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知的障害者として初めて
国連障害者権利委員会の委員を務める
ロバート・マーティンさんが、
10月17日に来日して講演しました。
講演でマーティンさんは
「施設で暮らすと地域の一員ではなくなる。
その点ではグループホームも一緒だ」
と話し、
日本政府の
「グループホームも地域生活のひとつ」
という解釈を否定しています。
更にマーティンさんは
「障害を理由に、
何処で誰と暮らすか
選べないのが
問題であって、
共同生活する人数の問題ではない」
と強調しました。
昨年9月にも、
閉じた施設から開けた地域へ移すよう勧告されています。
これらを踏まえ厚生労働省は、
入所施設の定員を減らしグループホームから
一人暮らしへの移行を促進する方針を打ち出すようです。
元々、グループホームを
「落としどころ」とするのは無理があったと思います。
シェアハウスに似た形式をとっていますが、
運営する母体とその職員が管理している以上、
甘く見積もっても「施設と地域の間」に留まるでしょう。
地域の近くにグループホームを設けようとすれば、
強硬な反対運動が起こることさえある始末です。
そもそも、グループホームは
運営者の心構えからしてピンキリです。
利用者の食事にかかる費用を過大に請求する
「ぼったくり」が明らかとなったある運営会社は、
利益を上げることだけに拘って
施設や職員の質など一顧だにしませんでした。
その運営会社は、事業を日本全土へ拡大するだけでなく、
高額な報酬を目当てに支援も出来ない
重度障害者を積極的に受け入れていました。
重度障害者を対象とした日中型グループホーム
というだけでかなりの需要があり、
役員はこれを「入れ食い」と表現したそうです。
案の定、各施設では虐待や介護ミスが頻発しました。
挙句の果てには、
退所する利用者の家族に部屋の修繕代として、
相場の3倍にもなる金額を請求までしたそうです。
最後の最後まで金を毟り取ってやろうという気概が表れており、
もはや単なる「銭ゲバ」です。
勿論、全ての運営がここまで酷いわけではありませんが、
ハズレを引いたときの恐ろしさはやはり「施設」です。
かといって、障害者をグループホームから
一人暮らしへ移すのも易々とはいきません。
寧ろ、良い施設を探すよりも難しいのではないでしょうか。
基本的な生活能力は勿論、
低収入に甘んじる障害者が
家賃を払い続けられるだけの部屋も探さねばなりません。
結局、手の届く範囲で家族がサポートすることにもなるでしょう。
何よりも、開けた地域で障害者が住むことを
受け入れるだけの器が近隣住民たちにあるのでしょうか。
過去には、自治会の班長決めで
対象から外すよう求めた知的障害の男性が、
「特別扱いは出来ない。
外れたいなら全住民にカミングアウトしろ」
と言われて自殺する事件もありました。
「脱施設」をしようがしまいが、
最後に鍵となるのは周囲の人間たちの「器」なのかもしれません。
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