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今日も恭一が僕のファンクラブと呼ぶいつもの女子高生たちがやってきた。 恭一は邪険にするが、なんにしろいいお客さん達だ。 その中の一人、髪の長いあの子があのきれいな人の娘さんだったなんてね。 このときはわからなかった。 僕が、彼女たちの注文のクレープを作っていると、恭一の電話が鳴った。 [おい、さいたま市にいる仲間の知り合いがソンウらしい男を見たってさ。] なんだって・・! 初めての情報だ。父さんに会わせてやれるかも・・。 僕の心は浮き立った。 * [仲間の電話番号だ。駅についたら、電話しろよ] [恭一さん・・。] [お前の弟、生きててよかったな] [ああ。] [お前が今まで諦めずに粘ったかいがあったなぁ] [恭一さんには悪いと思ってるよ。日本に来て世話になりっぱなしだから] [親戚じゃなかったら、ここまではしてやれなかったぜ] [電車賃、これで足りるかな・・。] 「しけてんなあ。ほら、バイトの前払い。」 [悪いな。] ・・心底から悪いやつじゃないんだ。恭一は・・。時々暴走するけど・・。 あの人のことも恨みに思ってたけど、悪かったよ・・。誤解されたままなのは悲しいけど・・。 教えてもらった連絡先に行くと、ソンウは住んでいたところを引越し、仕事もやめていた。 1週間前だという。ここまで近づいてきたのに・・。 ワゴンに戻って、恭一に報告した。 [・・どこへ行ったかもわからない。] [どっちみち間に合わなかったさ。] [何?] [すぐにソウルへ電話しろ。] [どうしたんだ?] [親父さんが少し前に亡くなったって・・。] 何も考えられなかった・・。足はいつもの公園に向いていた。 途中、この前いじめられていた小学生がまた何人かの小学生に囲まれていた。 そいつらは、僕を見て何かごまかしたようだった・・。 囲まれている彼も、僕に何か訴えているようだったが・・。 ごめん、今はそいつらを問いただす気力はない・・。 いつもの公園、誰もいないベンチ。僕は、一人、ソンウを捜し出して 父に会わせてやれなかった無念、死の前に父に会えなかった無念の涙を流していた。 しかし、日本に残ったのは僕の意思だ・・。 「こんにちは。」 えっ・・前からあの人が・・。 思わず顔を上げたが、急いで下を向いた。 何も気づかずあの人が近づいてくる。 「この間はごめんね。」 僕は急いで手で涙をぬぐった。・・見られた・・! 「・・どうしたの・・?」 動転した。きまり悪さと恥ずかしさで彼女の顔を見られない。 せっかく、また会えたのに。彼女から声をかけてくれたのに。 こんな時に会いたくなかった・・! 僕は黙って逃げるようにその場を離れた。 彼女が気にしているだろうと思うと、胸が痛んだけれど・・。
2005.09.30
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数日後、ソウルの兄から電話が入った。父が危ないという。 [勝手なこというなよ!ソンウを捜そうって言ったの兄さんだろ!それを今さらあきらめろなんて・・。 俺は帰らないよ。父さんのことは心配だけど、ソンウを見つけるまでは帰らない!] 返事を聞かずに電話を切った。 [ちくしょう・・。もう捜さなくていいなんて・・。] [親父さん、ヤパそうか?] [かろうじてもってるらしいけど、ソンウを見つけるまでは帰らない。 父さんもソンウの帰りを待ってるんだ。] [お前・・すぐに帰ったほうがいいんじゃねえか?ソンウを見つける前に 親父さん死んだらどうするんだ。兄貴はまだ許してねえんだろ? 弟が日本人の女と駆け落ちしたこと。お前だって反対したんだろ?] [ああ・・。反対したよ。父さんも母さんもみんな。日本の女性と付き合うことを許さなかった。 俺も別れろといった。] [だったら、もうほっとけ。] [でも・・その時は俺が間違っていたんだ。] あの頃の僕は日本人に偏見があった。今、僕の脳裏には彼女の姿が浮かんでいた。 * 2日後、恭一が近くの喫茶店で人と会うからといって出かけ、僕が店番をしている時、 警察がやってきた。ここで商売をするのは違法だ、責任者を呼べという。 僕は急いで恭一を呼びに走った。恭一が待ち合わせているという店に行くと、彼が、 女性となにかもめている最中だった。 でも、こちらも急ぐ。 [恭一、警察が来てあの場所は違法だから車を移動しろって・・。] 振り向いた女性は・・。あの人だった。こんなところで会えるなんて・・。 僕はうれしくなって会釈した。 「こんにちは。」 ・・? 彼女は険しい顔をしている。 「どうして・・。」 僕と恭一の顔を見比べる。 [なんだ?知り合いか?] [どうしたんだ?] 「この人、あなたのお友達?」 「はい。どうかしたんですか?」 彼女は、信じられない・・という顔をして、バッグからこの前の僕のTシャツを出し、 僕に投げつけて走り去った。 ショックだった。信じられないのは僕のほうだ。僕はあなたにまた会えてうれしかったのに・・。 なぜこんなことを・・? 僕は恭一に問いただした。 [金もらって当然だろ?俺は被害者だぜ。] 車をぶつけられて30万を弁償してもらったんだという。脅したんじゃないのか・・? 彼女のあの様子は・・。 [あの人に何をした?] [まだなんにもしちゃいねえよ。この先はわかんねえけどな。・・なんだよ、その顔は。 お前、あの手がタイプか?] 僕はため息をついた。「愛より金だ」が口癖なのはわかっているが、 それほど悪いやつだとは思ってなかった。 だけど、彼と一緒にいることできっと彼女に誤解されてしまったんだ・・。 それが一番悲しかった。彼女が唯一僕には”やさしい日本”だったのに・・。
2005.09.29
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翌日、なんとなく僕は楽しい気分でいた。 ソンウは見つからない。帰国期限はせまってきている。 いったん韓国へ戻れば、たぶん軍隊が待っている。 できるだけ、この滞在期間中にソンウを見つけなければ・・。 だけど、今日は約束がある。また、あのやさしいきれいな人に会えると思うと、 八方ふさがりの今の気分も晴れるような気がした。 用事がある、と出かけていた恭一が戻ってきた時、もう、約束の時間を30分ほど過ぎていた。 公園へ急ぐ途中、僕は階段の陰で一人の小学生が、他の何人かともみ合っているのを見つけた。 どうやら金を脅し取られているようだ。放っておくわけに行かなくて、僕はその子供達の間に 割って入った。 [ お前ら何やってるんだ ] 韓国語にも驚いたんだろう。いじめっ子たちはクモの子を散らすように逃げていった。 「ダイジョーブ?」 その子も驚いていたのか、黙って、逃げるように帰っていった。 僕は苦笑いするしかなかった。 まさか、君が後に僕の味方になってくれるあの人の息子さんだったとはね・・。 だけど、そこで時間をとられてしまい、公園に急いだが、もう既に彼女の姿はなかった。 しまった・・。あんなに楽しみにしてたのに・・。僕は、ひどくがっかりしている自分に驚いていた。
2005.09.28
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僕は毎日、東京の韓国人が集まると言われている街を歩き回っていた。 初めての日本、見るもの聞くもの珍しかった。だけど、知り合いもいない。 早くソンウを見つけてソウルに帰りたかった。父の容態も心配だ。 繁華街を一日中歩き続け、韓国料理店や雑貨店を写真片手にまわっても、 一向にソンウを見かけたという人はいなかった。 ただ居候をしているのも申し訳ないので、僕は時々恭一の仕事を手伝っていた。 移動ワゴンのクレープ屋だ。 つくしの駅前あたりで店を出すと決まってやってくる女子高生のグループがいた。中のひとり、 髪の長い明るい子が写真を撮らせてくれという。 苦手なんだけどなぁ・・。お客さんにサービスと思って応じてはいるが・・。 店のそばで昼食をとると、そういうお客につかまったりするので、僕はよく少し離れた公園で 一人昼食をとっていた。昼間わりに人が少なく静かなので、気に入っていた。 ある日、いつものように恭一と交代して公園にいると、すごいスピードで自転車の女性が公園に 入ってきて、すぐそばで倒れた。すぐあとからバイクが猛スピードで通り過ぎて行った。 もしかしたら引ったくりに追われていたのか・・? ケガをしているといけないと思って、僕は彼女を助け起こしに行った。 腕をとって、立たせようとすると、不思議そうな顔で僕を見る。 あれ、見覚えがある・・、きれいな人だと思ったんだ。どこでだったかな・・。 毎日いろんな人に声をかけているので、彼女の記憶はその中に埋もれてしまっていた。 「すみません・・。この間もご親切にしていただいたのに今度もまた・・。」 話しながら落ちた果物を拾っている。 この間・・? 僕も拾うのを手伝いながら考えていた。 「ありがとうございます。」 彼女にお礼を言われて、気になりながら、その場を離れようとすると・・。 「あ~、もうやだ、なにこれ・・。」 どうやら、自転車のチェーンが外れたらしい。 なんとなく立ち去りがたい気持ちでいた僕は、戻っていって黙って修理を始めた。 「ごめんなさい、ほんとに迷惑をかけっぱなしで・・。でも、直らなかったらいいですよ、 押して帰りますから・・。ほんとにもう、結構ですから・・。」 やわらかい話し方をする人だな・・。直してあげたい・・。 僕は引っ掛けていたシャツが邪魔でそれを脱ぎ捨て、本格的に直しにかかった。 彼女がじっと見ている・・。僕は直しながら頭の中の彼女の記憶を必死で捜していた。 きれいな人だと思ったのを覚えている・・。 まいったな、そんなに見つめられると・・なんだか、汗ばんできた。 直った。ペダルを回すと車輪が回り始めた。 「直った~。」 彼女が無邪気に僕の手に手を添えてペダルを回す。胸がドキンとした。 僕はシャイでもともと女性に慣れてない。いきなりのその動作に僕はパニクった。 僕の手がビクンとしたのに気がついたのだろうか、彼女は手を離してしまった。 思い出した・・。コンビニの前で遭った・・。あの人だ・・。 「どうか・・した・・?」 僕があまり見つめるので、彼女は不思議に思ったようだ。 「あなた・・コンビニ?」 傘のジェスチャーをして見せた。 あのときの彼女が鮮やかに甦ってきた。印象的な瞳・・。 「やっと気づいてくれました?お借りした傘、今度返します。」 いや、いいです。なに、手を振ってるんだ、しゃべれ、ソンジェ!あせって日本語がでてこない・・。 その手を見て、「あ~油だらけ、水じゃ落ちないわ、ちょっと待って・・」 たまたま買物のなかにあった洗剤をもってきてくれた。気配りの細やかな人だなぁ・・。 なんだか、気恥ずかしくなってパニクっていた僕は、貸してくれたハンカチを返して、 思わず汗ばんだTシャツを脱いでしまった。 しまった、なにやってるんだ、僕ひとりじゃないんだぞ、彼女がびっくりしてる・・。 でも、彼女は、そのTシャツを洗ってきてくれるという。 「あ、でも、どうやって返したら・・。」 なんとなくこのまま別れるのが寂しいような気がしていた僕には渡りに船だった。 「明日、会いましょう。」 「じゃあ、また、ここで。何時?今ぐらいでいい?」 「はい」 「わかりました。」 「ヤクソク?」 「うふふ、約束。」 「サヨナラ」 「さようなら。」 明るくてやさしい、かわいい人だ。ぼくのたどたどしい日本語も笑わなかった・・。 日本に来て、恭一以外に普通に僕と話してくれた初めての日本人だ・・。 振り返って手を振りながら、僕は思った。 明日のあてもなく、ただソンウを捜すだけだった僕には、明日、約束がある、 そのことがなぜか無性にうれしかった。
