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まっすぐな道 発達障害とともに
バスケ人とつながれる
ダン、ダン、ダン。昨年11月、
夜の体育館で真依子さん(27)がバスケットボールをついていた。
中学生のころに始めた。
いまも大学時代の仲間とチームを組む。
週2、3回の練習には、体調が多少悪くても、行く。
広汎(こう・はん)性発達障害の影響で視野全体を把握するのが難しく、
コートを見渡しながらプレーするのは苦手。
ついボールばかりを追いかけてしまう。
他人の考えや感情を推し量るのも難しい。だから、
相手のドリブルやパスはなかなか予想できないし、
勝つ喜び、負ける悔しさを仲間と「分かち合う」実感が持てない。
それでも、バスケの仲間はできない部分をカバーしてくれる。
「パスをつないでシュートまで。
その、みんなでやってる感が楽しい。
バスケは唯一、人とつながってるって思える」
「めっちゃ信頼しとる」
と言う先輩のミサキさん(28)とは10年近くの付き合い。
だが、ミサキさんは打ち明けられるまで障害に気付かなかった。
障害を知ってから一度、練習中に真依子さんを病院に連れて行った。
声をかけてもまばたきせず、まったく動かなかった。
「でもそれだけ。
まいっちゃが大切な後輩なことに変わりない。
傷つくこともあるかもしれんけど、
バスケみたいに、
やりたいことをやってほしいなあ」
3ポイントシュートを決めた真依子さんが両手を突き上げ、ぴょんっと跳びはねた。
「イエーイ!」。3カ月にわたった取材で、一番の笑顔に見えた。[ 朝日デジタル ]
違った生き方ええかな
真依子さん(27)にとって昨年は、
新しい一歩を踏み出した年だった。
3月、これまでの自分をつづった
『どろだんご~発達障害と共に生きる~』
を自費出版した。
「壊れて作って、を繰り返し、最後には光り輝くように」。
タイトルに、そんな思いを込めた。
秋には講演活動を始めた。
当事者の会にも顔を出すようになり、
障害を受け入れ、
もっと自分や他人について知りたいと思えるようになった。
「理解してほしい、と言うばかりではなく、自分も歩み寄っていきたい」
真依子さんが自殺未遂をした時期も、
そばで見守ってきた母(51)は言う。
「可能性を探しながら、
いろんな人に力になってもらいながら、
人生を楽しく生きてほしい。
ゆっくりでいいから」
この年明け、真依子さんに今年の抱負を聞いた。
「やりたいことは、精いっぱいやる。やりたくないことも、最低限やる」
やりたいことって?
「塾の先生とバスケ。長続きは苦手だけど」
最低限って?
「家族に迷惑をかけない。
家族はめっちゃ大事。
だって、一番大事に思ってくれとるから。
シンプルでしょ」
好きな言葉も、母がくれた金子みすゞの詩集の中にある。
みんなちがって、みんないい
「みんなと違う生き方でも、とりあえず、
生きとってもええんかなって思える。
生きとる価値が、少しはあるんかなって」
応援してくれる家族やバスケットボールの仲間がいる。
いつか教師に戻る、という目標もある。希望がある。そう信じられる。
「前に進まんといけん。成長あるのみじゃな」
その日その日の出来事を書き込んでいる自作の手帳を見せてもらった。
3カ月先の分まで用意してあった。( 終 )
どこまで伝えられたか
約3カ月にわたった取材の1カ月ほどが過ぎたころ、
真依子さん(27)からこんなメールが届いた。
今日の牛丼、ゲキマズでした。
いろんな具材が入って、卵もぐちゃぐちゃで。
母に「最低」と言いながら食べました。
母は悲しいのかな?
こう返信した。
とっても悲しいと思います。
一生懸命作ってくれたのだから。
言葉をこらえられるようになったらいいですね。
後日、真依子さんが言った。
「あたしな、人のことが自分に置き換えられんの。
お母さんがどう感じてるんか、考えてもわからん。
結局、人の気持ちがわからんのんよ。
だから、まずいって言っちゃダメってわかってても、言葉に出てしまう」
はっとした。真依子さんはこうも言った。
「例えば、家族はみんな『死なんで』って言う。
言ってることは理解できるけど、納得はできん」
なぜなのか尋ねてみたが、
「理由がわかったら楽なんじゃけどなあ。
そのあたりが、想像力の未熟さなのかもね」。
言葉に詰まった。
「真依子さんのことを理解できてなかったかもしれません」。
間を置いて、そう答えた。
取材から帰ると、再びメールが届いた。
気持ちがちゃんと伝わったみたいでとてもうれしかったです。
原稿に生かしてください
真依子さんの生きづらさはずっと続く。
真依子さんの思いを、
どこまできちんと記事で伝えることができたのか、
今も考え続けている。 [取材後記]
3ヶ月の取材では、
恐らくは全貌は見えてこないかもしれません。
人、一人が生まれ育ち大人になっていくこと、
それは誰だって
並大抵の努力で成される事ではないはずですから。
でも、自分で向き合えるチャンスができただけでも、
麻衣子さんにとっては有意義な取材だったのかも知れませんね。
週の後半、めっきり冷え込んでいる東京。
我が家も、自分と向き合うチャンスを与えられた次男、末っ子。
でも、それでまた生き生きして前向きになれる。
生きていればこそ、ですね。![]()

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