漫画家・写真家玉地俊雄 紫煙のゆらぎ

漫画家・写真家玉地俊雄 紫煙のゆらぎ

2008.05.20
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カテゴリ: 紫煙のゆらぎ




             ウラニアのエロイカのジャケット














           紫煙のゆらぎ・ウラニアのエロイカ 後篇 





その、この、LPレコードの、幻の、入手不可能のLPレコードは、
艱難辛苦難産大喧嘩の裁判沙汰のあげくに、フルベンが勝訴して発売は中止されてしまった。

アメリカは勝ったモン勝ちで略奪したテープを有効利用したがやむなく結果に従った。

こいつはモノがものだけに入所できたごく一部の人々が大喜びした。

当然市中に出回ったLPの枚数は藪の中。
当時プレミアは日本で10萬と言われていた。
当時のLPレコード約80枚ぐらいの値打ちがあったのだ。

当時は私立中学の月謝が¥18.000
梅田~関大前まで¥60、学食¥130、映画¥350ぐらいだった。

コピーされたオープンリールテープも出回ったらしいが、
ほんとか嘘か入手できなかった。

まさに幻のLPウラニアのエロイカ。

僕がこのLPを最初で最後に、
大阪梅田の名曲堂で見たのは、今を去る事16年前。

堂々とふんぞりひっくりこけて、
大阪梅田は名曲堂の神棚みたいな場所に、
鎮座ましませておらっしゃられませませたその値段は、
金参拾八萬円成りなり成りませたのだ。

「ふ~ん。あれが幻のウラニアのエロイカ」

アメリカの海賊盤がターンナバウト社から発売された買った聴いた驚いた。
変ホ長調ヂャ無い。
なんぢゃこれは。

何の気違いか間違いかピッチが可笑しいわははのハ。
変ホ長調では無かったのである。
少しだけ早く終わってしまう。
半音ピッチが高くて急いで終わってしまう。

変ホで無いのは、¥1.800 もする黒くて重たいWF60043、
というエンジェルのLPもそうだった。

なにかがおかしい。
僕は悩んだ。


しかし
阿呆か海賊盤。

失望のドン底であった。
絶対音感のなかったと言われるフルベンには解からなかっただろう。


FONTANA のLPがあったのが救いだった。
これは変ホ長調でピッチが正確な第三交響曲だった。

しかし
いったいどれが正確な変ホなのか。
変ホに近いのか。

LPにはワウフラッタァーという回転ブレも絶対に無い訳ではない。


変ホぢゃ無いのだけは判るが変ホのようなものたちはいろいろあって僕は悩む。
音源を発売する人たちは果たしてまともな耳を持ち合わせているのだろうか。
調律師かオーボエ奏者が立ち会えばいいのに。

ところがところがところがである。
間違いと Kichigai の再現があったのである。

天の恵みかシイヴアの奇跡か天災か、
CDが、
幻のウラニアのエロイカのCDがっ、
大阪梅田阪急東通り商店街の外れにおっ建つ「名曲堂本店」に、
3枚もブッ転がっていたのを発見したときは衝撃だった。

3枚とも独り占めするほど僕はイジワルでもなければ金ももったいない。

フルベンが没して50年経過したのだろうか、
なにはともあれウラニアのエロイカを聴いた。

LPレコードから、
多分この音はDENON-103 の MC カートリッヂで回した音をPCで取り込んだんだろう。

スクラッチノイズとビチバチブツブツと、
時に音楽より大きいキズ音に悩まされて居るのだが、
これは間違いなく変ホ?長調の交響曲第3番・英雄交響曲?。
ちょっとおかしい。

聴き進めていくと海賊盤と同じような感じになってくる。

LPからの復刻は実にクリァーで小さな音のゆらぎやフォルテイッシモも
見事に隅々まで聴かせる。
しかしスクラッチノイズと回転数が変でホ長調にしか聴こえない。

日本フォノグラムのLPより低い音がカットされてクリアーに聞こえる。
しかし、

半音高い。

ノイズはあまり気にならないと言えばかなり苦しいが。


フルベンが裁判を起こした訳がはっきりと解かった。

発狂狂乱あっちへいったり走り出したり突然止まったり、
ともかくまったく、
僕のナリキリ指揮棒が うろたえては止まり タイミングを間違えてつんのめり、
右往左往して、どうしても付いていけないほどの狂気の演奏であった。

この放送用の収録現場で実際に、変ホ長調の英雄交響曲を聴いた人々の中には
きっと失禁した人も居たかもしれない。
演奏終了後数秒は虚脱していたに違い無い。

きっと1テイクの1発録音だろう。

こりゃ裁判沙汰になるのはフルベンの気持ちになればわかるわかる。
わかるわ。
いゃホンマ。

この時
ヴィルヘルムフルトヴェングラァーとヴイーナァーフイルハァモニカァーと、
録音会場に居合わせた人はブチ切れてブッ飛んでいたはずだ。

世界で後にも先にも空前絶後のウラニアのエロイカであったはずだ。
恐怖の英雄交響曲であったはずなのに。

しかし、海賊盤と同じく変ホではなかった。

明らかに♭がひとつおっことされている。
変ホ長調では無い。

ホ長調の第3交響曲をヴェートォーヴェンは作曲していないのに、
ホ長調の音が鳴っている。

38万円で買い求め、自慢して、ふんぞり返って、
みんなを羨ましがらせるイヂワルな悪趣味の金持ち。

ウラニアのエロイカを有難がって信仰の対称にしているロバの耳。
世界中の耳と頭と再生装置の悪い人々は恥ずかしいなぁ。

わはははのハ。



このLP復刻CDを聴く事が出来たショックとピッチの間違いは終生忘れない。

昔、カラヤンもベォァームも全ての英雄交響曲は、
日本フォノグラムの唯一まともだったLP以外は捨てたのは正解だった。

資料として書き残す。

ウラニア盤と米国海賊版TURNABOUT CDとFONTANA-fcm 50 ( M )


1 Allgro con brio ****14:53 **** 15:31
2 Marcia Fanebre Adagio assai ****10:37+6:27 **** 10:53+6:42
3 Scherzo Allgro vIvace **** 6:12 **** 6:25
4 Final Allegro Molto **** 12:10 **** 12:33


ウラニアもターンナバウトも、明らかに半音ピッチが高くて早く演奏が終わってしまう。

中学生の頃¥1.800 もしたWF60043の黒くて重たいLPも
半音ピッチが高くて変ホ長調ではなかった。

中学の音楽の先生は多くを語らなかった。

LPの裏に賛辞を書いた評論家氏の耳と頭はどうなっていたのだろうとその時僕は悩んだ。
このWF60043は買ったのだが何処へ言ったか判らなくなっている。

せこせこせこせこと音楽が走る。
みんな気が付かないのか、絶対音感が無いのか、どうでも良いのか。

海賊盤は記念に残してある。

LPプレイヤァーのピツチを遅くしても、ホ長調はなかなか変ホ長調にならなかった。
翌日別のLPを聴いて驚く。
D・mollぢゃない。
回転を元に戻すのを忘れていたのだ。

耳で調整して夜になって回転板で微調整するのは面倒でこまる。
海賊盤は以来聴かないままだ。


ウラニアのエロイカがメートル原器にならなくてよかった。
38万円で買い求めた人は運と趣味の悪い馬鹿野郎だ。

ウラニアのエロイカはやはり幻だったのだ。







ちょっとショック            

                                     玉地 俊雄



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最終更新日  2011.06.26 06:30:29


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