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( 【Kei7】へもどる )
―ニューヨーク工科大学院(NYIT)アイスリップ・キャンパスに
佐々木はようやく腰を落ち着けた。寮にはアジアからの留学生が多くいた。
ルームメイトとなった、台湾人の「ディヴィッド・タン」。
向かいの部屋の住人である、韓国人の「イーグ・カン」。
イーグのルームメイトの、タイ人の「ティラット・ラタナセヴィ」。
彼らと佐々木の学生生活が、ようやくはじまる―
待ちにまった授業初日。
オールドウェストバリー・キャンパスで、1時間目からはじまる。
キャンパスまではスクールバスでの移動となる。
1時間目に間に合うためには、早朝の始発バスに乗らねばならない。
軽い緊張も手伝って、佐々木は午前5時には起きていた。
バス停には十人以上の学生が集まり、始発バスを待っていた。
アメリカ人の学生たちは、朝からにぎやかに会話する。
「輪の中に入りたい」。
佐々木は思うが、弾丸のように英語が飛び交う会話の中に、
なかなか飛び込んでいくことができない。
テキストは、百科事典かと見まごう厚さ。
ものすごいボリュームである。
教授の授業は分かりやすかった。
学部の授業に比べ、実践的な部分が多い内容も、楽しかった。
しかし、授業後の教授の言葉は、そんな楽しい気分を急転直下させるに十分だった。
「来週までに、150ページまで読んで、内容を理解してきなさい。」
アメリカ人にとっては、1週間で150ページは、たいした量ではないかも知れない。
しかし、佐々木のような留学生にとっては、ものすごい量だ。
増して、テクニカルターム(専門用語)が連発する。
それを、辞書を片手に、きちんと内容を把握しながら読め、と・・・。
ドクター・メイシーだけでなく、
ほかにもこのような課題を出す教授がいたから、
佐々木は必要に迫られて、
1週間に5~600ページのテキストや参考文献を読むハメになった。
文字通り、「朝から朝まで」課題に奮闘する日々が始まった。
数ヶ月後。
佐々木の「読書」のスピードは格段に速くなり、
教授ごとの特徴も分かってきて、
要領よく授業の準備をすることもできるようになった。
膨大な課題をこなしていたら、
「読む」ことだけでなく、「話す」ことにも自信がついた。
授業中に意見を求められても、怖くなくなった。
はじめは「英語もロクにできないヤツ」と佐々木を見下していたアメリカ人学生も、
佐々木の意見に論破されることが多くなり、
いつしか一目を置かれる存在になっていた。
ほかの学生に意見を求められることも増えてきた。
半年後にNYITにいたのは、
英語がしどろもどろな佐々木ではなく、
「日本からの優秀な留学生 佐々木」だった。
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