というわけで、その歌いっぷりはアメリカ人とは思えぬほどメキシカンで、ここまで見事にやられると脱帽ものである。いちばんのお薦めは、1.「タタ・ディオス(Tata Dios)」。もはや貫禄十分な歌いっぷりがいい。他にいくつか推奨曲を挙げると、6.「シエンプレ・アセ・フリオ(Siempre hace frío)」、7.「エル・クルシフィホ・デル・カンポ(El crucifijo del campo)」、11.「エル・グスティート(El gustito)」なんかがいい。いかにも有名なマリアッチ曲というの意味では、前作の方が勝っている。けれども、リンダ・ロンシュタット自身のノリ具合はというと、本盤の方が一層“メキシカン”に拍車がかかっていると思う。ジャケット写真を見てもそうで、『カンシオネス・デ・ミ・パドレ』では情景的にメキシカンな雰囲気を出していたが、こちらの『マス・カンシオネス』の方では、リンダ一人が堂々とメキシコの民族衣装でジャケット写真に写っている。そして、上に挙げたいくつかの曲で見られるように、じっくり聴かせる時に前作よりも本領を発揮しているように感じる。
1.Tata Dios 2. El toro relajo 3. Mi ranchito 4. La mariquita 5. Grítenme piedras del campo 6.Siempre hace frío 7. El crucifijo de piedra 8. Palomita de ojos negros 9. Pena de los amores 10. El camino 11. El gustito 12. El sueño