音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2019年07月03日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ
ジャズ奏者にとっての“ブルース感覚”とは


 レイ・ブライアント(Ray Bryant)は、1931年フィラデルフィア出身のジャズ・ピアニストで、2011年に79歳で亡くなっている。この人の作品としては、『レイ・ブライアント・トリオ』のような有名盤(かつ名盤)や 『レイ・ブライアント・プレイズ』 といった秀逸な盤がある。けれども、今回取り上げる『ライヴ・アット・ベイズン・ストリート・イースト』はもう少し気軽な盤で、必ずしも世間での評価はそれほど高くはないかもしれない。

 よく言われるように、レイ・ブライアントには、ブルースやゴスペルに根差した独特のフィーリングがある。ジャズの世界では“やっぱりブルース感覚なんだよな”なんて声が聞こえてくる一方で、本盤のようなどこか肩の力が抜けていて、かつ大衆迎合的な要素を含む盤には否定的評価が下される傾向にある。本盤『ライヴ・アット・ベイズン・ストリート・イースト(Live at Basin Street East)』は、R&B系のスー(Sue)・レーベルの録音ということもあるせいか、いっそうそういう判断を下されがちな盤だと思う。

 1.「恋とは何でしょう」や2.「C・ジャム・ブルース」、5.「ラヴ・フォー・セール」のようにジャズの王道のスタンダードもあるかと思えば、ボブ・ディランの6.「風に吹かれて」のように、いかにも流行りなナンバーも含まれている。同時に3.「シスター・スージー」、10.「オール・ザ・ヤング・レディーズ」といった自作曲も配されている。この点では、コアなジャズ愛好家から“何でもありなのか”という疑問が呈されかねない内容なのは事実である。

 けれども、ブルース、ゴスペルといったルーツ音楽に根差した感覚が支配しているのは、本盤を一度聴けばすぐにわかる。つまるところ、それをどういう風に表現する(とはいっても、無理に表現するということではなく、自然と滲み出させる)かの問題であるように思う。本盤は、1963年のその時にベイズン・ストリート・イーストに集まった聴衆を楽しませることに主眼があり、その演奏者(つまりはレイ・ブライアント)の背後には、そうした音楽的ルーツが避けようもなく存在していた。結果、高尚な音楽に仕上がったと言えるかどうかはわからないものの、演奏者のバックグラウンドに根差した聴衆を楽しませる音楽が演奏された。新たな試みや実験がなされるのもジャズであれば、こういう演奏もまたジャズなのだということを再確認させられる、本盤はそういうアルバムなのなのだろうと思う。


[収録曲]

1. What Is This Thing Called Love?
2. C Jam Blues
3. Sister Suzie
4. This Is All I Ask
5. Love for Sale
6. Blowin' in the Wind
7. Satin Doll
8. Days of Wine and Roses
9. Blue Azurte
10. All the Young Ladies


[パーソネル、録音]

Ray Bryant (p), Jimmy Rowser (b), Ben Riley (ds)

1963年録音。




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Last updated  2019年07月03日 15時21分44秒
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