フリーページ
ここには幾重もの思い違いがある。選挙結果は定冠詞つきの民意、「大文字の国民」の意思表示ではない。選挙民の意思という母集団が定義可能としても、 選挙結果とはひずみのある統計量であり、棄権や死票に表れた要求や願望を忖度(そんたく)することは政治家の責務だ。
なぜ消去法の政権支持が、そのままアべノミクス賛同になるのか。欧州連合(EU)離脱を後悔する英国民のように投票者の意思そのものが不確定な場合もある。
安倍政権の新旧「三本の矢」は実行可能ではない。 黒田日銀の失敗、円高・株安への転換、賃金・消費・設備投資の低迷 などは、 大型財政出動や泥縄式の再分配政策(給付金ばらまき、最低賃金引き上げなど)では挽回できない。 TPP推進は米国内の政治状況で、原発維持路線は司法の差し止め命令や現地の反対で雲行きが怪しい。
規制緩和や労働の構造改革で成長できるという話も根拠薄弱だ。 先進国に共通の 利潤機会の枯渇 や、日本で深刻な 人口減少・労働力不足は潜在成長率を供給面からいや応なく引き下げる。 「アべノミノクスへの代案がない」という決まり文句は成長幻想を前提としているのだ。
(法政大教授)
ICCの逮捕状(4日の日記) 2024年12月04日
巨額の「裏金」自民廃止論迷走(3日の日… 2024年12月03日
租税教育と財政民主主義(2日の日記) 2024年12月02日
PR
キーワードサーチ
コメント新着