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それから8カ月、泉田知事は9月末告示の知事選出馬を撤回した。その理由をここで語るにあたって、順番を間違えてはならない。正しい順番は、 2011年3月18日、泉田知事が東京電力・柏崎刈羽原発の関係者を呼んだ こと、そして福島の状況について説明を受けたことに始まる。 その際、東電が福島におけるメルトダウンを認めなかった ことを知事は問題視した。それだけではない。新潟県は「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」を作り、福島の事故の検証を続けたのである。
その結果、今年の2月、 メルトダウンの定義が社内マニュアルに明記されていたが5年間その存在に気づかなかったことがわかった。 さらに4月11日、技術委員会は「福島第一原子力発電所事故に係る通報・報告に関する第三者検証委員会」に対して、詳細な質問状を渡した。その報告書および質問状は公開されている。 東電は8月、泉田知事に謝罪した。
7月、『新潟日報』は新潟県が出資する第三セクター・新潟国際海運が韓国の企業からフェリーを購入する契約を結んだこと、整備状態に問題があって受け取りを拒否した結果トラブルになっていることを報道。県側が購入判断に関与していた可能性を報道し、 県側は事実関係を説明する文書を9回も『新潟日報』に送ったにもかかわらず『新潟日報』は掲載しなかった。 むろん10月に知事選があることを承知の上である。
8月、泉田知事は知事選出馬を取りやめた。31日の定例記者会見で知事は、「原子力防災」とどう向き合うか「原発をどうするか」こそ、知事選の議論の焦点であり、放射性物質の影響やヨウソ剤の配布方法など、議論すべきことが多くある。にもかかわらず、船舶問題でそれができなくなった。声が届かない中で選挙戦はできない、と語った。 船舶問題については、県民が事実を知った上で判断するのが民主主義であるが、しかし県による事実説明を40万部発行する地方新聞が掲載しようとしない。 この状態では本来すべき議論ができない、と述べている。会見はyoutubeで見ることができる。
さらに 『新潟日報』は、東電の広告は載せても、住民避難問題等、県が提起している重要な原子力防災に関する記事は掲載しない でいるという。一方、私がアドバイザーを務める原子力市民委員会には 「青森県の『東奥日報』によって脱原発首長である青森市長が辞職に追い込まれているのとまったく同じ手口」 という情報が寄せられた。やはり、前市長が手がけた第三セクターの駅前ビルの赤字の責任を問われたのである。
大事な問題を別の問題で隠しあやふやにする。主権者は気をつけねばならない。泉田知事の記者会見は実に見事でまっとうなものだった。県内では不出馬撤回署名活動が始まっている。たとえ出馬しなくとも、泉田裕彦がこれからどう動くか、かなり期待できる。
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