音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2019年04月08日
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国産ロック創成期のメキシカン・バンド

 トロレブス(Trolebús)は1980年代半ばに登場したバンドで、メキシカン・ロック黎明期を担ったグループである。チョルイス(Choluis)とエンリケ・モンテス・パト(Enrique Montes “Pato”)を中心とした当初は5人組で、彼らの最初のレコード作品がこの『トロレブス・エン・センティード・コントラリオ(Trolebús en sentido contrario)』だった。

 トロレブス(スペイン語で“トロリーバス”の意味)というバンド名は、かつてリハーサルをするのに街の電線から電気を拝借していたというバンドの姿にちなんだものだという。メキシコシティでは1940年代から今にいたるまでトロリーバスが走っていて、公道上の架線から電気を受けて走っている姿が見られるので、聴衆にはわかりやすいたとえだったのだろう。ついでに、アルバム表題の『センテイード・コントラリオ』(反対向きの通行)も同様で、一方通行の幹線道路をその向きとは逆に走行するトロリーバスの姿は市民にとってすぐに目に浮かぶ光景だった。

 演奏内容は、スリー・ソウルズ・イン・マイ・マインド(EL TRIの前身)なんかを思い起こさせるシンプルな演奏と曲調。ブルースをベースにしながらシンプルなロックナンバーが中心で、詞のメッセージを聞かせるのを意図したかのように、ヴォーカルの声が明瞭に聞こえるものが多いという印象がする。でもって、詞の内容はというと、上記のトロリーバスの話から分かるように、明らかに都市部の若者を対象にしたものである。例えば、メキシコ市の住民を指す“チランゴ”の名を冠した7.「バラーダ・チランガ(チランゴのバラード)」や、トロリーバスそのものを表題にした12.「エル・トロレブス」なんかにそのことがうかがわれる。

 1990年代以降、メキシコからは米国や世界に出ていくワールドワイドなロック・アーティストを輩出した一方、本ブログでも時々取り上げてきたような“ロック・ウルバーノ”のような地元化したロックの流れも続いている。きっとこのトロレブスを含むこの辺りの音楽がその両方のルーツになっているということなのかなと思ったりしている。


[収録曲]

1. Plegaria
2. Atletic tepis
3. Corto circuito
4. Monedero
5. Barata y descontón
6. El país de los borrachos
7. Balada chilanga
8. El anzuelo
9. Jugo de riñón
10. Cuando la sicodelia llegó al D.F.
11. Blues de las ventanas
12. El trolebús

1987年リリース。





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Last updated  2019年04月08日 05時38分47秒
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