25TH CENTURY BAND REVUE / NOTHING IS BETTER FOR ME (T.F.C. 551-18)'75
のどかで平和などこか牧歌的な雰囲気で始まる甘茶ソウル。リードはファルセット以外にもいろいろ入り混じってちょっと統一性に欠ける感じ。また、メロディも転調があったりとコロコロ変わるし、かなりゴチャついた内容です。それと肝心のサビ部分の暗さは致命的失敗なんじゃないかなあ。ただ、出だし部分や途中1分50秒からの「YOU ARE THE SWEETEST THING」って部分での伸びやかなファルセットはメロディもきれいだし、歌も滑らかで絶品もの。ちと田舎臭かったりと微妙な作品だけど、ここの部分の一瞬の決め手は一聴の価値がありますね。
A TINT OF DARKNESS / I'M LEAVING (XCLUSIVE 104)
アルバム「A Tint of Darkness」('78)で有名なグループ「ア・ティント・オブ・ダークネス(暗闇の色合い)」のLP未収録曲。どうやら79年頃のシングルみたいですね。イントロのシタールみたいなビヨーンとしたギターの情緒的な音色でいきなり70年代スウィートの世界へ突入って感じ。続くファルセットの完全にイッちゃってる遠吠えもいいですねえ。リードは可愛らしいファルセットとバリトンが交互にとってるけど、ちょっと落ち着かない感じなので、ここはファルセット一本で通して欲しかったかな。随所に挿入されたバリトンの語りも効果は認めるもののちょっと邪魔くさい感じ。メインとなるサビの劇的かつ緊張感のある盛り上がりは、弦も激しく絡んで聴き応え十分です。
BOBBY MARTINアレンジ、GAMBLE-HUFFプロデュースのフィリーソウル。タイトルの萌え語訳は「私を急かせちゃ、いけないんだからネ!」ってところでしょうか。曲は2分38秒と短いながらもメロディラインの起伏は激しく、何やら小忙しい雰囲気。最初から最後まで感極まったかのようなリードのテンション高めの唱法が70年代的でイイですねえ。そして特に魅力的なのが「フーウーウー」というコーラスの持つ一瞬のトキメキ、胸キュン感。更にバックの音もストリングスが絡んで実に優雅なムード。将にこれぞフィリーソウルって音作りです。
「YOU TUBE」
で聴けます。「LOST LADIES OF SOUL VOL.1」という怪しげなコンピに収録されているようですが、意識したことなかったんですけど、実は女性グループなのですね。ベイビー・ドールズなんてちょっと小悪魔的で魅力的な名前もよく考えれば女性グループものですものね。
BILLY BUTLER & INFINITY / I'M SO HUNG UP ON YOU LP(PRIDE 0018)'73
BLACK SATIN FEATURING FRED PARRIS / HOW I WISH WE COULD DO IT AGAIN LP(BUADAN 5654)'76
甘い曲調のDOO-WOP、 「In the Still of the Night」
のヒットで有名な名門グループFIVE SATINSの後継グループであるブラック・サテン。FRED PARRISのソロが甘茶ソウル百科事典でも取り上げられるなど、ソウル時代になっても引き続きスウィートなセンスが光ってます。この曲は76年のアルバム収録曲でシングルカットはされていないようです。いまひとつキャッチーさにかける地味な曲って印象だったんでしょうかねえ。とはいえ、憂いを帯びた甘いメロディは高品質で派手さの無い分飽きにくい感じ。適度な緊張感の元でフレッド・パリスの味わい深い泣きのリード、時折入る悲壮感漂うファルセット、全体を甘く盛り立てるコーラスとヴォーカルワークは色彩豊かです。ソウルファンの間でもあまり話題に上らない曲ですが、隠れた甘茶ソウル名曲としてお勧めします。 「YOU TUBE」
で聴けます。なお、HUES CORPORATIONによる カバー
もあります。
BOBBY PATTERSON / IF HE HADN'T SLIPPED UP AND GOT CAUGHT (CONTEMPO 7006)'77
サザンソウルのプロデューサー、ボビー・パターソンの名曲。タイトルは仮定法過去完了ですね。「もしも彼が失敗しないで、捕えられていなかったならば・・・」ってところでしょうか、ちょっと刺激的な意表を突いたタイトルです。(GRATINE 536)'76では「IF I HADN'T SLIPPED UP AND GOT CAUGHT 」となって出てますが、実際は主語がIではなくHEと歌っているので、後にタイトルを修正して出しなおしたのかも知れません。
