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2016年07月18日
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テーマ: ニュース(100344)
カテゴリ: 歴史認識
 作家の姜信子氏は、玄武岩&パイチャゼ・スヴェトラナ著「サハリン残留」(高文研刊)への書評を、6月5日の東京新聞に次のように書いている;




 そもそものことの起こりは敗戦を境に植民地帝国日本が一気に収縮したこと。日本領樺太がロシア領サハリンへと変ずる過程で、多くの人々が日本の外へとはじきだされた。植民地もろとも放り出された朝鮮人はもちろんのこと、朝鮮人と結婚した日本人女性やその子たちも打ち捨てられた。 国家はその手で辺境の不可視の領域に追いやった者こそを真っ先に捨てたのだ。 その歴史的・社会的・政治的背景については本書の解説に詳しい。

国家とは本質的に民を守らない。弱き者声なき者ほど守られない。 それを思い知った民が生き抜こうとすれば、生きるということ自体がおのずと越境にもなろう、国家への異議申し立てにもなろう。ひそやかにしたたかに生きる者たちの声、この一冊から溢(あふ)れいずる。聴くべし。
(評者:姜信子=作家)

<著者紹介>
ヒョン・ムアン 北海道大准教授。
Paichadze Svetlana 北海道大研究員。


2016年6月5日 東京新聞朝刊 9ページ「読む人-強く生きる人々の声」から引用

 「国家とは本質的に民を守らない」という言葉は、正鵠を射ていると言えます。サハリンに限らず、敗戦時の満州(現在の中国東北部)でも、沖縄でも国家は国民を守ることを放棄した事実を、私たちは忘れてはなりません。国には、そういう後ろめたさがあるから、今さらのように「愛国心教育」だのと言うのではないでしょうか。慰安婦問題と同様に、中国に置き去りにした人々やサハリンに置き去りにされた人々への救済措置などは未解決のままになっており、戦後70年を過ぎてもなお日本政府の戦争責任は果たされたとは言いがたい状況です。







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最終更新日  2016年07月18日 19時52分13秒


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