していた。今、その中のひとつのテーブルを陣どって、あたし達は集まっていた。「すげー!! すげーよ。ちぇる姉!!」二年前よりも背が高くなり、顔にエルフ冒険家と斬りあい、その時出来た誇りとも言える傷をつけたライネルは、相変わらず大きい声で言う。あたしは顔をしかめつつ、だが彼の本当に嬉しそうな笑顔に怒る気をなくした。「騒ぐなライネル。小生、いつかちぇる殿はやる人だと思っていた。これは当然の結果だろう」普段から顔を隠しているゴーディが珍しくフードをとり、ライネルに向かって皮肉を飛ばすが、彼も嬉しく思ってくれているのだろう。その言葉は、どこか柔らかい。「本当にすごいことです。ちぇる姉様」ハイネはこの二年で美しく成長していた。胸にはシスターの聖印ではなく、神官のソレを輝かせ、以前よりもさらに上品になった言葉遣いで喜んでくれていた。師とする神官の影響だろうか、なんだか包容力も上がったかも。彼らはこの二年で大きく成長したが、あたしはあんまり変わりない。ある意味完成されているあたしがいきなり変わるのも変な事だけど。この日、あたしの元に一通の手紙が届いていた。それは公社からの手紙。内容は『真名の試練』を受けるよう指示されていた。『真名の試練』それは冒険者であれば誰もが憧れるものだ。何故なら、良くも悪くも、この試練は知名度、実力とも認められなければ受けることがまず出来ない。時折、実力以外にもすばらしい功績を残した者たちに通知が来るときもある。また、通常の二つ名を戴くさい、その名を決定する「名の探索者」という職業冒険者では判別不可能と判断された者たちを調べる役目もある。精神的、また実力を共に旅をするという方法でその者の真の名を暴き、冠せる者でもあるわけだ。だが一点だけ、共通するものがある。『真名の試練』で手に入れた二つ名を持つ者は、ほとんどの人が『実力者』だ。中には何故かそれを拒否しようとする不思議な人もいるが、大抵の冒険者は喜ぶ。あたしも、表面上喜んでいたが、実は内心そうでもない。『真名の試練』は、例外なく『真名の探索者』と呼ばれる者と一緒に冒険を行わなければいけないからだ。つまり、彼らと一時的とはいえパーティから離れなければいけない。それが嫌だった。二年前には考えもしないことだったが、この三人の弟妹をそれだけあたしは可愛く思っているのだ。いつかは、別れなくてはいけないし、離れることになるだろう。それは分かっているが、今は、今だけはこの時間を大切にしたいと思っていた。「ちぇる姉はどんな名前がつけられるんだろうなぁ~」「小生。はっきり言って考えもつかんな」「って馬鹿野郎。そりゃ誰だってそうだろ!!」「ふ・・・賢明なる小生でも分からないのだ。貴様は当然だな」「んだと~!!」「二人とも。そんな言い争いは外でやってくださいな」苦笑。なんだかんだで、幼い頃からお互いを知っている彼らは自分たちの役目をしっかり把握している。男二人で馬鹿言って、それをハイネが止める。そして、あたしはそれを苦笑いをして見ている。なんだかいいなぁ・・・こういうの。「でも、ちぇる姉様だったら、とても優しい二つ名になるんでしょうね」ふと、ハイネはそんな事を言い出した。「あたしが?」それをあたしは笑い飛ばそうとした。が、出来なかった。「俺もそう思う」「小生もだ」珍しい。この三人の意見が合うなんて。あたしは紅茶から手を離し、三人に笑いながら言う。「あたしは別にそんな優しくないよ?」それを聞いて、三人は顔を見合わせる。「自覚ないんだな」「そのようだな」「自然体でお優しいのですね。姉様は」って、こらこら。なんでだ。三人はどこか諦めたような表情でため息をついている。「俺達さ、ここまで来れたのって、ちぇる姉のおかげなんだぜ?」と、ライネル。それに頷くようにゴーディが続ける。「小生たちは、あの時からちぇる殿に支えてもらっている。もう二年もだ」ハイネは目を閉じ、言う。「ちぇる姉様は、本来ならお一人で冒険者としてやっていけました。それなのに、何も知らない私達に手を差し伸べ、救ってくれました」男二人は頷く。「それに、ちぇる姉は戦うのが嫌いだしな。極力敵を倒すな、殺すな、逃げ足鍛えろ、って教えてもらってるし」「小生はちぇる殿の教えを信条としている。無駄に戦うことは無意味。