2012年12月17日
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カテゴリ: 伊坂幸太郎

角川文庫 い59-1【1000円以上送料無料】グラスホッパー/伊坂幸太郎

グラスホッパー  伊坂幸太郎
読みました。

妻を殺された元教師の「鈴木」は復讐のため、寺原の会社に入社。
試用期間が終わり、正社員になるための試験が行われそうな時、
寺原の長男が交通事故にあう。
それを目撃する、相手を不思議な力で自殺させる「鯨」。
ナイフを使って依頼された殺人を行う「蝉」。
この三人が、寺原長男の事故をきっかけに、複雑に絡み合う話です。

三人のそれぞれの視点から描かれていて、毎回「はんこ」が押してあるのが、
いかにも伊坂幸太郎さんらしい。
もちろん、「神様のレシピ」「ジャック・クリスピン」「ジャズ」と
いつものモチーフは当然盛り込まれています。

ただ、舞台は珍しく東京。もっとも殺人と誘拐と拷問が頻繁に行われるので、
仙台にはふさわしくないのかも知れないです。

今回は非常に殺伐とした世界を描いたもので、
かなり暗く重い小説になっています。

面白いのは、殺人者たちが、殺人という行為を除けば、
意外と「常識人」というか、まともな考え方をしていることですね。
特に、殺人を何とも思っていないようにみえる「蝉」も
殺人以外ではすごく「まとも」です。
「しじみ」のエピソードなんか感動してしまいました。

「鯨」の不思議な能力は、ほとんど超能力者のようですね。
「鯨」が見る亡霊は、彼の「心の叫び」なのですが、
心の負担をこのように表現するところがいかにもですね。

話は、三人の男が次第に絡み合い、最後は収束していくという、
伊坂さんお得意のものです。
半分くらいから後はもうページターナーで、一気に読んでしまいました。

もちろん、最後にいくに従って、こちらの思惑を裏切りっぱなしです。
「えっ?そうなの!」の連続で、騙される快感が全身を突き抜けます。

最後の章も伊坂さんらしく、「生きる」ことへの希望を書いて
すばらしい終わり方でした。
面白い、というのとは違いますが、引き込まれる作品であるのは
間違いないです。





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最終更新日  2012年12月17日 20時54分13秒
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