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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2014.11.30
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『都合のいい「うつ」』 で、林先生のことが紹介されていたので読んでみた。
 うつ病ではないのに、うつ病とされているもの。うつ病と称しているもの。
 これを、本著では「擬態うつ病」と読んでいる。

   擬態うつ病というのは、よく誤解されるのですが、
   何か特定のものを指すわけではありません。
   図にお示ししたとおり、
   うつ病ではないのにうつ病とされているものの総称です。(p.156)

この図において「擬態うつ病」とされているのは、
「甘え」「新型うつ病」「適応障害」「境界性パーソナリティ障害」「他の精神疾患」。
そして「うつ状態」の中に、この「擬態うつ病」と「うつ病」「躁うつ病」があり、
「うつ状態」とは別の、左端の方に「仮病」が示されている。

そして、本著では「甘え」「新型うつ病」「適応障害」「境界性パーソナリティ障害」
「他の精神疾患」「躁うつ病」「仮病」「うつ病」のそれぞれについて、説明している。

   「擬態」には、「にせ物」「偽装」というような悪い意味は含まれていません。
   もちろん図の左端にある仮病は悪いことですが、
   仮病は擬態うつ病の中のごく一部にすぎません。
   擬態という言葉は、もちろん、自然界にある擬態から拝借したものです。(p.157)

こうやって、図で示されると、何となく分かったような感じにはなるのだが
(図では「擬態うつ病」と「仮病」は別物になっており、上記説明には矛盾がある)、
やはり最終的には、その判別は難しい。
特に「うつ病」と「適応障害」の区別は、素人では難しい。
というか、専門医ですら、その判断は難しい。

  が、ここにうつ病と擬態うつ病をめぐる問題の複雑さ・難しさがあります。
  ケース9も、それから過労自殺が認定された裁判例も、
  自殺するまで思い詰めていたのですから、「うつ状態」であったことは間違いありません。
  「うつ状態」とは、気持が落ちこんだ状態の総称です。
  ですからその範囲はとてつもなく広く、
  甘えで落ちこんでも「うつ状態」、うつ病の症状も「うつ状態」と呼ぶことができます。
  それはうつ病とは違いますが、うつ病と呼んでもいいのではないかと考える人が、
  精神科医の中にもいます。
  学界でも、「適応障害に伴ううつ状態をうつ病とするのかしないのか」
  というテーマは議論になっています。
  これを「反応性うつ病」と呼ぶべきだと考える人もいます。
  裁判ではそれをうつ病と認定している。
  ということは、裁判所は学界での未解決な議論を飛び越えて、
  独自にうつ病という診断を決めているということになります。(p.80)

これが現状であるから、素人考えで判断して、対応するととんでもないことになる。
そこに最大の難しさがある。

  うつ病とは確かに違う。
  でも、一つひとつの症状を取り上げてみれば、うつ病に似ている。
  全体像も経過もうつ病とは違うから、同じ病気でないことは確かだ。
  そこで精神科医たちは、
  「逃避型抑うつ」「未熟型うつ病」「ディスチミア親和型うつ病」など、
  さまざまな新病名を編み出しました。
  新しく現れた病態に対して、専門家が研究し、新たな診断名を提唱する。
  それを出発点として、専門家の間で議論を重ね、新たな治療法を開発する。
  医師として当然の仕事です。
  けれどもここに、一つだけ、そして重大な、問題がありました。
  それは、これらをうつ病の一種としたことです。(中略)
  「逃避型抑うつ」「未熟型うつ病」「ディスチミア親和型うつ病」など、
  専門家が研究段階の名前として提唱した病名が適合する人々が、
  「うつ病の一種、しかし従来のうつ病とは違う」という意味で、
  「新型うつ病」と呼ばれるようになった。
  これは、医学的に誤ったやり方であることはもちろんですが、
  それに加えて、うつ病について急速に広まりつつある知識が、
  事態をさらに混乱させることになってしまっています。
  すなわち、対応法や治療法が混乱を極めるという事態になっているのです。(p.101)

さらに、専門医においても、次のような診断が必要となる。
これを読むと、もうどうしたらいいのか、さっぱり分からなくなってしまう。  

  「うつ」も、その人の元々の状態と比べて
  「うつ」といえるかどうかということが最も実用的な基準です。
  人の心が、万人に共通な基準で測定できるものではない以上、
  正式な診断基準は、一人ひとりにとってはあまり実用的ではないのです。
  むしろ、その人その人の元々の状態からの逸脱が、何よりも正確な診断基準といえます。
  そしてそれが本当に判断できるのは、
  その人の元々の状態をよく知っている身近な人に限られます。(p.135)

そして、次の記述が、本著の結論である。やはり、素人判断は禁物である。
本著に書かれていることを上辺だけ受け取り、
「うつ病」と診断書が出ていても、
それは「擬態」かもしれないなどと、安易に対応してはいけないのである。

  適応障害でも、うつ病と同等の対応が求められることがある。
  二章の「適応障害への対応」でそのように説明したのは、
  適応障害であっても症状によってはうつ病と同じ治療をすべきという意味でもありますが、
  このケースのように、
  当初は適応障害に見えても実はうつ病だったということもあるからです。
  最終章である六章は「注意!」と題しましたが、
  本当は五章までのどのケースも、安易な判定は慎まなければなりません。
  現実の人間を目の前にした時、うつ病か、うつ病でないか、
  その診断は決して簡単ということはないのです。
  どんな場合でも「注意!」は必要です。(p.151)

では、どうすればいいのか?
次の記述に尽きると思う。

  医師が、医療のプロフェッショナルとして、毅然とした態度をとることが必要でしょう。
  うつ病でないものには、うつ病でないと、はっきり言わなければなりません。
  気持の落ち込みを訴える人を、すべてうつ病として、休養が必要という診断書を発行すれば、
  本人には感謝され、医師としそれなりの自己満足は得られるかもしれません。
  患者数が増えて、精神科という業界の領土拡大にもつながるかもしれません。
  けれどもそれは、医療のばらまきです。(p.158)





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Last updated  2014.11.30 10:05:08
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