どこで、力を振るうかを考えることこそが重要」「戦うことは無意味ではない、が、無駄に戦い傷つける事は意味を持たない・・・姉様の教えですよ?」なんだか奇妙な気分だ。だけど、なんだろう。これは・・・「・・・ありがとう」あたしはそれを、それだけしか言えなかった。嬉しくて、すごく嬉しくて。その日は、あたしとしたことが酒を呑みすぎ、真夜中まで騒いでしまった。続くって感じですよヾ(゚ω゚)ノ゛二年・・・二年かぁ・・・・長いよなぁ・・・ほんと。その時間の中で、あたしはどれくらいの人たちと触れ合ってきたのかなぁ・・・思い出すと意外に長いことにびっくりですよ?二年・・・二年かぁ・・・・長いんだろうなぁ・・・っと、それじゃ次回、『真名の探索者』にて御座候。そんじゃね~ヾ(゚ω゚)ノ゛
Jan 10, 2008
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皆さんこんばんは、イスです。ちょっと時間がないため、一気に始めます。蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 3『導くもの』あたしは酒場で紅茶を飲んでいた。そこへ、近づいてくる複数の気配。「・・・今。いいか?」あたしが顔を上げると、そこには頭に包帯を巻いたライネルとゴーディ、ハイネの姿があった。「何?」「頼みがある」三人の顔は真剣そのものだ。「俺達に・・・冒険者っていうのがどんなのか・・・教えてくれ」・・・そう来たか・・・「礼はする!! だから、俺達に教えてくれ。どうすればアンタみたいに強くなれるのか」しばし、目を閉じ考える。あたしはどちらかというとソロで動く。人が嫌いとか、仲間がいらない、と言うわけではない。むしろどちらかというと好きなほうだ。だけど、命を削るような場面で、あたしは多分傷ついた仲間を見捨てることが出来ないだろう。それは時に他の仲間を危機に落とす可能性がある。事実、過去何度かそうした場面がなかったわけではない。あたしは戦いや争い事が嫌いだ。例え魔物であっても、命を奪うことには抵抗がある。かといって、それを忌避していては冒険者は成り立たない。矛盾と信念が、仲間を作ることから一歩引かせているのだ。・・・思考がそれた。今、あたしが考えるべきは彼らをどうするか、だ。「・・・君たち。年齢は?」ふと、なんとはなしにそんな事を聞いてみる。「俺は17で、ゴーディが16。ハイネも16だ」その時、あたしはどうしていたっけ。彼らと同じ年齢のとき、すでにあたしはこの世界で生活していた。戦う術として、年老いた老魔術師に魔術を教えてもらっていた頃だ。その老魔術師は、あたしが弟子入りした数年後に亡くなったが、最後の弟子となったあたしや、他の高弟に見守られながら、静かに息を引き取った。あのとき、自分を守るための戦うため手段を老魔術師に求めたとき、彼はあたしをどう思ったのだろうか。困った事になったな。あたしが難しい顔をしているのを、彼らはおびえたように見ている。その顔を見たとき、あたしは・・・「っぷ・・・・ふふふふふ」笑い出してしまった。あれ、な、なんで?「あっはっはっはっは♪」そんな考えとは裏腹に、心にわきあがったはずの疑問は、押し上げる喜の感情に押し流されてしまう。「な、なんだよ!!」ライネルが怒ったように顔を真っ赤にする。いや、当然だろう。この場合、どう見たってあたしの方に非があるのだから。「い、いや、な、なんかね? あんたたちの深刻そうな顔を見て、なんとなく笑えちゃって」「し、仕方ないだろう!!」怒るライネルの顔に・・・あたしは昔の自分を思い出した。ああ、そうだそうだ。うん。分かったよ。理由が。「い、いいよ。くっくっく・・・」「「「え?」」」てっきり否定の笑いだと思われたのだろう。驚いたように彼らはこっちを見る。「教えてあげるよ、冒険者を。アンタたちは、その資格があったからね」彼らはやぶ森を進まなかった。そう、彼らは正解を選択したのだ。依頼よりも、命をとった。臆病とか言われるかもしれないけど、冒険者なんて臆病なくらいが丁度いい。だけど、理由はもうひとつある。あの時、ライネル、ゴーディ、ハイネがおびえた顔をしたのを見て、いきなり思い出した。あの時のあたしとまったく同じ顔だ。そして、もうひとつ。あたしの今の反応。笑ってしまったのは。