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2017年03月01日
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テーマ: ニュース(100341)
カテゴリ: ニュース
直木賞選考会に初めてノミネートされならがら、最終選考まで残って健闘した『また、桜の国で』を執筆した須賀しのぶ氏について、2月15日の朝日新聞夕刊は次のように書いている;




 ロシア人の父を持つ日本人青年が主人公。在ポーランド日本大使館に勤務し、戦争回避のために奔走するが、ドイツがポーランドに侵攻し、ヨーロッパは戦争に突入する。

 祖国が地図上から失われてしまったポーランドの人たち、あるいはゲットーの壁に押しこめられたユダヤ人たちを目の当たりにして、「国とは、国民とは、果たして何だろう」と自問する主人公。自身もロシアと日本のはざまで生きてきた青年は、物語の最終盤、ある決意を固める。

 直木賞の選考では、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』とのダブル受賞も議論されたが、届かなかった。選考委員の浅田次郎さんは「私も近代史にかかわる小説を書くけれど、須賀さんの作品はよくできていた。知識が体にしみこんでいないと、ああいうふうには書けない」と評した。



 須賀さんは中学時代にドイツの文豪トーマス・マンのとりこになり、大学では西洋近現代史を学んだ。1994年にコバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞し、デビュー。少女向け小説のレーベルから次々に作品を発表した。

 ナチス政権下のドイツを舞台にした『神の棘(とげ)』を書いた頃から一般向け作品に重心を移し、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツが舞台の『革命前夜』で大藪春彦賞を受賞。今作でも、ナチス・ドイツの猛威にさらされたポーランドを描いた。

 「 すばらしい文学と哲学のある国が、どうしてああなったのか。良識ある人たちが、どうして変貌(へんぼう)していったのか。 それを知りたいという思いが、今も続いているんだと思います」

 だが、この作家の持ち味は、そんなシリアスさばかりではない。「キャラクターを立たせることを、いつも意識して書いています。暗い部分がある話だからこそ、わかりやすく、時には少しコミカルに」

 重い題材を扱いながらも、ぐいぐい読ませる軽快さを見失わない。少女向け小説を多く書いてきた人だからこその強みなのだろう。
(柏崎歓)


2017年2月15日 朝日新聞夕刊 3版 3ページ「国とは、国民とは、投げかける」から引用

 作家が何を考えてその小説を書いたのか、というのは一般的に興味を引かれるテーマですが、須賀しのぶ氏が何を考えて『また、桜の国で』を書いたのかという点には、大変興味を感じます。日本にもすばらしい文学と哲学があるのですが、良識ある人たちがどうして立憲主義を蔑ろにする安倍政権を放置しておくのか、という問題を解く鍵が、見つかるのではないか、というような気がします。





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最終更新日  2017年03月01日 20時07分05秒


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