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2016年07月20日
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テーマ: ニュース(100344)
カテゴリ: 政治問題
 6月5日の東京新聞は、わが国憲法の特長と自民党改憲草案がこれをどのように改悪するものであるかという点について、次のように解説している;




(1)集会、結社(けっしゃ)及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

(2)検閲(けんえつ)は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。


 日本国憲法が保障する多くの人権の中で特に根源的で、民主主義社会に不可欠な権利が、この条文で定める表現の自由です。

 権力批判につながり得る表現の自由は、国家権力にとって目障りなものです。旧憲法は言論の自由を「法律ノ範囲内」という条件つきで認めていました。この結果、治安維持法などに基づいて反政府的な言論や反戦運動が取り締まられることになったのです。

 このため 現行憲法は、国家権力からの自由を強く意識し、表現の自由を無条件に認めました。 新しい人権の一つ「知る権利」も、表現の自由に含まれるという解釈があります。

 最近、国が表現の自由を軽視するかのような出来事が相次いでいます。

 例えば2014年12月施行の特定秘密保護法。 政府が指定した「特定秘密」を漏らした公務員や、その情報に迫った市民らを処罰できる法律 で、「知る権利」を脅かす懸念があります。今年2月には、高市早苗総務相が、政治的公平性を欠く放送を繰り返した 放送局に電波停止を命じる可能性 に言及しました。

 4月にこうした現状を調査した国連の特別報告者は報道の独立性が重大な脅威に直面しているなどと警告しています。

 自民党の改憲草案は「知る権利」を追加する半面、表現の自由に関し 「公益及び公の秩序を害すること」を目的とした活動や結社は認めないとする規定を新設 しました。草案のQ&Aは「内心の自由を社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然」と説明しています。

 何が「公益及び公の秩序を害すること」にあたるのかは曖昧です。反戦や脱原発を訴えるデモが、規制の対象にされないとも限りません。国民を萎縮させ、権力を批判する表現が抑えられるようでは、健全な国とは言えません。

     ◇


◆自民草案では「公益」害す目的除外

 自民党改憲草案の関連表記

 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。

 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。

 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。

 国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。


◆安倍政権と表現の自由を巡る最近の主な出来事

2014年
11月◆自民党が、公正な衆院選報道を求める文書を在京テレビ各局に送付

12月◆特定秘密保護法が施行

2015年
 4月◆自民党がNHKとテレビ朝旧幹部を呼び、番組内容について事情聴取

 6月◆自民党若手議員の勉強会で「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい」などの発言が続出

 12月◆国連の「表現の自由」担当デービッドケイ氏が日本で予定していた調査が、日本政府の要請で延期

2016年
 2月◆高市早苗総務相が国会答弁で、政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局への電波停止に言及

 4月◆ケイ氏が暫定調査結果を公表し、報道の独立性が重大な脅威に直面していると警告


2016年6月5日 東京新聞朝刊 12版 2ページ「いま読む日本国憲法-権力批判の自由 保障」から引用

 この記事が明確に述べているように、わが国憲法は国民の「表現の自由」については無条件に「自由である」ことを認めているのであって、我々国民が「表現の自由」を行使することによって政府が如何なる不利益を被ったとしても、政府はこれを権力をもって禁止したり弾圧してはならない。このように規定しているのが私たちの憲法です。唯一「表現の自由」が規制されるケースは、ある市民の「表現の自由」行使が他の市民の権利を侵害する場合であり、ヘイトスピーチなどはこのケースに相当するので法律によって規制する根拠となるものです。ところが、自民党の改憲草案は「表現の自由は認めるが、公の秩序を乱すことを目的とした『表現』は自由に発表することを認めない」という意味になっている。これは、うっかり読めば「それは当たり前だろう」と思いがちで、自民党の狙いもそこにあり、うっかりした市民を騙そうとしている。「表現の自由」を規制する条件は「公共の福祉」に限られるのであって、「公の秩序」だのその他の文言を条件にしてしまえば、それを口実に政府権力はいつでも「それは公の秩序に反する」と難癖をつけて、市民の「表現の自由」を抹殺することが可能になります。私たちの祖先は、戦前の憲法下でそういう体験をしたのであり、その反省に立って今日の憲法を、私たちの手に残しました。そのようにして残された宝物を、うっかり自民党の改憲草案に騙されて手放してしまうのは、我々の祖先の努力を「無」にしてしまう罪深い所業と言えます。したがって、自民党が提起する「改憲」の話には断固反対していくのが、私たちの正しい道というものです。









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最終更新日  2016年07月20日 14時55分25秒


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