あの時、師匠もまた大笑いしてあたしを受け入れてくれたのだ。「そうだ。まだ自己紹介してなかったね」あたしはイスから立ち上がり、彼らに右手を差し出す。「あたしはちぇるしー」その手に、彼らは戸惑い、困惑しつつ凝視する。。「よろしくね♪」おまけにウィンクひとつ。あたしは手を伸ばす。彼らへ。そして彼らは、あたしの手をゆっくりと、握り返したのだった。続くってことで、ちぇるママはやっぱりちぇるママだったという感じでしょうか?はてさて、この先のお話なんですが・・・未来へと話は進みます。彼らとの交流で、ちぇるママの中でどんな変化があるのか?先をおたのしみに。では次回、『時流れて』にて御座候。そんじゃね~ヾ(゚ω゚)ノ゛
Jan 9, 2008
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皆さんこんばんは、イスですヾ(゚ω゚)ノ゛最近いろいろ周りがあわただしくなってきましたよ?っていうか、まぁ・・・他の人に担当が変わった案件が見事に火を噴いちゃって・・・これをした方がいい、という意見をあたしどころか上司にも相談なしで勝手に必要なし、としてお客様を説得しようとするから・・・・・・いいんだけどさ・・・責任はあたしにないし・・・ってそんなんで納得できるか馬鹿(悔泣それはとりあえず置いておきましょうか・・・んじゃ、始めましょう。蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 2『冒険者とは』今、あたしと三人の初心者冒険者たちはブリッチヘッドにある酒場に腰掛、向かい合っていた。「ふぅん・・・冒険者になって一月・・・ねぇ・・・」一人は大剣を背負った戦士風の男、ライネル。一人は長い外套で全身を覆っている魔術師風の男、ゴーディ。最後の一人はシスターの印章を胸に縫い付けた女、ハイネ。話を聞いてみると、彼らはブリッチヘッド近くにある村の出身者らしい。漁師の子として育った彼らは、その運命を嫌ってブリッチヘッドで冒険者家業を選んだらしい。特に、腕に覚えがあるらしいライネルは特にその事を強調した。「俺、どうしても漁師になるのが嫌だったんだよ。こうやって冒険者になって、スリルのある毎日を送りたかったんだ!!」ゴーディに関しても、似たようなものだった。「小生が独学で身につけた魔術を、この世界で試してみたかった。そしていつか、魔法都市スマグで教鞭をとってみたい」最後のシスター・・・ハイネに関しては少々違うようだ。「私はもともと村でも比較的裕福な家庭で育ちました。そのため、幼少の頃から教会で多くの事を学び、神の奇跡も学びました」「で、俺達が誘って一緒に冒険者になってもらったんだよ」・・・ふぅん。あたしはブランデーを少量垂らした紅茶を飲みつつ、彼らを見る。・・・世間知らず。それが生まれた頃からこの世界に身を投じぜざるを得なかった者の言葉だ。あたしがもし、今彼らの面白くない人生と今の過酷な人生を取り替えられるなら、すぐにでも交代してやりたい。それほどまでに根無し草と言ってもいいこの冒険者家業は苦しいのだ。あたしは何人もの冒険者と組んで冒険や依頼をこなしてきた。そのほとんどがベテランで、あたしと同じ意見だった。強くなる事を目的とした奴も中にはいたがそれはごく少数だ。だが、時折彼らのような勘違いした連中がこの世界に飛び込んでくる。大抵、そんなものたちはどこかでリタイヤしてしまうのだ。「帰りなさい」「「は?」」ライネルとゴーディは目を点にした。ハイネに関しては言葉も出ないようだった。「正直言って、甘すぎる考えよ」次第に言われた意味が浸透してきたのか、ライネルとゴーディの目に怒りが点り始める。「あんたたちは甘い。なんで立派な将来があるのに、こんなところにいるの」生活するということは、毎日がスリルだ。それはどんな世界でも変わらない。どんな場所でも厳しい現実との戦いがあるのだから。教鞭をとりたいのなら、何故こんなところにいる。さっさとスマグで学べ。あそこは努力する者に門戸を開いている場所だ。理由はあるのだろうけど、ここにいるのは間違いなくお門違いだ。誘われた? それでここまで来て何の意味がある。目的もないハイネは、ある意味この二人よりもひどい。だがあたしはそれを言わない。