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2016年03月31日
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テーマ: ニュース(100336)
カテゴリ: 政治問題
 明治大学教授の西川伸一氏は、自民党の立党当時から現代に至るまでに、憲法改正問題がどのように扱われてきたか、18日の「週刊金曜日」コラムで次のように述べている;




 憲法改正を唱える椒拠に、立党以来の「党是」を持ち出している。だが、首相のこの主張は事実なのか。党の基本文書で確認する。

 1955年11月15日の自民党立党時に、「立党宣言」「綱領」「党の性格」「党の使命」および「党の政綱」という五つの文書が採択された。

「使命」と「政綱」に「現行憲法の自主的改正」が謳(うた)われた。つまり 立党当初、最上位文書の綱領には憲法改正は盛り込まれなかった。

 その後、綱領改定の気運は10年ごとの立党の区切りが近づくたびに党内で高まる。 1965年1月制定の自由民主党基本憲章には、憲法改正への言及はない。 1975年の立党20年に際しては、綱領・政綱の見直しが2回試みられた。一つは1974年11月に党綱領委員会がまとめた新綱領草案であり、もう一つは党政綱等改正起草委員会によって1975年11月に示された新政綱草案である。前者は憲法改正に触れていなかったため、改憲派からの異論が強く決定は見送られた。後者はその前文、に「国民の合意を得て現行憲法を再検討する」と入れた。改憲派は「再検討という表現では弱すぎる」と批判し、これも頓挫(とんざ)した。

 立党30年に当たる1985年には、4月に党政綱等改正委員会が設置された。同委員会は10月に新政策綱領の原案を明らかにする。そこでは、「絶えず厳しく憲法を見直す努力を続ける」と記された。 政綱にある「現行憲法の自主的改正」という表現は削られたのである。 改憲派は猛反発し、新政策綱領でその文言が復活する。

 1995年の立党40年のときは、前年発足の党基本問題調査会が党綱領などの見直しに着手する。憲法問題をめぐって護憲派・改憲派の問で激しい綱引きがなされた。その結果、1995年3月の党大会で決定した新宣言ではこうなった。「21世紀に向けた新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民と共に議論を進めていきます。」

ついに、「現行憲法の自主的改正」が党の公式文書から消えた。 「党是」ではなくなったのである。

 しかし、立党50年に至って扱いは逆転する。2004年9月に新理念・綱領に関する委員会がつくられた。当時の安倍晋三幹事長がその職を辞するまで委員長を務めた。そこで詰められた新綱領が、2005年11月の立党50年記念党大会で発表された。その第一項は「私たちは近い将来、自立した国民意識のもとで新しい憲法が制定されるよう、国民合意の形成に努めます」と誓っている。

 ところで、自民党は立党からこれまで5種類の党史を刊行している。最新のものは、安倍総裁下で2006年に出された『自由民主党五十年史』である。同書で、 立党時を記述した節は「憲法改正を党是に」と題されている。それ以前の4種類の党史にはなかったタイトルだ。安倍史観というべきか。

 憲法改正をめぐっては激しい党内対立があった。なのに、憲法改正を立党当初からの「党是」と言い張るのは虚偽とまでは難じないが、神話に近い。あるいは、首相が忌み嫌う「レッテル貼り」だろう。

にしかわ しんいち・明治大学教授


2016年3月18日 「週刊金曜日」1080号 10ページ「西川伸一の政治時評-『改憲は党是』なのか? 違いますよ、安倍首相」から引用

 私たちの目には、自民党といえばイコール憲法改正というイメージが定着していますが、実際には自民党の中にも、憲法は変えないほうがいいという良識派が存在して、改憲派を押さえ込むために努力していたというのは、大変貴重な情報です。多くの自民党支持者の中にも、経済政策の面から自民党を支持するが、憲法改正には必ずしも賛成ではないという有権者は多いのではないかと思います。そういう人たちとも連携して、改憲反対の声を大きくしていきたいものです。








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最終更新日  2016年04月01日 14時10分58秒


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