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元日に発生した能登半島地震で、志賀原発の安全対策で2つの大きな問題が明らかになりました。
◆活断層を過小評価
一つは活断層を過小評価していたことです。もう1つは、 もし原発で事故が起きていたとしたら、住民の避難はとても出来そうにないことです。
政府の地震調査委員会は、今回の地震で動いた断層の長さは能登半島北岸に沿う約150キロと見ています。しかし北陸電力が想定していたのは96キロで、3分の2に過小評価していたことになります。
北陸電力の資料によると、この判断の根拠は海底の音波探査の結果でした。この調査方法では、将来起きる地震の規模を評価することが難しいということになれば、ほかの原発の審査にも影響を与えることになります。
北陸電力による地震想定の失敗は、2007年の能登半島地震に続いて2回連続です。 前回も、海底活断層の長さを過小評価していて、想定より大きな揺れに襲われました。
◆道路壊れ避難困難
もう一つ深刻なのは、地震と原発事故が同時に起きる原発震災では、避難が難しいことが目に見える形で実証されたことです。
激震地の輪島市や穴水町、七尾市は原発から30キロの圏内です。全壊した住宅で屋内退避はできません。避難しようにも道路は寸断されています。 避難の夕イミングや方向を決めようにも、放射線のレベルを調べるモニタリングポストが機能を失い、輪島市と穴水町に設置された14力所で計測不能になりました。 情報を得ようにも携帯電話もつながらない。これでは逃げようがありません。
地震のわずか1ヵ月前、経団連の十倉雅和会長が志賀原発を視察し、「一刻も早く再稼働できるよう心から願っている」と述べました。しかし、 北陸電力が活断層の評価を何度も間違え、その原因も究明されず、事故発生時の避難が困難な原発を動かすのは、あまりにも危険です。 今回の地震の影響で、志賀町沖の海底活断層が地震を引き起こしやすい状態になっているという試算もあります。
海底活断層の再評価や、避難計画の実効性の検証は、すでに再稼働している原発でも必須です。
<そえだ・たかし> 元朝日新聞記者。福島第1原発事故の国会事故調査委員会で津波分野の協力調査員。著書『東電原発事敵 10年で明らかになったこと』(平凡社新書)など
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