2005.09.27
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僕は数週間前から日本に来ていた。弟のソンウを捜すためだ。 弟は、日本人女性と駆け落ちをしていた。 父が体調を崩し、兄弟三人で父の工場を手伝えと言われていた。 しかし、ソンウは韓国の伝統音楽を志し、その夢を諦め切れなかった。その上、日本女性との恋。 ソンウは、その両方ともを両親、兄に反対され、家を出た。 僕も苦労すると思った。賛成はできなかった・・。僕には全て打ち明けてくれていたのに・・。 ところが、父の容態が思わしくなく、父はソンウに会いたくなったのだろう。 急に、ソンウに音楽を続けさせる、結婚も許すと言い出したのだ。 僕は家族に託されて日本へやってきた。だけど、ソンウの消息はなかなかつかめない。 部屋に泊めてくれている遠い親戚の恭一が知り合いに声をかけてくれているが、 なかなか情報はないようだ。 そんなある日、突然の夕立が降った。なかなかやまない土砂降りの雨だ。 しかたなく僕はコンビニで傘を買った。ラッキーだ。最後の1本だった。 近くで用事を済ませて、もう一度そのコンビニの前を通ると、一人の女性が雨宿りをしている。 この雨の中、走り出そうというのか、頭にハンカチをかけようとしていた。 きっと、僕の後に傘を買いに来たんだ・・。 僕が最後の1本を買っちゃったから、買えなかったんだな・・。 なんだか申し訳ないような気がした。僕は男だし、濡れたってたいしたことはない。 少し走れば駅なんだから。 この傘を譲ろうと思った。彼女に黙って傘を差し出した。 日本に来るために、仕事上流暢な日本語を話す兄に習って、少し日本語を勉強してきたけれど、 まだあまり自信がない。 できれば話したくない。 振り向いたその人は、瞳の大きなきれいな人だった。 「あ・・けっこうです。走って帰れますから・・。」 警戒されたかな・・。遠慮しないで、この雨の中、女性が走って帰るのは大変だよ。 僕は彼女の手に傘の持ち手を握らせた。 彼女はびっくりしたように僕を見て、大きな目をいっそう見開いた。 僕はなんだか恥ずかしくなって、彼女に一礼をして雨の中へ走り出した。
2005.09.26
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不自由な手でデザイン画を描きながらも時折めまいと痛みが襲ってくる。 痛みで気を失った僕は、夢を見ていた。 利川・・。あなたと二人で窯にいる。微笑み交わしながら仕事をしている。幸せなひととき・・。 僕はずっとこんな時間を夢見ていた・・。 ふと、後ろを振り返ると、あなたがいない。言い知れぬ不安が押し寄せる。 「ヨウコ・・?」 「ヨウコ・・ヨウコ!」 必死で捜しても見つからない・・ ・・気がつくとベッドの傍らにあなたがいた。 「ソンジェ・・私よ。」 朦朧としながらうなずく。本当に寂しくて、不安だった。あなたがいてくれてよかった・・。 「ソンジェ・・。韓国へ帰ろう・・。」 ・・何を言ってるの・・? 「二人で一緒に帰って、向こうで作品を作りましょ。」 「ヨウコ・・。」 あなたには僕の夢が見えたのか・・? 「約束でしょ。」 僕はあなたの気持ちがうれしくて小指をさしだした。ヤクソク・・。 ・・一緒に行こう・・。 * 一週間後・・。僕と葉子はアトリエ安土にいた。 僕は小康状態を保っていた。 韓国へ葉子と一緒に帰る、という心の張りがそうさせていたかもしれない。 安岡先生が帰国のはなむけに日本の陶芸用の土を持たせてくれた。 「陶芸祭の作品、期待して待ってるよ。」 「はい、完成したら、必ず送ります。」 志保さんに、和哉君。それに、葉子の友達の由紀さんと悦子さんも来てくれた。 「ソンジェさん、ママのこと、幸せにしてあげてね。」 志保さん、幸せにしてもらってるのは、僕のほうなんだよ・・。 でも、出来るだけ努力する・・。うなずくことしか出来ないけど・・。 ごめんね。とうとう君たちにお母さんを返せなかった。 「さあ、そろそろ、行った方がいいんじゃないかな。」 「先生、・・僕にもしものことがあったら・・葉子さんのことお願いします。」 「ソンジェ君・・。」 「ソンジェ何言ってんの・・。」 ごめん・・だけど、言っておかなければならないことだ・・。安岡先生にならあなたを託せる。 「ソンジェ君、生きるんだ。いいか、生きるんだぞ!」 ・・先生・・「はい・・。」 そして僕らは韓国へと旅立った。 * * * * * * * * ・・物語は、以前アップした「奇跡」に続きます。(フリーページにどうぞ) しいな版では、利川の窯場でのソンジェの復活の奇跡で完結します。 私自身が、どうしてもソンジェの写真と白い粉に拒絶反応があって、その先を見れないんです。 ソンジェは復活します。そして、生きるんです。 「心模様」は、「思いがけぬ訪問」から始まりました。 交通事故にあったソンジェを葉子が訪ねるところからです。 単純に私が1~5話を見れていなかったからなのですが、明日から「僕が恋におちるまで」として、 5話までのエピソードを書き、「心模様」全編を完結しようと思います。 偶然ですが、この順番で書くことができて良かったと思っています。 ソンジェの気持ちが葉子へ一直線に向かうところで終わるから。 蘇芳色さんが、??だった前半の細かい伏線を「もう一つのヤクソク」で 丁寧に書いて下さっていますが、「心模様」はこれまでほぼドラマの進行に忠実に書いてきたので、(隙間で脱線はしていますが・・笑)1~5話も、あえてドラマに沿って書くつもりです。 ただ、蘇芳色さん、Tシャツ脱ぎのソンジェだけ、蘇芳色さんちのソンジェ貸してね。 あれだけは、どうしてもソンジェをパニクらせないと説明つかない・・(苦笑・・私信でした。)
2005.09.25
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足だけじゃない。だんだん手に力が入らなくなってきた。 足が動かないならせめて・・と思ったデザイン画すら思うように描けない。 思うように動かない自分の手がもどかしくてベッドの移動テーブルに拳を打ちつけた。 こんな、動かない手なんか・・・いらない!! * 午後、あなたがフルーツを持ってきてくれた。やはり、目ざとく僕の手の包帯を見つける。 だけど、心配はかけたくない・・。 「どうしたの・・?その手」 「ころんで、擦りむいた。」 「大丈夫・・?」 「大丈夫。」 「気をつけてね・・。ころんで骨折でもしたら、退院が延びるわよ。」 「はい・・。」 退院・・できるのか・・? * そこへ志保さんと和哉君がやってきた。 この二人がくると、部屋が明るくなる。屈託ない明るい未来たちだ。 葉子さんは飲み物を買いに出かけた。 「なんか・・。こうやって3人で話してるの、なんか変。」 志保さんが言う。 その通りだな・・。僕は君たちから大事なお母さんを奪った男だ。 しかも、志保さんとは結婚してもおかしくないような、兄のような年齢だ。 昔、君は僕を慕ってくれていたよね・・。 「ま、あんまり深く考えないでね。気楽に、気楽に。」 「いいよね、あんたは軽くて。」 「ばっかだなぁ、軽いヤツほど傷つきやすくて繊細なの。」 和哉君、ほんとに君はいいヤツだなぁ・・。 僕は二人を散歩に連れ出した。 なんとなく二人に話しておかなければいけないことがあるような気がした。 二人は明るく日常の話をする。だけど、僕の耳には入っていなかった。 「人を愛するって、何だと思う・・?」 僕は唐突に二人に切り出した。 「え?」 「人を愛するって、どういうことだと思う?」 「・・・・」 「僕はこう思う。人を愛するということはその人のために生きること。 自分よりもその人の幸せを願っていること。僕はそう思っている。」 僕は君たちのお母さんをそういうふうに愛しているんだよ・・。 だから・・僕は考えていることがあった。 翌日、僕は、運ばれてきた食事を前に呆然と座っていた。 箸を落としてしまった。拾う気力もない。 もどってきたあなたが心配する。 「お箸落としちゃったんだ・・。」 「力が入らなくて・・。」 「葉子さん。」 「ん?」 「僕はもう、一人で大丈夫だから。家に帰ってください。」 「ソンジェ・・。」 「志保さんと和哉さんのところへ帰ってあげて下さい。」 「何言ってるの・・。」 「僕・・僕、死ぬかもしれない」 「ばかなこと言わないで・・。死ぬなんて言わないで。あなたは生きるの。 ずっとずっと生きるの。もう二度と死ぬなんて言っちゃだめ。約束して・・。」 あなたが小指を差し出す。指きり。 僕はあなたに甘えているんだな・・。あなたに、そう言って欲しかっただけかもしれない・・。 いつものように指きりをしながら、そう思った。 人を愛することは自分よりもその人の幸せを願っていること・・ でも、僕はやっぱりあなたに傍にいて欲しい・・。 先のないかもしれない自分といるよりも、 志保さんたちに返すほうがあなたの幸せかもしれないと思いながら・・。 ごめん、志保さん、和哉君。僕は君たちのお母さんを返せそうにない・・。 「ごめんなさい。もう言いません。」 「大丈夫。絶対治るから!」 あなたは、僕の頬にKissをして部屋を出ていった。 僕はあなたの気持ちがうれしくて、そして自分が不甲斐なくて、 涙があふれそうになるのをこらえていた。 ごめん、葉子さん・・。僕はあなたに謝ってばかりいるね・・。
2005.09.24
