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2026年05月19日
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テーマ: ニュース(96594)
カテゴリ: ニュース
3日付神奈川新聞の「特集『憲法こそ未来』」で、フリージャーナリストの布施祐仁氏は日本国憲法がわが国と東アジアの平和維持に、どのように貢献してきたか、次のように述べている;



(聞き手・佐藤弦也)


――米国とイスラエルによるイラン攻撃を巡り、憲法9条はどう機能したか。

 「自衛隊の派遣を食い止める『縛り』として効力を発揮したのは間違いない。2014年の閣議決定で集団的自衛権の行使が限定容認されたとはいえ、国家の『存立危機事態』が認められない限り武力行使は許されないという解釈が依然として残っているからだ」

「歴代政府は、9条の下で許されるのは自衛のための必要最低限度の武力行使に限定されるという解釈を堅持してきた。だからこそベトナム戦争時、米国と同盟を結ぶアジア・太平洋地域の各国が軒並み軍隊を派遣したが、日本だけは自衛隊を送らずに済んだ。韓国が延べ30万人以上を送り、5千人近い犠牲者を出した歴史と比較すれば、9条の存在がいかに具体的かつ強力な抑止力として機能してきたかが理解できる。今回のイラン攻撃でも、トランプ米大統領から要請されながら、日本は武力行使の渦中に巻き込まれることを回避できた」


――自民党の改憲案は、日本の防衛にどのような変化をもたらすか。

「現在提示されている改憲案、特に戦力不保持を定めた9条2項を削除する方向性は、日本の安全保障の在り方を根底から覆す。削除されれば、14年の解釈変更後も辛うじて残った『通常の集団的自衛権行使はできない』という縛り自体が消滅してしまう。そうなれば、日本への直接的な影響や脅威の有無にかかわらず、同盟国の米国が世界中のどこかで始めた戦争に参戦することが法的に可能になる。これは、自衛のための実力組織という自衛隊のアイデンティティーを根本から変質させる」

 「また9条を変えるという行為は周辺諸国に『日本は戦後の平和国家としての出発点を放棄するのではないか』という疑念を抱かせる。 日本はかつての侵略戦争の反省に立ち、軍事力ではなく他国との信頼関係構築によって安全を確保することを憲法前文で誓った。この国際的な信頼こそが最大の安全保障にもかかわらず、自らその基盤を崩すことはマイナスでしかない」


――軍事的一体化や防衛費倍増による「抑止力強化」の妥当性をどう見るか。

 「高市早苗政権が進める『米国との軍事的一体化による抑止力の強化』というロジックには重大な欠陥と現実的な限界がある。一体化を強めれば日本の主体的な判断は失われ、米国の好戦的な判断に引きずられる危険性が高まる。今回のイラン攻撃で、米国が国連憲章のルールを破って先制攻撃する国であることが改めて浮き彫りになった。そのような国と一体化すれば、日本はおのずと望まぬ戦争に巻き込まれるリスクを背負うことになる」

 「戦争に負けない備えをするのが『抑止力』の考え方だが、食料やエネルギー自給率が極めて低く、島国である日本は戦争に耐えられない。今の政府は『抑止力の強化』という言葉を安易に使うが、抑止に失敗して戦争になったら国民がどのようなリスクにさらされるかという議論を置き去りにしている。米国が中国との決定的な対決を避ける中で妄信的に軍備増強に走るのは、かえって日本を戦争による破滅に追い込む結果を招きかねない」


――日本が進むべき道は。

 「米国に追従すれば安全だという神話を捨てなければならない。米国が同盟国の防衛コストを嫌い、中国との『G2』による取引に傾く可能性もある中で、日本に必要なのは米国以外との重層的な連携だ。具体的には、ASEAN(東南アジア諸国連合)の外交努力が手本になる。彼らは中国を単なる脅威や仮想敵として排除するのではなく、経済的な相互依存関係を深め、対話を粘り強く続けることで戦争を予防する関係性を構築している」

 「日本も韓国やオーストーフリア、そしてASEANと連携し、大国が他国の主権や利益を無視して横暴に振る舞えないような多国間の枠組みをつくることに力を注ぐべきだ。相手を敵視して強硬な手段で対抗するだけでは、軍拡競争と不信感の連鎖を生むだけだ。日本が培ってきた信頼という外交資源を再評価し、大国間のパワーバランスにのみ込まれないための知恵を働かせること。それこそが、政治の示すべき道だ」


<ふせ・ゆうじん> フリージャーナリスト。「日報隠蔽(いんぺい)」(共著、集英社)で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。近著に「従属の代償」(講談社現代新書)など。


2026年5月3日 神奈川新聞朝刊 特集「憲法こそ未来」 3ページ 「対米従属から脱却を」から引用

 この記事の主張は大変わかりやすいと思います。それは、実際にあった「事実」をそのまま述べているからだと思います。ベトナム戦争は正義の戦争ではなかったにも関わらず、韓国はアメリカの同盟国だからとの理由で延べ30万人もの軍隊を派遣し、5千人近い犠牲者を出したという「事実」と、日本は「自国防衛のための必要最小限の武力行使」以外は認めないという憲法9条があったが故にアメリカの戦争に加担することなく済んだという「事実」が示す説得力は大きいと思います。また、日本が憲法9条を堅持しているという「事実」が日本の近隣諸国にとって、余分な警戒心を持つ必要性をなくしているという「効果」も、大局的観点から東アジアの平和に大きく貢献しているという点も、日本国民はしっかり認識して、わが国の進むべき「道」を選択するべきなのだと思います。





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最終更新日  2026年05月19日 13時41分50秒


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