トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2005/10/06
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カテゴリ: 音楽
dogs
1.昨日と今日
2.天気読み
3.暗闇から手を伸ばせ
4.地上の夜
5.向日葵はゆれるまま
6.カウボーイ疾走
7.天使たちのシーン
8.ローラースケート・パーク


■青臭いロック・アルバム日本編の10枚には入るだろう。後で振り返った時に、照れくさくて赤面してしまうようなセンテンスは極力使わないように、その時にしか通じないような、奇をてらったアレンジは極力しないように、なんども「若さ」を匂わせるものは徹底的にチェックして推敲を重ねる。そんな気配りがそこかしこに見られる。でもさ、そういうこと自体が結局、恥ずかしいってこともあるんですよね。

■たとえば、歌詞カードを読むと、人称代名詞が極端に少ない。M1で「俺」が3カ所、M2で「僕」が1カ所、M4で「俺」が2カ所、M5で「俺」が1カ所、M7で「僕」が7カ所、M8で「僕」が3カ所。二人称に関して言えば「あなた」は一切姿を見せず、「君」という言葉が全て対象を語っている。

■それにしても、オザケンが使う「俺」という言葉の違和感が青臭さの元になっていて、いつまでも尾を引いてしまっている。だから恥ずかしい。このアルバムで私が気に入っているのは「僕」を使ったM2,M7,M8であるということはちっとも偶然ではない。

■「天気読み」の歌詞はすごく散文的でいまだに難解。でもカチッカチッとした曲の進み方が短編小説とかヌーベルバーグの映画のようで、聴く時の気分で色んな情景や心情が浮かぶ浮かぶ。

■彼自身がライナーで「このCDを買った中で最も忙しい人でも、どうか13分半だけ時間をつくってくれて、歌詞カードを見ながら聴いてくれますように」と願った「天使たちのシーン」。それほど暇でも、それほど忙しくもない私は”犬キャラ”を聴く時には、間違いなくこの7曲目ははずさない。そしていつも思うのはこの13分半がちっとも長く感じないということ。それはクスリの効果に似ていて、この歌の世界が徐々に身体に染みこむのにそれだけの時間がかかるんだということ。「Hey Jude」のフェイドアウトが罪であるように、この曲を途中で切ってしまうこともまた罪だと思う。

■次回作「LIFE」は小沢健二が最もオザケンらしく輝いていたポジティブな大傑作になる。もちろんこのファーストにはその予感が散見しているが、ともすれば、崩れそうな雰囲気さえ持った青臭さに溢れている。

PS

現在はこのCD「Dogs」というタイトルに改題され、パッケージも新調されている。そして旧盤についていた彼の手によるライナーノートも姿を消したそうだ。きっと彼自身がその青い文章に赤面したに違いない。





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Last updated  2005/10/06 09:08:53 PM
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Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…
Mr.Zoku@ Re:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) 今年出た[Deluxe Edition]は聴かれました…

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