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いつもの風景・・。あなたが朝食を作り、僕が食卓へ運ぶ・・。 あなたは今日の予定を話しながら、料理の手を休めない。 「手伝うよ」といいながら、どうも調子が悪い。 「ソンジェ、顔色悪い。」あなたはすぐに気がついた。 大丈夫、心配しないで・・。 だけど、食卓まで料理を運ぶのが限界だった。急に気が遠くなっていった・・。 * 気がついたら・・また病院だった。 なんなんだ、いったい。もう、胃はそれほど痛むことはない。 でも、こんどは、どうも足に力が入らない。 数日入院していると、立ち上がった時、足元がふらつく。 「僕・・どうして歩けないの・・?」 「ずっと寝てたから足が弱ってるだけよ。すぐに良くなるわ。」 あなたは言う。嘘だ。それなら、何度も歩けば元に戻るはずじゃないか。 僕はどんどん歩けなくなっていく。 足が動かなくなり始めて、僕は陶芸祭の作品用のデザイン画を描くことに没頭することにした。 これは、どうも自分で作品を作ることはできなくなりそうだ・・そんな予感があったから。 病室でデザインを描いているとあなたがやってきた。僕のデザインを見て、これがいい、と言う。 「良かった。葉子さんがいいと思わないと作れないです。」 「だって、一緒にやるんだもんね。」 あなたは明るく言うけど・・もうきっと無理だ・・。 「僕、考えたから、葉子さん作ってください。」 「何言ってるの・・。」 「僕、退院できないかもしれない。」 「ソンジェ・・。」 「だんだん歩けなくなっていくみたいです・・。」 あなたは、励ましてくれる・・。その気持ちに応えようと返事はしたけれど・・。 自分の身体のことだ。普通じゃないことくらいわかる。 ごめん・・。 葉子・・。
2005.09.23
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ファンミに行かれる皆さ~ん♪ Terryに会えるお部屋はここ、孔雀の間の西側です。(仕切られるようですね)私たちは想像して楽しみます。楽しんできてね~♪ ☆お知らせ~! ほたるさんのところで、TerryのファンミCM動画が見れます! * * * * * * * * * * 昼下がり。 アトリエの準備室で葉子さんが作ってきてくれた弁当で遅い昼食をとっていた。 あなたは僕が食べるのをやさしく微笑みながらながめている。 僕は食事をしながらふと思った。 僕の気持ちはずっと変わらない。それは、あなたも知っている。 だけど、葉子さんには家族がいて、あなたの心のままに動けないことも多かった。 一度はあなたを家族の元に返したのに、僕が倒れたことで、また引き戻してしまった。 あれから、あなたはずっと僕と一緒にいてくれるけど、このままでいいのかな・・。 「ごちそうさま、おいしかったです。」 あなたが入れてくれたお茶を飲みながら、聞いてみようと思った。 「葉子さん、ほんとにいいの? ほんとに僕でいいですか・・?」 「あ・・。だって、もう決めたんだもん。私はずっとあなたのそばにいるって。 もう、離れない。何があっても。・・ソンジェ、お兄さんの前で言ったでしょ。 『僕は葉子がいないと生きていけないんだ』って。 あのとき、私も同じ気持ちだった。 ソンジェに逢うまで、私は眠っていたんだわ。ただ毎日に流されて生きてたの。 あなたと離れたら、また私は眠ってしまう気がして・・」 うれしい・・。こんなに僕を想っていてくれた。 心の底から愛しさがわきあがってくる・・。もう、離さないよ。 「僕は、葉子さんと一緒に生きていく。そう決めました。」 あなたはうれしそうだ・・。よかった・・。 この人を大切にしていこう・・。 あなたを僕のものにしていていいんだね・・? (以前アップした「夕暮れのアパート」に続きます。フリーページにどうぞ。)
2005.09.22
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☆ファンミ、決まりましたね! よかった~!おめでと~! いける方、楽しんできてね~! レポ待ってます~♪ ☆緊急! ほたるさんのとこへ行ってください! Terryが、ファンミのCMに出たそうで、 画像がアップされてます! もうすぐ動画も出るそうですよ! * * * * * * * * * * 僕がアトリエに出かけた後、葉子さんに兄から電話があったという。 彼女を呼び出して、金を渡そうとしたという。僕が世話になっている礼がしたかったのか、 それとも僕と別れろという手切れ金のつもりだったのか・・? いずれにしろ、葉子さんはそれを受取らなかった。 あなたは、自分の気持ちを正直に兄に話したという。 なにかひどいことを言われたのじゃないかと心配したが、 彼は黙ってあなたの話を聞いてくれたと言う。 最後に「ソンジェのことよろしく頼みます。」と葉子さんに頭を下げて帰っていったらしい。 「お兄さん、ちょっと寂しそうだったけど」 昔から正義感の強い兄だった。だからこそ、おじいさんや父の話をきいて、 日本人を許せなかったんだと思う。ひどい日本人の話しか聞いていなかったから。 いい日本人に会ったことがなかったから。 だけど、葉子さんの話を聞いて、その正直さ、誠実さを感じてくれたのだろう。 兄の気持ちが、胸に詰まった。間違いを改めるのに潔い人だから。 これからは、きっと僕たちの味方になってくれる。 「ソンミニョン・・。」 感謝でいっぱいだった。 その僕を見たあなたは、「帰りたくなったら、私に遠慮しないで、ソウルへ帰ってね。」と言う。 そうじゃないよ。兄の気持ちがうれしいだけだ。 「帰らない。ぼくは決めたんです。葉子さんと生きていく。 生きている限り、一緒に生きていきます。」 「ソンジェ・・」 僕の気持ちは揺るがない。二人の気持ちは同じだ。 あなたを安心させたい。僕はあなたを離さない。 二人の気持ちを確かめるように僕はあなたを抱きしめた。
2005.09.21
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やっとSidusHQのスケジュールが動きましたね。プライベートDVDは安心して待ってられるのかな? * * * * * * * * * * 安土からの帰り道。 いつもはあなたが恥ずかしがるから手をつなぐのが限界だけど、 今日はあなたの腰に腕をまわす。 夜だから、いいよね・・。 すると遠慮がちにあなたも僕の腰に腕をまわす。 知ってる? こうして歩くと一瞬の間にKissができるんだよ。 学生時代、プレイボーイの友達が自慢げに話していた。・・ほんとだね・・。 お互いに少しもたれあいながら、黙って夜道を歩く。 短い距離だけど、あなたの体温がうれしい。 二人、夜空を見上げながら歩く、こんな夜もたまにはいいね・・。 退院したばかりなのに今日はちょっとがんばりすぎたかな・・。少し疲れた。 久しぶりに帰ってきた・・。このアパートから、もう、随分離れていたような気がする。 短い間にいろいろなことがあった。 あなたを家族に返して・・僕が倒れたせいで、引き戻してしまったけれど・・。 井手先生に手術をしてもらった。僕の中では一つの気持ちの整理がついた。 兄の来日。兄への宣言。もう、僕は葉子さんと離れない。 兄は・・今日、僕と葉子さんが仕事をしているのを見て黙って帰っていった。 何かを感じてくれただろうか・・。 簡単に夕食をとって、早めにやすもう。 二人きり・・。本当に久しぶりだね。 僕の腕枕であなたが隣にいる。うれしそうに僕を見ている。 こんなに安らかな気分になるのも不思議だね。あなたの髪をなでながら額と唇に軽くKiss。 こうしているだけで幸せだよ。 あなたの香り、あなたのぬくもりを感じているだけでいい・・。 あなたをゆっくり抱き寄せる・・。髪に顔を埋めてみる・・いい香りだ・・ 今夜はずっとこうしていたい・・。
2005.09.20
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* いつものソンジェは寡黙です。だから、心の言葉がかけましたが、今日の場面は、 いつになくソンジェが饒舌です。彼自身が話したい事は言い尽くしているので、 しいなはちょっとサボリです♪ 彼の言葉をお楽しみ下さい(笑) 「」は日本語、[ ]は韓国語です。 ☆緊急連絡・・ジヌ君のスケジュールが出てます!限定BBSへどうぞ! * * * * * * * * * * [具合よさそうだな。] 兄が病室にやってきた。 [すぐ退院できそうか?] [順調だって。] [そうか。それなら、すぐにソウルに帰れるな。] 僕はソウルに帰るつもりはない。 兄にはいつか言わなければならないことだった。 [僕はソウルには帰らない。] [なんだって・・?許さない!俺は許さないぞ!] [兄さんにそんなことを決める権利はない!] [どうして帰りたくないんだ。手術はうまくいったんだぞ。母さんだってお前の帰りを待っているんだ] [日本でやりたいことがあるんだ。陶芸祭に出品する。] [だめだ。母さんと約束した.お前をソウルに連れて帰ると。] [母さんには僕から話すから。] 「失礼します」 葉子さんが入ってきた。 「間違ってたらごめんなさい。陶芸祭が終わるまで、待ってあげてもらえませんか。 ソンジェ、陶芸祭に出品するの、楽しみにしてたんです。」 「ばかを言わないでくれ!陶芸なんか韓国でだってできる。」 [それだけじゃない!] [なに?!] [僕が日本にいたい理由は・・] [なんだ!] ぼくは、葉子さんを見つめた。 [好きな人がいるから] [とても大切な人なんだ] 兄と・・そしてあなたに聞いて欲しかった。 [僕、その人と約束した。] [ヤクソク?・・女か。そうなんだな?日本人か?誰だ?そいつはどこにいるんだ?] 僕は葉子さんを見た。言ってもいいかな・・。 [どうした。何で黙ってるんだ。・・まさか・・] 兄も気づいた・・。 「お前たち、そうだったのか。」 「僕たち、約束した。一緒に陶芸やることを。約束した。」 [バカなことを・・お前もソンウと同じか?おじいさんや、父さんが、日本のせいでどれだけ 苦労したか。お前だってわかってるだろ?] [それが嫌だったんだ。おじいさんや父さんのためにソンウも僕も苦しんだ。] [何だと?] [ソンウは日本語を勉強して日本の音楽技術をマスターしてソウルへ帰りたいと言っていた。 僕も日本の陶芸を知りたいと思った。でも、兄さんや父さんは反対しただろ。] [お前が日本で陶芸をやりたいなら、それでもいい。でも日本の女は許さない。] 「あんたは家族を捨てたひどい女だ。俺の弟をだましたな。」[そうだろ!] [やめろよ、兄さん! 葉子さんは僕の大切な人だ。 いくら兄さんだからってそんな言い方は許さない!] [ソンジェ・・] [兄さんは間違ってる。同じ日本人の中にだっていい人もいれば悪い人もいるだろ。 韓国人だって同じだ。ソンウも僕もいい人と出逢ったんだよ。 日本へ来た時、孤独だった。頼れる人は誰もいなかった。 ソンウもみつからなくて疲れ果てた。 父さんが死んだ時もソウルへ帰れなくてとても辛かった。] 「その時、葉子さんと逢った。 葉子さんはとても明るくて優しくて、とてもかわいい人だと思った。僕は葉子さんに元気をもらった。 葉子さんがいなかったら、ソンウを捜すことあきらめてた。 でも、葉子さんは家族がいた。僕たち、別れた。でも、また逢った。 いろいろつらいことがあったけど、二人で助け合ってきた。 僕には葉子さんが必要だ。 僕は葉子がいないと、生きていけないんだ!!」 言いたいことは全て言いきった・・。あなたに聞いて欲しかった。兄もわかってくれただろうか。 興奮と、長く座っていたことで傷口が痛み出した。 葉子が涙を流しながら僕に駆け寄ってくる。あなたを兄に侮辱させはしない。 僕の大切な人だ。二度と離れない。もう、僕はあなたと約束したんだから。
