【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

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2012.12.12
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発送電分離、今の議論は拙速すぎる

(C)東洋経済オンライン
 ――後藤美香・電力中央研究所 社会経済研究所上席研究員に聞く

 「発送電一貫」「地域独占」「総括原価方式」で特徴づけられる日本の電力システム。より安価で安定的な電力供給を実現するためにはどう改革すべきなのか。さまざまな立場の有識者に意見を聞くシリーズの第2回は、電力事業の共同研究機関である電力中央研究所の後藤美香・上席研究員にインタビューした。

◆ システム改革委のポピュリズム的で拙速な議論に危うさ

――まず、これまでの電力システム改革専門委員会の議論をどう評価していますか。

 私は卸電力市場の活性化と発送電分離の行方を中心に関心を持って見ているが、まず言えるのは、委員の方々が海外の事例を改革のモデルとして参照する際に、その内容を正確に把握されていないように感じることだ。情報が古かったり、間違っていたり、あるいは論点がズレていて感情論的になっていたりすることもある。

 委員会のメンバー構成を見ても、電力の実情をよく知る電力業界の関係者が発言する機会が少なく、ややポピュリズム的というか、国民感情に迎合するような議論になっている。

 電力会社も、今の体制がすべて正しいと思っているわけではなく、海外でも電気事業の改革・自由化は進展している。ただ、海外の状況がすぐに日本へ応用できるわけではないので、つねに慎重なスタンスを心掛けている。

――議論が誤った方向に進むことを懸念しているということですか。

 そうだ。本来はもっと時間をかけて議論すべき問題も、少し急ぎすぎている印象が強い。原子力政策など国の電力供給の根幹、土台となるエネルギー政策が固まらない中で電力システム改革の議論が進んでいるため、根っこのないところで拙速な議論になってしまってはいないか。

 海外の検証も評価が定まっていない部分がある。一部の国内メディアでは、米国ではすべて発送電が分離されていて、消費者にもメリットがあるとの報道も見受けられるが、それは間違っている。実際には半分くらいの州では昔ながらの体制(発送電一貫)を続けており、もともとそのような地域では電気料金水準が低いことに加え、発送電分離や自由化をしている州でも料金は上昇しているため、格差は縮小していない。

 本来、競争導入が目的ではなく、需要家にどういうメリットがあるかが目的であるべきだが、日本での議論はまず競争導入ありきのように見え、目的と手段が逆転している気がする。

――発送電分離や自由化の効果にも疑問があると。

 海外の事例を見ると、発送電分離や自由化をやってすぐに発電の新規参入者が増え、競争が促進されたとは言いづらい。発電所を造るにはそれなりに時間とコストがかかるためだ。卸電力市場についても、自由化で参入者が増えて価格が下がるとの期待が大きかったが、実際には制度的な問題や燃料価格の高騰もあって、期待された効率化が達成できているかどうかは評価が分かれる。発送電分離したから即、電気料金が下がるわけではない。また、欧州では再生可能エネルギーが増えて、火力発電の利用率がどんどん低下し、収益性が見込めないことから、バックアップ電源としての火力の設備投資が進まないという事情もある。

 供給の信頼度についても、もともと信頼度が高かったドイツは自由化、発送電分離後も高いままだ。一方、相対的に信頼度の低かったイタリアやイギリスはやはり低いまま推移している。市場に任せればシステムの信頼度が上がるわけでもない。

――電力システム改革専門委員会では発送電分離について、各電力会社の系統運用部門を広域系統運用者の地方機関として中立化する機能分離(パターン1)と、各電力会社の送配電部門全体を持ち株会社の下で分社化する法的分離(パターン2)のどちらかという方向性で議論されていますが、これをどう見ていますか。

 欧州では、1996年の第1次EU(欧州連合)指令から2009年の第3次EU指令まで段階を踏んで、「会計分離」から「機能分離」、「法的分離」、最終的には「所有権分離」(第三者への送電部門売却)へと進んだ。それに加えて、多様な選択肢を残す意味で「ITO型」(送電資産を所有し、発電と小売り供給を行う垂直統合企業に子会社として帰属しているが、中立性を保証する特別な規制に従う独立送電事業者がITO)や、日本のパターン1に相当する「ISO型」(送電資産を垂直統合企業に所有させたまま、送電線の運用のみを中立的な独立系統運用機関=ISOに分離)も生まれた。さらに、それらとも違う選択肢として「第四の選択肢」も認められ、アイルランドやイギリスのスコットランドなどが採用している。

 今回の電力システム改革専門委員会では「所有権分離」については議論せず、機能分離と法的分離のどちらかのオプションで行くという議論から始まっている。が、委員の方々のコメントを聞いていると、最初から所有権分離の導入を念頭に置いたものも多く、議論の範囲や前提に関して意思統一がなされていない印象を受ける。

◆ 国情に合った組織形態をステップ・バイ・ステップで導入すべき

――発送電分離に関して、どのような方向が望ましいと考えていますか。

 海外の事例を見てもケース・バイ・ケースで、この形態がベストとは言い切れない。エネルギーの賦存(潜在的な存在量)状況やマーケットの構造、企業組織のあり方や文化など、各国の事情によってフィットする形態は違ってくる。

 たとえばドイツでは、株式会社の組織形態として早くから監督と執行の分離が行われてきた。具体的には、取締役会の役割と権限を、監査役会と執行役会の2つの機関に分け、それぞれの構成員の兼任を禁じ、監査役会が執行役会を監督するという2層型の構造になっている。また、監査役会は株主の代表と従業員の代表(労働組合含む)から構成されるなど、監督機関と経営陣を設置するITOを受け入れやすい土壌があった。その点、日本の監査役会設置会社では両者の区別はあいまいで、ガバナンスの構造がかなり違っているため、ITOのような組織形態を一足飛びに導入できるかは疑問だ。