言ってはいけないのだ。何故なら、彼らは仮にも冒険者。自分でそれを見つけなければいけないのだから。それにあたしは・・・人に人生を教えて上げられるほど立派ではないのだから。「・・・んなの分かってるさ」「・・・ふぅん?」意外。まずあたしの頭に浮かんだのはそれだった。さっきまでの強気なライネルがそう呟き、ゴーディもまた同じように弱く顔を伏せた。「俺らだって、甘い、ってのはなんとなく分かってたさ。だけどな」「小生たちは・・・これでも考えて考えて・・・決めた道なのだ」「私もです。私の道は、まず彼らを導くことだと、そう思って着いてきました」その言葉にあたしは口を噤む。考えて、か。そうした考えを、あたしよりも人生を生きていないこの三人は必死に必死に考えたのかもしれない。さっきまで甘い甘いと考えていたあたしは、ついつい上かの目線で、彼らの上辺だけをみていなかったか?「・・・・・・」「俺達は確かに初心者で、世間知らずかもしれないさ。だけどな」ライネルたち三人はそれぞれ顔を見て頷き、ゆっくりと席から立ち上がった。「これしか・・・道がないんだ!!」・・・あたしは、一体何をしてるんだか。あの初心者冒険者たちと別れて三日経っていた。あたしは今、深いやぶ森にある高い木の枝に座ってある一点を見ている。そこには、彼らがいた。「エルフ冒険家から剣を奪う・・・銀行の依頼ね」以前からブリッチヘッドでやぶ森にいるエルフ冒険家から剣を奪うクエストが張り出されていた。銀行にエルフ冒険家の剣を置くことで、魔物の襲撃を受けても、それを見て魔物が逃げ出すと考えているらしい。確かにエルフ冒険家はエルフの中でもそれなりの腕を持つ魔物だ。だけど、逆にそれだけ困難なクエストでもあるわけだ。わざわざ危険を冒してまでエルフが多く潜むやぶ森まで剣を奪いに行く冒険者は少ないだろう。そのため、そのクエストを受けようとする冒険者は少ないのだ。彼らがどこまで考えてそのクエストを受けたか知らないけれど、彼らの腕では少しきつくないだろうか?「・・・なんであたしがここにいるんだろう・・・」自問自答。あのとき、彼らが席を立って酒場を出た後、妙にむしゃくしゃしてしまって、しばらく酒場で大食いしていた。酒がそれほど好きではないこともあるのだけど、今思えば食べ過ぎたかも・・・で、その食事の間ずっと彼らの事を考えていた。「これしか・・・道がないんだ!!」そう言っていたライネルの言葉はおそらく本気だろう。彼らもそれなりに深く考えて、この道を選んだのだ。だけど、やっぱりまだ考えが甘いという印象を拭えない。彼らの腕がどこまで立つのか知らないけれど、ゴーストでうろたえてしまうようでは・・・あたしの場合、戦うことが嫌いで逃げの一手でいたのだけど、並くらいの腕であればあのゴースト程度、どうにでも出来るだろう。何よりの証拠に、結局あのゴーストたちはあたしだけで倒した。単に未知数の相手と戦う自信がなかったのか、それとも彼らが未熟なのか。おそらくは後者なのだろうな。彼らは今、1体のエルフ戦士に苦戦している。入り口近くを見回っているエルフ戦士の多くは下級の戦士だ。だが、下級と言えど腕は並の冒険者程度にはある。噂ではエルフの王宮にいる戦士たちは熟練の冒険者でも倒されるほど、腕は冴えるらしい。でもな・・・ライネルはどうみても大剣に振り回されており、ゴーディは魔術を使おうとしているのだろうけど、うまく詠唱を出来ないようだ。ハイネも祈りを繰り返しているが、シスターである彼女は攻撃方法を持たない。攻撃をしても避けられ、魔術を詠唱しようとしてもエルフ戦士の攻撃に妨げられる。そしてだんだんと彼らの身体は傷ついていく。だけど、あたしは助けない。なんとなく気になっていた、彼らの決心を見ておきたい気がした。この場で逃げれば、おそらく彼らは冒険者を諦めてくれるだろう。しかし、もし・・・彼らは次第に追い詰められていく。素早い動きで翻弄するエルフ戦士に彼らは成す術もない。そして、ライネルの手から大剣を叩き落された。素早く詰め寄り、ライネルに切りかかろうとするエルフ戦士。あわや決定打を受けるかと思ったその時、ゴーディがエルフ戦士に体当たりを喰らわせた。エルフはたまらずよろめき、動きが止まった。そこに大剣を拾い上げたライネルが斬りかかる!!