2005.09.19
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僕は井手先生の診察を受けた。彼の驚いた表情。 当たり前だろう。妻を奪った憎い男がわざわざやってきたんだから・・。 診察が終わって、彼は言った。 「ソウルへはいつ帰るんだ。別にいつ帰ろうと君の自由だけどね。」 でも、僕はもう、決めていた。 「帰りません。手術、日本でします。」 「なぜだ。韓国にだっていい医者はいるだろう。医療費だって、日本は高い。」 「はい。」 「そんなに葉子のそばにいたいか・・。もういい、君がどうなろうと俺の知ったことじゃない。 好きにすればいい。」 「私、日本に手術して欲しい先生がいるんです。」 僕はまっすぐに井手先生を見つめた。 * 僕が井手先生に手術を頼んだことを知ったあなたが僕を問い詰める。 「だって、そうでしょう。あの人は、私やあなたのことを許してないのよ。」 「わかってます。」 「わかっててどうして・・。あの人が快く手術を引き受けてくれると思った?」 「いいえ」 「あなたの手術をやってくれるわけないでしょう。」 「断ると思ってました。でも僕、井手先生に手術して欲しいんです。」 「なんで、何であの人なの。」 本当の気持ちは言えない・・。 「私にはあなたの気持ちがわからない・・。 どうして、自分を恨んでる相手に命を預けるようなことができるの。私には理解できない。 大手術なのよ。」 「井手先生は葉子さんが愛した人だからです。」 「え・・。」 「僕、日本に来て、皆さんにお世話になりました。人を信じようと思いました。 だから、井手先生のことも信じてます。」 「でもね・・。」 「葉子さんが愛した人だから、僕は信じてます。」 「ソンジェ・・。」 これも本当の気持ちだ。だけど、もう一つの気持ちは手術が終わってから言うこともあるだろう・・。 葉子さんを説得して、もう一度井手先生に頼みに出かけた時、彼は頑なに断った。 でも、お願いだ。引き受けて下さい。あなたに頼むもう一つの理由がある・・。 だけど、その場で僕は喀血して倒れてしまった・・。 数日後、ソンミン兄が病院にやってきた。安岡先生が連絡をしてくれていたからだ。 手術は、井手先生にして頂くことになったという。よかった・・。 これで僕の願いがかなう・・。 手術当日。覚悟を決めていたつもりだったが、僕はやはり不安だった。 井手先生がもし、僕憎さに僕を助けたくないのなら、その気持ちを甘んじて受けよう。 死んでもいい・・と思っていたのに。 医者としてのジレンマもあるだろう。妻を奪った相手の執刀に手が震えることもあるだろう。 もし、僕が死ねば、彼の医者としてのリスクも・・。 自分勝手なことはわかっている。だけど、自分の命を預けることでしか、 彼に対して償う方法を知らなかった。 ストレッチャーで運ばれながら、僕は葉子を見つめ続ける。 本当は、手を握っていて欲しい。 だけど、井手先生の病院、兄の目の前では、それはかなわなかった。 * 手術は・・成功した。井手先生は僕を助けてくれた。 数日後。 「経過は順調だ。2・3週間で退院できるだろう。」 「先生、ありがとうございました。」 「診察のたびに礼なんか言わなくていい。」 「違います。手術を引き受けてくれたこと。どうしても、先生に手術してもらいたかった。」 「一つだけ聞きたい。」 「なんですか。」 「君は私を信用してオペを頼みたいと言っていたが。 私は君に信用されるようなことをしていないし、むしろ逆だ。 君も私も、顔を合わせるのも不愉快な関係だ。なのに、どうして私だったんだ。」 「僕はあなたに憎まれています。手術、ちゃんとやってもらえなくてもいいと思ってました。 もし、死ぬようなことがあっても、先生が手術してくれたのなら、受け入れられると思いました。」 「別に君のために引き受けたわけじゃない。」 僕の気持ちはわかってもらえただろうか・・。
2005.09.18
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柔らかな暖かな唇が僕の唇を包む・・ 「おはよう・・ソンジェ」 あなたがやさしく僕の隣で微笑む。 「おはよう・・」 まだぼんやりしながら僕は答える。 僕はゆっくりあなたを抱き寄せる。 朝のしたくは急がなくていいよ。しばらくこうしていよう・・。 昨夜の甘い記憶が二人を包む。 いつのまにか二人、そのまままた浅い眠りに落ちたようだ。 柔らかな日差しに眼をあける。 こんどは、軽くKissをしてあなたが布団を離れる・・もう行くの? 僕がつかんだ手をあなたは笑って離していってしまった。 僕はキッチンで立ち働くあなたを布団の中で腕枕をして眺める。 僕の大好きな朝の風景・・。 いつもの朝。だけど、今日はちょっと違う。 あなたには言わないが、僕はある決心をしている。 井手先生に診察を受けに行く。そして担当医に井手先生の執刀を頼むんだ。 僕は起き上がって布団をかたづけると あなたのところへ行った。 「葉子さん、手伝います。」
2005.09.17
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今日もクリ&ドラです。これから辛くなるから・・。いまだけ・・ね。 * * * * * * * * * * 「葉子さん、ありがとう」 本当のことを言ってくれて・・。 「僕は大丈夫。僕、いつ死んでもいい。葉子さんと会えたから。」 「何言ってるの。ソンジェの病気は治るんだから。お医者さんだって、手術すれば治るって 言ってたでしょ。だから、ソンジェ、ソウルへ帰って手術をしてね。」 「僕、葉子さんと一緒にいて幸せだったけど、葉子さんの家族、だめにした。 もし、僕が死ねば、葉子さん、家族に戻れる。」 「何言ってんのよ。私の家族がだめになったのはソンジェのせいじゃないでしょ。 私と昭彦さんの問題。そうなる運命だったのよ。だからもう、そんなこと言わないで。」 「僕、ソウルには帰らない。」「どうして。」 「帰らなくていい。」「何言ってんの。」 「僕、日本で治したいんです。」「ソンジェ・・。」 「陶芸祭、葉子さんと一緒に作品作りたい。」 僕はこの時、ある決心をしていた。 * 銭湯帰り。隠し事もなくなり、僕たちは久しぶりに晴れやかな気分ではしゃいでいた。 アイスでふざける、普通の恋人同士に戻っていた。 アパートに戻り、ぼくは、これまでの感謝を葉子さんに伝えようと思った。 「ねえ、ソンジェ。病気のことがあるけど、私も、安岡先生もあなたと一緒に陶芸祭に 参加できるの信じてるから。手術のことは私がなんとかするし、由紀も応援してくれるって。」 「葉子さん、僕、軍隊終わって、韓国の家飛び出した。日本に来て、また葉子さんに会った。 でも僕、葉子さんを悲しませてばかりいる。僕は、弟のソンウを守れなかった。 宋太も、佳織さんも守ってやれなかった。」 「ソンジェ、でも、それはね・・」 「葉子さん、そのたびに僕を助けてくれた。でも僕は、葉子さんを家族から離してしまった。」 「ソンジェ・・。」 「葉子さん、ごめんなさい。僕の病気のことで、葉子さんまた傷つける。」 「ソンジェ、そんなこと気にしなくていいの。私はソンジェと一緒にいたいの。 ソンジェに生きて欲しいの。」 「葉子さん、ありがと。」 これでいい。もし、手術で僕になにかあっても・・。 「 その夜、月明かりの中・・あなたは僕の隣にそっと寄り添ってきた。 少しだけ、抱きしめてほしいと言って・・ 少しだけ・・?なぜ・・?あなたは、女にはそういうときがあるんだと言う。 ・・無理もないか・・僕の病気のこともある。不安な気持ちを癒したいのかもしれない・・。 抱きしめてくれるだけでいいという・・。それはいいけど・・。僕にはきついな・・。 抱きしめてしまったらあなたが欲しくなっちゃうよ・・。 もしかして、ぼくの身体を心配してるの・・? 僕は平気だよ。あなたは首を横に振る。 あなたを抱きしめる・・。かぐわしい香り・・。どうしよう・・。僕・・。 そっとあなたの額にくちづける。あなたが大きな瞳で僕を見る。 もうだめだ、Kissをさせて・・。抱きしめるだけじゃ、あなたをつぶしちゃうよ・・。 ごめん・・あなたを抱きたい。抱きたい、抱きたい・・! パジャマのボタンに手をかける。あなたが僕の手を止める・・。また・・? じらさないで・・。 あなたの耳元でささやいてみる・・。お願い・・。あなたが吐息をもらす。 ほうら、ね・・もう、僕に我慢をさせないで・・。来て・・葉子・・。」
2005.09.16
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昨日クリック&ドラッグをお願いしましたが、やり方がわからない方もいらっしゃるようなので、ちょっと説明しておきますね。 「」の中の空白の最初のところにカーソルを置いて、マウスをクリックしたまま下の」まで動かします。そうすると、文字が浮かび上がってきます。今まで???だった方、ごめんなさいね。気がつかなくて・・。 今までのクリ&ドラ劇場も、フリーページの「ソンジェの心模様」においてありますので、よかったらその方法で読んでくださいね。 もう一つ、お知らせ。新しく、画像のおけるBBSをつけました。今までのBBSは、レスがどこについてるのかわかりにくいので、伝言板として残しておきます。今、日記がソンジェに占領されてるので、直接「心模様」に関係ないんだけど・・、とか、○○さんへ、とか、情報とか、日記のレスに書くのはちょっと違う、というときに、自由に使ってください。私も、「心模様」以外のことは、そちらに書くつもりです。トップページに入口があります。 ちなみに、こゆきさん、そこならクリ&ドラできますよ(笑)一応、10月いっぱいまでの限定BBSです。ファンミの画像アップも期待して・・(笑) * * * * * * * * * 安岡先生がアパートに検査結果を知らせに来てくださった。大丈夫だったそうだ。 葉子さんはその足で安土へ先生の手伝いに行った。 ただ寝てても仕方がないし・・そうだ、晩御飯でも作っておいてあげよう。 「ただいま・・」 葉子さんだ。「おかえりなさい」 「なにしてんの?」「ご飯つくってます。」 「だめよ、寝てなきゃ。」「大丈夫」 「だめだめ。私がやるから、ソンジェ休んでて。ソンジェは倒れたのよ。 まだ病院だって通わなきゃならないんだし・・。また、同じようなことになったら大変でしょう?」 ほんとに心配症だなぁ。おおげさだよ。 「葉子さん、心配しすぎ。」 「ソンジェが気をつけないからよ。」「僕は元気。どこも痛くない。」 「だけど、病院の先生だって、まだ直ってないって言ってるんだから。」 「僕の身体は僕が一番わかります。」「もう、黙って言うこときいて!」 ・・? 様子が変だ・・。 「ごめん、ソンジェにはちゃんと治って欲しいから怒ってるの。」 「葉子さん。僕の病気・・何ですか?・・悪い病気?」 「違うわよ。だってほら、ソンジェ貧血で倒れたでしょ。そんな心配するような病気じゃないって。」 ・・嘘だ・・。あなたには隠せない。僕の眼を見て話そうとしないじゃないか。 なんの病気なんだろう・・。だけど、聞かないでおくよ。あなたが話したくないのなら・・。 * 次の日。葉子さんと僕がそろったところで、安岡先生が話があるという。 「今度の秋にある都の中央陶芸祭、それに井手さんとソンジェ君にも参加してもらおうと、 思ってるんですよ。」 うれしい。力を試してみたい。 「ただし、条件があります。」「なんですか。」 「ソンジェ君。まずは君、病気を治すことだ。」 ・・先生も僕の病気を知っているのか・・? 「ソウルへ帰って手術を受けて、完全に回復してから陶芸祭の作品作りに集中してほしい。」 「ねえ、ソンジェ、そうしようよ。」 ソウルに帰りたくない。葉子さんと一緒にいたい。だけど、日本では保険証がないから 治療と手術に多額の費用がかかるという・・。手術が必要って、何の病気だ・・? 費用を恭一に頼もうと思った。しかし、事務所へ行ってみると恭一は窮地に陥っているようだった。 ぼくにはどうすることもできないが、せめて費用を借りることはあきらめよう。 どうしたらいいかわからなくて、ただ街を歩いていた。どうしたらいいんだ。 空をあおぐと星が流れた・・。ソンウ・・どうしたらいい? こんな時だけお前を頼る兄を笑えよ。 あなたはソウルへ帰れという。 僕をソウルに帰そうなんて、普通の病気じゃないはずだ。とにかく、確かめなければ。 意を決してアパートに戻った。 あなたはいつものように夕飯の心配をする。 だめだよ。今日はごまかされない。 「葉子さん、ちょっと来て、ここへ座って下さい。」「どうしたの?」 あなたの手をとる。離さない。本当のことを言ってくれるまでは。 「ソンジェ、なあに?」 「葉子さん、僕の眼を見て。葉子さん、何を隠してますか。僕の病気、ひどくても大丈夫です。」 「ソンジェ・・。」 顔色が変わった。やっぱり・・。重い病気なのか・・。 「大丈夫。」 話して・・。 「葉子さん、ほんとのこと言って下さい。」 あなたは立ち上がってごまかそうとする。 だめだよ。この手は離さない。 「葉子さん。」 「ソンジェの病気は手術すればなおるわ・・。」 耐え切れなくなったあなたの瞳から大粒の涙が流れる。 覚悟はしていたが・・。そうか・・やっぱり・・。 僕の手から力が抜けた。
2005.09.15
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久々・・クリック&ドラッグです。よろしく(笑) * * * * * * * * * * 小さく寝返りを打ったとき、僕の手があなたに軽く当たった。「う・・ん」 あなたは眠ったまま少し動いた。 僕も頭は半分眠ったまま、だけど、ふとあなたをぐいと抱き寄せたい衝動にかられた。 うつうつとしながら、自分で腕枕をしながらあなたを眺める。 あなたを家族に返そうと思ったのに、僕が倒れたことで結局呼び戻してしまった・・。 僕はあなたを離したくない。傍にいて欲しい。 こうして一緒にいてくれるのはうれしいけれど、このままでいいんだろうか・・。 規則正しい寝息。安心しきった寝顔・・。今は僕のものだ、かわいい人。 「 眼を覚まさないかな・・。 突然僕があなたを抱いたら・・驚くだろうなぁ・・。 すこうし、ちょっかい出しちゃだめかな。 あなたのことだ・・きっと眠くても僕の相手をしてくれるだろう・・。 だめだよ。あなたは疲れてる。眠らせてあげなくちゃ・・。 抱きしめたい・・。あふれる想いがこみあげてくる・・。 いつかは返さなければ・・と思うと本当は夜ごとでもあなたを抱きたい。 僕の身体だって・・時々胃が痛むだけだ。たいしたことはない。 僕の妄想だけが暴走する。 きっと・・抱き寄せられたあなたは、半分眼をあける・・。僕の手が、唇があなたの身体を這うと・・。 あなたの身体はだんだん眠りからさめて反応する。 あなたは僕の首に腕をまわして・・そしてKiss・・。 今度はあなたの手が、唇が僕の身体を・・。 ああ、もうたまらない・・。あなたが欲しい・・。 葉子、起きてくれない・・?」
2005.09.14
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気がついたらあなたが僕の手を握り締めて心配そうに僕を見ていた・・。 ここは・・病院? 「ソンジェ・・よかった、気がついて・・。」 泣き出しそうだ。大げさだよ・・。 「葉子さん・・。」 家族のもとへ返したばっかりなのに・・。また呼び戻しちゃったのか・・? 僕はうれしいけど・・。 * 「着替えのほかに欲しいものある?じゃ、すぐ戻ってくるね。」 「葉子さん・・。」「なあに?」 家族のもとへ戻って・・と言おうとしたけど、言えなかった。 やっぱり今はそばにいて欲しい・・。 「ありがとう。」「じゃあね。」 だめだな、僕は・・。あなたを返せない。 * 検査が終わって、退院することができた。 「さあ、到着。大丈夫?」 アパートへ戻るとあなたがかいがいしく世話をやく。布団の用意までして・・。 「お布団に横になって休んでて。お昼ごはん作るから・・。」 「大丈夫。」 「だめよ。退院したばかりなんだから。」 心配性だなあ・・。「もう、大丈夫です。ほら。」身体を動かしてみせる。 あ、つぅ・・。痛い・・。でも、心配させちゃいけない。笑ってごまかす。 心配してくれるあなたが愛しいよ・・。思わずそっと抱き寄せる。愛してる・・。 だけど、もう退院したんだ。あなたを家族に返さなきゃ・・。 「もう心配しないで。葉子さん、うちに帰って下さい。」 「ソンジェ・・。」 「家族みんな待ってます。」 「帰らない。ソンジェ一人置いて帰れない。」 「僕、一人で大丈夫です。」 ほんとは返したくないけど・・。 「ソンジェ・・傍にいさせて・・。」 うれしい・・だけどいいのかな・・このままで。
2005.09.13
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今日、ミスチルのアルバム聞きながら料理をしていて、わぁ、これ・・ソンジェのうただ・・、と思いました。今までも何度となく聞いてるのにね。そう思うの、私だけかもしれないけど・・。良かったら、聞いてみて下さい。 「抱きしめたい」 そろそろ、リンクを終了します。ごめんなさい、聞きたい方は、アルバムを聞いてみてね。 * * * * * * * * * * 夜、葉子さんを家族のもとへ送っていった。 いつもの公園・・。 一緒に暮らしていたのに、これからはまたあなたの顔を見れなくなる・・。 朝、あなたのKissで目覚めることも、隣にいるあなたに手を伸ばして存在を確かめることも・・ できなくなる。 僕が自分で言い出したことなのに、ここまで来てあなたを家族に返すのをためらっている・・。 さっきは独り占めしちゃいけないような気がして抱きしめられなかったくせに、 ここへ来てあなたを離したくない・・。 やっぱり帰したくないとあなたを引きとめようか・・。いや、だめだ。 今度は何も言わずにあなたを抱きしめる。ちゃんと、返すから・・。今だけ・・。 「息ができないわ・・。ソンジェ・・。」 ごめん、力いっぱい抱きしめてしまった・・。そうすればあなたを離さなくていいような気がして・・。 両手であなたの頬に触れる・・顔を見せて・・。誰かが見てるかもしれない・・? かまうもんか・・。 暗くてわかりゃしないよ・・。切なくて寂しくてくちづける。 でも、もう、行かせてあげないとね・・。 あなたは何度も振り返りながら家のほうへ消えていく・・。 僕はしばらく呆然と立ち尽くしていた・・。本当は、「行くな」と言いたかった。 * そのままアパートへ戻る気がしなくて安土へ行った。 「もう少しやらせてください」 陶芸に没頭することでこの空虚感を忘れたい。 ろくろを回していると・・おかしい・・急に胃のあたりが・・普通の痛みじゃない・・! 「ソンジェくん。ソンジェくん!」 安岡先生の声が遠くに聞こえる・・。 僕は意識を失ってしまった・・。
2005.09.12
