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2022年07月11日
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カテゴリ: ニュース
近頃の日本では、前途のある学生に「学生ローン」と称する過大な借金を背負わせるシステムがあり、有能な若者をスポイルするのではないかと思わせる記事が、6月26日の朝日新聞に掲載された;




◆仕送り頼めない

 男子学生が愛知県内の私立大に入学したのは昨春。シングルマザーとして自分と妹を育ててくれた母(53)が、冠婚葬祭関連の仕事を失った翌月だった。

 2020年4月に始まった国の修学支援制度を利用し、年約90万円の給付型奨学金の支給と、年約70万円分の授業料の減免を受けることが決まっていた。

 ただ、授業料は年約160万円。奨学金は全額支払いに充てた。母や、受験を控える妹を思うと、仕送りは頼めない。4万円の家賃や光熱費、食費を含めると最低でも月7万円必要だった。飲食店やコンビニのバイトをかけ持ちした。

 今年1月、睡眠時間を削って勉強し、テストに臨んだ。疲れから体調が優れなかった。テストが終わって数日後に発熱し、新型コロナの感染がわかった。

 3月、「留年」との通知が届いた。留年すれば、4月からの奨学金の給付はなくなる。母の失業やテスト期間中の体調不良が「やむを得ない事由」に当たらないか。大学側にかけ合ったが、認められないとの回答がメールで届いた。

 男子学生は今、大学を休学し、実家からアルバイトに通う。せっかく入学したのだから学業を続けたい。就職を考えると、「大卒」の学歴もほしい。

 だが、奨学金が支給されなければ、生活は立ちゆかない。貸与型の奨学金や学生ローンを申請することはできるが、「要は借金。そこまで無理して大学に通い続けるべきなのか……」。結論を出せずにいる。

◆「借金怖くなり」

 大阪府の看護師の女性(30)は、総合病院の整形外科で働く。シングルマザーの家庭に育った。父は自分が3歳の時に失踪した、と母から聞いた。家計に余裕はなく、奨学金を高校で約60万円、大学で約570万円借りた。27歳で看護師となり、返済が始まった。

 当時の残高は、計600万円強。毎月3万3千円ずつ、20年かけて返す計算だった。返済を始めると、家計を支えていた父が消え、困窮した母の姿が思い浮かんだ。病気やけがで、私もお金に困るかもしれない-。借金を抱えていることが、急に怖くなった。

 繰り上げて返済するため風俗店で月3回ほど働くことにした。病院での夜勤を終え、午前11時ごろ帰宅。3時間ほど仮眠し、店に出勤する。稼ぎは1日約10万円。収入は奨学金の返済のほか、貯蓄に回す。

 「奨学金には感謝しています。でも、生まれた家によって負担の差が大きすぎませんか」

 参院選では複数の政党が奨学金をめぐる政策を公約に掲げた。同じ苦労を若い世代がしないよう、投票先を慎重に選びたいと思う。
(塩入彩、田中紳顕)


◆463万人が返済中、滞納13万人3割が非正規

 国内の奨学金事業の約9割を担う日本学生支援機構によると、2020年度末時点で奨学金の総貸与残高は約9兆5900億円。借りている約616万人のうち現役学生らを除く約463万人が返済中という。

 返済を3ヵ月以上滞納している人は減少傾向にあるものの、なお約13万人(約3%)いる。20年に実施した抽出調査によると、うち3割が非正規労働者で、失業・休職中の人も7人に1人いた。また、7割が年収300万円未満だった。

 滞納者に対しては、支払い督促を経て、給与を差し押さえる強制執行などの法的手続きがなされる。支援機構は20年度、438人への強制執行を各地の裁判所に申し立てたという。

 参院選の公約では、減額返還の年収要件の緩和(公明)や、返済不要の給付制を中心にした拡充(共産)などが掲げられている。


2022年6月26日 朝日新聞朝刊 14版 29ページ 「お金は生まれた家次第」から引用

 我々が学生だった頃は、学費も今のようには高くなかったが、どうしても「大学卒」の学歴がほしいと思わせるような社会的要因もなく、十分な経済力がない家庭の子弟は中卒で就職したり、高卒で就職するのは「当たり前」の時代であった。中卒でも高卒でも、それなりの収入を得ることは可能であり、学歴で出世のスピードが異なるとか出世の限界があるというような「弊害」もあったかも知れないが、学歴がないために「劇的に不利な待遇」になるということもなかったような気がします。そして何よりも、当時は経済力のない学生を相手に「金貸し」の商売をやるという不道徳は許されない、という「社会の常識」があったのだと思います。しかし、長年の自民党政治は欧米風の資本主義を模倣して、学生を相手にした金融ビジネスを合法化して、前途ある若者に過大な借金を背負わせる事態となっている。アメリカではバイデン大統領が、コロナ禍を機会に学生のローンを帳消しにするという「決断」をしたという報道もありました。日本政府も見習ってほしいものです。また、学生諸君も、数百万円の学費を借金して「大卒」の学歴を得たとしても、卒業後に就職する先が「派遣社員」ではどうなのか、損得勘定も必要だし、社会も、若者がそこまで思い詰めて借金をしなくても済むような環境をつくってあげるべきだと思います。





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最終更新日  2022年07月11日 12時11分59秒


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