大剣は見事エルフ戦士の頭に命中し、敵は崩れ落ちていく。ハイネはそれを見るや急いで二人の元へ駆け寄り、回復の魔法で癒していく。「・・・運がよかったね」さて、ここが分岐点だ。ここで彼らが『冒険者として』とる行動は、街に戻ることだ。冒険者は依頼に命をかける必要はない。時に譲れない場面もあるだろうが、今はその時じゃない。だからこそ、依頼を出す側はそれを踏まえてそれなりに高い報酬を用意し、失敗すれば無報酬を常とするのだ。ここで先に進めば、彼らは冒険者を勘違いしていることになる。その時は、あたしが全力で彼らを連れ戻す。例え、彼らが冒険者として復帰できないように再起不能にしても、だ。命は、一つしかないものなのだから。そして、彼らがとった行動は・・・続くはい、ってことで第二話です。冒険者は命をかけるものではない、完遂する事で得る信頼は必要だけど、命よりも上の物はそうそう存在しない、というのが持論です。ちぇるママの考えは分からないけれど、ごめん。今回はあたしの考えで動かさせてもらいました(。_ _)。さて・・・彼らが選ぶ選択肢は果たして?それはまた次回、『導く者』にて御座候。それじゃ、まったねーヾ(゚ω゚)ノ゛
Jan 8, 2008
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皆さんこんばんは、イスです(´・ω・`)ひっさびさにINしたら(ロト空けた時の記憶は○ございません)、ふも姉がいて・・・ってな感じにガブリされまして。。。。はい。。。書きます。ってか載せます(´・ω・`)鬼だこのワンコでも、今回ばかりは自信というか・・・まぁ・・・・はい、うだうだ言いません。んじゃ、行きますよ?蒼き石の物語外伝『蒼き氷の女神』蒼き氷の女神 1『始まり』今、あたしは暗い平原を走っている。暗い夜を銀色に輝く短弓を背負い、疾走するアーチャー。それがあたしだ。あたしの名はちぇるしー。常に単独で冒険を行っているフリーの冒険者。いつから冒険者をしていたかなんて、覚えてない。気付いたらもう、冒険者として生きていた。今はフリーで仕事を請け負い、色んな事をしている。宝物の探索、魔物の討伐や雑用他色々。ギルドに所属していたこともあって、たくさんの人脈を持っているけど、あたしは一人で動いてた方が気楽だった。自分の命だけ気にしていればいいのだから。だけど、今回はちょっとまずったかも。背後からは、黒くうごめくゴーストたちが私を追いかけてくる。ここは港都市ブリッチヘッドにほど近いテントヘンド平原。あたしはさっきまで海の神殿と呼ばれる場所で宝探しをしていた。神殿は、どういう経緯か知らないけれど多くの魔物であふれ、しかし同時に多くの宝物もあふれていた。多くの冒険者が一度は挑戦し、泣きか笑いを得る場所。今回のあたしの場合は、泣きも笑いも一緒に手に入れてしまったようだ。笑いは当然、宝物を手に入れたこと。今背に背負う銀弓がそれだ。銀は魔力を持つ金属という話を聞いた事がある。しかもこれはかなり良質な魔力が込められているのか、とても軽い。売ればどれほどの値段がつくか、今から考えただけでもウキウキしてしまう。だが、泣きの方はどうにもならない。「ひぃ・・・ひぃ・・・・」「はぁ・・・はぁ・・・・」今、あたしの後ろを3人のおまけがくっついてきている。と、いうか・・・「あんた達!! いつまであたしを追っかけてくるの!?」そう。あたしはこの見ず知らずの3人のせいで、今頃はブリッチヘッドでのんびりとやわらかい寝床で眠っているはずだったのを邪魔されてしまった。「し、しらねぇよ!! あんたが追っかけてきてんだろ!?」「はぁ? 前を走ってる人がどうやって、誰を追っかけるのよ!!」どうみても冒険初心者にしか見えないこの3人は、海の神殿奥深くで宝を手に入れたあたしのすぐ後に、その場に現れた。ゴーストという厄介なおまけを引き連れて。はっきり言おう。海の神殿を抜け、テントヘンド平原をこうして走っているのはこいつらのせいだ。一人は大剣を背負った戦士風の男。一人は長い外套で全身を覆っている魔術師風の男。最後の一人はシスターの印章を胸に縫い付けた女。装備だけを見てみると、それなりの物ではあるが、身のこなしなど、どうしても初心者にしか見えない。少なくとも、海の神殿を歩くには絶対的に力量(レベル)が足りていない。