BOBBY THURSTON / THIS CAN'T BE HAPPENING TO ME (MAIN LINE 4589)'75
U.S.BDG#606にアルバムが紹介されているワシントンDCの歌手ボビー・サーストンの75年のシングル・オンリー曲。甘茶ファンには甘茶ソウル百科事典P.11で紹介されている 「I DO LOVE YOU」のカバー
が有名でしょうね。曲はピアノが効果的に活躍する軽やかなバックが特徴的な明るく爽やかな甘茶ソウル。サビもキャッチーだし、ヴォーカルもクセがないので甘茶ソウルの入門篇としても勧められますね。もちろん「I DO LOVE YOU」ほど大味でもなく、全体としてメロディに味わい深さがあるのでマニアにも満足のいく1曲でしょう。陽性の声質に適度にこみ上げるヴォーカルもいいね。
U.S.BDG #346の「FIESTA LP(ARISTA 4196)'78」にも参加していたカール・シムズのソロアルバム「HOUSE OF LOVE」収録曲。ジャンル的にはディープ/サザンソウル。曲はゆったりとした7分33秒にも及ぶ甘めのバラード。うだるような暑さの気候の元で作られたかのような南方系の熱を帯びた、停滞して動きの遅ーい空気感が特徴的。カールのコッテリとした歌いこみもイイが、憂いを帯びた甘めの女性陣によるコーラスが何とも味があり、この曲に不可欠で重要な要素となっている。このコーラス・アレンジの妙により個人的な甘茶ソウル認定曲となりました。欲を言えばもっとヒューマンなトラックで決めて欲しかった。因みにシングル・オンリー曲ではないからか、 「楽ソウル」
への掲載はありません。
CHI-LITES / THE COLDEST DAYS OF MY LIFE (BRUNSWICK 55478)'72
シカゴ・ソウル及び甘茶ソウルの代表的グループの一つザ・チャイライツ、72年の8分超えの大河バラード。「A LONELY MAN (BRUNSWICK 754179)」収録。オリジナルは同じシカゴの70年のWALTER JACKSON版。波の音と寂しげな海鳥の泣き声、そして孤高のヴァイオリンをバックにしたイントロは極寒の冬の海を連想させ臨場感バツグン。更に歌詞でも「人生の最も寒い日々」と繰り返し歌われるし、途中からは寒風吹き荒むので、もう兎に角寒い(笑)。透明感のあるリードがじっくり歌うメロディも実にきれいで心に染み入ってきますが、体の芯まで凍えてしまいそうですね。優雅なストリングスや端正なコーラスは曲の格調を高め、全体として大仰で実に感動的な曲なんだけど、個人的には途中の「DOWN BELOW」の暗い部分は馴染めなく、これが無ければな、、、という感じ。分かり易いスウィートソウルの多い彼らだけど、この曲は入門編というにはちょっと微妙なところですね。 「YOU TUBE」
で聴けます。歌詞も見れます。
CHOICE FOUR / THIS TIME IT'S FOR REAL LP(RCA APL1-1400)'76
アルバムを3枚も発表していながら、甘茶ソウル百科事典でもP.53で僅かに触れられている程度の不遇な甘茶グループ、ザ・チョイス・フォーのヴァン・マッコイがプロデュースした76年の3RDアルバム「ON TOP OF CLEAR」収録曲。調べていたら、なんと「THE VERY BEST OF THE CHOICE FOUR」なるCDが出ているようです。彼等の3枚のアルバムから満遍なく選曲されているようで、うーん、このCDは欲しいかも。
CHOSEN FEW / I CAN MAKE YOUR DREAMS COME TRUE '76 (POLYDOR 2058 721)
PENNED BY GRAHAM LAYOEN , ARRANGED BY KEITH RIBERTS , PRODUCED BY TONY ASHFIELD. 「I Can Make Your Dreams Come True b/w Yes,It Won't Be Long」(Stardust URS146)として再発されているようです。
