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日本学生支援機構によると、
発達障害の大学生(短大、高等専門学校含む)は
2016年度で4150人にのぼり、
06年度(127人)の約32倍。
発達障害の認知が広がったことなどが背景にあり、
関西でも同様の傾向にある。
懇談会では、ある大学から、
「先生に質問したいので一緒に来てほしい」
と学生に相談された事例が報告された。
学生は教授と1対1で話をすることに精神的な負担を感じるのだという。
別の大学からは
「時間割が組み立てられない」
との相談が年100回以上ある、
との報告があった。
同様の相談は各大学とも増え、懇談会では、
支援のあり方に頭を悩ます担当者の声が多く聞かれた。
■個室で対応
障害者差別解消法は、
国公立大には
障害のある学生に不当な差別的扱いを行わないことと
合理的配慮をすることを義務付け、
私立大にも努力義務を課した。
施行前から各大学で支援が進んでおり、
龍谷大(伏見区)は14年に「障がい学生支援室」を開設。
学生の緊張を和らげるため、
横になれるソファや一人になれる個室を設けた。
「気軽に相談し、大学生活のペースをつかんでほしい」
と支援コーディネーターの滝本美子さんは話す。
同志社大(上京区)では、
臨床心理士が学生と教員をつなぐコーディネーターとなり、
教員らに授業の録音や録画の許可を求めたりしている。
また、入学直後に問題を抱えるケースが多いため、
合格後から相談に訪れるよう呼びかけ、
履修登録の支援などを行っている。
■少ない窓口
ただ、全ての大学で
支援体制が整備されているわけではない。
日本学生支援機構の調査(16年度)では、
障害がある学生の支援情報を
ホームページ(HP)などで公開している大学(短大、高専含む)は
全体の45・7%で、
何らかの支援窓口があるのは66・6%。
大学コンソーシアム京都によると、
府内でも専門窓口をHPで公開しているのは
加盟47大学(短大含む)中7大学にとどまる。
支援担当者と教員の間で情報が共有されていない大学もある。
ある大学の担当者は
「カウンセラーは守秘義務があり、
個人情報を伝えることは慎重にならざるを得ない」
と話す。
大学コンソーシアム京都は現在、
先進的な大学の取り組みをまとめ、各大学に紹介することを検討している。
学生交流事業部の藤井啓太郎次長は
「大学間の連携を強め、
障害がある学生が十分な学びの機会を得られるよう、
各大学を支えていきたい」
としている。
発達障害 対人関係を築くのに困難を抱える
「自閉症スペクトラム障害(ASD)」や、
不注意が見られる「注意欠如・多動性障害(ADHD)」、
読み書きや計算が苦手な「限局性学習障害(SLD)」などがある。
生まれつきの脳の障害が原因とされる。
文部科学省の2012年調査では、
公立小中学校の児童・生徒の6・5%に
発達障害の可能性があると指摘されている。
◇不安解消 一声かけて
京都大障害学生支援ルームの村田淳准教授(福祉社会学)
に支援のあり方を聞いた。
Q 高校と大学の違いは。
大学では、時間割を自分で選択し、
教室や近くに座る学生も講義ごとに変わります。
発達障害は、臨機応変な判断が苦手な場合があり、
大学に入ってから困って相談にくる学生もいます。
Q どのような支援が必要ですか。
大学では近年、集団で討議する授業が増えています。
発達障害の学生は苦手な場合があり、
教職員は発達障害への理解を深め、
つまずいている学生がいれば、
声をかけて不安を解消したり、
相談窓口を紹介したりする必要があります。
Q 進学時に心に留めることは。
大学の支援体制を調べることも重要ですが、
やはり自分が何を勉強したいかが大切です。
自分で判断できない場合は、
周囲としっかり相談してほしいと思います。
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