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2010年07月26日
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カテゴリ: 政治問題
 元東京大学経済学部長で政府税調専門家委員会の委員長を務める神野直彦氏は、税制改革の方向性について、参院選後間もない東京新聞のインタビューに応えて、次のように述べている;




-参院選では、消費税の増税論議が影響したと思うか。

 「自民党は消費税率10%を掲げて勝利している。消費税は響いていない」

-管直人首相は自らの「説明不足」を敗因に挙げている。

 「菅首相の発言は、われわれの提言より踏み込んだ内容。政党間の連携などを踏まえた話かもしれず私からはコメントできない」

-現行税制の課題は。

 「税率を低くしたり、控除の拡大で課税ベースを狭くしたりして、税の調達能力が落ちている。環境税など社会構造で必要な租税も設定できてない」

-消費税の増税は避けられないのか。

 「大きな政府と小さな政府のどちらを選択するかの問題だ。北欧は消費税に当たる付加価値税が高い代わりに医療や教育はタダ。皆で助け合い、負担を分かち合う社会だ。一方、米国は付加価値税を導入せず、政府の役割を小さくし、自己責任で生きる社会。民主党は支え合いの社会を目指しており、その方向で提言をした」

-消費税の使い道や引き上げ幅は。

 「国民の生活を保障するサービスを増やすなら、消費税を上げても構わないのではないか。所得税などの課税ベースをできるだけ広げれば、消費税の引き上げ幅は低くて済む」
 「(多額の債務残高があるのに)国債の信認が失われてないのは、消費税の引き上げ余地があると市場が評価しているから。仮に、国債発行に支障が生じたとしても、税率を少し上げれば税収を確保できるような基盤を構築しておくべきだ」

-中間報告で、所得税は高所得者により多くの負担を求める 累進制の回復 を掲げた。

 「所得税の実効税率は、年収一億円を超える層では低下している。株の譲渡益など金融所得の割合が高まるためで、 金融所得の適用税率を現行の10%から、本則の20%に戻す必要がある。 また(サラリーマンらに一定の控除を認める)給与所得控除は、かつて一定の所得以下の人にしか認めていなかったが、今は年収一億円でも適用される。上限を設けるなど見直しが必要だ」

-産業界が要望している法人税減税は。

 「 税率を下げれば、企業の競争力が高まるという証拠はない。 政府は税率を下げる方針だが、課税ベースの拡大とセットで、(増減税で差し引きゼロの)税収中立が望ましい」


2010年7月14日 東京新聞朝刊 12版 9ページ「消費増税論議は政府の大小の選択」から引用

 やはり、税制の専門家から見ても政権末期の自民党が決めた現在の税制は、富裕層を不当に優遇している。国家財政危機の今日、このような不公平な税制は早急に是正し、支払い能力のある富裕層には相応の税金負担をさせるべきである。消費税論議はその後にするのが当然というものである。また、法人税を下げれば企業の競争力が高まるという証拠はないとは、心強い見解である。








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最終更新日  2010年07月26日 19時07分38秒


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