吟遊映人 【創作室 Y】

吟遊映人 【創作室 Y】

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

吟遊映人

吟遊映人

カレンダー

2017.03.12
XML
カテゴリ: 映画/SF
【ゼロ・グラビティ】
20170312a

「僕のことは構うな。諦めることも学ぶんだ。『必ず生還する』と言ってくれ・・・さぁライアン、言うんだ」
「・・・必ず生還する」
「よし、頑張れよ」


仕事でイヤなことがあったり、人間関係のつまらないしがらみやいざこざで、もう何もかも放り出してしまいたくなることがある。

地上での暮らしは、なんとせせこましくみみっちいものなのかとうんざりする一方で、地上から見上げる蒼天が清々しく思えるものだ。
逆に空から見下ろした地球というのも美しいに違いない。
たくさんの命が集まって、その集合体がこの青い星を形成しているのだとしたら、ほとんど奇跡に近い。
その奇跡の星の大地をしっかり踏みしめて生きることは、何にも代えがたい行為なのだ。

今回見た『ゼロ・グラビティ』は、3人の宇宙飛行士たちが宇宙空間での船外活動中、トラブルに巻き込まれるというSF・サスペンス作品となっている。

ストーリーはこうだ。
舞台は地上600キロ上空の宇宙空間。
ライアン・ストーン博士、マット・コワルスキー、それにシャリフの3人は、ハッブル宇宙望遠鏡の修理作業を行っていた。
今回初めて参加するライアンは、船外活動のため、体の不調を訴えながらも点検補修作業に従事していた。
そんな中、ヒューストンの管制から無線が入る。
なんと、ロシアが自国の人工衛星を破壊したため、その影響で膨大な破片が宇宙ごみとなって3人のいるところへ急接近していると言う。
3人は慌てて緊急避難しようとするが間に合わず、大量の宇宙ごみを直撃してしまう。
中でもシャリフはまともに被害を受け、即死。
ライアンは宇宙空間に投げ出されてしまい、パニック状態を起こしてしまう。
だが、マットによって的確な指示を受け、どうにかこうにか正気を取り戻すのであった。

『ゼロ・グラビティ』のヒロインに、当初はスカーレット・ヨハンソンやナタリー・ポートマンなどの女優さんらの名前が上がっていたようだが、結果的にはサンドラ・ブロックがおさまった。
私はそれで良かったのではと、改めて思う。
サンドラ・ブロックの名前を知ったのは、2011年3月11日に起きた東日本大震災のあとである。
義援金を送った方々の名前がテレビで読み上げられた。
その中に“ハリウッド女優”としてサンドラ・ブロックの名前を見つけ、ちょっとした感銘を受けたのだ。
そのサンドラ・ブロックが受賞こそ逃したものの、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたときは嬉しかった。

この作品の何がすばらしいかというと、すべてがスタンダードで映画としての醍醐味を充分に味わせてくれるという点である。
内容は実にシンプルだが、次から次へとトラブルに見舞われ、そのつど思考錯誤して何とか脱出をはかるという定石は、見事な流れだった。
ヒッチコックのようなユニークなカメラアングルや、長回しもサスペンスとしては申しぶんがなかった。
私はこの作品のラストが好きでたまらない。
やっとの思いで地球に帰還するライアンが地球の引力を感じるのだが、それまで無重力空間にいたためのギャップでよろよろする。
その際、見ているこちら側まで急に体が重くなったような錯覚さえするから不思議だ。
2本の足で大地をしっかり踏みしめる姿に思わず目頭が熱くなる。
この映画はおそらく、このラストを表現したいがために作られたのではと思われるほどだ。
20170312b

余談だが、ヒューストンの管制官の声がエド・ハリスだった。
声だけの出演なのに、妙にしっくりときたのは『アポロ13』がチラついたせいかもしれない。
「ゼロ・クラビティ」は、生きることの意義や意味を見失っていたヒロインが逃げることをやめ、再生しようと決意する素晴らしい人間ドラマなのだ。


2013年公開
【監督】アルフォソン・キュアロン
【出演】サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー


20130124aisatsu





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.03.12 07:33:02
コメント(0) | コメントを書く
[映画/SF] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: