黄昏の少女と人形

黄昏の少女と人形

2006/06/20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
10年後の自分を想像してみる。
…その姿すら目の裏には浮かばない。
一体何をして、どのように生きているのか。
あるいはまた、もうとっくにくたばっているのか。
17歳の自分は、未来への不安を持っていた。
いま20歳となった自分は、未来への不安は無いが、
かといって先が見えるようになったわけでもない。
結局、今とその少し前後しか無いのだ。
後になって気付く。
あの時、というようになった頃の自分が、
今の自分とは別の誰かになっている事を。

数年後の進路。
それすら今の自分には見えていない。
理想すら見えなかった頃の代償か、
近頃は現実だけが重くのしかかってくる毎日だ。
居心地は、よくない。
でも自分で選んだいくつかの事柄に関しては、
未来の自分に対しても胸を張って誇れる。
要はリレーと同じだ。
大事なモノを前の担い手から受け継ぐ。
それを今度は次の担い手に引き渡す。
全力で走り終わった自分はバトンの行方を安心して、
あるいはまた心配しながら見守ることしか出来ない。

昔の自分から引き継いだ多くのモノがある。
それを見守るかつての走者たちの期待に応える為にも、
今の自分は全力で走りぬかねばならないのだろう。
そしてまたいずれバトンを渡すであろう、
次の走者たちのためにも。

最近は漸く、朧げながら将来の展望が見え隠れしてきた。
また同時に、今の自分が進み得る最悪の道筋もまた然り。
どちらに転ぶのか。
あるいはまた、違った道が見えてくるのか。
それは誰にもわからない。
ただひとつだけわかることは、
このまま走り続けるしかない、ということだけ。

ある男がいた。
名前も、顔すらも知らぬ男だ。
その男もまた未来への展望を見失い、
何かを掴もうとして虚空に左手を伸ばした。
男が掴めたものは、恐らく何も無かっただろう。
力尽き、地に落ちる腕。
男は舌の上に広がる鈍い鉄の味と、
僅かな砂の歯応えだけを感じながら逝った。
右の手には小さな、しかし鋭く磨き上げられた鋼の欠片。

走るのが辛かったわけではないのかもしれない。
彼はただ、酸素を求めるにはあまりにも呼吸が苦しかったのだ。
そうしてリタイアした。
その結果を、誰も責める事は赦されない。

人間の本質に迫る「何か」を創りたいと思う。
それは自分の場合きっと、音に他ならないだろう。
人間の本質の根幹に肉薄する音。
音楽ではない。
快楽しかもたらさない音は、音楽でしかない。
もっと無機的で、
かつ限りなく有機的な音を。
聴く者の魂の奥底に眠る原始的な衝動を、
引き摺り出してなお美しささえ感じさせる音を。

人の持つ五感全てに訴える何かを創るのは難しい。
視覚なら絵を。
聴覚なら音を。
味と嗅覚には料理を。
そんな解り易い構造は当て嵌まらない。
そういった意味に於いて、女性の肉体とは完成された芸術であると思う。
否、失われゆく幻想か。
視覚のみですら強く惹きつけられるモノがたまにある。
それを残りの感覚全てで感じ取りたいと思うことは、
道を外れたことであろうか。
根源的な衝動には素直にあるべきだ。
そして其の上でなお、理知の側面ですら美しいと思うものに、
私はこの存在全てをくれてやろう。
それほどのものに匹敵するだけの音を創れれば、
もはや思い遺すことは無い。

死してなお煌く何かを。
もはや意味を失ったこの肉を、
刹那の輝きに殉ずらせしめれば、
それ以上の幸せは無いだろうと、小さく思う。



死ぬまでには。
あるいはまた、あの校舎がなくなるまでには。
一度はあの教室のピアノを弾かないと死に切れない。
死ぬまでになすべきことはまだある。





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Last updated  2006/06/20 11:17:50 PM
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