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日本海横断航路の一連の報道について、一部、事実に反する記事や県民に誤解を与えかねない記事がずっと載り、「県関与があったのかどうか」というところばかりに焦点が当たる。「訂正してほしい」「地元紙なので適切な報道をしてほしい」と申し入れました。しかし、県から『新潟日報』へ申し入れがあったことも報道されないし、県の申し入れが正しいのか正しくないのかも伝えない。あまりにも回数が重なったので直接記者会見を開き訂正を求めました。
『新潟日報』の読者投稿欄に「泉田知事 説明責任を果たせ」という投書があったので、2日後には答えをお届けしたのですが、載せてくれない。「県の主張を届けるのが難しいのではないか」ということから今回、「(知事選から)撤退」という決断をしました。
反論には 「インターネットやツイッターがあるじゃないか」という指摘 があるのですが、毎日45万部以上も配られる情報量と、全部合わせて数千アクセスというインターネットの情報量には差がある。民主主義の基本として、 言論で「県がおかしい」と批判するのであれば、県の主張を載せた上で「県の主張のここがおかしい」と主張していただかないと、県民、有権者の皆様は判断ができない。 民主主義の基本は「情報が行き渡った上で是か非かを判断する」。圧倒的な情報量の会社(新潟日報社)が自社の一方的な記事を載せて、県の反論を載せない。「次の記事から直しました」と言われても、事実に反する記事を直したことにならない。印象だけが残ってしまう。
本来、知事選では「原子力防災にどう向き合うのか」「新潟県の未来をどうしていくのか」を問うべきです。でも私が出馬すると、「航路問題で過去の県の対応は適切だったのか」ということばかりに焦点が当たって、「県民が今後の新潟県をどうしたいのか」という意思表示の場にならないのではないか。私が引くことで、今後の新潟県のあり方、原発、原子力防災への向き合い方ということが議論可能な環境にできるだろうと思っています。
原子力災害対策指針では一定程度線量が上がったら避難することになつていますが、その線量は毎時500マイクロシーベルトなのです。一般公衆が許される年間被曝量を2時間で超える数値になって初めて避難をすることになっている。ということは、 屋内退避をしている該当者44万人を2時間で避難させないといけない ということなのです。だから「原子力災害対策指針が妥当なのか」といった議論を知事選を通じてやらないといけない。
あるところから「『航路問題で泉田知事の首を取る』というプロジェクトが進んでいるようだが、現状どうですか」という取材の申し込みがありました。ということになると、単なる報道の問題ではなくて、「政治的な狙いも含んだもの」と理解せざるを得ない。だからこそ、(県民に)届かないのだと。ということになると、私が出ることによって多くの人に過度な負担をかけることになる。これは避けたいし、「本来、次の県知事選で議論するべきことをしっかりと議論できる環境を作ってほしい」ということが撤退の理由です。
老兵は去るのみです。後継指名はしません。いい論戦をする選挙になって欲しいと思っています。
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泉田知事は原子力防災の議論を引き継ぐ候補者が出ることを期待すると同時に、『新潟日報』の一連の報道姿勢を告発するために知事選から撤退したといえる。
これに対し『新潟日報』は「本紙の見解は紙面で発表しています」「県民のための紙面作りをしている」と強調。東電の広告掲載回数・広告掲載料・上乗せ価格の有無は「答えられない」と拒否、一部の自民党との連携についても否定した。
泉田県政が継承されるかどうかが注目される。
<横田一・ジャーナリスト>
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