さっき暴言を吐いてきたのは戦士風の男だ。初心者がそんな大振りの大剣(グレードソード)を持ってたって、振り回されるだけでしょうに。「あ、あのあの!! 後ろの人たち、いつまで追っかけてくるのでしょうか!?」と、話すのはシスター。「あなた、退魔の魔法は使えないの!?」「まだ未熟で・・・回復魔法をほんの少しだけ~!!」せめて防御の祈りくらいはできるようになりなさい、っての。っと、ほらほら、火が飛んできてるわよ?あたしはその炎を避け、時に短剣で叩き落としながら走り続ける。「あんたは何か出来ないの?」「小生は争事にはなれておらぬ」えらそうに言う言葉じゃないし、ならなんで海の神殿まで来てるの?そう言い返すと、彼は黙り込んでしまった。頭よさそうに見せるなら、もうちょっと頑張るべきだ。でも、この状況はマズイ。正直いつまで逃げても奴らはずっと追いかけ続けてきそうだ。なら、ここらできっちり倒しておかないと。あたしは前へ出る右足に力を入れてそのまま方向転換。走っている最中も、ちらちらと振り返りゴーストの数は確認している。相手は5匹(人?)手持ちにある武器は短剣と背中にある銀弓。・・・十分。まずは短剣を奴らに向かって投げつける。速度を持って相手を突き刺す短剣も、相手がゴーストでは「普通は」すり抜けるだけ。だけどあたしが投げた短剣は普通ではない。追いかけてきた先頭のゴーストに、短剣は突き刺さる。変化は瞬間に起こった。凍りついたのだ。あたしが得意としているのはこの足と、幼い頃からとある魔術師から教えてもらった氷系付与魔術。本来炎系付与魔術(ファイヤーエンチャント)と呼ばれる魔術師の技だけど、それを応用した魔術だ。威力は通常の炎系付与魔術に劣るが、長年使い続けて鍛え上げた技だ。その威力も年数に比例して十分強い!!背後から息を飲む気配を感じた。なんで一緒になって足止めているんだか。だけど、今は目の前の敵。クールに。確実に仕留める!!凍りついたゴーストはそのまま崩れ去り風に流される。短剣も一緒に砕けたようだけど、一匹倒せただけで十分だ。霊となった存在も、死というものが存在するのだろうか?一瞬思考が別の事で飛んだけど、すぐに目的を思い出す。見ればゴーストたちも戸惑っているのか、足(?)が止まっている。あたしはそのままゴーストたちに走りよった。背中から引き抜くのは銀弓。残念なことに銀の矢はないが・・・『氷霊よ』その一言で精霊たちはあたしに力を貸し、氷で出来た矢を作ってくれた。それを番え、あたしはさらに魔力を練り上げる。進む勢いそのままに、あたしは魔力で作られた矢を・・・「ウォーターフォール・・・!!」上空へ飛び立つ矢は・・・地へ墜ちて・・・いかない。魔力の矢は進化する。そしてそれは一瞬を越える刹那の変化。刹那の時を経て、矢は数万の氷の雨と化し地へ墜ちるのではなく、降り注ぐ!!その氷の雨に、ゴーストたちは耐え切れず次々と地へ叩きつけられた。「ふぅ・・・」氷の雨が止んだ時には、すでに彼ら(?)の姿はどこにもなかった。どうやらゴーストは全部倒せたようだ。あたしは銀弓を背中に収める。目の前に広がるのは氷の世界だった。普段よりも強力な威力はこの銀弓のおかげだろうか?あたしはボケっとしているだろう三人の初心者冒険者に振り返る。「終わったわよ?」その声にハッとしたのか、彼らはこちらを丸い目で見た。続くっと、まぁひとまずここまで。海の神殿にゴーストいたか? というつっこみはなしの方向でお願いします。ぶっちゃけ覚えてませんorzとりあえず序章です。さてはて・・・ここから話はどこまで広がるか・・・楽しみにしていてくださいな?ってことで、今日はここまで。次回、『冒険者とは』にて御座候。そんじゃねーヾ(゚ω゚)ノ゛ってか、誤字脱字を探す暇なかった・・・(泣後々修正します・・・寝かせて・・・・
Jan 7, 2008
