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地域や家族構成によっても異なる点ではありますが、
世帯年収300万円という状態では、
生活保護の受給は難しいでしょう。
なぜなら、生活保護には世帯の構成や
居住地によって基準額が定められているからです。
その基準以下でなければ、
生活保護による金銭的な支援はなされないようになっています。
確かに、要介護2の状態である義母の介護のために
仕事が継続できず、
生活が立ち行かなくなるような場合は、
生活保護の対象となり得ます。
しかし、世帯年収が300万円ある状態では、
生活保護を受給するための収入の基準額を満たさず、
生活保護が受けられない可能性が高いのです。
生活保護の基準額は、大変低く設定されています。
最も基準額の高い、東京都23区など
「1級地-1」に区分される都市部においては、
夫婦と子1人の世帯であっても、
基準額は16万4860円となっています。
世帯年収300万円で
「40代の夫と妻、自閉症である中学生の子、
70代で要介護2の状態にある義母」
からなる世帯において、
生活保護を受けるのはそう簡単ではないでしょう。
「世帯年収が300万円あることで
生活保護を受けられないなら、
仕事をやめたり減らしたりすればよい」
と、考える方もいるかもしれません。
しかし、そうしたとしても
生活保護を確実に受けられるとは限りません。
生活保護は、自身の有する資産や能力などを活用しても、
最低限度の生活ができない場合に受けられるものです。
「義母が要介護2という状況で、介護する側の負担が重く、
鬱を発症したり過労から体を崩したりして働けなくなってしまった」
といったような場合には、生活保護を受けられる可能性があります。
しかし、ただ単に「今がつらい」というだけで仕事を辞めても、
生活保護の要件を満たしていないと判断され、
生活保護を受けられない可能性があります。
健康で、働くことができる場合は、
自身で働いて収入を得ることが求められるからです。
そのため、「今がつらい」と仕事を辞めたとしても、
生活保護を受けられないことは理解しておくべきでしょう。
生活保護の受給の可否は、世帯単位で行われます。
それに基づき、生活保護を受けるためには
「世帯分離をする」という方法があります。
世帯分離をすることで、介護のために親族と同居していても、
その介護が必要な方だけが生活保護を受けることができます。
そうすることで、世帯年収が300万円ほどであっても、
介護を必要とする義母だけが生活保護を受け、
世帯全体の負担を減らすことが可能になるのです。
なお、世帯分離をしたからといって、
義母との別居を求められるわけではありません。
必要に応じて同居が認められる可能性もあります。
とはいえ、世帯分離で生活保護を受給することは、
どちらかといえば例外的です。
必ず認められるわけではありません。
まずは、世帯分離によって
生活保護が受けられる可能性があるのか、
事前に住んでいる市区町村役場の生活保護担当部署や、
社会福祉協議会へ相談してみてください。
自閉症の子の面倒を見つつ義母の介護までしていて、
かつ世帯年収300万円という状況では、
日々が辛くなってしまい
「いっそ生活保護を」と考えるのも無理はありません。
しかし、生活保護は基準を満たさない限り受けられません。
もし、生活保護を本気で考えているのであれば、
住んでいる市区町村の役場や管轄部署、
社会福祉協議会などへ相談してみてください。
出典 厚生労働省「生活保護制度」に関するQ&A
東京都福祉保健局 生活保護制度とはどのような制度ですか。
執筆者:柘植輝 行政書士
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