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三菱マテリアルは人権侵害を明確に認め、謝罪しました。過去3例の和解がありますが、人権侵害に踏み込んで責任を認めたのは初めてです。
与党の国会議員のなかにさえ、日中両国の関係改善のため「和解を生かし、解決していくべきだ」という意見があります。今回の和解の成立は、日本と中国に真の歴史和解を実現させる貴重な道筋です。
そもそも 中国人の強制連行・強制労働事件は、外務省自らが作成した報告書があり、全く争えない事実です。
1995年から日本各地で15の賠償請求訴訟がたたかわれました。最高裁判所は2007年、西松建設事件に閲し日中共同声明(72年)で原告側が裁判上の請求権を失ったとして、被害者側の賠償請求を退けました。
しかしそのなかでは、国を含む関係者による「被害者救済に向けた努力が期待される」と付言しました。事実はすべての裁判所が認定しています。
政府は日中共同声明で「解決済み」とする姿勢をいまだに崩していません。しかし 今回の和解を機に、政府の主導と責任で加害企業はもちろん、経済団体などの参加も得て、被害労工約4万人を対象とする全面解決にのりだすべきです。
ナチスが東欧の人たちを強制労働させたドイツでは、政府と企業が拠出する「記憶・責任・未来基金」を設立し(00年)、被害者に補償金を支払ってきました。
私たち弁護団はこの基金に学び、全面解決構想を提言(04年)しています。提言は日本政府と企業が責任を認めて謝罪し、その証しとして基金を設立し、その基金を生存労工または遺族に対する謝罪金のほか、事件の調査・研究・教育などにあてるとしています。
◆1日中殴られ同胞は死んだ-裁判を通じて解決を求める 劉仕礼さん(90)
44年8月に河北省唐山市の礫(らん)県で日本軍に捕まり、北海道の三菱美唄炭鉱に連れてこられました。中国人300人が宿舎に入れられ、100人ずつ3班に分けられました。私は第3班に所属し、「73番」と番号で呼ばれました。
炭鉱での仕事はきつく、毎日12時間、1日の休みもなく働かされました。1日3回の食事はトウモロコシとジャガイモ、カボチャを混ぜて作ったマントウ2つ。皆やせて骨と皮だけになりました。
冬でも薄い服しかありません。300人のうち30人以上が栄養失調や過労で死にまし
た。
中国人は「苦力(クーリー)」、奴隷のようなもので、日本人の監督官の態度は横柄で「将校」のようでした。冬のある日、逃げようとして捕まった楊さんが、裸で縛られて、みせしめとして皆の前で棒で殴られました。殴り疲れると中国人に殴らせました。一日中殴られた楊さんは痛さで苦しみながら翌日亡くなりました。
「将校」のような態度での和解は受け入れることはできません。 金額が問題なのではなく、日本政府と加害企業による誠意ある謝罪と賠償が必要です。 裁判を通じて、正義を取り戻したい。
(河北省・唐山)
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