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葉子さんの快気祝いにサムルノリのライブを見に出かけた。 はじめてみるサムルノリを喜んでくれるあなたの横顔がうれしくて僕は見入ってしまった・・。 アパートに戻って店の人が撮ってくれたポラロイド写真を二人でながめているとき、 葉子さんが「私、利川に行きたい。」と話し始めた。 と、突然井手先生が現れた。 僕らは、現実に引き戻された。 「葉子、俺はお前と別れる。その男と暮らそうがどうしようが、自由だ。そのかわり、 子供達には会わせないからな。」 子供達には会わせない・・。それは母にとって一番残酷なことばだろう・・。 「二度と近づくな!」捨て台詞をはいて彼は出て行った。 「葉子さん、いいんですか・・?」 あなたは、泣き崩れてしまった。僕は、そのままにしておけなくて井手先生を追いかけた。 酔っ払っていた彼は、チンピラに絡まれて袋叩きに遭っていた。 僕がやつらを追っ払うと、助けられたのはプライドが許さないのだろう、 僕に刺さることばを次々に投げかける。 「礼なんかいわないぞ。お前のせいでみんなが不幸になったんだ。」 聞かなくては・・聞いておかなくては。 「葉子さんと、別れるんですか。本当に葉子さんと別れるんですか。」 「だったらなんだ。うれしいか。思い通りになったろう。」 うれしい・・? わからない・・。 あなたが彼と別れることを望んでいたわけではない・・。 「お前の魂胆はわかってる。最初から俺の女房奪うつもりだったんだ。そうだろう。」 そんなつもりじゃなかった・・でも、結果的には・・。 「一緒に暮らしてた女と子供が事故にあったのも、ほんとはお前が仕組んだんじゃないのか。」 それはひどい! ありえない! 「違う。違います!」「わかるもんか。」「僕そんなことしない!」 「だったら、なんで女房の部屋にいるんだ!ふざけるな!」 返す言葉がない・・。くやしいけれど・・。いつもそうだ。あなたのほうが正論だ。 本当は好きになってはいけない人を僕は好きになってしまったんだから。 アパートへ戻りながら、僕は考えていた・・。 僕はあなたが家族と別れるのを望んでいたわけではない。 ただ、あなたと一緒にいたかっただけだ。僕は、ずるいのか・・。 部屋へもどると、あなたが謝る。あなたが悪いわけじゃない。 だけど、僕がいないあいだ、あなたは、あなたなりに考えていたんだろう。 「ソンジェ、私、あの人と別れるから・・。別れるって決めたの。私はもうあの家に帰れないし、 帰るつもりもないわ。」 でも、あなたが飾っている子供達の写真が僕の眼には入っていた。 「私は、あなたと一緒にいる・・。」 この人を子供達から奪うわけにはいかない・・。 * 僕は荒れていた生活の整理をつけなくてはならなかった。 恭一に店で暴れた詫びと、佳織を毎日見舞ってくれている礼を言いに行ったときも、 あなたを一緒に利川に連れて行くとは言えなかった。 迷惑をかけた安岡先生を訪ねて、お詫びをし、ずうずうしいことは承知で仕事をくれるよう頼んだ。 先生は・・喜んでくれた。今までの僕を責めることもせずに。僕がそう言うのを待っていたと。 先生の温かさが僕には涙が出るほどうれしかった。 さっそく安土で下働きをさせてもらった帰り道、アパートの下で志保さんがうろうろしているのを 見つけた。家族のことで葉子さんに相談したいことがあるようだった。 強がってはいたけれど・・内心は心細いはずだ。 ・・僕が葉子さんを家族から奪っているんだ。 葉子さんを独り占めしていてはいけない・・。 アパートでは、あなたが僕を喜ばせようと、韓国料理を作ろうとしている・・。 だけど・・。 「葉子さん。うちへ帰って下さい。僕のことは心配いらないから。うちへ帰ってください。」 「どうして、そんなこと・・。ソンジェ。」 「あなたの家族、あなたを必要としています。僕、葉子さんのおかげで眼が覚めました。 僕、陶芸やります。」 「でも、ソンジェ・・。私、ソンジェと・・。」 あなたの気持ちはうれしい。ほんとは離れたくなんかない。 だけど、あなたは僕だけじゃない、みんなから必要とされているんだ。 「大丈夫。僕たち、離れていても、心つながっている。」 あなたを安心させるため、抱き寄せた・・。 でも、ぼくだけのものじゃない・・。 大丈夫、といいながら僕はあなたを抱き締め切れなかった。
2005.09.11
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物語が前後しますが、ごめんなさい。昨日のsonamuさんのカキコでイメージが湧いてしまいました。「幸せな時間」の前夜のお話です。少し遊ばせてくださいね♪ sonamuさんありがとう~♪ * * * * * * * * * * あなたと過ごす初めての夜・・。もう、僕がずっと傍にいるから安心して眠って・・。 僕の手枕であなたが微笑む。あいた方の手でお互いの指をからめる・・。 今夜はこうして一緒にいられるだけでうれしい。ここまで来るのにどんなに時間が かかったことか・・。とても辛かった・・。あなたにも辛い思いをさせたね。 まだ佳織は目覚めない・・。宋太は亡くなってしまった。 あなたは家族をおいて出てきているし、井手先生のこともある。 これからの生活のことだって・・。 でも、今は・・! こうして二人寄り添っていられる。誰にも邪魔されずに。 一晩中だってあなたを見ていられる・・。今まで望んでもかなわなかったこと。 こんなに満ち足りた気持ちになるのは何年ぶりだろう・・。 もしかしたら、江ノ島のあの日以来かもしれないね・・。 さあ、眠って・・。早く元気になって。僕がこうして抱いているから。 明日の朝は僕のKissで起こしてあげる・・。
2005.09.10
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病み上がりでまだ銭湯へ行けないあなたの髪をシャンプーしてあげる・・二人で近くのスーパーに 買物に出かける・・。そんな何気ないことがとてもうれしくて・・。 帰り道、りんごをかじりながら、あなたにちょっと意地悪をしてみる。こんな恋人同士の時間・・ 忘れていたよ・・。 「葉子さん」「なに?」 「僕、生きる。葉子さんのために生きる。」「ソンジェ・・。」 もう、僕は自分に嘘はつかない。この言葉は心から言える。 あなたに気持ちを伝えたくて、そっとあなたと手をつなぐ・・。 なんだか、ドキドキするね・・。 「ね、ソンジェ・・。私、あなたの作品見たい・・。ソンジェに陶芸の仕事してほしい。 今すぐは無理でも、いつか一緒に作品がつくりたいなぁ。」 「葉子さん、僕も葉子さんと一緒に仕事したいです。」「ほんと?」「はい」 うれしそうなあなたの顔。僕もうれしくてあなたの横顔にみとれていた。 つないだ手に力を込める。あなたもそっと握り返す。なんて僕は幸せなんだろう・・。 葉子さんのアパートの網戸を直す。二人でそうめんをすする。 まるで新婚生活のようだ。 午後のまどろみ・・葉子さんの膝枕で休むひととき・・。葉子さんの手が僕の頬に伸びる。 わかってるよ。あなたのいたずらは。その手をつかんで頬ずりをする・・。 至福のときだ・・。あなたを愛してる・・。 * 二人で陶芸雑誌を見ているとき、葉子さんが利川の話を始めた。 「ね、ソンジェ。あなたはいずれ利川で陶芸をやるんでしょ。ほら、言ってたじゃない。 亡くなった叔父さんの窯を甦らせたいんだって。利川って、どんなとこなんだろう・・。」 僕は、心に思っていたことを言ういい機会だと思った。利川の写真を見せながら、 うれしそうに写真をながめる葉子さんに僕は切り出した。 「葉子さん、僕、葉子さんと一緒に利川に行きたいんです。一緒に行って下さい。」 5年前、江ノ島の海辺で話したことだ。 あのときは、あなたは受け入れてくれなかった。でも、今なら・・? あなたはうれしそうな顔をしてくれた・・。いつか・・一緒に行こうね・・。 (以前アップした「眠れぬ夜」に続きます。フリーページへどうぞ。)
2005.09.09
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数日後・・僕はアトリエ安土に向かっていた・・。 あんなことをしたあとだ・・。会わせる顔がないのはわかっていた。 しかし、なんとかしなくては・・。このままじゃいけないと思った時、安土からは逃げてはいけない 気がした。責められるかもしれないがそれは当然のことだ。甘んじて受けよう・・。そう思っていた。 ところが、そこで聞いたのは芹沢さんが葉子さんを思って、彼女の現状を訴える言葉だった。 葉子さんが毎日僕を捜して、僕が帰ってくるのを信じて一生懸命働いている・・? 芹沢さんに責められても、僕には返す言葉がなかった・・。 「ソンジェ君、とにかく井手さんに顔を見せてあげなさい。そうすりゃ、彼女も安心する。 わかったね。」 僕を責めもせず、気遣ってくれる安岡先生に、僕は言葉もなく安土を出た。 葉子さんには会わなきゃいけない・・。それは僕も考えていた。安岡先生に背中を押してもらって 決心がついた僕は彼女のアパートへ向かった。 僕の前をスイカを持って歩いていた男が、彼女のアパートの階段を上がっていく。 このアパートの住人か? 後ろから階段を上がっていくと、その男は葉子さんの部屋の インターフォンを押した。誰だ・・? ”ソンジェ・・?” 中から、あなたの声・・。 ドアが開いて、男が滑り込むように中に入る。なにかおかしい。 僕はドアに近寄って、隙間から中をうかがった。”・・・”なにか話し声がする。 と、”やめてください!”あなたの声。僕は急いで中に入った。 男があなたを組み敷こうとしている。僕はそいつを引き剥がし、殴りつけた。 自分の持ってきたスイカにしたたかに頭を打ちつけた男は、僕の怒りに恐れをなしたか、 後ずさりをして逃げて行った。 「葉子さん・・。」 もう、大丈夫だよ・・。 助け起こそうとすると、あなたは崩れるように倒れてしまった。 ショックが大きかったのだろうか、布団を敷いてあなたを寝かせたが、熱があるようだ。 体温計を捜して測ってみると38.6度もある。高熱だ。 額の濡れタオルを取り替えながら、僕は心配で一睡もできなかった。 きっと僕のせいだ。芹沢さんはあなたが毎日働きながら僕を捜してると言った。 疲労と心労が重なったのだろう。そこへ、昨夜のショック。 さまざまな後悔が僕の胸を去来した。僕は甘えていた。どんなことをしていても、あなたはきっと 許してくれると心のどこかで思っていた。こんなにあなたに負担をかけているとは考えもせずに。 朝。あなたが目覚めたら、ミョック(わかめスープ)を作ってあげようとコンビニへ出かけた。 韓国では、妊婦や、身体の弱った人にいいと言われている料理だ。 戻ってみると、あなたは起き上がって僕を待っていた。よかった・・。 額に手を当ててみる・・。 「少し下がった。大丈夫。治ります。ごはんできるまで、寝てて下さい。ミョック作ります。」 あなたのために何かしてあげられるのが無性にうれしかった。 スープを冷ましながらあなたに飲ませてあげる。 一口飲んで「おいしい・・」と言ってくれた。二口目・・あなたが下を向く・・。 「どうしたの・・?」 「なんだかうれしくって・・。よかった、ソンジェが戻ってきてくれて・・。」 「ごめんなさい。葉子さん倒れたの、僕のせいです。葉子さん、僕のために働いて、僕のために ご飯作って、僕のために一生懸命やってくれた。 でも、僕は困らせてばかりいた。心配ばかり・・。 僕、葉子さんの気持ち、何も考えないで死のうと思った。ごめんなさい。」 ・・うまく言えない・・わかってくれたかな・・。 「もういいの。大事なのはこれからよ・・。 わたしはただ、ソンジェに元気になってほしいだけ・・。 ソンジェの笑顔が見たいだけ・・。ただそれだけ。」 あなたの言葉が心に沁みた・・。僕はあんなに自分勝手だったのに・・。 「今、感じてるの・・。」 「なに・・?」 「あなたの愛・・。」 たまらなくなった・・。思わずあなたの手をとった。 「ありがとう、ソンジェ。」 こんな僕に・・。あなたに戻ってもいいの・・? 「ね、ソンジェ。約束して・・。」「ヤクソク?」 「もう、どこにも行かないって約束して・・。」 もう、どこへも行かないよ・・。許してもらえるのなら。あなたの傍にいる・・。 あなたがどんなに大切な人か、遠回りしてやっとわかった。・・指きり・・? 二人の指をからめる・・。あなたのうれしそうな顔・・。 もう、僕はとろけそうだよ・・。戻ってこれてよかった・・。 そっとあなたを抱き寄せる・・。強く抱きしめたいけど病み上がりだものね・・。 それに、僕が悪かったのに、あなたが欲しいなんてわがままは言えないよ・・。