 また、パターン1かパターン2かという点については、英国のイングランド・ウェールズでは早い段階(90年の分割民営化時)から送電部門の所有権分離を行い、送電設備の所有と運用を行うNational Grid社が誕生しているが、スコットランドについては、送電設備を所有するスコットランドの会社と、運用のみを行うNational Grid社の間で、膨大な量の契約と規則に従って事業の連携を図ることでうまくいっている。一方、フランスの送電事業者であるRTE社(国営電力会社EDFの100%子会社)の話を聞くと、送電部門の運用と所有は一体であるべきという考え方だ。つまり、欧州の中でも各国の事情に合ったベストな形でやっており、どちらがいいのか一概には言えない。

 日本ではこれまで垂直統合の形で、発電、送電部門が1つの会社組織の中にあり、システム全体の最適化が行われてきた。これをすぐに、需給が厳しい現在のような状況の下で分割して市場原理を導入しようとすれば、安定供給のベースが損なわれる懸念は否めない。もっと日本の実情に合った形で、ステップ・バイ・ステップで考えていくべき問題だろう。

 もちろん、競争や市場原理の導入自体をすべて否定するものではない。ただ、発送電一体運営によるコスト面での経済性や設備投資の最適化、事故時の早期復旧などのメリットを抜きにして、競争導入のメリットだけを議論するのはバランスを欠いている。

 発送電分離を先行して進めた欧州では、もともと発電設備が余っている状況にあった。ムダな設備が多いため、ある程度大胆な改革を進めても安定供給に問題を生じさせることなく効率化できた面はあるだろう。その点、日本では現状、電力需給が非常に厳しい状況にあり、改革の進め方が難しい。やり方次第とはいえ、十分な時間をかけてしっかりと議論してから進めるべきだろう。

◆ 長期的には技術進歩によって分離の効果が見込める可能性

――中長期的には、発送電分離を進める方向性に異議はありませんか。

 将来的に長い目で見れば、蓄電池やスマートメーターなどの技術が発達・普及した段階では、分離することが望ましい選択肢になる可能性も否定できないと思う。それにより新規参入者が増え、市場が活性化する効果が見込めるかもしれない。

 ただ現状、技術進歩の裏付けがないまま、欧米でやっているから日本でもという理由で分離を進めることは、電力の安定供給に支障を来す懸念が残るため慎重であるべきだ。

◆ 技術進歩と政策のスピードを合わせよ

――将来的に望ましい分離のあり方は。

 機能分離であれ、法的分離であれ、まずは設置が決まっている全国的なISOをしっかり機能させることが重要だろう。特に、予備力確保の効率化については全国的なISOを通じた広域的な運用によって可能となっていくと思われる。その先の問題として機能分離がいいか、法的分離がいいかは、海外の事例から見ても今すぐ適用できる最善の策があるわけではなく、判断することは現時点では難しい。全国的なISOの運用や技術進歩の状況を見ながら、次のステップを考えるということではないか。

――ステップ・バイ・ステップというのは、どれくらいのタイムフレームで考えていますか。

 欧州の改革経緯を見れば10年以上のスパンということになるが、技術進歩のスピード次第ではもう少し短期でできるかもしれない。いずれにしても、技術進歩と政策のスピードを合わせることが重要だと思う。

――公的管理下にある東京電力から所有権分離を含めた発送電分離を進めるべきとの意見があります。

 東電の今後の改革の進め方についてさまざまな意見があることは承知しているが、あまりにも考えるべきファクターが多すぎて、何が最善の道なのかを判断することは難しい。事実上、国の管理下に入っているので、民間企業と同様に考えることはできないし、賠償負担についても国がどこまで関与すべきかという議論もある。

――今のところ東電は、法的分離に沿った形で持ち株会社の下で発電、送電のカンパニー制を導入する方向ですが、これについては。

 安定供給をどうやって担保しながら組織改革をしていくかがいちばん難しいところだろう。東電を特例として「1国2制度」のような方向へ進んでしまうのか、何がベストなやり方なのか、なかなか判断するのが難しい。

――最後に、エネルギーミックスについてどう考えていますか。

 食糧も同じだが、やはり国益、エネルギーセキュリティを考えた議論でなければ非常に危ういと思う。電力やエネルギーは産業の根幹であり、これまでは低廉で安定的な電力があったのでさまざまな産業も発達してきた。日本が将来にわたりどうやって生き残っていくのか、政策決定に携わる人たちがしっかり考えて決めていけばいい方向に行くのではないか。





   ―――― 私の意見 ――――


送配電の前に、発電の自由化さえすれば、電力コストが下がるという意見が多い
しかし、民間の発電と言うものは、どういうものだろうか?

現在でも一部、民間の発電業者が存在しているが、あれは、どういう法的根拠にもとづいているのだろうか?
私には、よくわからない

しかし、とにかく、彼らは、大規模な火力発電所を建設したわけではなく、天然ガスを焚くガスタービンを置いて発電している(私の知る限りは)
既存の電力会社と比較して、問題点もあるのではないか?

規模的にも小規模だし、経営の安定性はどうか?
簡単に倒産などしてもらっては困る
発電能力の責任をどれほど保証出来るのか?
燃料のLNGの確保は、確実なのか?
中小の発電会社が林立して、電力会社の送電網へのつなぎ込み、負荷のかかり方など、電力会社との調整など、問題は無いのか?

豊富で安定した電力供給があってからこそ、日本の産業の発展があった
電力は産業の最重要ファクターである
電力の質が低下する事のない様願いたい







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最終更新日  2012.12.15 12:43:16
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