1.You Mean Everything To Me / Yes It Won't Be Long '75 (2058 661) 2.Pretty Face / I Can Make Your Dreams Come True '76 (2058 721) 3.Miracle Worker / Thank God For Discoteques '76 (2058 752) 4.Thank You / Pt2 (2058 872) 5.You Mean Everything To Me / Yes It Won't Be Long '78 (2058 975)
Hit After Hit (1973) Trojan Everybody Plays The Fool (1975) Trojan Night and Day aka The Chosen Few In Miami (1976) Trojan
Chosen Few Biography
を見ますと、1969年にジャマイカのキングストンで結成とあります。ただし、このどちらのページにもイギリス・ポリドール時代の表記が無いので、100%の確証は無い感じです。情報お持ちの方、分かる方どうか教えて下さい。
CHOSEN FEW / ON THE RIGHT TRACK 12"(KUFF EB001)
CHOSEN FEWと言えば「YOU MEAN EVERYTHING TO ME (POLYDOR 2058 661)'75」が多くの甘茶者が必ず一度はビリビリと脳天を痺れさせられる永遠不滅のスウィートソウル。レゲエでも甘茶ソウル系ラヴァーズカバーの多い「CHOSEN FEW」は同一グループと報じられることもあるが、それらの曲で聴けるものは大味で、マニアックな甘茶を好む愛好家にはチト物足りない内容。ところがこのイギリス製ラヴァーズロックコンピ収録のこの曲はラヴァーズロック、甘茶、双方のファンを満足させるであろう傑作となっている。
尚、「BRITISH LOVERS ROCK VOL.1 (LONDISC LORCD 030)」収録版は3分51秒ですが、12"シングル盤は5分35秒と後ろに長いバージョンになっています。
CREATIONS / PEEK-A-BOO (LIBERTY BELL U.S.A. 82073)'73
「いないいないばあ」という意味のタイトルの曲。英語だと幼稚というよりも寧ろ、どことなくお洒落な感じの音の響きがありますね。クリエイションズはフィラデルフィアのグループ。タイトルとはかけ離れたどこか切ない雰囲気を持った甘茶ソウル。しんみりとした良いメロディで、パパパコーラスを伴い華やかで洗練された雰囲気を持ちながらもピリリと引き締まった作りが実に私好みの内容。同じフィリーのDesciples Of Soul版(G.V. 01)というのもあって、そちらはテンポを落としたうえに語りを入れたりと幾分べっちょりとした雰囲気の作り。どちらかというとニュージャージーのモーメンツとかBARBARA JEAN ENGLISH辺りを思わせる内容ですね。
DELFONICS / DIDN'T I (BLOW YOUR MIND THIS TIME) (PHILLY GROOVE 161)'69
フィラデルフィアのヴォーカルグループ、デルフォニックスのLa La Means I Love Youに次ぐ70年のヒット曲。アレンジと作曲はフィラデルフィア・ソウルの重鎮トムベル。ホルンのような温かみのある音色が高らかに響くイントロは品の良さと平和な空気感、そして過剰なまでの甘さを醸し出します。続いてリード・ヴォーカルのウィリアム・ハートが「I gave my heart and soul to you, girl」と歌い、コーラスが「Didn't I do it baby, didn't I do it baby?」と続く、といったスタイルで曲は展開していきます。ヒット曲だけあってサビのポピュラリティもいいけれど、出だしのこの部分にこそ痺れて欲しい。
DIFFERENT SHADES OF BROWN / WHEN THE HURT IS PUT BACK ON YOU (MOTOWN 1241)'73
73年度モータウン産甘茶ソウル。大手らしくキャッチーでしっかりとした作りだけどマニアックな甘茶者をも唸らせる濃い出来の作品とも言えますね。甘く透き通ったファルセットリードが起伏の激しい切なく美しいメロディをしっかりと歌い上げています。サビではコーラスやバリトンを伴い大仰に歌い上げなかなか感動的。因みに2006年に発売されたCD「Have A Heart」にも収録されていますが、音がこもって音質がいまいちという評判も。