2005.09.08
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安土で暴れた数日後やはり酒で 自分をなくしていた僕はなぜか 恭一の店に向かったらしい。 なぜだろう・・。 すべては、ここから崩れていったと 思っていたのかな・・。 自分では何も覚えていないが、 後から聞けば店で大暴れした らしい・・。 気がついたら、葉子さんの部屋で 寝かされていた。 いいにおいがする・・包丁の音・・。 幸せな生活の音だ。 気づかない葉子さんを後ろからしばらく眺めていた。 僕の失ってしまった幸せをながめているような気がした・・。 僕に気がついたあなたは、僕を元気づけようとしたのだろう。 何事もなかったかのように僕に話し続ける。 「・・もっと自分を大事にしようね・・。」 もう、やめて・・。そのやさしさが、今の僕にはつらい・・。 いっそ責めてもらったほうが納得できる・・。 「食事が終わったら出かけない・・?新宿で・・」 それでもあなたは、話し続ける・・。 [ うるさい!ほっといてくれ!] あなたの驚いた顔・・ごめん、本当はそんなこと言うつもりじゃない。 自分に腹をたててるだけなんだ・・! 「ソンジェ、どこ行くの、座って、ねえ・・」 [ 君に何がわかるんだ!] 追いすがるあなたを振り払ってせっかく作ってくれた食事を台無しにしてしまった・・。 僕を見るあなたの悲しそうな眼・・。 「ソンジェ!」 僕を呼ぶあなたの声を背に僕は部屋を飛びだした。 なんてことをしたんだ、あなたの気持ちがわかっていながら・・。これじゃいけないのに・・! 僕は逃げるようにアパートを離れた・・。 それから・・現実を忘れたくて酒をのみながらも、僕のなかでなにかが変わり始めていた・・。 「これじゃいけない、今のままでは・・」という心の声がだんだんに大きくなり始めていた・・。
2005.09.07
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「心模様」を書いている間、そのほかに話したいことは、掲示板(BBS)につぶやくことにしました。 心模様以外に話したいなということがあれば、皆さんも掲示板を使って下さいね♪ * * * * * * * * * * アパートを引き払った。 誰もいないアパートに残された宋太のおもちゃを見ていると、一人いる空虚感に 堪えられなかった・・。 佳織のそばにいても後悔と罪悪感ばかりがわいてきて、いたたまれなかった・・。 だからといって、葉子さんにすがることもできなかった。佳織と結婚するために辛い思いをさせた・・ 心は彼女にあっても、佳織と宋太を守ろうと決心したのに、何をいまさら・・。 葉子さんに戻って行ってはいけない気がした。 僕は居場所をなくしていた・・そして、自分自身も・・。 いろんな場所を転々とした。仕事も・・。生きていくために工事現場の日雇いをしたり・・。 だけど、葉子さんに頬をはられてから、死ぬことだけはしてはいけない気がしていた。 一人になって一ヶ月ほどたったある日、身の入らない道路工事の仕事をしているところを 井手先生に見つかってしまった。彼にとって、僕は憎い相手だ。 彼に陶芸をばかにされ、悪態をつかれて、もともと身の入っていなかった仕事も 自分のしていることも何もかもいやになってしまった。 僕の中で何かが壊れた・・。 その後は・・。めちゃくちゃだった。酒の力を借り、自分をごまかし、自分がどこで何をしているかも わからなかった。ただ、街をさまよっていた・・。 そんなある日、僕は見慣れた場所にやってきた。あの公園・・あのベンチ・・だけどもう、 どうでもよかった・・。何も考えられなかった・・。 ただ、現実から逃れるために酒を飲み続けていた・・。 「ソンジェ!」 聞きなれた声が・・。葉子さん・・。違う、これは、酒が見せる幻だ。こんな自分、 見せたくもない。忘れたい、何もかも・・。 「ソンジェ、もう、やめましょう、ね、」 やめてくれ・・ほっといてくれ・・ 足元がふらつく。歩けない・・。 「どうしたんだ!井手さん!」 男の声・・「ソンジェ君どうしたんだ!」・・安岡先生・・? 引きずるようにして車に乗せられた・・。 安土で世話をされながら、徐々に見えてくる現実に僕はさいなまれていた・・。 安岡先生と居合わせた芹沢さんの親切と切々と僕を諭す言葉にどんどん身の置き場が なくなっていく・・。芹沢さんが見せてくれた彼女の作品や、周りにおかれた先生の作品群さえもが 僕を責めているような気がしていたたまれなかった。 それらの作品をぶちこわして飛び出してきてしまった・・。芹沢さんや、先生の気持ちの込められた 作品だとわかっていながら・・。 ・・僕はいったい何をしてるんだ・・!
2005.09.06
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このころから、ソンジェはあまり言葉を発しなくなります。オンエア時にも、いろいろな感想、解釈の聞かれたところですが、ここではしいな流の解釈で書いています。しばらく、お付き合いくださいね。 * * * * * * * * * * * * * 佳織と宋太が事故にあった・・。 ボロボロになった僕がアパートに戻ると二人はいなかった。 必死で捜したがそこへ事故の知らせ・・。 ・・宋太は・・助からなかった・・。佳織は意識不明・・。 そんなとき、僕が頼ったのは・・やはり葉子さんだった。 自分を許せなくて葉子さんに邪険にしたばかりなのに・・。 彼女は来てくれた・・。 意識のない佳織の手をとりながら、僕はどうしていいかわからなかった・・。 ただ、自分の無力さ、心を葉子さんに残したまま中途半端に佳織と宋太に向かっていた 罪の意識にさいなまれていた。 恭一がやってきた。 佳織がこうなったのも、宋太が亡くなったのも自分のせいだという・・。僕に自分を殴れという・・。 思わず殴りかかろうとしたが、腕がとまった。こうなったのは僕のせいでもある・・。 こうしてやってきたのは、彼なりに罪の意識を感じてのことだろう・・。 「そうか、殴る価値もねえか・・。そりゃそうだよな。だがな、一つだけ言っとく。 俺だって真剣だった。真剣に佳織のことを・・。」 なんだって・・?! 知らなかった・・。 真剣に佳織のことを愛していたなら、 なぜあんな傷つけ方をした?! 今度は心の底から腹が立って恭一を殴っていた・・。 * 病室の夜・・意識のない佳織のそばにいると、元気だった宋太の顔ばかり浮かんでくる・・。 僕は宋太のパパになると決めたのに・・。僕になついてパパだと思い込んでいた宋太・・ 僕を頼っていた佳織・・。なのに、中途半端で心から二人に向き合ってやれなかった・・。 だから、佳織は家を出ようとしたんだ・・。その結果が・・! せめて、宋太のそばに・・! 病院の屋上から身を投げようとしていた僕を葉子が止めた・・。 泣きながら僕の頬をひっぱたいて・・。 「佳織さんは生きてるのよ・・!あなたがそんなでどうするの・・!」 ・・ごめん・・少しは眼が覚めた・・ 葉子さんと二人でアパートへ戻った。 「あなたのせいじゃない・・。宋太君が亡くなったのも、佳織さんがあんなふうになったのも・・。 あなたのせいじゃないのよ。だから、あんなまねしちゃだめ。」 「葉子さん、僕はひどい人間です。僕、自分に嘘ついてました。 僕は・・佳織のこと心から愛していませんでした。」 「ソンジェ・・。」 「弟が死んで佳織がかわいそうだから・・助けたいと思った。宋太がいたから、結婚しようと思った。 ほんとに・・ほんとに好きな人は佳織ではなかった・・。」 心はあなたにあっても、宋太がいるからパパになろうと思った・・。 自分の心さえ抑えれば二人が守れると思っていた・・。 「わたしだって、ひどいこと考えたりした。ソンジェと佳織さんの結婚を祝福したい、と思う気持ちと うらはらにだめにならないかなぁって・・。 そんなこと考える自分がすっごくいやだったけど・・。」 葉子さん・・。僕のことを想っていてくれた・・。だけど素直に喜べないよ・・。 「人って残酷ね・・。心の底から人の幸せを祈ることなんてできないのかもしれない・・。 私ね、佳織さんが元気になったら、謝ろうと思ってます。だからソンジェ、佳織さんにすまない、 と思う気持ちがあるなら、生きなきゃだめ・・。 佳織さんのためにも・・私のためにも生きて欲しいの・・。」 葉子さんの気持ちが胸に沁みた・・。だけど・・。
2005.09.05
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Terryのファンミ、行ける方、もう申し込みはされましたか?チャンスのあるかたは生かしてくださいね♪ * * * * * * * * * * * * *店でNo.1のサムが、僕に声をかけてきた。 「ソンジェ、俺と組まねえか。店をやらせてくれそうなスポンサー見つけたんだ。 お前が来てくれたら俺も助かる。どうだ。」 答えに困る・・。 「金田か。あんなやつに恩義を感じる必要ねえよ。あいつは、お前を裏切ったんだ。 お前と暮らしてる女をレイプしたのを見ちゃったんだ。とんでもねえ野郎だぜ。」 何だって・・あのときか・・! 佳織がチマ・チョゴリを破いて帰ってきた日・・! 許せない! 僕があの二人を守ると決めたのに! 葉子さんをあきらめてまで・・! それなのに恭一が足元から裏切った・・! 事務所で恭一を探す。ふつふつと怒りが湧いてくる。 「どうした、何してる。・・なんだよ。」 「佳織になにをした・・! なにをした!!」 「ふ・・あいつ、喜んでたぞ。」 ・・許せなかった・・! 僕の守るべきものを壊した! 気がつかなかった自分も許せなかった・・! 恭一を殴りながら僕は自分自身をも殴っていた・・。 * 僕はボロボロになって歩いていた。知らずに足はあの公園へ・・。 いつものベンチに倒れこむと、葉子さんが駆けて来た・・。なんであなたがここにいるんだ・・。 何も考えられなくなっていた。 「どうしたの、病院行きましょう。」 あなたがなにか言ってる・・。触らないでくれ・・。今は一人でいたいんだ。 こんな無力な自分をあなたに見せたくない・・。 僕を必死で助け起こそうとしてる・・。もうやめてくれ・・。 僕はあなたにあわせる顔がない・・。 あなたをあきらめてまであの二人を守ると決めたのに・・それすらできなかった・・。