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皆さんこんばんは、イスですヾ(゚ω゚)ノ゛うあああああ!?年始早々ロトBOXで轟沈しちゃったよぅ(号泣・・・うん・・・いや、ネタにするつもりはさらっさらなかったんですけどね?ここまで見事に逝ってくれたらもう・・・・泣くしかないorzあー・・・とりあえず何か当たってくれないかなぁ・・・・・さ、さて・・・落ち込むのはこれくらいにして・・・今日は少しだけ時間あったので物語の事を考えてました。考え自体はまとまっているのに、書く気になれないorzっていうか、外伝かいてるのが楽しすぎて・・・・あれですね? イスはあたし自身ですので、思考が読みやすいというか、何をするか思いついちゃって・・・しかも、ここに来てくれる方のほとんどがあたしの事をRSや物語を通してよ~く知ってる方々ばかりだから・・・例えばカム姉をお星様にしたり、例えば大佐を殴り飛ばしたり、例えばふも姉に喰われた・・・・ごほんごほんヾ(゚ω゚;)ノ゛ナンデモナイデスヨ?っていうよりも、基本シリアス思考ですので・・・あ、いや、その・・・嘘だ!! とか言わないで、お願いだから!!さて、次掲載予定のちぇるママの外伝ですが、はっきり言うと明るいちぇるママには似合わないかなぁ~・・・なんて思っています。どんな内容かと言うと、ちぇるママが『蒼氷の女神』の真名を探索者から戴いた経緯なのですが・・・内容的には正のフェイレートと考えたら、かんっぺきに負の方向に爆走しちゃうのですよね。あと、もしかしたらまた10話くらい行くかもです(´・ω・`)ナガ!!ああ、そうそう。それと何故かまたヘディンさん出ますヾ(゚ω゚)ノ゛むしろ、ほとんどの外伝には彼の影とか姿とかおもいっきり出てきます。まさに影の主役!!(震える握り拳決して動かしやすいし殴りやすいからとかいうわけではないですよ!?まぁ・・・しょせん(あれこれ考えたりした結論として。結局。の意)あたしですし? うん、諦めてヘディンさん。あ、そういえばニコニコ動画を久々に見てたらこんなん見つけました。【鏡音リン】ぶっちぎりにしてあげる♪【ロードローラー最速伝説】【鏡音リン】 俺のロードローラーだッ!PV 【鏡音レン】・・・上だったらまだいいのだけど、下はちょっと色んな意味ですごすぎるなぁ・・・でも、去年のドタバタな騒動が終わって、こうしていろいろUPされるわけですが、ほんとすごいよなぁ・・・でも、これ作ってる人たちって普段何してんだろうね?あと、ロードローラーって何故に?教えてヘディンさん!!!まぁ、初音ミクのネギから考えるとえらにパワーアップしてるよなぁ。さて、それじゃ今日はここまで。また明日ヾ(゚ω゚)ノ゛そんじゃね~
Jan 6, 2008
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皆さんこんばんは、イスです。今日はなんか色々考える日となりました。仕事中、派遣先の上司に呼ばれてちょっとお話しました。結論から言うと、どうやらあたしに色々文句というか、同僚からクレームが来ているようです。・一人で仕事を抱えすぎているのにほとんど手伝わせない。・切り分けなどで、仕事の内容にいちいち細かすぎる。・遅くまで残っているせいで帰りづらい。・普段はそうでもないのに、仕事時のコミュニケーションがとりづらい。・仕事中、時間が余っているとき資格の本を読むのは不謹慎ではないか。・先輩のいう事を聞かない時がある。・電話対応に時間がかかりすぎている。と、まぁこんな感じです。正直、「あ~・・・」って思うところがちらほらと。確かに仕事を抱えすぎているかなぁ・・・とか、資格の本を読む、とか先輩のいう事を聞かない、っていうのはいくつか思い当たる節がいくつか。ただ、抱え込みすぎているのは、いくつか長期となりそうなもので対応できる人があたしと他数名くらいしかいないせいなんだけどなぁ・・・とか、上司に言われて対応しているだけで実際は抱えたくて抱えたわけじゃないのだけど・・・とか色々言い訳してみる。でも、こういった声を聞くと、実際あたしが普段どんな風に見られているのか分かります。これを言われた後。上司からちょっとお説教と今後注意するように、と言う言葉をいただいた後に一番問題なのはどれか、と質問したところ、資格の本を読むこととコミュニケーションが一番問題だと言われました。ただ一点気になっているのは、このクレームがほぼ男性陣営からで、しかも上司以外の同僚から来ているということです。あと、遅くまで残ることが問題なのか、と聞いた時上司から、「その点については申し訳ないと思っている」、との事。