いやあ、目を覆いたくならんばかりの斜めノイズですね。
その最大の原因に挙げられるのが撮影範囲の一定方向へのずれ、
であることは 2017年12月02日のブログ
にも書きました。
( 天体写真スタック時の斜めノイズ(引っかき傷)対策
を参照)
では、なぜその一定方向へのずれが発生するのでしょうか。
そのもっとも大きな原因は極軸のずれによる、追尾方向のずれ、
ということは明らかだろうと思います。
オートガイドを行っていれば、
ガイド鏡と撮影鏡の搭載部分のたわみの差の影響もあるでしょう。
であれば、PoleMasterで極軸を追いこんだらどうなるのか・・・
興味深くありませんか??
というわけで比較をしてみました。
撮影を行ったのは8/4と8/8、
対象はおそらく短時間露光多数枚スタックのお世話になることが多いであろう
彗星です。
鏡筒はSKY90+レデューサー、カメラはEOS70D(Ir)、フィルターなし、
ISO1600で45秒露出。
EM100でのノータッチ撮影です。
PoleMasterの効能効果は、ガイドエラーの減少、だけでなく、
斜めノイズの予防、もありましたよ!
雲間を縫っての撮影、だとか、
比較的高性能の赤道儀を使っていて1枚当たりの撮影時間くらいはノータッチでも星が点像、
という場合は、
ガイド星ロストによるガイドエラーや、
ガイド修正によってかえって星像が膨らんでしまったり、
のリスクがなくなるノータッチ撮影、結構有効ですよね。
みなさんご存知の通り、私は、
「ノイズが増える前に短時間で露出を終了してそれを多数枚スタックすることで
長時間露光少数枚よりもSN比が高い画像を得られる」、とする、
短時間露光多数枚スタックの信者です。
冷却モノクロCMOS以外での撮影は、ほぼこのノータッチ撮影を行っています。
しかしその信者ではない方でも、
彗星の撮影はメトカーフガイドを行うか、
もしくは核が動く前に撮影を終了して多数枚撮影するしかありませんので、
短時間露光多数枚スタックは使うことがあるはずです。
以前まとめましたが、
多数枚スタックするとノイズは重ねた分だけ減少はするものの、
一定方向に撮影範囲がずれることによって、
その方向に一列にノイズが並んでくる「斜めノイズ」
(ネットでは引っかき傷と表現している方も多い)
を作りだしてしまう危険性を孕んでいます。
対策は一定方向にずれないように意図的に撮影範囲を不規則にずらす、
つまりディザリング、を行うと良いようです。
ただし、撮影範囲の動かし方によってはあまり効果が出ません。
ではディザリングするのではなく、
極軸のずれをできるだけ減らして、
撮影範囲がほとんど動かないようにしたらどうなるだろう??
今回試してみたのは、そのことです。
EM100は極軸望遠鏡の北極星導入メモリが2重線で囲まれた円形になっており、
日付時刻でこの場所に入れる、という指示は出ません。
なので北極星早見盤や、こぐま座α星の位置を見ながら
その二本線の間のほどよい角度の位置に北極星を導入するのですが、
当然ずれはやや大きめになっていると思います。
それでも400mm60秒の手放し撮影くらいなら、星は点像に写ってきます。
今回まずいつも通りの方法で極軸を合わせた後、
PoleMasterで極軸を合わせてみたところ、
下のイメージの図ぐらい北極星の導入位置がずれていました。
(赤が通常、黄色がPoleMasterでの導入位置)
さて、8/4と8/8の撮影の比較の前に一つだけ確認しておきたいのが、
両日の空の透明度の差です。
この時期は透明度が非常に悪かったのですが、
8/4をピークに徐々に透明度が改善した時期でもあり、
8/4と8/8では同じ条件での撮影でもこれほど背景の空の明るさが違う、
ということは念頭に置いておいてください。
(上8/4 下8/8)

8/4の撮影は手動ディザリングを忘れて撮りっぱなしにしていた時間が26分間ありました。
その26分の画像をKikuchiMagickで比較明してみたところ、
26分でこんなにずれていました。
一方PoleMaterの方の26分間はずれが少ないですよね。
北極星が画面下に来るような方向にカメラを合わせていますので、
ポールマスターの方は少なくとも赤緯方向のずれは皆無に近く、
左右のずれが追尾精度(ピリオディックモーションを含む)なのかもしれません。
両日の画像34枚ずつ、
DSSでcomet mode、KappaSigmaClippingでスタックしました。
Averageも試しにやってみましたがノイズはどちらも同じでした。
単純比較のため、Dark減算や、Flat補正、Bias減算いずれもなし、
の、Lightフレームのみでの処理です。
上が8/4、下が8/8です。

斜めノイズがずいぶん違いますよね。
わかりやすいように中心部をトリミングしてみます。
上が8/4 下が8/8

やはりPoleMaster仕様の方がノイズが少ないですね。
PoleMasterがいい、ということが言いたいわけでなく、
斜めノイズを減らしたければまず極軸を追い込む、
その上でディザリングをする、がまず始まりだということです。
極軸望遠鏡の光軸は必ずしも完璧とは限りませんし、
赤道儀の設置が完璧に水平を保っているとも限りませんので、
極軸望遠鏡だけに頼らず極軸を追い込んだ方が良いですね~~
PoleMasteraがない時のド リフト法による極軸合わせ
は こちら
。
さてこの後、8/4はディザリングを追加して67コマ撮影しました。
ディザリングの方向があまりに平行移動過ぎたのか、
あまり効果が出ませんでした。
ディザリングしたものも含めての比較明合成は下のようになっています。
PoleMaster装着の方は、ディザリングせず80コマ撮影しています。
さて、これらに今度はDark、Flat、DarkFlat、Biasなどを加えて
スタックをしてみました。
処理はDSS上で簡易的に行い、その画像中央部をPSでトリミングしています。
上が8/4、下が8/8

さすがに60分手放しだと、ずれた方向のノイズはPoleMasterでも
見られているようですね・・・
しかし、やはり極軸をきちんと合わせると
斜めノイズが激減するのです。
画像処理が悪いのでこういう斜めノイズが出るのだろう、と思っている方、
撮影画像が一定方向にずれていないか確認してみてください。
それと平行にノイズが出ている場合は、処理が悪いのではなく
撮影方法が良くないのです。
まず極軸を追い込むこと、そしてその上でディザリングを追加すること
で、斜めノイズが激減するのだ、ということを肝に銘じて、
撮影時点で頑張りましょう(笑)
とまぁ、こういう風に当地の星仲間の会報に報告をしたわけですが
そうやって出来上がった画像が、こんな感じです。
(楽天)
(フォト蔵)
20180809ジャコビニ・チンナー彗星
posted by (C)ホシミスト_3013
ずっと雨が降らない、と思っていましたが
今度はずっと晴れませんね~~~(^^ゞ
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