2005.09.04
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Terryのファンミ行かれる方! 大阪会場復活したそうです!中身も濃そうですよ!もうすぐ、ほたるさんのサイトにTerryからのメッセージが送られてくるようです。ほたるさんのところより転載↓「今週担当者が海外主張なので帰国次第Terry君からこちらにメッセージを送って下さるそうです。 Terry君の日本語が流暢なのは周知のことですが、ファンミでは サインと写真もして下さる予定です。 そして一番して欲しかったTerry君の生歌を披露して下さるという話です。」ほたるさんが、苦労されてます。行ける方はお友達お誘いの上楽しんできてくださいね。私のブログからもたくさんお友達が行ってくださるといいなぁ。ファンミのあとのレポ、写真、できれば生歌のアップもどこかでしていただけないかな~。楽しみにしてます♪ * * * * * * * * * * * * 恭一が僕と佳織の結婚を祝ってくれるという。 急に人が変わったような彼の話をしていると、アパートに志保さんが訪ねてきた。 「ママから、あなたに連絡こなかった?」「来ないよ・・?」 「なら、いいの。じゃね。」「志保さん!葉子さん、どうしたの?」 葉子さんが家を出た・・? いったい、なにがあったんだ・・? 心配でたまらなかった。仕事に行くフリをして家を出た。 店には佳織から電話があっても店にいると言ってくれるよう頼んである。 今日は葉子さんを捜すんだ。 ごめん、佳織、君と結婚するけど、心は葉子さんにある。はっきりとわかった。 葉子さんに何かあったらと考えるといてもたってもいられない。 でも、一生君たちを守っていくから、許してくれ・・! 「はい、もしもし。もしもし?」 携帯がつながった。よかった・・。無事だった・・。 「ソンジェ?」そう、僕だよ・・。 葉子さんのアパートを訪ねた。一人暮らしを始めるのだという。 「いらっしゃい、あがって。」あなたは努めて明るく振舞う。だけど、このアパートは・・。 葉子さん、あなたは今までりっぱな家に住んでいたのに・・。 「まだ、なんにもないけど、そんなに悪くないでしょ?」 「葉子さん・・、志保さんたち、心配してます。」 僕も心配だよ・・。家を出たのはもしかして僕のせい・・? 葉子さんが志保さんに電話をしている。母の気遣いだ。なにげなく部屋を見回すと・・。 まだ何もない部屋の片隅に子供達の写真と僕のあげた花瓶が・・。 葉子さんの気持ちが胸に沁みた・・。 花瓶を見る僕に気づいたあなたは、話をそらせようと電球をつけようとする。つかない・・。 「新しいのにつけかえたばっかりなのに・・。」 電球に手を伸ばそうとするが、あなたには届かないよ。なんだか痛々しくて見てられない・・。 僕がやる。 「ありがとう」・・お互いに言いたいことはあるのに言葉にできない・・。しちゃいけない。 「あ、ねえ、結婚いつになった・・?」 沈黙を破ろうとその話題なの・・・? 「幸せに・・なってね・・。」 本当にそう思ってる・・? 「僕、葉子さんがこのままじゃ結婚できません。 あなたが、こんなところに一人でいるのに僕だけ 幸せになれない・・。」 わかってるんだ、本当は。あなたと一緒でなきゃ幸せにはなれないことは・・。 「ソンジェ、私のことなら心配ないから・・。」 泣き出しそうな顔でそんな強がり言わないで・・。 「長い間ここにいるつもりないし・・。気分転換で一人になりたいときってあるでしょ・・?」 「うそです。今の葉子さんは幸せじゃない。」 「え~?幸せですって。私は幸せです。」 「じゃ、どうして、どうしてそんな眼をしてるの?」ほら、答えられない・・。 「悲しい眼をしてる。」 「どうしてそんなこと・・。」 「いつも見てたから・・。」 僕にはわかる・・。今にも泣き出しそうな肩を抱いてあげたい・・! 大きな瞳から涙があふれそうだよ・・。 僕の気持ちを察したのかあなたはあわてて僕を帰そうとする。 正解だよ。このままじゃ僕はあなたを抱きしめてしまう・・。 「葉子さん、」「ん?」 後ろを向いて涙をぬぐうあなたを置いていかなければならないなんて・・。 「これから、どんなことがあっても夢をあきらめないで・・。僕もあきらめない。」 こんなことしか言ってあげられない。あなたが無理に笑おうとしてるのに・・。 「ヤクソク・・」小指を差し出す・・。「やくそく・・」 「ハンコ」「はんこ・・?」「韓国の指切り」「ああ・・」 あなたが微笑む・・。触れられるのがこの手だけなんて・・。「じゃあ・・」 離れがたくてゆっくりと手を離す・・最後の小指に気持ちをこめて・・。 外に出て・・ドアの前で僕はしばらく動けなかった・・。このまま別れたくない・・! もう一度ドアを開けてあなたを抱きたい・・! だけど、してはいけないことだ・・。思い切ってドアを離れる・・。 どうしても心が残って最後に一度振り返ってしまったけれど・・。
2005.09.03
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私は今日帰ってきてから気がついたので、遅かったのですが、掲示板にほたるさんがTerry来日をお知らせくださってます。まだ、ご存知ないかたは、見てくださいね。ファンミの期日が、8日のみ、東京会場だけに変更になったそうです。 私はその日もドンピシャ仕事です・・。もう、居直りましたので、行かれる皆さんのレポ楽しみにしてますね~♪(追加)大阪会場復活したそうです。↓にも書いてますが、楽しそうですよ~ * * * * * * * * * * * *明け方・・葉子さんと別れて帰ってくると、佳織が不機嫌そうに待っていた。 「どうしたの?帰ってこないから心配してたんだよ。」 本当のことを言ってはいけないような気がした・・。 それはやはり、心が葉子さんにあるという負い目があったから。 「お客さんに誘われて・・。」 「うそ。店に電話したんだから。あなた、途中で帰ったって。どこ行ってたの? 宋太、ゆうべは熱出して大変だったんだから・・。」 「ごめん、宋太」 「ねえ、こんな時間までどこにいたの。電話もくれないで。」 「葉子さんと会ってた・・。葉子さん、家を出ていなくなって捜してたんだ。 ・・佳織。ほんとだよ。」 「ソンジェ・・。」「なに・・?」 「私たち、ほんとにこのまま結婚してもいいのかな。なんか、自信なくなっちゃった・・。」 無理もない。僕自身の気持ちがグラグラしてる・・。ごめんよ・・。でも・・。 これを見せてあげよう。婚姻届。法的に夫婦になるんだから・・。 「僕と葉子さんは、友達。僕は、佳織と結婚するんだよ。」 安心させるために佳織の手をとった。 ・・でも、それは自分を納得させるためだったのかもしれない・・。 * 数日後、宋太と佳織と3人で写真館へ行った。結婚式のかわりの記念写真を撮りに。 婚姻届は、次の休みにみんなで出しに行くことにしていた。 佳織がチマ・チョゴリを着て撮影室に入ってきた。精一杯のおめかし・・。 きれいだ・・と言ったけど、僕の脳裏には5年前の葉子さんの姿が甦ってしまった・・。 忘れなければ・・。 「宋太、ママ、きれいだろ?」「うん、ママきれい!」 佳織はうれしそうだ・・。これでいい・・。 「ありがとう、ソンジェ。」 ・・これからは君たちを守るよ・・。宋太のパパになる・・。
2005.09.02
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どなたか、今日のyahooネット配信ご覧になった方、いらっしゃったら、感想など教えてくれるとうれしいな~。 * * * * * * * * * 数日後、葉子の友達の由紀さんが、うちの店にやってきた。 彼女の顔を見つけた僕は、その席についた。 由紀さんの携帯が鳴った。 「あら、珍しい・・えっ葉子が・・?」なんだって・・? 「いえ・・なんの連絡もありませんけど・・。」・・? もう遅い。こんな時間に・・? 「きっとなんかあったんだ・・。だってこんな時間に昭彦さんから電話かかってくるなんて・・。 よっぽどのことだよ。」 「ちょっとごめんなさい・・。」 思わず飛び出してしまった。会わないと決めたばかりなのに・・。 もし、彼女に何かあったら・・。 いてもたってもいられなかった。 彼女が自分で行くとすれば・・。・・公園・・? ・・いた・・。「葉子さん・・。」 「ソンジェ・・。」 二人で見つめ合う・・。何も言えない・・。ごめん。会わないと言ったのに。 あなたは、黙って踵をかえそうとする。思わず腕をとった。 「葉子さん・・。」「離して・・。」 「捜したんです、葉子さんのこと。由紀さんも心配してました。どうしたの・・?」 あなたのこんな沈んだ顔・・心配で聞かずにはいられない。 「なんでもない・・なんでもない、帰って・・。」うそだ・・。僕にはわかる。 「葉子さんが帰るまで僕は帰りません。」 ・・なんとかしてあなたを元気づけたい・・。 僕は軍隊を思い出した。あのきつい訓練生活のことを。 あなたを思いながら耐えたことを・・。 あなたに訓練の型をして見せた。 「僕、軍隊にいたとき、何度も逃げたいと思いました。 でも、いつも葉子さんのことを思ってがんばりました。」 いまごろ告白してどうするんだ・・。佳織と結婚すると言ったばかりなのに。 でも、あなたが心の支えだったのは本当だ・・。 なにがあったのか知らないが葉子さん、がんばって・・。 僕は不器用であなたを元気づける術をしらない・・。こんなことでもして見せるしか。 でも、一生懸命なことだけ、わかって・・。 明け方・・あなたの顔が少し明るくなるまでただ黙って一緒にいた。 心の中はさまざまな思いがうずまいていたけれど。 少しでも役にたちたかった・・。男としてあなたを助けることができないのが辛かった・・。 あなたと一緒にいることで僕も少し助けられたのかな・・。 他人のように別れるのは哀しかった・・。
2005.09.01
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