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<安川崇記者>
問題の土地(8770平方メートル)は豊中市の名神高速道路沿いにあります。私立「瑞穂の國記念小学院」の建設現場。外壁にレンガ色の木材をあしらった3階建ての校舎からは、木のにおいが漂います。
問題の土地を購入したのは、大阪市淀川区で幼稚園を運営する学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)。近畿財務局が2013年6~9月に問題の土地の売却先を公募した際、小学校建設用地にと手を挙げました。
森友学園は15年5月、国と10年間の定期借地契約と期間内の売買予約契約を結びました。
◆根拠あいまい
問題の土地には廃材や生活ごみなどの埋設物があり、一部からは環境基準を超える鉛やヒ素が検出されていました。そのため森友学園は、地下3メートルまでの 埋設物と汚染の除去費用として国から1億3176万円を受け取りました。
疑惑の焦点となっているのが16年6月に交わされた売買契約です。売却額は1僚3400万円。国はすでに汚染除去費として1億3176万円を支払っているので、 国が得た収入はわずか224万円 にしかならない計算になります。
「国にとってはタダで手放したということだ」。日本共産党の宮本岳志議員は衆院財務金融委員会(15日)でこう批判しました。
近畿財務局は、問題の土地の東の国有地(9492平方メートル)を豊中市に約14億円で売却。 なぜ森友学園には、同規模の近隣国有地の10分の1という異常な価格で売却したかが疑惑の核心 です。
◆学校認可の経緯も不透明
近畿財務局が売却額の根拠として示した不動産鑑定評価書は、問題の土地価格を9億5600万円と評価。しかし、地下3メートルから3・8メートルの深さに残っている廃材の処理などに8億1974万円かかるなどとして1億3400万円の破格の売却額を決めました。
国有財産の売却額を決定する財務省国有財産鑑定官OBは 「80センチ掘り下げるのに8億円とはあまりに極端。その額は適正なのかの根拠を財務省は示すべきだ」 と指摘します。
◆確約なき内諾
土地取引だけでなく、学校認可の過程にも疑問が浮上しています。
学校認可を受けるには用地の自己所有が原則。府の基準では国や自治体が所有する土地で「将来にわたり安定して使用できる」ことを条件に、借地でも可能としています。森友学園は認可申請の段階では土地を持っておらず、国からの定期借地契約で開校を目指していました。
「瑞穂の国記念小学院」の認可を協議した大阪府の私学審議会(15年1月)。委員から疑問が出ます。 その時点では、定期借地契約も結ばれていなかった からです。
「国有地の借り上げについてはOKが出るのか」
府の事務局担当が「(府の)審議会でOKとなっておりましたら、国は契約に走ると、そういう手はずになっています」と回答。後日、審議会は同学校の設置を条件付きで「認可適当」と答申しました。借地契約の確約もない段階で 行政側が「国の内諾」を示し、答申を促した 形です。
しかし財務省は宮本議員への答弁で内諾の存在を否定。認可をめぐる経緯も解明が必要です。
◆「教育勅語」「愛国心」-理事長の理念の”要”
瑞穂の國記念小学院のパンフレットには安倍昭恵氏が写真入りで登場。同校設立のための寄付金の振込用紙には当初、「安倍晋三記念小学院」と書き込まれていました。
パンフの「教育の要」には「教育勅語素読・解釈による日本人精神の育成」や「愛国心の醸成。国家観を確立」「皇室を尊ぶ」などの項目が並びます。
森友学園が大阪市内で運営する幼稚園の玄関には、「天皇のために命をささげること」を最高の道徳とした戦前の教育勅語が掲げられていました。園児に朗唱させているといいます。籠池理事長は「赤旗」日刊紙の取材に、自身が改憲団体「日本会議」の大阪支部代表委員であると語りました。
この幼稚園は「よこしまな考えを持った在日韓国人、支那人」などと記載した文書を保護者に配布。保護者から連絡を受けて大阪符が今年1月、事実確認のため園を訪問しました。籠池氏は配布したことを認めたといいます。
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