音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2021年02月01日
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テーマ: 洋楽(3404)
新メンバーで商業的成功を収めた第10作


 フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)の10枚目のオリジナル・スタジオ作(シカゴでのセッション盤を含めると12作目)で、大きなセールスを上げて初の全米1位となったのが、本盤『ファンタスティック・マック』である。日本語では、このような名称になっているが、原題はバンド名の“Fleetwood Mac”となっており、つまりはセルフタイトル盤である。バンドの初期、ピーター・グリーン在籍時のファースト作と同名のため、白色の背景のジャケットに因んで“ホワイト・アルバム(White Album)”と呼ばれることもある。

 本盤は2つの点でフリートウッド・マックというバンドの大きな転機になった。一つはメンバーの改編である。前作『クリスタルの謎』を最後にボブ・ウェルチが脱退し、ミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーは新たなメンバー探しを行う。そして、浮上したのが、“バッキンガム・ニックス”としてデュオを組んでいたリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスであった。リンジーに話を持ち掛けたところ、ニックスもセットでという話になったらしいが、スティーヴィー・ニックスの存在は、まもなく新生フリートウッド・マックにとって欠かせないものとなった。

 もう一つの転換は、セールス面での大成功である。新メンバー加入によって、バンドは音楽的に大きく変化し、ポップな方向へと向いた。この音楽性の変化は賛否両論あるけれど(筆者も二択でどちらか選べと言われれば、ブルース・ロックなフリートウッド・マックを選ぶのだけれど)、バンドとしては大成功だった。クリスティン・マクヴィーに加え、新加入のリンジー、スティヴィーという3人がソングライティングとヴォーカルの両面で引っ張っていくという体制は、三者三様の魅力を曲ごとに引き出すことにつながった。少し大げさに喩えてしまうと、男女混合でビートルズ(ジョン、ポール、ジョージ)の魅力と同じようなことをやってのけたわけである。

アルバムはバンドとして初の全米1位を記録し、全英では23位だったものの、カナダ、オーストラリアでもそれぞれ2位と3位になった。シングルとしては、イギリスでの先行シングルも含めると都合4曲がシングルカットされた。これのうち、4.「リアノン」と7.「セイ・ユー・ラヴ・ミー」は全米11位のヒットとなったのだけれど、ここでも上記の特徴が反映されていた。4.「リアノン」はスティーヴィー・ニックスがヴォーカルを務める洒落たポップな曲調。一方、7.「セイ・ユー・ラヴ・ミー」は、それまでのフリートウッド・マックらしさを残していて、クリスティン・マクヴィーの曲作りのよさとヴォーカルが光る。

 これら2つのヒット曲以外にも注目したいナンバーに少し触れておきたい。1.「マンデイ・モーニング」はリンジー・バッキンガムのナンバーで、このバンドの新たな色合いを冒頭から示している。クリスティン・マクヴィーのナンバーとしては、上記の有名曲7.「セイ・ユー・ラヴ・ミー」に加え、シングルカットもされた5.「オーヴァー・マイ・ヘッド」がいい。6.「クリスタル」や8.「ランドスライド」は、もはやそれまでのこのバンドからすっかりかけ離れている気もするが、最終的にメンバーがばらばらでちぐはぐな音楽という方向に行かなかったのは、クリスティンとリンジーが共作し、ともにヴォーカルとなっている9.「ワールド・ターニング」に垣間見られるように思う。


[収録曲]

1. Monday Morning
2. Warm Ways
3. Blue Letter
4. Rhiannon
5. Over My Head
6. Crystal
7. Say You Love Me
8. Landslide
9. World Turning
10. Sugar Daddy
11. I'm So Afraid

1975年リリース。




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ファンタスティック・マック (2017リマスター・エディション) [ フリートウッド・マック ]

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Last updated  2021年02月01日 05時44分01秒
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