何度も何度も状況報告や進捗の報告を行っている上司なので、多分職場の誰よりもあたしの案件の内容を知っている人だからこその言葉だと思います。しかも、案件のいくつかは上司から直接あたしに対応を依頼してきた案件もあるわけで。今回のクレーム自体は本社に通す気は全くないそうなのですが、こうも印象悪いのか、と思うと正直へこみます。以前の会社とかではそう感じることはなかったのですが、やっぱりちょっとでしゃばりすぎの感じがあったのかなぁ、と思ったり。でもなぁ・・・一日に何度も何度も相談されたらやっぱりイライラするのですよね。それならあたしがやった方が早いかも、と思って案件とか抱えてたんだけど・・・あ~・・・うまくいかないものです。上司には、今あたしが持っている案件で、幾分楽なものに関してはこのクレームを出してきた人に任せるとのことですが・・・・正直心配です。一番心配なのは担当者が変更になった事を知ってお客様がどう思うか、ということと、進捗状況についての引継ぎ。特に後者に関しては説明の時間とかも含めて、説明だけで一時間はかかってしまうようなものばかりで引き継いで本当に大丈夫なのだろうかとびくびくしています。それに、前者の方でも心配事が尽きず、クレーマーに近いお客様がいる案件もあって、果たして対応できるのやら。あたしは楽になるかもしれないのですが、お客様が一番心配だったりもします。でも、火種になったのは間違いなく日頃のあたしの行い。反省すべき点についてはしっかり反省して出来るだけ改善したいな、とは思っています。まぁ、愚痴なんですけど、これ。さて、RSに関してですが、上に書いたような事もあって、抱え込んでいた案件が手元を離れちゃいました。(戻ってこないことを切に祈るまだまだINできるか分からないけど、復帰の光明が少し見えてきたかな?あと、物語に関しても現在いろいろ構想中です。少しお待ちくださいな。あ~・・・それにしても、新年早々いきなり説教喰らうとは思ってもいませんでした、っと。ほんと、気をつけないとな・・・・それじゃ、今日はここまで。そんじゃね~ヾ(゚ω゚)ノ゛
Jan 5, 2008
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明けましておめでとうございます。イスですヾ(゚ω゚)ノ゛やほ帰ってきましたーヾ(゚ω゚)ノ゛いやぁ・・・今回は去年から引きずっていた案件をなんとか午前中に解決して、後は暇暇。やっぱり気になってた案件が解決したらすっきりするもんですね?新年早々にいい感じですよ。あ、でもここで油断してたらまた去年のように地獄がぶり返すかもしれないので油断しません。あさっては地獄あさっては地獄(ブツブツブツまぁ・・・なんだかすごい哀れだと指差されそうな気もしますが、きっと気のせいですよね? ね?はぁ~・・・さて、今年は一体どうなるんでしょうね?さっき書いたように、去年は色々と重い一年でした。ほんっと重かった。プライベートも仕事もね?軽い一年があるとは思えませんが、でも今年はもうちょっと軽くなってくれるといいなぁ・・・あ、そういえばヘディンさんの外伝書き終わりましたが、イスの方はどうしようかと。とりあえずハノブ編終わらせた後にちぇるママの外伝載せようと思っているのですが、正直ちぇるママの外伝悲しすぎて掲載ためらい中です。もう、どっかに封印しちまうかーなんて考えてたりもしてます。あ、それとロトBOX『また』10個買ってしまいましたよヾ(゚ω゚)ノ゛RSやってないのにいい度胸だよね全くついついキャンペーンに乗せられちゃいまして(ノω<)ペチョンあたしこういうの弱いんだよなぁ・・・でも、福袋を期待して買ったら必ず外れるタイプだったりするわけで( ゚ω゚)∵:.カハッ今年は福袋かいませんヾ(゚ω゚)ノ゛RSで我慢じゃってことで、なんとか一月中に問題とかいろいろ収束すればRS復帰できそうです。出来るかわからんけどな。ってことで、明日はお休みヾ(゚ω゚)ノ゛寝正月を楽しみます。そんじゃねーヾ(゚ω゚)ノ゛・・・でも、太る心配がないというのは在る意味幸福な事かもしれない。
Jan 1, 2008
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